耳の病気に関する基本的なQ&A

ここでは、耳鼻咽喉科で扱う耳の病気についてのちょっとした疑問点についてお答えします。病気についての詳しい説明は、既存の家庭の医学や他医院のホームページをご覧ください(リンク集のページ参照)。
なお、ここでのお答えは、耳鼻咽喉科医としての常識的な範囲の話、もしくは私の意見であり、ご覧になっている皆様もしくはご家族・知人に完全にあてはまるものではありません。ご心配の場合は主治医の先生、最寄の耳鼻咽喉科医師にお尋ねください。

ご質問がございましたら、お問い合わせのページのご注意をご一読いただいた上で、お問い合わせフォームよりお問い合わせください。

Q E1 子どもが急性中耳炎と言われました。お風呂にいれてもいいですか?
Q E2 急性中耳炎の場合、運動(スイミング含む)はいけませんか?
Q E3 滲出性中耳炎の場合、スイミングはいけませんか?
Q E4 音がほんと大きく聞こえます。脈拍も聞こえます。
Q E5 真珠腫性中耳炎と言われました。
Q E6 急性低音型感音難聴について
Q E7 低音の難聴
Q E8 手術したのに鼓膜に穴が開きました
Q E9 手術したのに鼓膜に穴が開きました2
Q E10 耳管開放症?
Q E11 耳のポリープって?
Q E12 息を吐くたびに耳の中で「コリッ」と音がします。
Q E13 耳の中がガサガサなります
Q E14 耳管開放症と拍動性耳鳴り
Q E15 音が響く(聴覚過敏)
Q E16 鼻をかんだ後耳が膜を張ったようになります。
Q E17 耳を突くような痛み
Q E18 耳の閉塞感(1):外耳道由来、中耳・耳管由来のもの
Q E19 耳の閉塞感(2):内耳由来のもの、その他のもの
Q E20 物音が響く
Q E21 耳の中が腫れる、鼓膜に穴を開けて中にたまってる水を吸い取る病気を教えてください。
Q E22 耳の中がポコポコなります。
Q E23 耳の付け根が黒い
Q E24 耳から顔面の腫脹(中耳炎が悪化?)
Q E25 鼻をかんだら急に耳が痛くなった
Q E26 大きい音を聞くと耳の奥でゴソゴソという
Q E27 歯をカチカチ噛み合わせると片耳だけ音がこもる
Q E28 耳の奥が時々痛くなる
Q E29 耳の中からドクドク聴こえる
Q E30 耳に水が入ったような感じがする。
Q E31 耳を殴られてから違和感
Q E32 先天性耳漏孔について教えて下さい。
Q E33 耳に膜が張った感じがします。
Q E34 風邪後に生じた低音の耳鳴りについて
Q E35 唾を飲んだ時の音が気にあります。
Q E36 耳たぶの前(頬と耳の境界)付近の腫れについて
Q E37 しょっちゅう耳が痛くなります。
Q E38 衝撃音を聞いてから始まった内耳の違和感
Q E39 蓄膿症から急性中耳炎になってしまいました。
Q E40 耳たぶが炎症をおこしてしまいました。
Q E41 左右の聞こえ方にずれが起こります。
Q E42 昨夜から片方の耳だけ耳鳴りとつまった感じがします。
Q E43 音の違和感
Q E44 耳抜きしても膜が張った感じがとれません
Q E45 4ヶ月の子ども。耳をよくさわります。
Q E46 耳からカチカチという音が・・・。
Q E47 耳だれがよく出ます。
Q E48 低音障害型急性感音性難聴の治療と再発
Q E49 唾を飲んだりご飯を食べたりすると変な音が!!
Q E50 音を聞くたびに同時に耳の中でバッと音が鳴るのですが・・・。
Q E61 突然耳鳴りがするのですが、問題はありますか?
Q E62 耳の横の血管が浮き出て痛い。
Q E63 音が二重に聞こえます。
Q E64 最近は耳帯はしないのですか?
Q E65 食事の時、強くかむと右耳の奥で「シュッ」という音
Q E66 風邪のあと耳閉感が気になります。
Q E67 滲出性中耳炎のときの音楽鑑賞
Q E68 朝起きたら右耳に違和感を感じました。
Q E69 突発性難聴とステロイドについて
Q E70 風邪から中耳炎になってその後。
Q E71 息をすると片耳の鼓膜が動き、ごそごそと言う音が聞こえるのですが。
Q E72 右耳を触っても感覚がない。
Q E73 左耳の上に開いた小さい穴から臭い白い汁が出てくる。(追記あり)
Q E74 片方の耳が聞こえない場合の手術について。
Q E75 病院で耳管開放症だと診断されたのですが・・・。
Q E76 突発性難聴後の耳鳴りについて。
Q E77 7ヶ月の赤ちゃんとのカラオケ
Q E78 音響外傷による耳鳴りはどのくらい続くものですか?
Q E79 耳が動くのは私だけか?
Q E80 耳鼻科で「鼓膜の位置がずれている」と言われました。
Q E81 発熱のあと聞こえづらい。
Q E82 耳の穴をさわるとごそごそする。
Q E83 耳の中で水が動く感触が。
Q E84 鼓膜に穴が開いたと言われました。
Q E85 風邪のあとの耳の痛み・耳のつまった感じ
Q E86 疲れるとすぐに耳が痛くなるのですが・・。
Q E87 耳の手術を受けたいのですが、親切で腕のいい経験豊富な先生を教えてください。
Q E88 先天性耳漏孔の術後について
Q E89 鼓膜が少しへこんでます、と言われたのですが大丈夫ですか?
Q E90 複音(?)について
Q E91 音響難聴について教えてください。
Q E92 急性中耳炎といわれました。
Q E93 ムンプス難聴?航空性中耳炎?
Q E94 滲出性中耳炎の治療による鼓膜切開後について
Q E95 風邪症状のあとの耳の違和感。
Q E96 耳の腫れについて
Q E97 中耳炎と内耳炎
Q E98 耳だれに血が・・・。
Q E99 突発性難聴。飛行機への搭乗は可能でしょうか?
Q E100 ほぼ毎日のように耳の奥がス゛キス゛キ痛むのですが・・・
Q E101 小6の娘が耳が聞こえにくいと言い出しました。
Q E102 両耳の難聴
Q E103 平手打ちを受けてから耳が聞こえにくい。
Q E104 一旦治まった突発性難聴の症状が投薬中止後再び増悪。
Q E105 音響外傷の後、注意しなければいけないことは何ですか?
Q E106 3〜5秒程度音が遠くなる感じや耳鳴りがします。
Q E107 8歳の息子が「右耳聾」と言われた。これはムンプス聾?
Q E108 あぶみ骨手術を勧められました。
Q E109 一時的に自分の呼吸音が大きく聞こえます。
Q E110 鼓膜が倒れてる!?
Q E111 突発性難聴での入浴
Q E112 「突発性難聴」と「急性低音障害型感音難聴」
Q E113 突然耳が聞こえなくなり11年間耳鳴りとともにすごしてきました。
Q E114 「鼓膜の張りが弱い」と言われました。
Q E115 「耳に水が貯まっている」と言われました。
Q E116 耳かき損傷後の耳鳴り
Q E117 聴力異常なしで音が二重に聞こえる。
Q E118 耳から血が出てきてめまいがします。
Q E119 耳そうじをしていたら綿棒に血が!
Q E120 耳硬化症の手術を予定しています。
Q E121 右耳だけ音程が違ってきこえます
Q E122 鼓膜が厚くなった。
Q E123 妊娠中の抗生物質に関して。
Q E124 一歳児の難聴の手術について
Q E125 耳鳴りは治らないのか?
Q E126 鼓膜が破れたのでは・・・
Q E127 外傷性鼓膜穿孔後の耳漏
Q E128 生まれつき片耳がふさがっています。
Q E129 左耳からの電子音のような音がします。
Q E130 外リンパろうの可能性について
Q E131 音がモールス信号のように聞こえる
Q E132 耳の奥でカタカタいう
Q E133 スキューバダイビング時の耳の痛み
Q E134 大丈夫でしょうか? 診てもらった方がよいでしょうか?
Q E135 左耳の奥から『キーン』と言う音が鳴り続いている
Q E136 鼓膜の凹みと、水が溜まる症状について
Q E137 サーフィンで人と接触して以来目が回ります。
Q E138 耳のカビと診断されたのですが。
Q E139 慢性中耳炎手術と耳管開放症
Q E140 片耳が全く聞こえません。
Q E141 スポーツ時の耳の閉塞感。
Q E142 鼓膜の内側の空気圧についてと耳の下の腫れ
Q E143 滲出性中耳炎と言われました。
Q E144 風邪のあと、全ての音程が低く聞こえます。
Q E145 右耳の聞こえ方が悪くなると左耳に影響がでますか?
Q E146 時々痛みと共に耳が聞こえなくなる。
Q E147 片方からだけ耳垢が。
Q E148 耳かきをしていて鼓膜を破ってしまいました。
Q E149 耳のしわの腫れ
Q E150 耳鳴りと閉塞感
Q E151 川で水遊び(ジャンプ)をしていて耳鳴りと耳痛が。
Q E152 耳が塞がる感じが取れない
Q E153 耳の違和感
Q E154 耳鳴りの一種でしょうか?
Q E155 老人の難聴は治りませんか?
Q E156 手術後も改善されない耳閉感と耳鳴り
Q E157 慢性中耳炎と診断されました。
Q E158 耳に違和感
Q E159 耳の中のカビ
Q E160 あぶみ骨の異常による難聴
Q E161 耳の中が痙攣します。
Q E162 鼓膜が「ドドドド・・・」と鳴ります。
Q E163 急性中耳炎で鼓膜切開を受けましたが耳痛・耳漏が止まりません
Q E164 聴覚過敏について1
Q E165 聴覚過敏について2 分類
Q E166 聴覚過敏についえ3 検査
Q E167 聴覚過敏の治療1
Q E168 聴覚過敏の治療2
Q E169 聴覚過敏の治療3 抑肝散
Q E170 DPOAE(歪成分耳音響放射)について
Q E171 聴力低下がない場合の耳鳴・聴覚過敏にステロイドやプロスタグランジンは?
Q E172 抗うつ薬で難聴はきたしますでしょうか?
Q E173 外有毛細胞の損傷を拡大させないようにするにはどんな事に注意すべきですか?
Q E174 耳鳴りは最悪、どこまで大きくなりますか?
Q E175 滲出性中耳炎でチューブ挿入をしましたが耳閉感が残っています
Q E176 滲出性中耳炎でチューブ留置後も耳閉感が残存します2
Q E177 大きな音や高い音を聴くと時々 左耳の奥でゴソゴソと鼓膜が動くような音がします

QE1 子どもが急性中耳炎と言われました。お風呂にいれてもいいですか?
A 一般的に強い炎症症状があるときには入浴は避けるべきです。強い炎症症状とは、痛みと熱を伴う場合が多くので、私は痛みか熱がある間は入浴は控えるように話しています。ただ、夏場など汗をかきやすい時には、シャワー程度するのは差支えがないとお話する場合が多いです。 なお、洗髪も基本的には入浴と同じ様に考えてよいと思います。ただし、耳に水が入らない様に十分注意して下さい。
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QE2 急性中耳炎の場合、運動(スイミング含む)はいけませんか?
A 強い炎症症状がある場合には、激しい運動は避けなければいけません。 急性の中耳炎の場合には、基本的には痛み、熱がある場合はスイミングはしてはいけません。さらに、症状がおさまった後数日は避けておいたほうがよいと思います。症状はとれても鼓膜の状態が改善するにはもうすこしかかります。この時期に体力を消耗するほどの運動をすると再燃する可能性が高くなります。 ただ、ある程度おさまれば、完全に鼓膜が正常化していなくても可能だと思います。1週間程したら、主治医の先生にお尋ね下さい。
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QE3 滲出性中耳炎の場合、スイミングはいけませんか?
A スイミングが滲出性中耳炎に与える影響については、耳鼻咽喉科医の間でも多少議論のあるところですが、あまりよくないという意見が一般的です。しかし、スイミングをしたら必ず急性中耳炎をおこすとか、絶対になおらないというわけではないので、私は痛みと熱がなければ(滲出性中耳炎では普段は痛みや熱はありません。)とりあえずOKをしています。(もちろん急性中耳炎を起こした時や、鼓膜切開をうけたあとなどは除きます。)経過をみていてあまりにも治らない場合や、急性中耳炎を繰り返しひきおこす場合には休んでもらうようにしています。
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QE4 音がほんと大きく聞こえます。脈拍も聞こえます。
A <質問>
以前はこんなことはなかったのですけれども、最近ほんとうに物を落としたくらいの衝撃音でも、かなり耳に響きます。あと、脈拍音を聞こえるくらいになってきました。これはあきらかに病気でしょうか? 耳鼻科にいってもわからないって言われました。ちょっと恐怖心があります。
<回答>
これは難しいご質問ですね。一般に聴覚過敏という場合、何らかの聴力低下をきたした場合に起こることが多いのです。これは、聴こえの細胞がダメージを受けたりすると、残りの細胞がそれを補おうとするために少しの音にでも大きく反応しようとするのです。ただ、聴力に問題がないようでしたら、この考え方はむずかしいかもしれません。ただ、ここからは完全な推測ですが、聴こえにはこうした、本来の音の大きさをその通りに感じるのではなく、それ以上に大きく反応できるしくみがあるのかもしれません。これが、普段は抑制されているのですが、何らかの原因で、抑制がはずれてしまったと考えたらどうでしょうか。抑制しているのは一般には脳だと考えられますので、たとえば、MRIなどで問題がないことを確認してみてもよいかもしれません。問題がなければ、ひとまず安心していただき、様子をみていけばよいでしょう。☆さらに他の可能性について考えて見ますと、「脈拍も聞こえる」という一文が気になります。脈拍を感じるというのは、一般に中耳の問題の事が多く、耳管開放症なども考えられるかもしれません。あるいは、中耳は音を伝える部分ですが、ここの伝達効率が正常以上に効率よく音を伝えてしまっていると考えられます。(そんなことが実際にあるのか僕は知りません。)
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QE5 真珠腫性中耳炎と言われました。
A <質問>
乳児の頃から中耳炎を繰り返しており、先日、風邪を引き、耳漏が出たため、耳鼻科を受診しました。耳から白い塊〔直径8mmくらいの〕が取れ、慢性中耳炎だね。真珠腫と言われました。手術はCTを撮ってみないと、といわれ、CTの予約をし、どれくらい貯まるか見たいから一週間後再診するよう言われ、帰宅しました。一週間後再診すると、別のDrで真珠種かどうかはCT見ないとわからないけど、まだ若いから将来的には手術だね、と言われました。次にCTの結果を聞きに行くとまたまた違うDrで癒着性中耳炎、真珠腫ではないよ、と言われました。CTの結果には真珠腫も考えられる、と書いてありました。白い塊が取れたら真珠腫確定ですか?
