耳の病気

耳の症状と予想される病気

耳の症状

このような症状に対しては、以下のことに留意して参考にしてください。
(最終的には、最寄りの耳鼻咽喉科(もしくは当科)で診療を受けて下さい。

症状の青いリンクをクリックしていただくと、病気の詳しい説明を見ることができます。

  • 掻痒 :耳がかゆい
  • 耳閉感: 耳がつまった感じがする、膜が張った感じ、水が入った感じ、耳の違和感
  • 難聴: 聞こえにくい、聴き取りにくい、テレビの音が大きい、「えっ?」とよく聞き返す、音は聞こえるが何と言っているかわからない、話しかけても返事をしない、急に聞こえなくなった、ワーンとしている<
  • 耳鳴: 耳鳴りがする、耳でセミが鳴いている、ボー・ブーンという音、キーン・ジーという音、ピーという音、ガサガサ、ザーという音、ワーンとしている
  • 聴覚過敏: ワンワンひびく、音が割れて聞こえる、音が響いて聞こえる、食器が当たる音がうるさい
  • 耳痛: 耳が痛い、耳がズキンズキンする
  • 耳漏・悪臭: 耳がじゅくじゅくする、耳から汁がでてきた、耳からいやな臭いがする
  • 腫脹: 耳が腫れた

矢印

掻痒:一般的に外耳炎外耳道湿疹によるものが多い。
時にアレルギー性鼻炎で耳管がかゆい場合にも耳がかゆく感じる場合もある。

耳閉感:外耳・中耳・耳管・内耳のいずれでも症状が生じる場合があります。

鑑別の一つの目安としては、「自分の声がひびく」か「周りの音がひびく」か。

  • 自分の声がひびく ⇒ 外耳・中耳・耳管由来
  •  周りの音がひびく ⇒ 内耳由来

特に、内耳由来の場合は治療が遅くなると治りにくくなりますので注意して下さい。また、内耳由来の耳閉感の場合、めまいをおこしやすい状態なのでご注意下さい。

難聴:これも、外耳・中耳・耳管・内耳のいずれでも症状が生じる場合があります。さらに、聴神経の病変でも難聴が生じます。
これも、「自分の声がひびく」か「周りの音がひびく」かが重要な目安になる場合があります。
やはり、内耳由来の難聴の場合、治療が遅くなると治りにくくなります。
早めに(できれば数日中に)耳鼻咽喉科を受診して下さい。

耳鳴:耳鳴りの音色でいくらかは病気の質がわかる場合があります。
ボー・ブーンという耳鳴りはメニエール病のことが多く、めまいの前兆のこともありますので注意が必要です。早めに耳鼻咽喉科を受診して下さい。
急に生じてきたキーン・ジー・ザーといった耳鳴りは突発性難聴のこともありますので、速やかに(できれば1,2日で)耳鼻咽喉科を受診してください。

慢性的なジー・キーンといった音は高音部の聴力低下のことが多く、動脈硬化やうつ傾向などとも関係する場合があります。
ピーという耳鳴りは中耳・耳管由来のもの(滲出性中耳炎耳管狭窄症など)が比較的多いように思います。

聴覚過敏:聴覚過敏には、1)鼓膜や音を伝える骨(耳小骨)による伝音システムの異常の場合、2)内耳由来の場合、3)脳での音感受性が上昇している場合、があります。
(1つの原因でなく、組み合わさっている場合もあります)
いずれにしても、ストレスが強く関与している場合が多い様に思います。

耳痛:次のようなものが考えられます。
1) 外耳由来・・・外耳炎外耳道真珠腫など
2) 中耳由来・・・急性中耳炎、急性化膿性中耳炎、急性乳突洞炎など
3) 耳管由来・・・耳管炎
4) 咽頭由来・・・のどの外側が炎症を起こすと耳が痛く感じます
5) リンパ節炎・・・特に耳下部のリンパ節の腫脹時
6) 耳下腺・・・おたふく風邪(流行性耳下腺炎)のような場合も最初耳の痛みで始まる場合があります。
7) 甲状腺・・・急性甲状腺炎、亜急性甲状腺炎などでも外側が炎症が強い場合、耳痛と感じる場合があります。
8) 顎関節・・・顎関節症・顎関節炎などでも耳が痛く感じます。

