本:小さい言語学者の冒険1

今年は、年初に
『「あ」は「い」より大きい!? 音象徴で学ぶ音声学入門』
という本を読んで、多少ですが自分なりに考察をしました。
本:「あ」は「い」より大きい!?1
本:「あ」は「い」より大きい!?2
本:「あ」は「い」より大きい!?3
本:「あ」は「い」より大きい!?4

言葉について少し興味が集中しているからでしょうか、
以前、買っておきながら何となく読まずにいた本が
急に気になり出しました。
『小さい言語学者の冒険 子どもに学ぶことばの秘密』 広瀬友紀著,岩波科学ライブラリー259

一般的に大人は、小さい言語学者
気がついたら母国語を話すことができるようになっています。
何をどうやって話すことができる様になったか
なんて覚えていません。
筆者は自分の子どもやまわりにいる子どもをよく観察して、
言葉を覚えていくプロセスについて考察をしています。

まず第1章は、前に読んだ本とも少し関連、
音声学の話。

まだ文字がしっかり読めないような子どもに
「『は』にテンテンをつけたら何と読む?」と尋ねたそうです。
ふつう、大人だったら『ば(ba)』と答えますよね。

でも、子どもは、
『さ』⇒『ざ』、『た』⇒『だ』、『か』⇒『が』
について答えられても、
『は』⇒『ば』とは答えられない子が結構多いのだそうです。

わからないと答える子、
『だ(da)』や『が(ga)』と答える子、
聞き分け不明の音で答える子などもいるそうなんです。

でも、これって、実は子どもの方が正しいのだと。
『さ(sa)』は発音するときに舌を歯のすぐ後ろにおいて
隙間を作って息を吐きます。
『ざ[za』はこの舌の形のままで強く息を吐けば『ざ』になります。
同様に、『た(ta)』は舌を上の歯茎につけて息を吐きます。
『だ(da)』も同様に同じ舌の形で強く息を吐けば『だ』になります。

でも、『は(ha)』はのどの奥で息を摩擦させて声を出しますが、
では、同じ口の形で息を強く声を出せば『ば』になるかといえば、
なりませんね。(フランス語の『ハ』がこれに近いですが。)

『ば(ba)』のパートナーは、じつは『ぱ(pa)』なんだそうです。
たしかに両方とも唇をしっかり結んで、息を押し出します。
これは大昔の日本語では『は行』は実は『ぱ行」だったことと
関連があるらしいのです。
「ひよこ」は昔は「ぴよこ」と言っていたというのは、
「ぴよぴよ」と鳴くことからもわかります。

そんなわけで、『は』にテンテンがついたら『ば』になる、
というのは文字を知ってから理性的に覚えた事柄のようです。

まあ、これはほんの1例ですが、
子どもの言葉の発育をみていると、
人がどのようにして言葉を覚えていくのかというのが
だんだん分かってくるのだそうです。

明日に続く