<回答>
実際に見てみないと正確なところはわかりませんが、白い塊がでてきたのであれば、真珠腫の可能性はかなり高いと思います。ただし、真珠腫の塊がでてきたら必ず手術しなければいけないかというと、必ずしもそうとも言えません。塊が完全に取れてしまった場合、その後を注意して経過観察するだけでいい場合もあります。取りやすい場所にできる場合は、少しできかけたところで除去してしまえば、それ以上進行しない場合もあります。ただ、見えない部分で、奥へ奥へ侵入していくタイプもありますので、注意深い経過観察と、時々CTでチェックしてもらっておく方がよいと思います。 癒着性中耳炎と真珠腫性中耳炎は関連が深く、どちらも鼓膜がへこんでしまうために起こる病気です。へこんだ鼓膜が後ろの壁にくっついてしまうのが癒着性中耳炎で、そのへこんだ所の皮膚の部分で耳垢ができると、それが真珠腫になるわけです。 手術が必要かどうかは、骨の破壊がどのくらいあるか、あるいはこれから骨を破壊する危険がどれくらいあるか、という点が重要になります。
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QE6 急性低音型感音難聴について
A <質問>
2ヶ月前、左耳が上記難聴と診断(耳鳴りなし・めまいなし・音が響く・聞こえが悪い)され、1ヶ月の点滴と1ヶ月のイソバイト内服により、低音域が20db以内まで改善されましたが、音の響きが直りません。響きは、後遺症でしょうか?また、反対の耳(右耳)にイソバイト内服後、耳鳴りが出始めましたが、副作用でしょうか?現医者からは、神経質症ですと言われ、診察が打ち切られてしまい、不安に思っております。
<回答>
こういった場合、神経質になるのは当然のことと思います。点滴の治療までされたことを考えますと、もともとそこそこの難聴になっていたのでしょうね。「音が響く」というのは、内耳の細胞がダメージを受けたことを意味しています。聴こえが悪くなった分だけ、残りの聴こえの細胞が頑張ろうとしてくれるのだと思います。これを補充現象といいますが、人間はそれにうまく適応することができずに不快に感じるのです。☆今後、この症状がとれるかどうかはわかりません。2ヶ月というとちょっと厳しいかもしれません。ただ、低音障害型は、他のタイプの急性感音難聴に比べると少し時間がたったあとでも回復する場合はあるように思います(必ずとは言えませんが。)治療の継続については、主治医の先生と相談されるか、セカンドオピニオンとして他の先生にもご意見を伺ってみてもよいかと思います。また、低音障害型感音難聴の場合(あくまで経験的な印象ですが)、何らかのストレスが関係していることが多く、そのストレスが取り除かれるとスッと良くなる場合もあるように思います。☆反対側の耳鳴りですが、薬の副作用の可能性は少ないと思います。どんな音か、聴力低下を伴っているかによって、何故反対側の耳鳴りがするのかの答は変わってきます。低い耳鳴りがする場合:急性低音型感音難聴は、その病態がメニエール病と似ている所があります。メニエール病の場合、30%程度は反対側にも同様のことが起こるとされており、実際低音障害型感音難聴でも反対側にも同様のことが出てくる場合はあります。☆キーンとかジーといった耳鳴りの場合、今まで気がつかなかった耳鳴りが、こういう病気をしたことで気がついてしまい、一度気がつくと払拭できないという場合があります。こうした場合、あまり耳鳴りに集中していますと、どんどん鋭敏になり、耳鳴りが大きくなってきますので、聴力に異常がなければ、あまり気にしない方が得策だと思います。
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QE7 低音の難聴
A <質問>
とくに、低い声でしゃべる男の人の声が聞き取りずらく、よく聞き返すことがあります。症状は、いつからかははっきりわかりませんが、1年半前には、確実に聞き取りずらくなっていました。でも、テレビの音や、物音など、普通に聞こえているとおもいますが、難聴というほどのものか、今まで疑問をもっていましたが、低音性難聴という病気があることをしり、気になってきました。これくらいのことでも、低音性難聴と疑われる可能性があるのでしょうか?
<回答>
「低音性難聴」というのは、その状態を示したもので、一般的な病名とは言えません。おそらく、低音障害型難聴、あるいは低音障害型突発難聴と呼ばれる病気のことではないかと思います。一般的には「突発難聴」というように、急に(ある日急に、あるいは数日前からなんとなくといった程度)耳がつまった感じ、膜がはったような感じを言われる場合が多く、難聴は自覚する場合も多いですが、自覚しない場合も結構あります。一般的には片方の耳のことが多いですが、両側同時になる場合もあり、また片方にしか起こっていなくても両側として感じる場合もあるようです。お尋ね方の場合が、これに当てはまるかどうかは、わかりません。1年半前に自覚した時に急になったのが固定してしまっている可能性も否定はできません。☆低音障害型突発難聴とよく似た病気に「蝸牛型メニエール病」というものがあります。よく似た病気というよりも、最終的にはこの病気に確定診断される場合も少なくありません。普通、メニエール病というのは、めまい・耳鳴り・難聴・耳のつまった感じを大きな症状としますが、必ずしも全ての症状が一緒にでるとは限りません。めまいが最初のうちはでてこない場合もあります。めまいは起こらないが、その他の症状がメニエール病と類似しており、検査的にもメニエール病と同様の結果がでる場合、蝸牛型メニエール病と呼ばれます。この場合、典型的なものは低音を中心とした難聴が出現します。この場合、徐々に難聴が増悪していく場合もあります。また、その後めまいも出現し典型的なメニエール病に移行する場合もあります。☆上記の病気以外にも、耳硬化症といった病気でも初期は軽い低音を中心とした難聴から発症する場合もあります。お尋ねの方の場合も、やはりまずは耳鼻咽喉科で聴力検査をしてもらってください。
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QE8 手術したのに鼓膜に穴が開きました
A <質問>
5年生の息子のことですが、2年前鼓膜の穴が閉じなくなり、手術をしました。難しい手術では無いと言う事で無事終わりましたが、その後、同じところに2回、穴が開き、現在も通院治療中です。病院からこのまま穴はあいたままかもしれませんといわれました。聴力は、日常会話は心配ないのですが、低音は少し聞こえが、悪いようです。完治することはできないのでしょうか?
<回答>
確かに鼓膜の再生能力には個人差はありますね。鼓膜の手術は、穴だけをふさぐ手術でしょうか?それとも、耳の後ろを切って鼓膜の奥(乳突洞と言います)も掃除をした上で鼓膜を張りなおす手術でしょうか?前者の場合、手術は比較的簡単ですが、再発の可能性はやや高くなります。後者でも再発の可能性はゼロではありませんが完治する可能性は高くなります。☆再発する原因には色々考えられますが、鼓膜の血流が意外に悪いといった要因も考えらるかもしれません。こういう場合は手術を再度行っても再発しやすいかもしれません(これはあくまで推測です)。また、急性の中耳炎を繰り返しやすい人は再発しやすいでしょう。一般には大人になるにつれ中耳炎はしにくくなります。小学校5年生というと11歳前後ですから、一般的には中耳炎を起しにくくなってきている年齢ではありますが、まだ起しやすい体質をひきずっている可能性はありますね。もう少し時間をおいて再手術をしてみるとうまくいくかもしれません。もちろん、それまでに耳だれがでないように注意して、出てもすぐに治療して鼓膜の奥に病変を作らないようにしておきましょう。
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QE9 手術したのに鼓膜に穴が開きました2
A <質問>
先日、5年の息子のことで相談したものです。手術は耳の後ろを切りました。(右鼓室形成手術と記入してありました)週末に鼻汁がでるようなので、耳鼻科へいくと、耳だれがでていると言われ通院しています。全くいたがりませんでした。このまま穴が閉じないかも知れないというのも とてもショックですし、低音の聴力が悪いのも気になっています。一度、ちがう病院で診察してもらおうかとも考えているのですが、次の病院で今までのこと全部話してもいいでしょうか?(今、見ていただいている病院の先生には わるいと思うのですが・・・)
<回答>
前の質問では、文面から古い鼓膜穿孔のようなものを想定してお返事しましたが、実際にはある程度の慢性中耳炎なのかもしれませんね。鼓膜だけの修復の手術を選択しなかったということは、耳の後ろにもそこそこの病変があるタイプだったのかもしれません。そう考えますと、多少再発する率は高くなるかもしれません。術者の技術的なことだけでなく、患者さんの治癒能力や、細菌の強さ、術後新たな中耳炎を引き起こすタイミングなどでも変わってきます。☆違う病院で診ていただくことについては、最近はセカンド・オピニオンという考え方が広まってきましたので、それほど気になされる必要はないと思います。ただし、セカンド・オピニオンで他の医師の意見が前医と異なっていた場合、どちらを選ぶかは患者さん(この場合は保護者であるご両親)自信で判断していただくことなります。また、ご相談される時にはありのままをお話されるのがよいかと思います。☆低音の聴力低下については、いろいろなことが考えられます。鼓膜に穴があるためのロスであれば、最終的に鼓膜の穴がふさがれば改善する可能性はあります。一時的に鼓膜の穴をテープのようなものでふさいで聴力が改善するかどうかである程度判断できます。ただし、再手術でそれが完全に解消されるかどうかは別問題です。その他、慢性的に中耳炎を繰り返している場合には内耳が弱ってきている可能性も多少考えておかなければなりません。また、前の手術で音を伝える骨(耳小骨)をはずして組みなおしている場合には、100%ロスなく音を伝えるのは難しいと思われます。これは、それほどの手術をしなければならなかったと考えるべきかと思います。☆いずれにせよ、まずはご心配な点を主治医の先生とよくご相談いただくのがよいと考えます。
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QE10 耳管開放症?
A <質問>
以前低音の難聴で相談させて頂いた者ですが、あれからもいろいろ調べていたところ、耳管開放症という病気があるのを知り、その症状がまさしく今の自分に当てはまります。「耳閉感」、「自分の声が大きく響く」、「低音の難聴というよりは、聞きづらい」などで、決め手は(低音の難聴を除く)上記の症状が、頭を下げると、解消されるという事です。その症状があると、耳管開放症であるという可能性が高いと書かれており、自分でも確信しているのですが、低音の難聴以外の症状が、ここ2ヶ月くらいおさまっています。症状の出ていない状態でみてもらっても、正確な診断ができないでしょうか?それとも、耳管開放症はとりあえず、おいておいて、低音の難聴の、治療を進めてくほうがいいでしょうか?
<回答>
確かに、頭の位置を低くすると症状が軽くなるというのは、耳管開放症の可能性がありますね。診断を確かなものにするには、一つに「耳管機能検査」があります。これは少し大きな病院や耳管機能に力を入れている所でないと置いていないかもしれません。☆もう一つは、患者さんに鼻をつまんでもらいながら、唾を飲み込んでもらって、その際に鼓膜が動くかどうかを顕微鏡で観察する方法があります。唾を飲んだ時に耳管開放症の人は鼓膜が大きく揺れます。これは簡単な検査で、私の医院でもこの方法と症状でほぼ診断をしています。ただ、耳管開放症でもはっきり現れない人もいますし、症状のない人でも鼓膜が揺れる方もいます。ですので、あくまで、症状と組み合わせて判断しています。☆耳管開放症の場合、重要なのは症状だと思います。治療で症状が改善する人でも、鼓膜の揺れはそれほど変わらない場合は結構あります。ですので、現在耳管開放症の症状がなければ、それは様子をみられてもよいと思います。☆ただ、低音の難聴については、それとは一応切り離して考えた方がよいと思います。低音部が何故聴こえにくいのか?実際に難聴がある場合、中耳由来か内耳由来かを見極める必要があります(結構むずかしい場合がありますが)。中耳由来、つまり耳管狭窄症を同時に併発している場合もあります。これは、耳管開放症の人は耳管が開いているのが不快なので、無意識に鼻をすすって中耳を陰圧にして耳管を塞ごうとするくせがあるからです。こういう場合は、開放症の治療をやりながら鼻すすりを止めていくように意識しなければなりません。☆内耳由来の低音の難聴は前回お話しました(「低音の難聴」参照)ので、あてはまる病気が併発していれば、そちらを治療するのがいいでしょう。☆耳管開放症については、患者さんどうしが情報を交換されているサイトがあります。「耳管開放症の情報交換のページ」
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QE11 耳のポリープって?
A <質問>
中耳炎で通院していますが耳の奥にポリープがあると言われました。耳にもポリープってできるんですか?心配なものですか?
<回答>
中耳炎特に慢性中耳炎や急性中耳炎でも耳漏が長期間鼓室付近にとどまっている場合、中耳の粘膜がブヨブヨに腫れ、一部外耳道の方にでてくる場合があります。これが、耳のポリープです。鼻のポリープ同様、これは炎症が長く続いた結果として出てくるもので、大腸のポリープ(こちらは腫瘍)とは基本的に全く異なります。ただし、似てはいるが他の病気ということもありますので、最終的には切除したポリープを顕微鏡で検査(病理組織検査)をしておく方がよいと思います。治療はポリープを切除し、中耳炎の治療をしっかりと行うことです。
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QE12 息を吐くたびに耳の中で「コリッ」と音がします。
A <質問>
ここ最近息を吐くたびに右耳の中で「コリ」って音がします。全然痛くないんですが、いいかげん気になって気になってイライラします。骨いがんでる?って感じなんですが、何なんでしょうか?
<回答>
何なのでしょうね。診てみないと分かりませんが(診ても分からない場合もありますが)、次のようなことを考えます。?鼓膜に耳垢が付着している。こういう場合、顎を動かしたりすると、ゴソゴソいうことがあります。?耳管開放症の可能性。耳管がゆるいと中耳が自分の呼吸の影響をうけやすくなります。その結果呼吸によって生じた鼻の奥の気圧の変化が中耳(鼓膜の奥)に伝わり、へこんでいた鼓膜が急にもどったり逆に急にへこんだりといたったことを起している可能性が考えられます。?顎関節症。息を吐く時よりも一般的には噛んだり、口を開けた時に「コリッ」としたクリック音がすることがあります。
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QE13 耳の中がガサガサなります
A <質問>
寝返りしたり 首をふったりすると 耳の奥でガサガサと不快感があります。耳の掃除をしてもなおりません。 子供の頃 プールの後耳の中に水が入った事があるのですが その時の症状に少し似ています。もう1ヶ月位続いています。
<回答>
最終的にはみてみないと断定できませんが、お話の症状は、鼓膜の耳垢が接触している場合か、髪の毛が入っていて鼓膜に一部接しているような場合が多いですね。耳掃除をしても、ふつうは鼓膜までは触ることができないので症状はとれません。無理をすると鼓膜や外耳道(耳の穴の皮膚)を傷つけてしまうので気をつけてください。最寄の耳鼻咽喉科を受診してください。上記のようなものであれば、即解消します。
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QE14 耳管開放症と拍動性耳鳴り
A <質問>
二年半前から右耳の拍動性耳鳴りに悩まされています。MRI、MRA、血管造影検査なども行いましたが異常は見つかりませんでした。症状としては、自声強聴やふらつくような目眩感もあります。この症状は頸動脈を押さえたり、頭を下げると収まります。通常の耳管開放症は呼吸音聴取などがあるようでうですが、私はこの症状は全くありません。この様な症状の耳管開放症もあるのでしょうか。以前、耳管にルゴール塗布を行ったことがありますが、耳管は閉じたのに、血流音は収まりませんでした。
<回答>
拍動性の耳鳴り(血流音)と他の症状は分けて考える方がいいのかもしれません。拍動性の耳鳴りは内耳(蝸牛:聞こえの細胞のある所)の近くに動脈があり、その音を感じている可能性や、ごくまれに脳の動脈と静脈がショートカットしてつながっている時などに音がするというようなことを聞いたことはありますが、MRAまでやっていて異常がないのであれば、現在の所経過をみるしかないかもしれません。本来耳の近くの血管音は意識されないようになっているのですが何らかの原因で感じるのかもしれません。☆自声強調は耳管開放症でもよくおこりますが、ふらつきや眩暈は一般的にはきません。内耳の病気が潜んでいる可能性も考えられます。ただ、最近、耳管開放症でも内耳に影響を与える可能性もあるようなので関連はあるかもしれません。中々すっきりとした説明にはなっていませんが、現在の所、内耳と耳管と耳鳴りとのそれぞれのフォローで経過をみていくのが現実的なところかと思います。
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QE15 音が響く(聴覚過敏)
A <質問>
お店の中を歩く際のヒールの音、スーパーの袋のカサっとする音が凄く耳に響く。普段でもエレベーターで下りた際に耳が詰まった感覚です。
<回答>
まずはQ&AのE4をご参考にしてください。☆一般には音が響くのは内耳が少し弱った時に起こることが多いと思います。聴力検査をするとごく軽度から中等度程度までの聴力低下を来たしている場合が多いようです。聴力に異常がある場合は一般的な急性の感音難聴(主に内耳由来の難聴)に準じて治療を行えばいいでしょう。問題は聴力に異常がない場合ですが、検査をしても聴力が正常の場合も時にあります。これは、聴力が正常で何らかのメカニズムで聴覚過敏が起こっている場合と普通の聴力検査ではすべての周波数を検査しているわけではないので、検査音と検査音の間の周波数で聴力低下が起こっている可能性や、8000Hzよりも高周波で聴力が落ちている場合などが考えられます。何らかのメカニズムで聴覚過敏が生じる・・・これはあくまで推測の域を超えませんが、本来内耳には脳から情報を脳に伝えるのを抑える神経が来ているのが、その抑制が解除されてしまっているようなことが考えられます。あくまで推測ですので、現在の所、それを改善する方法は確立されていません。☆標準的な聴力検査で異常がみられない場合は、急性の感音難聴に準じて加療を受けてみるのも一つの方法かもしれません。
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QE16 鼻をかんだ後耳が膜を張ったようになります。
A <質問>
鼻をかんだ後耳に膜が張ったようになるのですが、これは耳鼻科に行って治してもらう以外自分で治す方法はないのでしょうか?