耳漏・悪臭:外耳由来の炎症の場合と中耳由来の炎症の場合があります。
「いやな臭いがする」と言った場合、真珠腫性中耳炎や悪性腫瘍の可能性もありますので、速やかに耳鼻咽喉科を受診してください。

腫脹:一般的には、耳介(いわゆる普通に言う「耳」)が腫れる場合で、細菌感染による耳介炎の場合が多いと思います。
ただし、まれに、自己免疫疾患の一つである再発性多発軟骨炎の場合があります。
治りにくい場合や再発しやすい場合には、血液検査などで検査を行います。
また、あまり強い痛みを伴わない場合で、柔らかい腫れの場合、耳介血腫などもあります。

主な耳の病気

  • 神経耳科:めまいの項をご覧ください
  • 一般耳科: 外耳炎、外耳道湿疹、耳垢・耳垢塞栓、急性中耳炎、好酸球性中耳炎、滲出性中耳炎・耳管カタル、耳管狭窄症、耳管開放症 など

耳の病気に関するよくある質問

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耳の病気に関するよくある質問

耳の病気一覧表

耳管開放症 耳と鼻をつないでいる管が開きすぎている。自分の声がひびく。
ひどいと自分の呼吸の音までひびく。
横になると30秒から1分くらいで症状が軽くなる場合は耳管開放症の可能性が高い。
急性中耳炎後、急にやせた時、脱水気味の時、ストレスの多い時などに発症・増悪する事が多い。
診断としては、耳管機能検査が有用だが、大きな病院や耳管を特に専門にしている医療機関にしかないことが多い。
しかし、症状を丹念に聞くことと、深呼吸や鼻をつまんで飲み込む動作をした時の鼓膜の状態を見ることで、診断できる場合が多い。
現在の所、確実に改善する有効な治療法が中々ないのですが、漢方薬(加味帰脾湯など)が有効な場合がある。
その他、生理食塩水の点鼻なども一つの方法。
外耳炎 耳の穴の皮膚が炎症・化膿した状態。
耳を引っ張ったり触ったりすると痛みが強くなる。耳だれが出る原因の一つ。
耳処置(清掃、消毒、軟膏塗布)や、点耳・耳浴、抗生剤の内服などが有効ですが、再発も多い。
耳の触りすぎに注意。
外耳道湿疹 外耳炎の一つだが、痛みよりも痒み。繰り返しやすい。
治療は外耳炎に準じるが、かゆみには抗アレルギー剤の服用もよい。
外耳道真菌症 真菌(カビ)による外耳炎・外耳道湿疹。発症のきっかけは通常の外耳炎からのことが多い。
外耳炎で耳だれがあった場合に、その耳だれに真菌が繁殖する。
一般的には表在性なので、丁寧な耳の掃除(耳鼻咽喉科でやってもらうこと)と、
抗真菌剤の塗布・点耳で改善する場合が多いが、再発しやすいので注意が必要。
糖尿病の人や免疫力が弱っている人では悪化しやすい。ごくまれですが、重症化するものもあるので、治療していても症状がどんどん悪くなる場合は、
大きな病院で集中的な治療が必要な場合もある。
急性中耳炎 鼓膜および鼓膜の奥が炎症を起こした状態。風邪の治りかけに多い。
耳痛、耳閉感、難聴。鼓膜に穴があいている人は、外から水が入っても起こることもある。
抗生剤の内服、点耳薬、痛みの強い間は鎮痛剤で、多くの場合は軽快するが、
重症の場合は鼓膜切開を行い排膿した方がよい場合もある。
特に小児の場合、痛みがなくなっても鼓膜の奥(中耳)に炎症の水や膿が残っていることがあるので、
