耳鳴りの詳細解説

聴力障害がみられない耳鳴りについて

一般的には耳鳴りは聴力が低下した時に生じます。
しかし、時には耳鳴りがすると訴えられる患者さんの中でも聴力検査をしても、正常聴力の方もいらっしゃいます。
こういう場合にはどう考えるのでしょうか?

一つには、8000Hzよりも高音で聴力低下をきたしている場合です。
一般には耳鼻咽喉科で行う聴力検査は、標準純音聴力検査と呼ばれ、125Hz・250Hz・500Hz・1000Hz・2000Hz・4000Hz・8000Hzの周波数について検査を行います。
もし、8000Hzより高い周波数で聴力障害を生じた場合は、検査にひかかってこない可能性があります。
同様に、聴力検査で行わない周波数を中心に聴力が低下している場合も、うまく検査に現れてこない可能性が考えられます。

そうした場合は、症状の出現が早期であれば、特に音響外傷(コンサートなどで大音響を聴いた後など)で生じた耳鳴りの場合は、突発性難聴に準じた治療を行ってみるのも一つかもしれません。ただし、発症後早期(およそ2週間以内)でないと効果は期待できません。

脈拍と一致する耳鳴りについて

「ドクン、ドクン」といった脈打つ耳鳴りの場合、それが自分の脈拍と一致しているかをまず確認しましょう。
脈拍と一致する場合で、一般的に多いのは、中耳炎(急性中耳炎、滲出性中耳炎など)や耳管狭窄症によって鼓膜の奥の気圧が下がっている場合です。
この場合は、鼻の治療や耳管の治療を行うことで、症状が改善する場合が多いと思われます。

また、貧血が強い場合にも脈打つ耳鳴りが生じる場合があります。
多くの場合、貧血を改善させることで症状も消失あるいは改善することが期待できます。

その他、このタイプでは血管性の病変を除外しておくことが重要です。
たとえば、頭の中や耳の近くに動脈瘤がある場合や、硬膜動静脈瘻(脳をつつむ硬膜と呼ばれる膜で動脈と静脈が毛細血管を介せずに直接つながってしまっている状態)などでみられる症状です。
神経内科や脳神経外科で診ていただき、MRIやMRAを撮影しておく方がよいと考えます。
また、中耳に特殊な血管の豊富な病変(グロームス腫瘍)などが潜んでいる場合もあります。
中耳のCTを撮って診てもらうのもいいかと思います。

中枢疾患(頭の病気)を疑わせる症状

「耳鳴りがする」というだけで、頭の病気を考えるというのは、医学的にみると本来飛躍した考え方です。もちろん、耳鳴りがするからとMRIを撮ったら脳腫瘍があったとか、動脈瘤がみつかったということはあるかもしれません。それは一部を除いて、たまたま見つかったと思われます。
耳鳴りがして、頭のことを心配したなら、まずは耳鳴り以外の症状に注目してください。

  • 強い頭痛がある
  • ものが二重に見えだした
  • しゃべりにくい・ろれつが回らない
  • 手足が動かしにくい、しびれがある
  • 歩きにくい
  • 口の周りのしびれ
  • 意識がなかった時間がある
  • 言葉を聞いてイメージは浮かぶが言葉がでてこない
    (たとえば、「黄色い細長いくだもの」と聞いてバナナを思い浮かべることはできるが、「バナナ」という言葉がでてこない)
    などなど。

めまいも重要な症状の一つですが、めまいは内耳由来の場合も多く、症状で内耳由来か頭の病気かを判断することはできません。また、耳鼻咽喉科で聴力検査をしてもらった時に、1000Hzを中心とした谷型の聴力像であった場合は聴神経腫瘍の可能性がありますので早めにMRIを撮ってもらうのがよいでしょう。

広い意味での耳鳴り

次のようなものも広い意味で耳鳴りと呼べるかもしれません。

耳の中で「ガサガサ」音がする。

  • 外耳道に耳垢があり、鼓膜に触れている状態。
  • 外耳道に髪の毛が入って、鼓膜に触れている状態。

耳(鼓膜)が「ポコポコ」「バタバタ」「パタパタ」する感じ。

可能性があるのは、一つは耳管狭窄症。もう一つは逆に耳管が開いてしまっている場合(耳管開放症)です。

また、もう一つ可能性があるのが、鼓膜を動かす筋肉(鼓膜張筋)の痙攣です。疲れや寝不足の時にまぶたが「ピクピク」したことはありませんか?この様に疲れると身体の小さな筋肉は痙攣する場合があります。鼓膜を緊張させて、強大な音が内耳に入りすぎないように内耳を守る筋肉である鼓膜張筋が痙攣すると、鼓膜が「パタパタ」することがあります。睡眠をよくとり休息が必要です。ビタミンB12製剤や漢方薬が有効な場合があります。

他の人にも「キーン」という音が聞こえる。

ごくまれに有毛細胞が自分で振動して音を放射することがあるようで、1978年Kempという人によって初めて報告されました。この現象は音が入ってきた時に生じる場合と、自然に音が放射されてくる場合があります。後者は、自発耳音響反射と呼ばれており、普段は耳の中にマイクを入れて測定しないときこえないような微弱なものですが、人によっては外にまできこえることがあるそうです。

「カチカチ」という音

耳と鼻をつなぐ管(耳管)の鼻に開く付近の筋肉が動くときに「カチカチ」という音がする場合がありミオクローヌスと呼ばれます。