<回答>
鼻をかんで耳が膜を張ったようになるのは、鼻をかむ際に鼻の奥の空間の気圧が上がり、耳管という耳と鼻をつなぐ管より一気に空気が中耳に入り鼓膜を膨らませるためにおこるものと思われます。「耳に膜が張った」という状態は上述の場合にも起こりますが、逆に鼻を何回もすすっていると、耳管を通して空気が鼻の方に引っ張られて、中耳の気圧が低くなり、その結果鼓膜がへこむ場合にもおこる場合があります。実際にどちらかなのかは、耳鼻咽喉科で鼓膜を見てもらったり、ティンパノメトリーという鼓膜の動きを見る検査で確認をしてみないとわかりません。☆まずは、予防が大切です。鼻はあまりすすらない。かむ時には、片方ずつゆっくりとかむ、といった注意が必要です。☆それでもなってしまったら、下あごを左右に動かしてみるとか、あくびをするような動作をしてみるとうまくいく場合もあります。鼓膜がへこむタイプの人では、ダイビングの経験がある人は耳抜きも一つの方法ですが、無理に行うと逆に中耳炎を引き起こす危険があります。☆鼻をかんだ際に膜が張った感じが出現した場合、ごく稀には、鼓膜が破れた場合もあります。1,2日でまったく改善されない場合は速やかに耳鼻咽喉科を受診して下さい。とりあえず、完全に回復する場合は、少し経過をみても大丈夫なことが多いと思います。
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QE17 耳を突くような痛み
A <質問>
時々なのですが半年ぐらい前から耳を耳掻きで奥を突いてしまったような痛みが時々あります。もちろん、耳掻きを使用していないのにです。その後は特に何もないので病院へ行くのも…と。他には、もぐってもいないのに水中にいるような感じに片方の耳だけボーとなった感じにも時々なります。耳は聞こえているし、どれも時々なのでほっておいても大丈夫でしょうか?時折1秒くらいのめまいも感じますが、本当にすべて時々で、長く痛んだりめまいが続いたりと言うことはありません。皆さん経験するような症状なんでしょうか?
<回答>
これは何ともわかりません。一番無難なのは、やはり一度診て頂くのがいいと思います。☆一般に耳由来のめまいは内耳の不調によるものですが、1秒程度のめまいというのはあまりありません。また痛みを伴うことも普通ありません。ただ、鼓膜の奥に骨を溶かすような真珠腫性中耳炎が潜んでいるような場合には、痛みとめまいを引き起こす場合があります。ただ、一瞬の症状で軽快するというのはあまり一般的ではなく、聴力低下もないというのもやや否定的です。中々一元的に説明は難しいですね。☆いずれにしても、少なくとも頻度が多くなってきたら診て貰うようにしてください。そうでなくても、一度は診てもらっておいてもいいと思います。場合によれば、CT検査を受けてみられてもいいと思います。内耳・中耳・上咽頭・頸部付近を重点的に診てもらうといいでしょう。ただし、結果として何もでてこない可能性もありますが。
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QE18 耳の閉塞感(1):外耳道由来、中耳・耳管由来のもの
A 耳の閉塞感が生じる病気にはいくつかあります。大きく分けると解剖学的に(1)外耳道由来のもの、(2)中耳・耳管由来のもの、(3)内耳由来のもの、(4)その他に分けられます。そして、それぞれで注意すべきは持続時間ですね。 ☆(1)外耳道:一番多いのは耳垢がつまることですね。耳掃除をした後から生じることが多いですが、徐々にくる場合も。耳を触ると一時的に改善する場合もありますが、ずーと持続する場合もあります。他に耳に水が入る場合や外耳炎で耳だれがある場合など。前者はふつう水が入ったというエピソードがありますね。後者は耳掃除をしたあとなどに起こりやすい。両者とも多くは症状は持続タイプ。☆(2)中耳:鼓膜の奥に液が溜まるタイプとしては、急性中耳炎や滲出性中耳炎があります。このタイプは数日程度の長さでの症状の軽快・増悪はありますが概ね長い時間持続します。耳管によるものは、耳管狭窄症と耳管開放症があります。前者はあくびや息こらえなどで一時的(数分〜数時間)にでも症状が急に軽くなる場合が多いです。また、粘膜のむくみやすい朝方や、逆に夕方など時刻による変化も多いと思います。後者は頭の位置(うつむく・頭を下げるなど)で症状が一時的に改善する場合が多いです。☆もう一つ中耳と外耳の間、つまり鼓膜の問題として耳閉感を感じるものとして、鼓膜穿孔があります。耳を叩かれたり、ボールがぶつかったり、あるいは耳掃除で痛みを感じた後からなど。☆いずれにしても、耳閉感がずーっと持続する場合は数日以内に耳鼻咽喉科を受診される方がよいと思います。一時的にでも症状が消失する場合はもう少し経過を見ることもできる場合が多いですが、それでも繰り返す場合はせいぜい1週間〜10日程度で一度診てもらうといいでしょう。
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QE19 耳の閉塞感(2):内耳由来のもの、その他のもの
A その他耳の閉塞感を生じる病気としては内耳由来のものがあります。内耳由来の耳閉感は多少症状が日によって軽重はあるかもしれませんが、比較的症状が続く場合が多いと思います。まあ、ごく軽度の蝸牛型メニエール病(メニエール病の中でめまいは起こらずに耳の症状だけがでるタイプ)などの場合、1日寝れば治るものもありますが、それでも数分で消失するようなことはありません。☆内耳由来で多いのは、突発性難聴(軽度の聴力障害の場合難聴は自覚しない)、メニエール病またはその類似疾患、急性の騒音難聴(ディスコやロックのコンサート、鉄砲の射撃音など)などが考えられます。☆内耳由来の場合、自然治癒するものもありますが、治療を始めるのは一般的に早い方が治りやすいと言えます。逆に言えば、2週間を越えると治る確率は極端に悪くなっていきます。症状が数日の間でおさまらない場合は速やかに耳鼻咽喉科を受診して下さい。早い方がいいです。 ☆その他:耳鼻咽喉科の診察で外耳・中耳・内耳に最終的に何もない場合に考えるものは、聴神経由来(しかし、耳閉感が唯一の症状というのはあまりありません)、顎関節症によるもの、首の筋肉のこりによるものなどが考えられます。
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QE20 物音が響く
A <質問>
65歳になる母が最近、耳が一時的に聴こえにくくなり内科にかかり特に耳の病気ではなかったようですが、脳の血流が少し悪くなっているかもとの事で投薬を受けました。最近薬はやめましたが、投薬中から夜になると缶の音など物音がすごく響くので一緒にいる者は音を立てないようにしています。何らかの病気でしょうか?
<回答>
耳が聴こえにくくなった場合は、やはり耳鼻咽喉科にご相談下さい。E4、E15をまずはお読み下さい。一般に周りの音が響くというのは、内耳が急に弱った(聴力が落ちた)場合におこると考えられます。突発性難聴、メニエール病、低音障害型難聴、その他内耳が原因で生じる病気によって聴力が低下(ただし、すべての周波数で落ちるとは限りません)した場合に起こることが多いようです。これを補充現象と呼びます。☆補充現象(物音が響く)は聴力が改善することで消失する場合や、聴力は改善しても少し残る場合、聴力も改善せず補充現象も残る場合などいろいろあります。
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QE21 耳の中が腫れる、鼓膜に穴を開けて中にたまってる水を吸い取る病気を教えてください。
A <質問>
今、22歳ですが、11歳の時に耳の聞こえが悪くなったので耳鼻科に行ったら、鼓膜に穴を開けられ、水みたいのを吸い取られました。そして、約一週間前、また耳の聞こえが悪くなったので、前行った耳鼻科に行ったら、また鼓膜に穴を開けられ、11歳の時と同じように水みたいのを吸い取られ、「また聞こえが悪くなったら水をとるからきてください」といわれ、「これは一生の病気です」と言われました。さらに、耳の中が腫れてると言われ、薬をもらいました。そして最近、39℃以上の熱が出てなかなか下がらないのです。私は何か特別な病気なのでしょうか?高熱の原因は耳からきてるものなのでしょうか?大きな病院で診てもらった方がいいのでしょうか?
<回答>
おそらく病気は滲出性中耳炎と思われます。すでに22歳で、この10年以上同様のことがなかったわけですから必要以上に昔のことと関連づけて考える必要はないと思います。ただ、11歳で滲出性中耳炎をしているところをみると、確かに耳管(中耳と鼻の奥とをつなぐ管)の機能はあまりよい方ではないようです。大きな風邪をひいたり、花粉症など鼻炎が長引いたりすると度々おこるかもしれません。そういう意味では「一生」かもしれませんが、必要以上におびえる必要はないと思います。時には水をぬいてもらう必要はあるかもしれませんが、一般にこの病気はその都度適切に治療すれば聴力はもどります。☆現在の高熱ですが、耳が痛いのでなければ、耳からの熱とは考えにくいと思います。急性中耳炎でも同様に鼓膜を切って水(膿)をぬきますが、この場合は症状として耳の痛みがあります。これに対して滲出性中耳炎は普通は耳痛や発熱はありません。(ただし、滲出性から急性の中耳炎に移行する場合はあります。)☆大人の滲出性中耳炎については、一つ気をつけておかなければいけないのは、鼻の奥に腫瘍ができている場合があります。これは、ファイバースコープで観察すればわかりますので、一度は確認しておいてもらってください。☆高熱は場合によってアデノイドという鼻の奥の扁桃腺と同様の組織の炎症かもしれません。その場合、耳管が鼻の奥に開く部分も腫れますので、滲出性中耳炎を来たしやすくなります。そういう意味では関係がある場合もあります。
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QE22 耳の中がポコポコなります。
A <質問>
夜勉強していると右耳の中がボコボコするのですが、何なのでしょうか?
<回答>
見てみないと断定的なことは言えませんが、一般に耳が「ボコボコ」「ポコポコ」いうのは鼓膜が動いていると考えられます。一つには、軽い耳管狭窄症がある場合です。耳管とは中耳(鼓膜の奥)と鼻の奥をつないでいる管ですが、この管の粘膜が少し腫れていると中耳の気圧が低くなり、ちょうど高い山に登った後のような状態になります。これが、唾を飲んだり、あくびをしたり、顎を左右に動かしたりすると一時的に耳管が開いて中耳に空気が入って中耳の陰圧が解消されます。この時に鼓膜は「ポコッ」となるわけです。☆もう一つ考えられることは、これは推測の域になりますが、鼓膜の張りをコントロールしている筋肉の痙攣が考えられます。鼓膜には強大な音が内耳に伝わり過ぎないように、大きな音が入ってきたら鼓膜が硬くしまる反射機能があります。この鼓膜を硬く引き締める筋肉が痙攣を起す場合です。よく疲れるとまぶたがぴくぴくる場合がありますが、同様のことがこの筋肉におこればポコポコいうかもしれません。(これはあくまで推測です。)
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QE23 耳の付け根が黒い
A (質問)
1歳の男の子ですが、耳の付け根が黒いのに気がつきました。 大きさは5mm程度で痛がる様子もなく元気ですが、黒く(血の塊?)が気になります。これは何でしょうか?
(回答)
これは見てみないとなんともわかりません。最寄の医療機関で見てもらってください。☆小さな子で耳の付け根が切れている場合がよくあります。時に血がにじんでいる場合もあります。一般にアトピー性皮膚炎と関係がある場合が多いですね。ひどい時にはステロイド入りの軟膏を少量使い、おちついたらワセリンなどの保湿剤を使います。
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QE24 耳から顔面の腫脹(中耳炎が悪化?)
A <質問>
母が2〜3日前より左耳およびその周辺顔面左、耳下頚部が赤く腫脹、さわると激痛が走ります。のども腫れているようで食がすすみません。耳鼻咽喉科で切開して膿をだしてもらう方が言いと思うのです、怖がります。飲み薬で直りますか?
<回答>
見てみないとなんとも言えませんが、炎症を起しているのは確かでしょう。一般には中耳炎では上記のような症状は出にくいと思います。考えられるのは、外耳炎がひどくなって、外耳道(耳の穴の皮膚)だけでなく、耳たぶから顔の皮膚の下にまで炎症が広がっているような状態です。切開して膿を出すというのは、一ヶ所に膿が限局している場合は行う場合がありますが、全体的にぱんぱんに張っている場合は(皮膚の緊張が痛みを増強させるので、緊張をとるために切開するようなことはあるかもしれませんが)、一般的には抗生物質等の治療になります。ひどい場合は、点滴の治療が必要になりますし、重症になってくると入院していただくこともあります。☆少し気になるのはのども腫れているということですね。のどの周囲の方が腫れが強い場合は、少し話が変わってきます。のどの周囲は膿がたまりやすく、それをさらに放置しておくと、気管を圧迫して窒息したり、膿が肺の隙間にまで下がっていって縦隔炎という炎症を起して命に関わることにもなりかねません。のどの周囲に膿がたまっている場合には、切開して膿をだし、強力に点滴を行います。そこまで進行していると当然入院となります。☆いずれにせよ、痛みが強く、腫れがでてきたら速やかに医療機関を受診してください。
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QE25 鼻をかんだら急に耳が痛くなった
A <質問>
もともと鼻炎で鼻づまり、鼻が出ることが多く、鼻をかんだら急に耳が痛くなりました。今まで、膜が張ったような感じというのはありましたが、痛くなって午後からずっと痛いのは初めてです。大丈夫でしょうか?
<回答>
鼻を強くかんだあとから耳が痛む場合、いくつか考えられることがあります。一つは、強く鼻をかむ場合、鼻の中(鼻腔)の気圧が高くなり、中耳に空気が入っていく場合があります。急激な中耳の気圧上昇があった場合、まれに鼓膜が破れる場合があります。☆もう一つは鼻の空気が中耳に行く際に細菌なども中耳に波及する場合があり、急性の中耳炎を起す場合があります。☆また、中耳の気圧が急に上がった場合、内耳に障害が起こることもあります。この場合はあまり痛みを感じることはすくないですが、耳閉感や難聴を自覚する場合があります。☆中耳炎の場合、時間的には少し遅れておこりますが、いずれにしても、痛みや耳閉感が持続する場合は最寄の耳鼻咽喉科を受診する方がいいでしょう。
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QE26 大きい音を聞くと耳の奥でゴソゴソという
A <質問>
もう半年くらいになるのですが、大きい音を聞いたときや、自分で大きめの声で話すと、耳の奥でゴソゴソなります。耳の中に指をいれて、だした時も同じような音がします。耳垢がたまっているのかと思い、耳鼻科に通いましたが耳垢掃除をしても治りません。また、聴力検査も受けたのですが、異常はなく、耳を見る限り、異常はなさそうだとの結果でした。いったい何が原因なんでしょうか。痛み等はありません。
<回答>
難しいご質問ですね。印象としては、中耳(中耳腔・鼓膜・耳小骨・耳管あたり)の問題のような気もしますが、わかりません。大きな音を聞いた時、ということからは、強大な音が必要以上に内耳に届かないようにするために鼓膜が硬く緊張する反射がありますが、この反射を引き起こす筋肉の問題かもしれません。一般的に自分の声と連動するものは中耳のことが多く、周りの音が響くような場合は内耳の場合が多いのですが、「ゴソゴソ」という表現は中耳あるいは鼓膜付近の外耳のなんらかの影響と考えられますが、近くの耳鼻咽喉科で診てもらって異常なしとなると、中々難しいですね。
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QE27 歯をカチカチ噛み合わせると片耳だけ音がこもる
A <質問>
2日前から歯をカチカチ噛み合わせると片方の耳だけ音がこもって(反響して?)聞こえます。普段の音の聞こえ方には変化はありませんが、耳鼻科に行くべきでしょうか?