処方された薬は特に指示がない場合は最後まで服用し、治癒しているか確認してもらうこと。
滲出性中耳炎 急性中耳炎に引き続き移行するものと、鼻が悪い状態が続いてなってくるものなどあり。
鼓膜の奥に水が貯まった状態。耳管カタルとも言う。難聴、耳閉塞感。自分の声がひびく。
小児の場合は症状を訴えない場合もあり、テレビの音が大きくなっていないか、
前の方でテレビを見ることが多くなっていないか、
「え?」と何回も聞き返すことがないか等注意が必要。
鼻が悪いことが多いので、まずは鼻の治療をしっかり行う。長引く場合には、鼓膜を切開し排液を行う。
それでも切開のあとが閉じるとすぐに再発する場合は、空気の取り入れのために鼓膜にチューブを挿入し留置する。
成人の場合、急性中耳炎から移行する場合が多い。
この場合、2,3週間ほど治療期間を要する場合もあり、
症状が強い場合は鼓膜切開をして貯留液を排除する方が早くよくなる場合が多い。
(大人の急性中耳炎後の難聴では、まれに炎症が内耳に影響を与えている場合もあるので、聴力検査等行い、
時には早めに鼓膜切開・排液を行った方がよい場合もある。)
また、大人の場合、鼻の奥(上咽頭)にできもの(腫瘍)が出来ている場合があるので、時にファイバー等で確認が必要。
慢性中耳炎 急性中耳炎を繰り返すことで、鼓膜の穴がふさがらなくなり、聞こえが悪くなった状態。繰り返し耳だれが出る場合も多い。
急性増悪(耳だれ)の時期は、耳の洗浄・清掃、抗生剤の内服や点耳薬等で改善する場合が多いが、
そうした治療で改善しない場合や、頻繁に繰り返す場合は手術(鼓室形成術)がよい。
古い中耳炎のなごりで単に鼓膜に穴が開いているだけの場合、しかも鼓膜をふさいで聴力が改善する場合は、
鼓膜の穴をふさぐ手術(鼓膜形成術)がおすすめ。
真珠腫性中耳炎 慢性中耳炎の特殊な型。
鼓膜の一部が奥に引き込まれ耳垢を中で作る所から始まることが多いが、時に先天性のものもある。
徐々に骨を溶かすので、放置しておくとめまい、顔面神経麻痺、髄膜炎など重症の合併症を起こす危険がある。
ごく初期の場合は清掃と定期的なCT撮影で経過をみていくことも可能だが、ある程度進行している場合は手術が必要。
好酸球性中耳炎 近年、難治性中耳炎の一つとして注目されている。
一見、滲出性中耳炎と似ているが、治療に抵抗する。
白血球の一種である好酸球が中耳にたまって周囲の組織を障害していく。
抗生剤による治療に抵抗し、切開してみるとニカワ状の粘稠な液がたまっているのがみられる。
この液を染色して顕微鏡で観察し好酸球が多数みられれば診断に至る。
進行すると感音性難聴(内耳レベルでの不可逆的な難聴)を引き起こし、ひどいと聾になる場合もある。
ステロイドが有効な場合が多い。
鼻も鼻茸や難治性の副鼻腔炎(好酸球性副鼻腔炎)を併発している場合が多い。
あるいは、好酸球性副鼻腔炎に続発して中耳炎が起こる。
耳管狭窄症 耳と鼻をつないでいる管の粘膜が腫れて中耳に空気が入りにくくなった状態。
鼻が悪いとなりやすい。
ひどくなると滲出性中耳炎にもなる。耳閉感、軽度難聴。
まずは鼻の治療。
先天性耳瘻孔 耳の周囲に開いているごく小さな孔。生まれてくる間に塞がるはずが残ったもの。
50人に一人程度はある。
赤く腫れたり膿が出たりして炎症を起こす場合は手術をした方がよい。