<回答>
こういう症状の場合、外耳または中耳の問題の場合が多いと考えます。耳垢が鼓膜に接している場合、耳に水が入って鼓膜に接している場合、鼓膜よりも奥で水がたまっている場合などが考えられます。長引く場合(3,4日程度)はやはり一度みてもらうといいでしょう。外耳の場合は原因をすぐに取り除ける可能性があり、取り除けばその時点から症状は消失します。
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QE28 耳の奥が時々痛くなる
A <質問>
子供の頃から耳の奥、かなり奥で頭痛とも思われる痛みを時々感じるときがあります。風の強い日、寒い日に症状が出る事が多く、頭痛に似た痛さでかなり痛く、喋るのも嫌になる程の痛みです。これは耳になんらかの原因があるのでしょうか?
<回答>
見てみないとわかりません。見ても分からない場合もあるかもしれません。こういう場合、考えられることは:?鼻の奥(上咽頭と呼ばれる所)の横の方、あるいは耳管付近の炎症が起こっている可能性、?耳の付け根にきている筋肉が凝っている、?顎関節に負担がかかっている、?耳付近の神経痛、などが考えられるかもしれません。症状が出現した時に、上記のような可能性を考えながら対症療法的にお薬を服用していただき経過をみていくのが現実的なところかもしれません。
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QE29 耳の中からドクドク聴こえる
A <質問>
1週間ほど前から耳の中で心臓と同じペースでドクドクと血液が流れるような音が聞こえます。気になって物事に集中できません。
<回答>
いくつか考えられることがあります。?鼓膜の奥に何らかの液が溜まっている(滲出性中耳炎):軽い中耳炎を起したあとなどに水が中耳にしみ出てきて溜まることが多い。この場合は検査ですぐわかります。?耳(中耳・内耳)の近くの血管の血液の流れる音が聞こえる:なぜ急に聴こえるようになったのかはわかりませんが。普段は脳がそういう音を聞いていても意識しないように抑制しているのですが、何らかの原因で抑制が効かなくなっている可能性と血管の方に異常が起こっていて聴こえてしまう可能性が考えられます。ごく稀には動脈瘤のようなものが潜んでいるかもしれません。?血圧の上昇や強い貧血の可能性も考えておいていいかもしれません。?上記のような可能性が否定された上での話になりますが、うつ状態・うつ病などが関与する場合があるかもしれません。☆あくまで推測の域ですので必要以上に心配はいらないかもしれませんが、ある程度続くようならやはり一度最寄の耳鼻咽喉科で見てもらうといいでしょう。
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QE30 耳に水が入ったような感じがする。
A <質問>
学校での作業中、急に片耳だけ耳に水が入ったような感じになりました。水を使う作業をしていたので、初めは耳に水が入ったのかと思っていましたが、2、3日たってもその状況が続いています。聞こえていないわけではないのですが、唾を飲み込んだ時の音や物を噛んでいる時の音がやたら大きく聞こえて気持ちが悪く、時々痛みもします。耳掃除が好きで頻繁にやっていて、耳を傷つけてしまったことがよくあるので、それも関係あるのかなぁと思っています。耳に入った水が何日も抜けないことってあるんでしょうか?それとも何か病気でしょうか?
<回答>
「耳に水が入った感じ」は、耳の閉塞感と考えられます。E18,E19のQ&Aをお読み下さい。「嚥下や物を噛んだ時に響く」というのは、E27もご参考にしてください。☆耳に水が入って何日も抜けない:明らかに耳に水が入ったエピソードがある場合、一般的には1〜2日以内に抜けることが多いですね。それ以上続く場合は、耳垢が水を含んでじゅくじゅくになっている場合や、外耳炎を起している場合もあるので、一度診てもらうといいでしょう。☆また、内耳が悪くなった場合にも、水が入った感じがする場合もあります。この場合は早く治療しないと治りにくくなりますので、1,2日で改善しなければ耳鼻咽喉科を受診してください。
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QE31 耳を殴られてから違和感
A <質問>
耳を平手で強く殴られてから、耳の中の軽い痛みや、音の聞こえにくさがあります。これは開放症でしょうか?自分の声が少し響く感じがして、耳鳴りも多少します。
<回答>
これは、最終的には見てみないと断定はできませんが、鼓膜が破れた可能性が最も考えられます。☆耳を殴打されると耳の中に空気が集中し圧がかかり鼓膜が破れる場合があります。大概の場合、1〜4週間程度で治ることが多いですが、耳鳴りがあることから、内耳にまで衝撃が行っていないか診てもらっておく方がよいと思います。また、鼓膜に穴があいた場合、耳に汚い水が入りますと中耳炎を起す危険があります。この中耳炎は治りにくいこともあり、また鼓膜も自然閉鎖しなくなる場合がありますので、耳に水が入らないように十分注意してください。
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QE32 先天性耳漏孔について教えて下さい。
A <質問>
一歳2ヶ月になる娘が右耳が生まれつきあながあいていて何度も腫れて化膿しています。そのたびに耳鼻科に行って膿を出しているのですが、今日先生に手術をしたほうがいいかもしれないね、といわれましたまだ小さいので心配でたまりません。手術のやり方や、入院の日数や、後遺症などあるのでしょうか?
<回答>
先天性耳漏孔は、お母さんのお腹の中にいる時期に耳が作られてくる過程で誰でもが持っている袋状のものが、生まれてくるまでに完全に消失しなかったことによってできたものです。いわば、耳を作る際にできた縫い目が残って生まれてきたような状態です。一種の奇形にあたりますが、日常生活にはほとんど問題になりません。結構この孔を持った人はいらっしゃいます。☆何も症状を起さずに一生を過ごす人と方が多いのですが、まれに感染で炎症を起して孔の根元付近が赤く腫れたり膿が出てきたりします。☆炎症を起さなければ放置してかまいませんが、赤ちゃんの場合、他の耳の奇形(中耳や内耳)がないかを一度はチェックしておいてもいいかもしれません。すなわち難聴がないかということです。(ただ、そういいながら実際に他の奇形が合併していることはほとんど経験がありません。)
ほとんどの人は何事もなく一生すごす場合が多いのですが、たまに、炎症を起し、赤く腫れたり、化膿する場合があります。(なお、穴から白い臭い液が少量出る場合もありますが、それは心配ありません。あくまで、赤く腫れたり膿が出て痛んだりした場合です。)一度炎症をおこした人は繰り返して炎症を起す場合が多く、そうした場合は手術を考えます。あまり頻回に炎症を起すと、いざ手術をしようという時にやりにくく、再発などを起しやすくなりますので、数回炎症を繰り返したら手術を勧められることが多いと思います。この孔とそれにつながる袋をひとかたまりで取ってしまえば、再び炎症をおこすことはありません。☆手術は、一般的にはそれほど難しいことはありませんが、何回も炎症を繰り返している場合、完全摘出が難しくなります。また、まれではありますが、表面から孔をたどっていくと、外耳道(耳の穴)にまで達している場合があります。完全摘出できない場合、再発する場合がまれにでてきます。☆手術の危険性や後遺症は一般的にはほとんど問題になる場合はないと思います。ただ、炎症の度合いによっても危険度が変わってきます。あまりに広範囲や深い炎症が過去にあった場合、顔面神経に気をつける必要があるかもしれませんが、ある程度経験をつんだ耳鼻科医であればそれほど問題はないと思います。傷跡の問題はありますが、髪の毛の生え際ですのでそれほど目立つことは少ないと思います。(実際に手術に際しましては、それぞれの主治医の先生に詳しくお聞き下さい。)
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QE33 耳に膜が張った感じがします。
A <質問>
2カ月前、朝起きるといきなり左耳の不快感を感じ音も二重に聞こえたのですぐに病院に行きました。低音の感音難聴と言われ、内服のみの治療で、7日後には聴力も正常値に回復しました。しかし、病状が出て3日後くらいに右耳にも膜がはったような感じが出てきたのですが両耳とも聴力に異常はなく、鼓膜の動きにも異常はないと言われました。現在は、微妙に両耳の膜がはった感じが取れないのです。ツバを飲み込むとプチプチいいます。また、ツバを飲み込むと多少はましになります。
低音の難聴は比較的治りやすいと聞いているのですが耳は治りにくいものなのでやはり、月単位で様子を見ていくしかないのでしょうか?
<回答>
「耳に膜がはった感じ」という症状は、耳閉感の表現の一つと思われます。関連のあるQ&A(E18、E19など)も参考にしてください。☆最初、音が二重に聞こえたということから推測すると、やはり内耳性のもの(感音難聴)が最も考えられますが、後半の嚥下にてプチプチ言うという症状は、むしろ中耳や耳管の影響の可能性も考えられます。
聴力が正常であれば、とりあえず日常生活にさしつかえはないと思います。ただ、聴力検査というのは、人間が聴こえる全ての周波数を調べているわけではないので、もしかすると、調べている周波数とずれたところを受け持つ聴こえの細胞が弱っている可能性は否定できません。しかし、現在の所、それを証明するのは中々難しいかもしれません。そうした場合、確かに経過をみていくしかないかもしれません。
もう一つ、膜がはった感じがする場合に、耳管狭窄症や耳管開放症なども考慮する必要があります。耳管狭窄症は一般的には鼓膜の動きをみる検査でわかりますが、ごく軽度の場合はうまく検査に出てこない場合もあります。まして、耳管開放症はさらに検査ではわかりにくい場合もあります。
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QE34 風邪後に生じた低音の耳鳴りについて
A <質問>
風邪を引いて、耳に水が入ったような感じになってから約一週間後に低音の耳鳴りが常に一定に聞こえるようになりました。風邪は、すっかり完治しています。しかし、ある一定の音量(目の前での会話)を超えた音を聞くと、スイッチを切り替えたように耳鳴りがしなくなります。聴力検査を受けましたが、全ての音域で異常なしでした。とりあえず経過を見ることになりましたが、どんな病気の可能性がありますか。
<回答>
風邪に引き続いて生じた耳閉感(耳に水が入った感じ)の場合、一番多いのは耳管狭窄症や滲出性中耳炎です。ただ、まれに内耳の障害もあります。経験的には一般にこうした中耳や耳管由来の場合は「ピー」という耳鳴りがする場合が多いですね。これに対して、内耳由来の場合には、キーン、ジーという高音の耳鳴りか、逆にブーンという低音の耳鳴りがする場合が多いような気がします。(あくまで経験的なことですが。)
さて、ご質問のケースですが、一定以上の音量の音を聞くと耳鳴りが消失するというのは私は経験がありません。ただ、耳鳴りの患者さんの中で、耳鳴りよりも大きな音をしばらく聞くと、一時的に耳鳴りが軽減もしくは消失するということはあります。何らかの脳からの抑制がかかるのかもしれません。本来内耳からは絶えず脳に向って聞こえに関する情報と言うのは流れていると思います。そこに、意識を集中しなければならないような場合には、不要な情報は脳の方で遮断するか、耳にフィードバックして情報をカットするかといったシステムが働くものと思われます。このシステムと何らかの関連があるのかもしれませんが、現在の所人間を対象とした検査でそれを調べる方法はありません。(場合によっては微小な内耳の障害をみる方法としてOAEという機械が有効かもしれませんが、わかりません。)聴力も正常であるとすると様子をみざるおえないかもしれませんが、主治医の先生とよくご相談下さい。
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QE35 唾を飲んだ時の音が気にあります。
A <質問>
四年前に、滲出性中耳炎になり、同時に、右耳の奥に、取れない硬い物が長年あった物も摘出してもらいました。中耳炎は、切開術をする所でしたが、点耳の、麻酔でひどいめまいがしたため投薬治療となり、自然に、治っていきましたが、唾を飲んだり、あくびをすると、プチプチと言った音が毎回の様にずっと続いています。冷たい飲み物が耳の置くの方にしみる様な痛みの様な感じがする事も、ありますが、異常は考えられますか?
<回答>
診ておりませんし、摘出されたものが何かわかりませんので、何ともお答えしづらいですが、一般的には嚥下の時に多少「プチプチ」という音は聞こえます。現在滲出性中耳炎は治癒されているのであれば、それほど問題ではないかと思いますが、多少耳管の機能が弱い可能性は考えられます。症状が強くなるようでしたら診てもらってください。耳の奥がしみるのも、耳管の炎症の可能性は考えられます。滲出性中耳炎が残存している場合は、時々チェックを受けてください。鼓膜が陥凹したり、癒着してしまったり、ごくまれに鼻の奥にできものがあったりする場合もあります。
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QE36 耳たぶの前(頬と耳の境界)付近の腫れについて
A <質問>
突然、耳たぶと頬の間あたりに直径1cmくらいの硬い脹らみができました。押すと痛いのですが、触らなければ違和感もありません。どういった場合にこの部位が腫れることがあるのでしょうか?腫れはぶよぶよしたものではなく、少し硬いものです。
<回答>
これも正確には診てみないとわかりませんが、考えられることはいくつかあります。一つは、耳前部のリンパ節が腫れている場合です。押して痛みを感じる場合は、炎症によることが多いですが、腫瘍による場合でも急速に大きくなる場合などは痛みがある場合もありますので、一度診てもらっておく方がよいと思います。☆もう一つは、先天性耳漏孔の感染で腫れる場合です。この場合は、付近に小さな穴が見られる場合が多いですね。ごく軽い炎症の場合は少し腫れるだけの場合もありますが、ひどくなると、かなりの痛みと腫れた部分が赤くなり、ひどくなると破れて膿がでてきます。先天性耳漏孔についてはE32をご参考にしてください。☆その他考えられることとしては、耳下腺の腫瘍であったり、顎の関節の病気の場合があるかもしれません。
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QE37 しょっちゅう耳が痛くなります。
A <質問>
ある時耳掃除をしたのですが、直後耳の奥が痛み、それからしばらく耳に違和感が残りましたが何日かして治りました。その後はたまに耳の奥が腫れたり、耳から脈打つような音がしたり、あの痛みを感じることがあります。少し音を聞き取りにくくなる程度で痛みもそんなにひどくありませんので、日常生活にはあまり支障をきたさないのですが、放っておくのはよくないですか?
<回答>
お話からは特定の病気を思い浮かべることはできませんでした。耳掃除の直後の痛みについては、外耳道を傷つけたか、ひどければ鼓膜を損傷したようなことが考えられますが、普通はその後治ればそれ以上症状を引きずることはありません。一つ考えられるとすれば、最初に傷つけたあとから、外耳炎が起こり、体調にあわせて症状が出たり良くなったりするということでしょうか?いずれにしても、症状がすぐに(少なくとも1,2日で)改善するようであれば、それほど問題になることは少ないと思います。しかし、症状がそれ以上持続する場合は、とりあえず耳鼻咽喉科で診て貰っておく方がよいと考えます。また、ごくまれですが、外耳道の損傷後から真珠腫という骨を溶かすような慢性的な炎症を起す場合もありますので、やはり症状が断続的にでも生じる場合は、時々診て貰っておく方がよいと思います。
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QE38 衝撃音を聞いてから始まった内耳の違和感
A <質問>
落としたお皿が別のお皿にぶつかって割れた衝撃音を聞いてから、右耳だけに違和感があります。すごく痛いとか聞こえずらいなどということは感じませんが、耳の奥が痛くなる手前というかキーンとなる手前というか、なんともいえない違和感を感じます。放っておくのはよくないでしょうか?
<回答>
どうでしょうね。無難なのはやはり一度診てもらっておく方がよいとは思います。自覚症状として難聴がない場合でも、耳の違和感だけの人でも、聴力検査をしてみると、正常範囲ではありながら、左右を比べるとわずかに聴力が落ちている場合はよくあります。正常範囲よりもいくらか落ちている場合もよくあります。ですので、症状があれば、一度はきちんと診てもらっておく方がよいと思います。
また、内耳の障害は早く治療を受けた人、聴力低下の軽い人、めまいのない人、若い人ほど治りやすい傾向があると思います。ですので、数日症状が持続する場合は、早めに診察を受けて、必要があれば治療を受ける方がよいと思います。
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QE39 蓄膿症から急性中耳炎になってしまいました。
A <質問>
最初右耳が急に詰まったような塞がれた状態になってしまい、その後両耳が痛くなりました。両耳とも閉塞感があり自分の声がかなり響いて話もできません。その後病院で鼻が蓄膿症で両耳が中耳炎になったということで鼓膜を切開しましたが、全然変わりません。自分の唾を飲み込むのも響いてつらいです。
この両耳の閉塞感をなくすにはどうしたらよいですか?一日でもはやく耳をすっきりさせたいのですが。
<回答>
鼻が悪い場合、急性中耳炎をきたしやすく、お尋ねのような症状はよく起こります。自分の声がや唾を飲み込む音が響くというのは、中耳(または外耳)の病気の特徴です。
この方の場合、鼓膜切開も受けていらっしゃるのですが、炎症が強いためか、中耳に炎症の時にでてくる水(滲出液)や膿がさかんにたまってくるものと思います。こういう時には抗生物質が効いてくるのを待たなければなりません。3,4日抗生物質を服用して、全く変わりなければ抗生物質を変えるべきか検討してもらってもいいでしょう。ただ、あまり早く変えてしまうのも得策ではないので、そのあたりの見極めは医師によく診てもらう必要があります。また、炎症がひどい場合はステロイドを少量使用してみるのも一つの方法ですが、ステロイドは諸刃の刃であり、その使用には十分注意が必要です。
自分の声が響くのが強い場合は、抗生物質での除菌がある程度すすんだ場面からは、積極的に通気療法(鼻から耳に空気を送り込む治療)を行うのも一つです。また、鼓膜切開は一度で完全に改善する場合もあれば、何回か切開が必要な場合もあります。中耳の炎症が治まる前に切開した鼓膜の穴が閉じてしまうと再び滲出液やら膿やらがたまってくるからです。
いずれにしても、大人の急性中耳炎は早ければ、数日で軽快する場合もありますが、中耳の炎症がそこそこあれば、2週間ほど耳閉感や自分の声が響いたりする症状は続く場合が多いと思います。
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QE40 耳たぶが炎症をおこしてしまいました。
A <質問>
つい最近まで耳が膿んだりする事はなかったのだすが、耳たぶに痒みがあり、何日もしない内にグチユグチユになって、なにか粘々した透明な液が出るのです。 どんどん炎症が酷くなります。急激な痒みだけで痛みはありません。 これはただの炎症ですか?
<回答>
診て見ないと正確にはわかりませんが、耳の奥から出ているのでなければ、やはり耳たぶの炎症(耳介炎)の可能性が高いですね。たまたま、引っかいたりした所から細菌が進入し、炎症をおこす場合が多いと思います。かゆみが多い場合には、ベースにアレルギー性のものがある場合があるかもしれません。
塗り薬や抗生物質の内服などで軽快する場合が多いですが、時に繰り返す場合もあります。
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QE41 左右の聞こえ方にずれが起こります。
A <質問>
数年前に一度、今回2度目です。同時に聞こえるはずの自分の声やテレビの音、他人の声がずれて聞こえます。左側は違和感が無いのですが、遅れて聞こえる右側は少し音全体が高く聞こえました。多重放送を聞くようにはっきりと聞き取れるのですが、左右でずれるため気持ち悪くて仕方が有りません。前回とも1〜2時間程度でもとどおり普通に聞こえ出しましたが、今回は収まると同時に吐き気がするほどのめまいが起こり歩く事もできなくなりました。 普段から耳鳴りや空気がつまった感じがしていますが生活には支障がないので気にしていないのですが、今回のような聴覚のずれも耳鳴りの延長でしょうか?
<回答>
こういう症状は私は初めてお聞きしました。よく、「音が割れて聞こえる」と訴えられる患者さんはいらっしゃいます。おそらくそれに類似の症状であると思います。この「音が割れて聞こえる」という症状は、内耳の障害の時に現れます。ですので、お尋ねの症状もおそらく内耳の調子が悪くなった可能性が高いと考えます。そう考えると、続発して生じるめまいも同様に内耳由来と考えられます。「聴覚のずれは耳鳴りの延長?」とお聞きされていますが、耳鳴りはあくまで内耳障害の結果ですので、耳鳴りも一つの症状、聴覚のずれも一つの症状ということになります。
今、内耳由来というお話をさせていただきましたが、もう一つ、聴覚の情報が脳に入ってからうまく統合されていないという考え方もしておく必要があるかもしれません。これはつまり、中枢性ということですね。(実際にそういう場合があるのかどうかわかりません。考えすぎかもしれません。)つまり、脳の聴覚を司る領域になんらかの不都合が一時的に生じた可能性ですね。軽いてんかん(単純部分発作)に近いようなものもひょっとすると考えられるかもしれません。(ちょっと飛躍しすぎかもしれませんが。)頻繁におこってくるようになってきたら、脳波等検査を行ってもらうのもよいかもしれません。
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QE42 昨夜から片方の耳だけ耳鳴りとつまった感じがします。
A <質問>
昨夜から突然片側だけに耳鳴り感?詰まった感じがあります。鼻をかんだ後に起こる様な詰まった様な感じです。又、声を出すと自分の声が響く様な感じもします。めまいやふらつきはないのですが、耳に音が響いている感じでそのせいか頭痛があります。今まで一度も耳の病気にはなった事がないので不安です・・・。又、耳鼻科には一度も行った事がないのですが、どの様な検査をするのでしょうか。
<回答>
耳のつまった感じは、外耳道、鼓膜・中耳、内耳、聴神経のいずれの場所に問題が起こっても生じる症状です。ここである程度目安になるのは、「音が響く」という症状です。自分の声のみが響く場合は、外耳道や鼓膜・中耳に問題がある場合が多く、周囲の音も響く場合には内耳に問題があることが多いと思われます。これに、めまいやふらつきも合併してくるようであれば、さらに内耳由来の可能性が強くなります。ただし、めまいやふらつきは必ず伴うものではないので、そうした症状がないからといって、内耳由来ではないとは言い切れません。頭痛については、耳由来の場合、あまり一般的にではありませんが、ある程度は伴うことは考えられます。ただhし、激しく痛む場合は、脳血管障害の初期の場合もありますので、ひどくなってくるようなら速やかに医療機関を受診してください。
お尋ねの方は、突発性難聴の可能性が高いと考えます。耳鼻咽喉科を受診されると、問診のあと、耳を中心に診てもらうことになります。突発性難聴が疑われれば、まず、聴力検査。他の病気の除外としてティンパノメトリーとよばれる鼓膜の検査をうける場合が多いと思います。その他、耳のレントゲンか、大きな病院ではCTまたはMRIを撮る場合もあります。また、基礎疾患の有無のチェックとして、血液検査をしたり、血圧を測ったりする場合もあります。
突発性難聴は1回だけしか起こりませんが、繰り返しおこる場合は、メニエール病との関連もあり、メニエール病特有の検査(グリセロール検査:グリセロールという水薬を飲む前後で聴力の変化を調べる)や蝸電図検査(音を聞いて脳波のような電気信号を調べる)なども行う場合があります。めまいがある場合は、平衡機能検査(身体のバランスを調べる検査)を行う場合もあります。
こうした検査は、聴力の落ちた程度によってもどこまで検査するかは変わってきます。いずれにしても、上記のような症状が続く場合は、数日の間に医療機関を受診することをお勧めします。特に2週間以上経過するとなおりにくくなりますのでご注意下さい。
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QE43 音の違和感
A <質問>
最近、何気なく気が付いたのですが、ステレオを聴けば昔に聴こえなかった音が聴こえる様な感じがします。症状は何とも言い難いのでが、音楽を聴けばスローの様な音で聴こえる様な感じであり、TVの音声会話を聴けば会話が二重に聴こえる感じがするのですが、疲れから来ているのかな?と思い十分な睡眠が出来る様にも行っていますが症状は同じです。
<回答>
残念ながら私には明快なお答えはわかりません。「二重に聴こえる」という観点から考えれば、まずは内耳の障害が推測できます。聴力検査で問題がないかどうかは一度みてもらっておくとよいと思います。ただ、一般的なごく軽度の突発性難聴などでも、治療で聴力が正常化しても音が響いて聞こえるといわれる方もいらっしゃいますので、聴力が正常だからと言って、内耳の細胞が全く正常だとはいいきれないのかもしれません。症状がひどくなってくるようでしたら、大きな病院で一度検査を受けられるとよいかもしれません。
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QE44 耳抜きしても膜が張った感じがとれません
A <質問>
突然、「ポコポコ」と耳の中が痙攣しているかの様な音が聞こえ、その後張り感が生じてます。張り感とは、減圧症の様な感じですが、耳抜きをしても治りません。私はサーフィンをしていますが、そのせいでしょうか?
<回答>
「耳に膜が張った感じ」という症状は耳の閉塞感と捉えます。これは他のQ&Aでもふれていますが、中耳に由来するものと内耳に由来するものがあります。
耳抜きができる人は、確かに耳抜きを一度は軽くしてみてもよいですが、その結果、症状が変わらなければ内耳由来であるか、中耳炎を起しているかだと思われるので、早めに耳鼻咽喉科を受診してください。
特に海にもぐる人は、気圧の変化でよくこういった症状が起きるので慣れていらっしゃるかもしれませんが、逆に気圧の変化や圧の刺激が内耳に障害をおこすこともあるので注意が必要です。
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QE45 4ヶ月の子ども。耳をよくさわります。
A <質問>
生後4ヶ月の子ですが、よく右耳だけを掻くようなしぐさをするのですが、中耳炎などになりかけているのかと心配しています。いつも鼻くそが詰まっていて、なかなか取れないのですが、それが原因なのでしょうか?あと授乳のあとにゲップさせる時、よく首を横に強くふりますが、大丈夫でしょうか?
<回答>
一般的には機嫌がよくて耳に手を持っていく場合は問題ないことが多い(ただし、中耳炎でも耳だれがでてしまったあとでは痛みは軽くなるので機嫌だけではわからない場合もあります。)ですが、一度診てもらっておく方がよいと思います。また、耳垢がたくさんつまっている場合や、軽い外耳炎になっている場合も結構ありますので、そのためにも一度は診察を受けておかれるとよいと思います。
鼻くそが多いことと耳に手をやることはそれほど関係はないと思いますが、鼻くそが多いということは、ある程度鼻炎があるとも考えられるので、そうした場合、中耳炎も起しやすくなります。授乳後についてはわかりません。
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QE46 耳からカチカチという音が・・・。
A <質問>
最近左耳からカチカチという音が聞こえます。虫が羽をばたつかせてるような音にも聞こえます。それもしょっちゅう鳴っています。これは何かの病気でしょうか。それとも虫が入っているだけどしょうか。
<回答>
虫が耳に入った場合、それほど長期間同じ調子で音が続くとは考えにくいですが、長引くようでしたら、最寄の耳鼻咽喉科で診てもらってください。
可能性があるとすれば、一つに鼓膜が動いている音かもしれません。鼓膜の奥の空間(鼓室)の気圧が急に変わることで、鼓膜がペコンペコンと動いていることが考えられます。それは、結局のところ中耳と鼻腔をつなぐ管(耳管)の調子が悪いことに起因するわけですが。この場合には、音がする前後で聞こえに違いがあるかもしれません。
もう一つ鼓膜が動く原因として、これは推測の域をでませんが、中耳にある小さな筋肉の痙攣があるかもしれません。強大な音が耳に入ろうとすると、内耳に激しい振動が伝わって内耳の障害をきたさないようにするために、鼓膜の張りを変えたり、中耳の音の伝導を弱めて大きすぎる音が入らないようにするしくみがあります。この時に働く筋肉(鼓膜張筋、あぶみ骨筋)が痙攣している可能性が考えられます。よく疲れるとまぶたがピクピクすることがありますが、あれに似たようなものかもしれません。
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QE47 耳だれがよく出ます。
A <質問>
高校生なのですが耳だれが出て困っています。子供ではないので中耳炎ではないと思うのですが、粘液がかなりでて、乾くと耳垢になります。医者に診てもらったのですが耳垢栓塞との診断だけでした。自分では他の病気だと思うのですが。
<回答>
(実際にみてみないとわかりませんが。)耳だれが固まって耳垢になるのではないのですが、両者はよく似ている場合もあるので一見耳垢のように見える場合もあるかもしれません。一応耳垢塞栓と耳だれは別物と考えた方がよいですが、便宜上耳垢と言われている場合もあるかもしれませんね。
お尋ねの病態は、外耳炎や分泌物の多い外耳道湿疹かもしれませんね。ただし、鼓膜に穴が開いている慢性中耳炎の場合は、大人でも中耳炎で耳だれが出ます。(もちろん急性中耳炎でも耳だれが出る場合はありますが、その時は痛みを伴います。)
続く場合はていねいに耳の掃除を行ったり、点耳薬や軟膏を塗ったり、飲み薬も併用したりして治療を行います。ただし、不適切に頻回に耳を触るのは逆効果で、症状を増悪させますのでご注意下さい。治療を行えば多くの場合、とりあえずその時の症状は改善すると思います。ただ、繰り返す場合も結構あります。
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QE48 低音障害型急性感音性難聴の治療と再発
A <質問>
低音障害型急性感音難聴の診断を受け、アデホス、カルナクリン、プレドニン30mg3×3日、プレドニン15mg3×2日を服用終了し、聴力も回復しましたが、3日後にはまた様子がおかしく耳鼻科を受診したところ聴力が低下してました。すると、プレドニン15mg3×7日分の処方されました。プレドニンを続ける事に対する不安と、7日服用後、徐々にではなくそのままステロイドを切るという事にも不安です。もともと、50位まで下がっていたものが20くらいまで戻り、今30〜40に下がってる状態です。イソバイドなど、利尿剤の事もきいてみたんですが、先生は使わないと断言されました。他の耳鼻科にも診てもらったら、続けてプレドニンは使わないと言われました。
<回答>
低音障害型急性感音性難聴は最近多いように思います。治療は軽度のものであれば、ビタミン剤等と十分な睡眠で改善するものもありますが、ある程度聴力低下がみられるものはステロイド(プレドニンなど)を用います。
ステロイドの使い方は医師の技量が一番出る所だと思います。それだけに処方の仕方はそれぞれの医師によって経験から少しずつ違うのでしょう。薬の止め方というのはどの薬を使うか、どれくらい使うかという選択よりも時に難しい場合があります。
一般的な話になりますが、ステロイドの使い方としては、最初ある程度良いと思う量(その量を決定するのが一つには難しいのですが)を使用し、症状や検査結果が改善してきたら徐々に減量していきます。減量の途中で再発することは時にあります。そういった場合は、一つ前の段階に戻して少しゆっくり減らしていく場合が多いですね。そのあたりは症状・検査結果の推移と副作用の出現を注意深く見守りながら決めていくことになります。
イソバイド等利尿剤を低音障害型急性感音性難聴に用いるかどうかは多少論争のあるところかもしれません。私はメニエール病との関連を支持する方なので処方する方ですね(もちろん、全例ではありませんが)。
いずれにしても、処方について不安があれば主治医の先生とよくご相談下さい。また、どうしても気になるようであればセカンドオピニオンもいいと思います。ホームページという性格上お答えが一般論になってしまい申し訳ありません。
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QE49 唾を飲んだりご飯を食べたりすると変な音が!!
A <質問>
結構前から唾を飲んだり、ご飯を食べたりすると「ゴキッ」「バキッ」・・みたいな変な音がします。この前、耳鼻科に言ってみてもらったのですが・・・・異常はありませんでした。でもすごく気になっててなにか悪い病気なのかと考えてしまうと怖くて心配です。大丈夫なのでしょうか?
<回答>
診ていないので何ともいえませんが、考えられるのは、顎の関節の音が気になるのではないかと思います。耳の前から頬にかけてのあたりに痛みを感じることがあれば、顎関節症が考えられ、最終的には口腔外科で診て貰うとよいと思いますが、他の病気の除外という点では、再度耳鼻咽喉科でも診て貰っておくのもよいと思います。
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QE50 音を聞くたびに同時に耳の中でバッと音が鳴るのですが・・・。
A <質問>
左耳が電気消す時や物を置く時しゃべる時あらゆる音聞く時同時に耳の中でバッと鳴り音によっては鳴った後に耳に痛みを感じます。半年位続いています。聴力検査異常なく、唾を飲むと鼓膜が動きます。音は右より左が音が大きく聞こえます。自分の声が響く事はないです。パソコンのキーボード打つ時も耳の中で鳴り毎日憂鬱でたまりません。初めは爪きりの時みしみしと小さい音でしたがだんだん音が大きくなり始めています。電話の時左に受話器あてると耳がキーンと痛くなります。何でなのか辛いです。
<回答>
こういう症状を聞いたことは私は残念ながらあまり経験がありません。一番近い症状としては、周りの音が響くという症状が、内耳の障害時におこる響きに近いように思います。一般には内耳が障害されると聴力も低下するのが普通ですが、軽い突発性難聴の回復期などには、聴力的には改善しているのに響いた状態が残っている時期があります。ですので、内耳の細胞のごく限局した部分に軽い障害があるのかもしれません。ただし、これは全くの推測です。こうした障害をうまく検出する検査はなかなかありませんが、耳音響反射だとうまくいけば検出できるかもしれません。☆また、「唾を飲むと鼓膜が動く」という症状は、耳管開放症の症状に近いと思います。
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QE61 突然耳鳴りがするのですが、問題はありますか?
A <回答>
耳鳴りについても、それだけで1冊の本が書けるくらいに色々な話がありますので、一概には言えません。その上での話と思って読んでください。
普段、1分程度、突然「キーン」という耳鳴りがして消えていく場合を経験することは誰しもあると思います。こうした、一時的な耳鳴りはあまり気にする必要はないと思います。ただ、多少身体が疲れている時に多い場合もありますので、度々起こるようであれば、まずは睡眠をよくとるようにしてください。
突然耳鳴りがする場合で、耳鳴りがそのまま持続する場合は要注意です。突発性難聴のような急性の内耳の難聴などが考えられます。この場合、治療は早い方がよく、2週間以上たつと極度に治る確率が悪くなるのでご注意下さい。
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QE62 耳の横の血管が浮き出て痛い。
A <質問>
最近夜になると、耳の穴の横ぐらいですが血管が浮き出てきて痛いと言うか、ひっぱられている様な感じがしてなりません。右の耳なんですが、全体が真っ赤に熱おびています。ストレスからかな?と思っているのですが、病院へ行ったほうがいいのでしょうか?
<回答>
お幾つくらいの方でしょうか?高齢者に多いといわれている病気ですが、かなり稀ではありますが、側頭動脈炎という病気があります。これだけの症状で決め付けるわけにはいきませんが、ちょっと気になるので、一度診て貰ってもよいかと思います。その時には、膠原病を得意とする少し大きな内科で診て貰ってください。考えすぎであればよいのですが。
それで大丈夫ということであれば、耳鼻咽喉科でも診て貰ってください。
側頭動脈炎について
http://www.nanbyou.or.jp/sikkan/064.htm
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QE63 音が二重に聞こえます。
A <質問>
昨日より左耳が詰まったような感じがありました。今日になって、自分の声が二重に聞こえます。しかも頭の中で聞こえるような気がします。周りの音はこもったような感じに聞こえるのですが・・・右耳はクリアに聞こえるので、多重放送を聞いているような違和感があります。8年ほど前にも同じような症状がありました。めまいはないので、メニエールではないと言われました。
<回答>
「音が二重に聞こえる」という症状は、一般的に内耳の急性の障害のことが多いですね。E20・E41・E43あたりの質問も参考にして下さい。
突発性難聴やメニエール病でもこういうことはよくおこります。また、急性の低音障害型急性感音難聴でもよくおこる症状です。確かにめまいがないとメニエール病と確定診断はできないかもしれませんが、原因はどうであれ、急に内耳が弱った時におこる症状だと思います。
ストレスや睡眠不足、過労などでも起こることが多いので、こういった症状がでたなら、睡眠をよくとって、2,3日で症状がとれなければ耳鼻咽喉科を受診して下さい。その日のうちに、というわけではありませんが(もちろん、他の症状によって緊急度は変わってきますが)、早期に治療をした方が治りやすいと思います。
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QE64 最近は耳帯はしないのですか?
A <質問>
病気の質問ではありませんが。昭和40年代小学生のころ風邪がなおるこの時期になると 毎年急性中耳炎になり耳鼻科のお世話になったものです 必ずといっていいほど耳帯で湿布し恥ずかしく人の目を気にしながら通院を致しました。よく考えてみると最近 耳帯を見なくなりましたが もう湿布はしなくなったんですか?ふと思いついたものですから 当時 耳痛に冷たいガーゼで湿布し耳帯をつけ痛みが和らいだ事を思い出したものですから質問させていただきました。
<回答>
私は小さい頃耳鼻科に通院したことがないのであまりよくわかりません。今でも入院中の耳の手術をした患者さんなどは耳帯をしていますが、外来通院ではめったにみかけませんね。一つにはやはり見た目を気にするようになったこともあるでしょうね。また、抗生物質や鎮痛剤の登場で、痛みのコントロールが比較的容易になったというのも一つの要因だと思います。
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QE65 食事の時、強くかむと右耳の奥で「シュッ」という音
A <質問>
食事の時、強くかむと右耳の奥で「シュッ」と表現が難しいのですが、音が出て気になります。痛みも耳鳴りもありません。これは耳の病気なのでしょうか?
<回答>
実際の所、診て見ないとわかりませんし、見てもわからないかもしれません。考えられることとしては、中耳と鼻の奥をつなぐ管(耳管)の音を聞いている可能性があります。あるいは、顎の関節の音を聞いている可能性があります。あるいは、筋肉の収縮する音を聞いているのかもしれません。何故、今まで聞こえなかったものが聞こえるようになったのか、何故右側だけなのか、わかりません。
病気かどうかですが、何らかの病気の前兆ということは否定はできませんので、一度は診てもらっておき、特に異常がなければあまり気にしない方がよいかもしれません。ただし、徐々にひどくなるようでしたら、再度時々診てもらうといいでしょう。診てもらった結果、異常がなければその時点では病気とはいわなくてもいいと思います。その音が気になって日常生活ができなくなった場合、病気と呼ぶことになると思います。
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QE66 風邪のあと耳閉感が気になります。
A <質問>
3週間ほど前、喉が痛くなりその後微熱が3、4日続き治まった頃鼻水鼻詰まりに症状が変わりました。その後も鼻詰まりだけがすっきりせず、耳の奥が詰まった感じがしたり違和感が出たため耳鼻科を受診。風邪と思っていましたが、鼻のアレルギーだと言われました。アレグラを1錠×2回/1日、1週間分処方されその間2回程通院しました。鼻詰まり感は大夫よくなり、薬は症状に応じ減らして良いとのことで更に処方された分は朝のみ3日ほど服用。その後2日服用せず再受診。服薬しなかった2日間は午前中のみ左の鼻が少し詰まってる感じがありましたが午後にはなくなりました。受診先の先生には薬は止めないで続けるように言われ、朝のみ服用しています。ただ耳の奥が詰まったような感じだけがずっと治りません。あくびなどで一時的には改善するのですが。耳管の働きが悪いようで鼓膜が陥没しているためだとのこと。(以前にも航空性中耳炎にかかったことがあります)続くようなら次回強制的に空気を通す治療をすると言われました。耳抜きをマスターするといいとのことですがなかなかうまく出来ません。なにか良い方法はあるでしょうか。このまま治らないのではと心配です。またアレルギー性鼻炎というのも何か納得できないのですが..。
<回答>
風邪のあとに引き続き起こった耳管狭窄症がもっとも考えられますね。風邪で耳管の粘膜が腫れて空気が入りにくくなった状態です。鼻水をすすっていると空気を吸い込む時に中耳の空気も引っ張られて中耳内の気圧が下がることによって、耳閉感が引き起こされます。ですので、鼻水をすすらないようにすることが大切になってきます。これには抗ヒスタミン剤が有効です。アレグラは抗アレルギー剤ですが、抗ヒスタミン作用もあり、鼻水(特に透明な水ばな)を抑える作用もあります。また、もともとアレルギー性鼻炎をもっている人は風邪をひくと粘膜が敏感になって症状がでる人もいると思います。自覚症状がなくても粘膜を見ると白っぽい粘膜をしていて、アレルギー性鼻炎が基本的にあるのではないかと考えられることはよくあります。診て貰った時はそういう時期であったのかもしれません。
一般的には2週間ほどで徐々に改善してくることが多いように思います。空気を強制的に送る治療はよく行われている治療で、それほど心配することはないと思います。ただし、他の病気(内耳の病気)がたまたま合併している場合もまれにはありますので、症状が持続する場合は、その都度鼓膜の検査や聴力検査を行いながら経過をみていかなければいけません。
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QE67 滲出性中耳炎のときの音楽鑑賞
A <質問>
鼻水と咳・痰のひどい風邪から、急性中耳炎→滲出性中耳炎になりました。空気を通す治療や薬の服用で鼻は治ってきたのですが、まだ少し耳が塞がった感じがあります。この状態で、コンサートやライブ、ウォークマンを聴いたり、カラオケに行ったりしても大丈夫なのでしょうか?
<回答>
一般的な話としてお話します。お尋ねの方にあてはまるかどうかはわかりません。
一般的には滲出性中耳炎は中耳の病気ですので、内耳に関しては問題ないと考えられ、普通の活動は問題ないと思われます。
ただ、中耳炎を起こすくらいの風邪の後ですので、多少体力が弱っていることも考えられますので、あまり精力的な活動は避けた方がよいかもしれません。また、特にコンサートは正常の時でも、ロック難聴、ディスコ難聴など急性の音響外傷を引き起こしやすいですので注意が必要です。ウォークマンも常識的な音量であれば問題ないと思いますが、外部の音がまったく聞こえないほどの音量で聞くのは、もともと滲出性中耳炎がなくても避けるべきです。カラオケも同様にスピーカーの前などで大きな音が耳に入る状況はよくないと思います。
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QE68 朝起きたら右耳に違和感を感じました。
A <質問>
朝起きたら方耳だけ詰まっているようなかんじがしました。自分の声が響き、低音が大きく聞こえます。外を通るバイクや、暖房機器の音など、普段はまったく気にならない低音が大きく聞こえます。一度病院へ行ったほうが良いですか?
<回答>
周囲の音が響くところをみると、低音障害型の突発性難聴の可能性があります。睡眠不足や過労などで生じやすいと思います。一晩しっかり睡眠をとって、症状が変わらなければ耳鼻咽喉科を受診する方がよいと思います。1日が2,3日でもかまいませんが、聴力低下の程度によっては、あまり遅くなると治りにくくなる場合があります。特に2週間以上経過すると固定する可能性が強くなります。
また、こういう時期に無理をするとめまいを起こす可能性もありますのでご注意ください。
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QE69 突発性難聴とステロイドについて
A <質問>
左の耳が聞こえが悪くなり耳鼻科にいくと突発性難聴といわれて2年たちます 最初のうちは多少の音は聞こえていたのですが今では全く聞こえなくなってしまいました。その間メチコバール メリスロンなどを飲んでいましたが 最初の頃ステロイドを点滴された覚えがあります。これって聞こえ無くなったことと因果関係はあるのでしょうか?
<回答>
ステロイドは突発性難聴の治療で用いられる最も重要な薬です。聴こえなくなったことと因果関係というよりも、聴こえなくなったので、やむを得ずステロイドを使ったと考えてください。
突発性難聴は難病(特定疾患)として調査研究対象にもなっている病気で、現在も色々な治療法が検討されていますが、確実な治療法は確立されていません。ビタミン剤(メチコバール)や内耳をよくする薬(メリスロンのような抗めまい剤等)も使われますが、現在のところ最も効果的だとされているのは、ステロイドです。
結果的にはこの方の場合、聴力の回復は無理だったようですね。難聴がさらに進行していく場合には、内耳が相当ダメージが強かったとも考えられますが、他の病気が潜んでいないか、一度は再検査しておいてもいいかもしれません。
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QE70 風邪から中耳炎になってその後。
A <質問>
先月、母子で39度の発熱があり息子は2日ほどで快復しましたが、私は5日ほど寝込み、左耳が中耳炎になりました。その後左耳が非常に聞こえにくくなり、耳鼻科で「鼓膜がへこんでいます」とだけ言われ、今は毎日診療所で「ガッコウ」と発音時に鼻から空気を入れていますが、診療所を出る頃にはもう左耳が非常に聞こえにくい状態になっています。鼓膜がへこむ、というのは治るものなのでしょうか?
<回答>
これは急性中耳炎のあと、滲出性中耳炎になり、少し回復しつつある時期なのだと思います。鼓膜がへこんでいる状態というのは、中耳にたまった膿や炎症による水(滲出液)が吸収される際に本来耳と鼻をつなぐ管(耳管)を通して空気が中耳に流れ込んで回復しなければいけないものが、耳管の粘膜の腫れによって空気の流入が行われないために中耳の気圧が低くなり、鼓膜がへこんだ状態となっています。この状態を耳管狭窄と呼びます。
急性中耳炎後の滲出性中耳炎や耳管狭窄症は、早いと4,5日でも改善しますが、経験的なところではだいたい2週間程度でおおむね改善することが多いように思います。さらに鼻炎、アレルギー性鼻炎、副鼻腔炎などを合併していると特に長引く傾向があります。
しかし、時間に長短はありますが、この難聴、耳閉感はほとんどの場合、最終的にはなおることが多いと思います。
ただし、一つ気をつけておかなければならないのは、耳管狭窄症以外の病態が潜んでいないかということです。急性中耳炎を起こした時に内耳炎を併発していた場合は、別の治療が必要です。まあ、通気療法を行った時に一時的にでも症状が改善している場合は心配ないと思いますが時々聴力検査やティンパノメトリーという鼓膜の検査で経過をみていく方がよいと思います。
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QE71 息をすると片耳の鼓膜が動き、ごそごそと言う音が聞こえるのですが。
A <質問>
今朝起きてからずっと、自然に息をする、その度に、右耳の中で(鼓膜が動いているような)ごそごそという音が聞こえます。じっと静かにしていると、余計に聞こえます。耳掃除をしても治りません。何かご存知でしたらお教え下さい。
<回答>
一般的には耳がごそごそいう場合、髪の毛のようなものが入っているか、耳垢が鼓膜に触っている場合が多いですね。耳鼻咽喉科で取ってもらえば速やかに症状は消失します。ただ、じっと静かにしているとよけい聴こえるというのは、ひょっとすると耳の中(外耳道)に虫が入り込んでいるかもしれません。その場合は特に耳かきや綿棒を使わないで、まずは懐中電灯で耳の中を照らしてみてください。うまくいけばライトに誘導されて虫が出てくるかもしれません。うまくいかなければ、速やかに耳鼻咽喉科を受診してみてもらってください。
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QE72 右耳を触っても感覚がない。
A <質問>
先週仕事で海外に行ってきたのですが、帰って来たら、右耳に感覚が無くなってしまいました。今は右頬もあまり感覚がありません。顔面麻痺の前兆なんでしょうか?
<回答>
「顔面麻痺」とは顔面神経麻痺のことをおしゃってられるのでしょうね。顔面神経麻痺の、「顔面神経」は運動神経、つまり顔を動かす神経であり、現在の感覚がないという状態は感覚神経で、こちらは三叉神経という別の神経が働いています。
ですので、厳密に言えば関連がないのですが、コトはそう単純ではありません。
帯状疱疹という病気があります。ヘルペスウイルスという水ぼうそうも起こすウイルスによる病気です。このウイルスは、顔にもでる場合があり、左右どちらかの顔面に発疹がでますが、この時に同じ側の痛みや顔面神経麻痺を合併することがしばしばあり、この状態を「ハント症候群」と呼びます。
お尋ねの状態がハント症候群の前兆かどうかはわかりませんが、顔面の帯状疱疹の程度はハント症候群にまで至るものから、わずかに発疹がでる程度のものまで様々です。確証はありませんが、発疹がでていないものの知覚の異常程度のものもあるのではないかと考えられます。
もう一つ、これは一般的にはあまり見られませんが、一応顔面の感覚麻痺ということでは、脳幹部の血流の減少のようなことも考えておく必要があります。一般的にはそういう場合、もっと多彩な症状(それこそ顔面神経麻痺、めまい、しゃべりにくい、意識消失、手足の麻痺など:これはどの部分がダメージをうけるかによります。)が出てくるものですが、ごくピンポイントで脳の一部がダメージを受けたという可能性も否定はできません。
いずれにせよ、一度、まず耳鼻咽喉科か神経内科(医療機関によっては脳神経外科)で一度診て貰ってください。
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QE73 左耳の上に開いた小さい穴から臭い白い汁が出てくる。(追記あり)
A <質問>
10年前に左耳の裏側が全体にふくれて頭痛がひどく病院にいったところ診断は(裏側からばい菌がはいって耳のまわりにうみがたまてしまった)とのこと、私はもともと左耳の上に小さな穴があいており、そこからばい菌が入ったのか??その脇をメスできられうみを数日間かかって全部だしました。 それいらい数日たつともともと小さな穴が開いていた穴から少量の臭い白い汁が出てきます。3.4日に一回定期的にだしています。汁がたまる理由を教えてほしいのと、治す治療方法があるのでしょうか?施術するしかないのでしょうか?何の病気なのか気になります。
<回答>
これはお話から推測すると先天性耳漏孔だと思います。詳しくはQ&AのE32を参考にしてください。
一般的には、感染を起こして赤くなったり、膿をださなければいけなくなるような状態を繰り返す場合、手術をお勧めしています。しかし、(私見ですが)白い汁がでるだけの場合は、そのことは不便かもしれませんが、無理に手術をする必要はないと思います。この汁を予防する方法は今のところあまりないと思います。ただ、感染の予防という観点から、清潔にしておく方がよいと考えます。
<追記>
他の方からも毎日白い汁が出るのだが手術をした方がよいだろうかとご質問をいただきました。
結局手術に踏み切るかどうかの最も大きなポイントはどれくらい困るかということだと思います。あまり困っていなければ様子をみられたらよいと思いますし、かなりお困りであれば摘出してしまう方がいいでしょう。ただ、Q&A E32にも書きましたが、炎症を繰り返していますと、いざ手術となった時にやりにくくなり、再発やいらぬ損傷などがおこりやすくなります。それだけはご理解ください。
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QE74 片方の耳が聞こえない場合の手術について。
A <質問>
私は方耳だけまったく聞こえないのですが、方耳だけでは手術して直す事はできないんですか?
<回答>
ご質問は、「聞こえない方の耳が、手術でよくならないでしょうか?」という意味でしょうか?
そうであれば、これは難聴の原因によると思います。「全く聞こえない」というのが、感覚的なものである場合、実際に検査をしてみると中等度の難聴ということもあります。そういう場合、その原因が音を伝える部分の問題、たとえば鼓膜に穴が開いている(鼓膜穿孔)とか、音を伝える中耳の骨(耳小骨)が硬くなっている(鼓室硬化症)、耳小骨から内耳に伝える部分が硬くなっている(耳硬化症)などは手術によって聴力を回復させられる可能性はあります。
これに対して、内耳や聞こえの神経が悪い難聴(感音性難聴)は一般的には手術で聴力を回復させることはできません。ただ、「一般的に」とお話したのは、内耳由来の難聴の場合、内耳の中に電極を埋め込むことで音感を取り戻すことは可能になってきているからです。これは人工内耳手術と呼ばれます。ただし、現在のところ片方の耳が聞こえている場合は保険適応にはなりません。両側ともほとんど聞こえない状態で、補聴器もあまり効果がない場合に限られます。
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QE75 病院で耳管開放症だと診断されたのですが・・・。
A <質問>
特に薬などもいただかずに帰りました。日が絶つにつれ、耳の詰まった感じがひどくなってきました。寝転んだ状態でも症状は緩和されません。本当に耳管開放症なのでしょうか?そして、その一般的な治療方法はどのようなものですか?
<質問>
「耳がつまった感じ」を呈する病気は色々とあります。Q&AのE18、E19を参考にしてください。
耳鼻咽喉科で診てもらっていらっしゃいますので耳垢や鼓膜穿孔などはないでしょうが、耳管開放症の診断は厳密に行おうとすると中々難しい場合もあるかもしれません。他の病気との鑑別としては、耳管狭窄症、内耳性の病気などです。
治療法は現在の所、確実なものは確立されていません。まず第一に、急激にやせた時などに起こることも多いので、心当たりがある場合は、なんとか体重を戻す必要があります。その他、ある種の漢方薬が効果的であるという報告がみられ、実際効く人はいらっしゃいます。また、耳管は鼻の奥につながっていますので、この部分にルゴールという薬を吹き付けてわざと粘膜を腫らして症状をとろうとする方法もあります。あるいは、この耳管の開口部にコラーゲンを注射する試みもなされています。その他、鼓膜にテープを張って鼓膜が揺れすぎないようにする方法、耳管の中にピンを挿入して蓋をする方法などが言われています。
この方法なら確実!という方法は今のところ確立されていませんので、こうした方法の中から試行錯誤して治療しているというのが現実です。(私の医院では、漢方薬の治療を行っています。うまくいく人もいますし、効果のない人もいます。)
「耳管開放症の情報交換のページ」には色々な情報を皆さんが載せられていますので参考にしてください。
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QE76 突発性難聴後の耳鳴りについて。
A <質問>
3月25日突然聞こえなくなり3月27日医大で診察(80DB)をうけて28日入院しステロイドの点滴をうけ30日には70DBとあまりよくならず、プロサイリンと服用して4月8日(70DB)に退院しました。退院後は針とプロサイリンの服用で治療しています。針治療を受けてからか聴力が60DBまでよなって来ました。しかし、耳鳴りがきつく鬱状態になり今神経内科で安定剤をも服用しています。針灸医の先生も50DBまで回復したいと懸命に治療をしてくださっています。
この耳鳴りがきついのが少しでも小さくなる治療方法はありませんでしょうか?
<回答>
お話から推察すると突発性難聴に伴う耳鳴りでしょうか。こういった急性の感音難聴に伴う耳鳴りの場合、まず最優先されるのは聴力の回復のための治療です。聴力が回復すると、耳鳴りはたいていの場合小さくなっていきます(完全に消えるかどうかはわかりませんが)。ただ、突発性難聴の場合、一般的に治りやすいのは、1)聴力の落ち方が軽い、2)年齢が若い、3)治療を始めるのが早い、4)めまいを伴わない、という要因があります。この方の場合、年齢やめまいの有無はわかりませんが、治療の開始は早い方でしたが、聴力の落ち方が強いため、内耳のダメージは相当あり、回復が思わしくないものと思います。
すでに3週間〜4週間が経過しようとしていますので、聴力が固定しかけていると思います。もし、可能であれば高圧酸素療法を受けてみられるとよいかもしれません。ただし、これはやってみないと効果はわかりません。この治療ができるのは大学病院レベルの病院になり、それもどこの病院でも持っているわけではありません。また、その治療が適応になるかどうかをまず診断してもらう必要があります。

こうした治療の結果、最終的に聴力が改善しなかった場合、次は耳鳴りの治療になります。
耳鳴りについての詳しい説明については、他の場所でお話をしています。参考になれば幸いです。 耳鳴りの話
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QE77 7ヶ月の赤ちゃんとのカラオケ
A <質問>
7ヶ月の赤ちゃんとカラオケにいくのはやめた方がいいですよね?騒音がストレスになるのはもちろん、やはり医学的にも耳にも悪いですよね?ひさしくカラオケにいっておらず、いきたいのですが、心配なので控えてるのですが、医学的にいつ頃からなら耳に支障がでないか/大丈夫かなど、教えていただけますか?
<回答>
赤ちゃんの聴力自体はかなり早い時期から完成されていると聞きます。お聞きになったこともあると思いますが、赤ちゃんがお母さんのお腹の中にいる時にはすでにお母さんの声や周りの音が聞こえているという報告もあります。
ですので、赤ちゃんを強大な音の中におくことは、やはり大きなストレスになる可能性はあると思います。いつ頃から可能か?それはわかりません。大人ですら、スピーカーの前に長時間いると一時的にでも耳がおかしくなったり、ひどい時には音響外傷を引き起こすのですから、十分注意した方がよいでしょう。
ほどほどの大きさであれば逆にお母さんの歌声は子どもには耳ざわりのいいものかもしれません。カラオケにいかずとも、家で赤ちゃんの前で歌ってあげるのはどうでしょうか。
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QE78 音響外傷による耳鳴りはどのくらい続くものですか?
A <質問>
コンサート後から両耳での耳鳴りが止まりません。聴力は右耳が全体的に少し落ち、8000Hzで20dBで、日常生活には支障ありません。が、耳鳴りがもう2ヶ月程続き、悩んでいます。今後、回復の見込みはあるのでしょうか?
耳鳴りを悪化させないように避けるべきものはありますか?
特に音には神経質になってしまい、掃除機、冷蔵庫、ファンヒーターの音は避けたほうがいいでしょうか?また、自転車に乗ると風でゴーという大きな音が耳にあたりますが、大丈夫でしょうか?
<回答>
急性の感音難聴(聞こえの神経や、内耳の障害によって引き起こされる難聴)の場合、多くの場合1ヶ月程度で聴力は固定してしまうことが多いようです。残念ながらお尋ねの方の聴力の回復ははなかなか厳しいかもしれません。
ただ、聴力低下と耳鳴りは必ず一致するというものではありません。聴力は回復しなくても、耳鳴りは小さくなったり、あまり気にならなくなる可能性はあると思います。
私は患者さんに耳鳴りについて説明する際に、「耳鳴りは聞こえの細胞の傷」とたとえています。つまり、聞こえの細胞がピアノの鍵盤のように並んでいるとすれば、その一部が障害を受け、傷になった状態だとお話します。
「傷」であれば皮膚の傷と同様、怪我をした時には生々しいですが、時間がたつにつれ目立たなくなります。耳鳴りでも同様に考えてみてはいかがでしょうか?内耳がダメージを受けた時には耳鳴りは強いですが、時間がたつにつれて徐々にマイルドになっていくと思うのです(というか、思うようにしてほしいと考えています)。
ただ、「傷」というのは、軽ければ完全に治ってしまいますが、ある程度の傷は時間がかなりたっても古傷として残ります。ですので耳鳴りも、ある程度の耳鳴りは古傷として残る可能性はあると思います。
さらに言えば、顔にできた傷と背中のような自分の目では見えにくい場所にできた傷では、傷に対する受け止め方も大きく違うと思います。耳鳴りというのは集中すると段々大きくなってくる性格を持っています。耳鳴りを気にするなといってもこれは中々難しいのですが、必要以上に耳鳴りを気にするのはあまり得策ではないと思います。これは音響外傷に伴う耳鳴りだけでなく広く一般的な耳鳴りにもいえることだと思います。
現時点で特に避けるべきことというのは、それほどないとは思います。ただ、これは何の根拠もありませんが、内耳の病気の多くは寝不足や過労、ストレスなどが大きい時に起こりやすい印象を持っています。ですので、今後もそうした負荷はあまりかからないように注意した方がよいと思います。また、音響外傷は同じ状況のこと(すなわちコンサートでまた強大な音を聴くなど)が起こった時には同様のことが起こる可能性があります。そして繰り返すほど治りにくくなります。ですので、あまり大きな音を聴くようなことは避けるべきだと思います。ただ、日常的な音については、多少敏感に感じたり不快に感じることはあるかもしれませんが、普通の音量であればそれほど問題はないと思います。
次の所で耳鳴りのお話をしています。よかったら参考にしてください。
耳鳴りの話
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QE79 耳が動くのは私だけか?
A <質問>
後方で物音や人の声がすると、猫のように耳が後ろに引っ張られて違和感があります。子供のとき耳鼻科に行ったが笑われて相手にされませんでした。本当なのに。今も一人悩んでいます。
<回答>
人と違うところがあると気になりますね。
時々、耳を動かせる人はいらっしゃいます。ご質問の方の場合、自分が意識して動かせるのかどうかはわかりませんが、人間誰でも動かすための道具(神経と筋肉)は備わっています。人間の場合、この耳を動かす神経や筋肉は、退化しておりますがまだ解剖学的には残っております。これは、人より少し口が大きく開くとか、背が高い・低いといったことと同じようなものだと思います。
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QE80 耳鼻科で「鼓膜の位置がずれている」と言われました。
A <質問>
左耳の違和感が出てきたので耳鼻科に行ったところ、鼓膜の位置がずれていると言われました。治療にどれくらいの日数がかかりますか?
<回答>
耳の違和感は、外耳、中耳(鼓膜含む),内耳のいずれの不調でも生じる習慣です。 ただ、耳鼻科で見てもらっていますので、「鼓膜の位置がずれている」というのが正しいとすれば、それはおそらく耳管狭窄症だと思います。
耳管狭窄症は中耳と鼻の奥をつなぐ耳管が、粘膜が風邪やアレルギー性鼻炎などで腫れた状態です。
この耳管は、中耳の気圧の調節をしています。この耳管の粘膜が腫れると中耳の気圧が低くくなる場合が多いので、耳の違和感や軽く聞こえにくくなります。こに症状は(耳管狭窄症の診断が正しければ)中耳に空気が入れば症状は軽くなります。
治療としては、鼻の奥の気圧を上げる治療(通気)を行ったり、症状がもう少し進行すると中耳に水がたまってきます(滲出性中耳炎)ので、そうなると積極的に鼓膜を切って水を出したりすることもあります。鼓膜を切るととりあえずその時の症状はすぐに軽快します。(繰り返すかどうかという問題は別にあります。)
治りにくい要因として、慢性の鼻の病気(アレルギー性鼻炎や副鼻腔炎など)がある人は長引きやすいでしょう。鼻の治療もあわせて行っていく必要があります。また、高齢者は耳管の機能自体が落ちてくるのか、長引く場合が多いように思います。
こうした治療で早ければ4,5日でもよくなる人もいれば、数ヶ月でも症状が多少残る人もいます。私の印象としては、2週間程度で改善する人が多いように思います。
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QE81 発熱のあと聞こえづらい。
A <質問>
2週間ほど38度以上の熱が続き最後の4日間は39度の熱が続きました。その間4日ほど唾を飲み込むのも痛いほど喉が痛くなり(それに伴い耳痛も有りました。)その後酷い咳が始まりました。突然熱が引いたのですが、耳が詰まったようになり今日で3日目になるのですがどんどん聞こえなくなっているような気がします。普段聞いているテレビの音量は全然聞こえません。家族にも近くで大きな声で話してもらわないと聞き取れません。動きはじめや、立ち上がったり、起き上がったりする時に、ふらふらします。このままほっておいて大丈夫でしょうか?
<回答>
早めに耳鼻咽喉科で診てもらいましょう。
風邪のあとの難聴についてですが、高熱がでて、その直後からひどい難聴やめまい・ふらつきが出た場合は、かなりまれなことですが、髄膜炎を起こし聴神経や前庭神経(身体のバランスと関係のある神経)にダメージを与えている場合があります。まあ、これは症状も強いのですぐに病院を受診されると思いますが。
次に、風邪症状から少し遅れて難聴が出てくる場合です。1)風邪によって鼻の粘膜が腫れて鼻がつまるのと同じように、耳と鼻をつなぐ管(耳管)が腫れてしまい、空気の出入りができなくなるため、気圧の調節がうまくいかなくなった状態です。耳管狭窄症といいます。Q&A E80を参考にしてください。
2)風邪の炎症がひどい場合、鼻の奥のウイルスや細菌が耳管を伝わって中耳にまで進入する場合があります。この時痛みを感じる場合があります。急性中耳炎ですね。痛みが続く場合は速やかに診てもらうといいでしょう。また、痛みが治まったあとも耳が詰まった感じがぬけない場合もあります。滲出性中耳炎という状態です。痛みはほとんど感じない場合もあります。
急性中耳炎を合併した難聴の場合、多くは滲出性中耳炎に移行し最終的には元に戻りますが、まれに中耳の炎症が内耳に影響をおこす場合があります。内耳炎を合併する場合です。この場合、難聴だけでなくふらつきやめまいも起こっていきます。ご質問の方の場合もこの状態の可能性があります。内耳炎に対しては、速やかにしっかりとした治療を行わなければいけません。抗生物質や炎症を抑える薬剤に加え、ステロイドも必要な場合が多いと思います。内耳炎による難聴は、時間がたつと治らなくなることが多いと思います。
3)風邪のあと少ししてから(1,2週間程度が多いと思います)、急に難聴がくる場合があります。鼓膜を見ても正常のことが多く、突発性難聴と診断される場合があります。風邪と何らかの因果関係はあるのでしょう。ウイルスに対する免疫反応の副産物なのでしょうが、現在のところはっきりわかっているものはありません。この場合は、突発性難聴としての治療が必要です。早く治療を始めた人の方が治りやすいと思います。Q&A E76も参考にしてください。
どのタイプの難聴かは、中々自覚症状だけではわからない場合もあります。もし、内耳性の難聴の場合、難聴が残ってしまう可能性がありますので、数日で症状がなくならない場合は速やかに耳鼻咽喉科を受診された方がいいでしょう。
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QE82 耳の穴をさわるとごそごそする。
A <質問>
耳掃除をしようと綿棒を突っ込むと突然がりがり ごそごそって感じの鼓膜がなにか起こったかのようなおとがなりびっくりします。痛くはないのですがとにかくびっくりします。以前も何回か同じ症状があったのですが自然に消滅しました。
<回答>
一般的に考えられるのは、やはり耳垢がたまっている可能性が高いですね。あるいは、髪の毛が入っている場合にも同様のことがあります。繰り返すようであったり、長引く場合は耳鼻咽喉科で診てもらってください。
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QE83 耳の中で水が動く感触が。
A <質問>
耳の中に水が入っていて頭を動かすとその水も耳の中で動く感触が有り、耳だれの様に耳の入り口まで出て来ていると思って触っても乾いていて水は出て来ない。スコープで見ても鼓膜外耳には異常は無いのに、耳の中の水が取れていかない感じがする。また車に乗ると耳がつまる様になってしまい、大きい音が強く響く。中耳に水がたまる事は有りますか?また本当にたまっていなくても、水が入っている感触が有る事など有りますか?
<回答>
ご質問の方のケースがどうかはわかりませんが、いくつか考えられることがあります。
まず考えられるのは、中耳に水がたまっている場合です。滲出性中耳炎という状態です。一般的には風邪やアレルギー性鼻炎など鼻の調子が悪い上体が続いた場合に起こることが多いと思います。ただ、大人の場合、まれに鼻の奥に腫瘍が出来ている場合もありますので注意が必要です。
もう一つ、これはまれですが、内耳の液が中耳に漏れ出している可能性があります。これは「外リンパろう」という病気ですが、一般的には突発性難聴と同様の難聴や耳の閉塞感、あるいはめまい・ふらつきを伴うことが多いと思います。「大きい音が強く響く」という表現がこの病気を疑わせます。聴力の低下がない場合は、とりあえず経過を見ていくことになる場合が多いですが、鼻を強くかんだり、つよく力んだりするのは避ける必要があります。急激な聴力低下が生じる危険があるからです。
難聴が生じている場合は、すみやかに耳鼻咽喉科でご相談ください。
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QE84 鼓膜に穴が開いたと言われました。
A <質問>
耳づまりを治すのに、鼻を押さえて息を強く吐いたら鼓膜に穴が空いてしまいました。緊急病院に行ったら穴が大きいので休み明けに耳鼻科に行って手術をしてもらわないと治らないと言われました。今マレーシアに居ますが鼓膜が敗れたまま飛行機に乗れますか?また此方で手術をしてもらうのに、手術に失敗は有りますか?不安です。
<回答>
実際に鼓膜を見ていないので正確なことは申し上げられません。そのことを前提にお話いたします。
まず、自己通気で鼓膜が破れたという場合、気圧による外傷性鼓膜穿孔ということになりますね。平手打ちを食らって鼓膜が破れた場合などもこの急激な気圧の上昇による鼓膜の損傷です。その他、耳かきで損傷した場合なども、外傷性鼓膜穿孔です。こうした外傷性鼓膜穿孔の場合、単純な穿孔であれば、ある程度の大きさの穴までであれば、自然に穴が閉鎖することはよくあります。早ければ1週間程度(これは穴が小さい場合)、大体3、4週程度で自然閉鎖する場合が多いですね。
ただ、穴が大きい場合はやはり無理かもしれません。私は3週間ほど経過を見て、自然に閉鎖が見られなければ、鼓膜の穴をまず、テープでふさいでみます(もちろん、あまり大きな穴は無理ですが)。鼓膜の穴をテープでふさぐことで、テープをささえにして鼓膜が伸びてくる場合もあります。こうして、2,3ヶ月経過を見て閉じない場合は、手術的にふさいでもらうように紹介します(鼓膜形成術)。
ここで、いくつか気をつけておかなければならない点があります。一つは、単純に鼓膜に穴が開いただけかどうかという見極めです。もし、穴があく時に何らかの内耳へのダメージがあった場合には、早急に治療を始める必要があります。この見極めは時に難しい場合もあります。めまい・ふらつきがあったり、周囲の音が響く場合には要注意です。少なくとも聴力検査(気導、骨導)は受けておいた方がいいでしょう。
また、この方の場合、鼓膜が破れる前から耳づまりがあったのも多少気になります。風邪やアレルギー性鼻炎等による耳管狭窄による症状であったのならよいのですが、何らかの内耳の障害があった可能性も考えておく必要があり、そのためにも聴力検査を受けて、内耳レベルでの聴力低下がないかを診て貰っておく必要があります。
さて、内耳に問題がないとなると上に述べました様にしばらく経過観察でもよいかと思いますが、この間に気をつけておくべきことがあります。それは、感染を起こさないこと。耳に汚い水が入ると中耳炎を起こす危険があり、そうなると本格的な手術(鼓室形成術)をしないといけなくなる場合があります。もちろん、海やプールなどで潜ったりしてはいけません。
飛行機への搭乗は普通の気圧の変化程度であれば問題はないと思いますが、最初に穴が開いた時に内耳へのダメージがあった場合には、時にめまいや内耳性の聴力低下がおきる可能性は考えておく必要があります。
マレーシアの医療のレベルについてはよくわかりません。手術の失敗というのは、確率の問題だと思います。どんなに簡単な手術でも限りなく100%に近いとしても、100%成功するとは言えません。これは日本でも同じです。
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QE85 風邪のあとの耳の痛み・耳のつまった感じ
A <質問>
風邪をひいてのどの赤みと枯れ、痰(たまに血が混じる)症状がありましたが、回復しました。ところが、耳が詰まった感じが直りません。加えて耳の中がチクッとする感じが続いています。日常生活にはまったく影響がなく痛みといえるかわかりませんが、チクチクとした違和感が気になります。何か深刻な病気でしょうか?ちなみに喫煙歴は6年程度一日一箱弱の喫煙者です。年齢は35歳です。
<回答>
Q&A E66、E70、E81なども参考にしてください。
1)急性中耳炎か、それに続発する滲出性中耳炎の可能性。
2)そこまでひどくない場合、耳と鼻をつなぐ管(耳管)の炎症(耳管炎)の可能性。
3)また、耳管が鼻に開いている部分には扁桃腺と同様のリンパの組織(耳管扁桃やアデノイド)があり、この部分が炎症を起こしている可能性。
などが考えられます。
喫煙は炎症を長引かせる要因になると思います。また、長引く炎症や度重なる炎症とタバコの刺激はいずれ発ガンの可能性を高めることになると思います。長引く場合は耳鼻咽喉科で鼻の奥をファイバーで診てもらってください。
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QE86 疲れるとすぐに耳が痛くなるのですが・・。
A <回答>
いくつか可能性をお話します。
まず最も可能性が高いのは、耳の後ろに固い骨がありますが、ここに集まっている筋肉が凝ってくることが考えられます。特に鎖骨とをつなぐ筋肉(胸鎖乳突筋)は太い筋肉で、この筋肉の付け根を指でつまんで痛みを感じる場合強く疑われます。
また、同様に筋肉の凝りですが、顎の関節と関連のある筋肉が凝ってくる可能性も考えられます。こめかみや耳の前を押さえて痛い場合に考えやすいと思います。
次に、E85でもお話しました、耳と鼻をつなぐ管の鼻側の開口部のリンパ組織が炎症を起こす可能性が考えられます。疲れて扁桃腺が炎症を起こすのと同じように考えてもらえばいいと思います。
その他、もともと軽いけれども慢性の炎症が耳、あるいは耳の近くにある場合−たとえば、中耳炎、外耳炎、扁桃腺炎、虫歯など−普段は体力で押さえ込んでいるものが、疲れで体力低下をきたすと細菌の増殖を許してしまい、炎症が増悪する可能性も考えられます。
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QE87 耳の手術を受けたいのですが、親切で腕のいい経験豊富な先生を教えてください。
A <回答>
こうした質問を時々いただきます。
当科のホームページの趣旨と異なりますので、お答えすることはできません。
実際日本は広いです。たくさんの名医がいらっしゃると思いますが、医師と患者さんというのは相性が大切であり、すべての人に満足していただけるようにご紹介することは不可能だと思います。また、詳しくご紹介できるほどの人脈もありません。
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QE88 先天性耳漏孔の術後について
A <質問>
以前耳漏孔の炎症で3回手術したのですが、プールなどにもぐらないようにしています。 このままもぐらないでいたほうがいいのでしょうか?
<回答>
E32にも書きましたが、先天性耳瘻孔は時に炎症をおこし、繰り返す場合手術を行います。一度の手術で取りきれる場合が多いですが、袋が枝分かれしている場合や、炎症を何回も繰り返している場合、耳の付け根まで奥深くもぐりこんでいる場合など、時に繰り返し手術が必要な場合もあります。
プールに関してですが、一般的には、完全に耳瘻孔が取りきれていて、術後ある程度の日数がたっていて、傷口がきれいにふさがっていれば問題ないと思います。プールに入ってよいかどうかの最終的な判断は手術をしていただいた先生にお尋ねください。
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QE89 鼓膜が少しへこんでます、と言われたのですが大丈夫ですか?
A <回答>
耳管狭窄症について説明をうけたものと思います。
耳(中耳)は鼻の奥でつながっています。この鼻と中耳をつなぐ管が耳管です。この管の粘膜は鼻炎や副鼻腔炎の際に、容易に腫れます。そして、この粘膜が腫れると中耳の換気がされにくくなり、特に鼻の奥(上咽頭)から中耳に向かって空気の流入がしにくくなるために、中耳(鼓室)の気圧が下がるため、鼓膜が中耳側に引っ張られる結果、鼓膜がへこむわけです。
急性の鼻炎やアレルギー性鼻炎でも初期のころは少々鼓膜がへこんでも、耳管の粘膜の腫れがひいてくると自然にでも治癒する場合が多いと思います。しかし、経過が長くなってきますと、鼓膜が持続的に引っ張られている結果、鼓膜が徐々に薄くなり、張りがなくなってきてしまいます。そうなると、鼓膜はべこべこの状態となり、ちょっとした気圧の変化でへこんだりもどったりを繰り返すようになります。
また、鼓膜の凹みが強いと鼓膜自体が中耳の壁にくっついてしまう場合があります。これを癒着性中耳炎といい、手術的にはがさないと治らなくなります(実際には手術をしても再発しやすい状態になってしまっているのですが)。また、この癒着性中耳炎では鼓膜がへこんで癒着した場所から耳だれがでてくる場合もあり、慢性中耳炎と類似した経過をとることがあります。
さらに、鼓膜のへこみ方によっては、骨を溶かす真珠腫性中耳炎というやや怖い中耳炎へと発展する危険もあります。
必要以上に恐れることはありませんが、症状が持続する場合には治療を受けた方がよいでしょう。時に経過観察のみの場合もありますが、そうした時にもある程度定期的に診てもらっておく方がよいと考えます。
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QE90 複音(?)について
A <質問>
低音障害型急性感音性難聴で治療中です。聴力は回復したのですが複音が続いています。現在プレドニン30mgを内服中です。このまま減量を進めるか、暫く様子を見た方が良いのでしょうか。
<回答>
複音というのは、音が二重に聞こえるという症状のことでしょうね。
ステロイドの匙加減は難しいものがあります。あまり多くのむと、長くのむと副作用が出やすくなりますし、だからといって怖がって少なくしかのまないと効かないですし、あまり早く止めると再発しやすかったりします。ここが医師の腕の見せ所かもしれません。
それはさておき、聴力は回復したとのことですが、おそらく(推測でしかありませんが)、聴こえの細胞のある程度のものは回復して、いくらかの割合で回復していない細胞がある状態なのかと思います。
聴力のことだけを言えば、回復したのであれば、ステロイドは早めに止めていきたいところです(ただ、止めるにしても徐々に減量していくのが普通です)。しかし、まだ回復しきっていない聴こえの細胞が残っている可能性もありますので、もう少し続けてみたいという思いもわかります。
いずれにしても、プレドニン30mgというと、初期開始量でしょうから、現実的なところとしては、少し減量して経過を見ながら、さらに徐々に減量して、最終的に止めていくというのみ方になると思います。
ある程度服用して、減量しつつも経過をみて、結果的に複音が改善するかどうか、これはわかりません。ステロイドは長くのめば効くというものでもなく、逆に副作用は出やすくなりますので、ある程度時期がくればどんどん減量し、中止した方がよいと思います。
最終的には、ご質問の方が現在どれくらいプレドニンを服用されているのか、どれくらいの期間で聴力が回復したのか、他に基礎疾患や既往歴が何かあるか、現在副作用と思われる何らかの症状がでていないか、年齢は・・・などなど種々の要因を考慮に入れて減量の程度を決めなくてはいけません。ですので、最終的には主治医の先生とご相談の上、服用量を決めていくというのがよいかと思います。
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QE91 音響難聴について教えてください。
A <質問>
体育の時間ピストル打ちをした生徒が、金属音がする。その後耳鳴りがする。と言ってきました。耳栓をしていて1時間の授業で4人交代でした。今までの生徒でこのような訴えがなかったことから、今後注意していきたいと考えます。
<回答>
最近の若い人は私たちの頃に比べて、ロックのコンサートなどに行く人も多いでしょうし、ヘッドホンで聞くときも大きな音で聴く人が多いと思います。ですので、大きい音を聴いた時の内耳のダメージに対する耐性というか、予備能力は落ちているのではないかと思います。また、夜遅くまで起きている人も多く、耳にとってはあまりいい状況ではないと思います。(ただ、これは全くの推測で根拠はありません)。
ですので、過去に同様のことがなくても、音響外傷をきたしやすい若者が増えている可能性はあります。(もちろん、そのほかの要素:ピストルが変わった、火薬が変わった、撃つ位置が変わった・・・等々も慎重に検討しておく必要はあると思います。)
予防としては、連続して何回も同じ人に打たさない、耳あて・耳栓をしっかりする、撃つ人は前の日寝不足をしない、等といったところでしょうか。
症状が持続する場合は早めに耳鼻咽喉科を受診させてください。聴力の低下がある場合、早めに治療をしないと残る可能性が高くなります。
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QE92 急性中耳炎といわれました。
A <質問>
一歳4ヶ月の息子が急性中耳炎と診断されました。鼓膜に小さな穴が開いていると言われたけど、鼻の治療をしていけばそのうち、その穴が自然に塞がると聞きました。それって本当ですか?耳の聞こえが悪くなったり、穴が開いたままで塞がらないのではとか、後遺症がおこるのではないかととても心配です。
<回答>
先生のおっしゃられたことは概ね正しいと思います。
急性中耳炎のほとんどは、鼻の奥の細菌やウイルスが耳と鼻をつなぐ管(耳管)を伝わって中耳に進入しておこります。中耳で細菌が大量に繁殖すると鼓膜が赤くなり、腫れあがり、鼓膜が破れて膿がでてきます。この状態が「鼓膜に穴があいている」状態です。
鼓膜に穴があくこと自体はそれほど悪いことではありません。もちろん、最終的には塞がらなければいけませんが、膿が中耳に大量にたまった状態は、熱も高くなりやすく、痛みも持続します。また、もし鼓膜が破れにくかった場合、まれですが内耳や脳の方に細菌が進入することになれば、それこそ内耳炎や髄膜炎を起こし後遺症がでることになります。このため、耳鼻科医は鼓膜の腫れがひどい場合、わざと鼓膜を切って膿を出す場合があります。
さて、急性中耳炎で鼓膜に穴があいた場合のその後の治療ですが、一つには耳の中をきれいにします。膿が外耳に残っているとそこがまた炎症のもとにもなる場合があるからです。そして外側をきれいにすると同時に、急性中耳炎の原因となった鼻の奥の状態を正常化させるようにします。そして適切な抗生物質を服用することによって大概の場合沈静化していきます。(ただ、最近は抗生物質の効きにくい難治性の中耳炎が増えているのも事実です。それについては、また別の時にお話しましょう。)
急性中耳炎であいた穴は、ほとんどの場合、炎症が鎮まれば穴は自然に閉じますので心配はいりません。ただし、耳だれが出ていても放置して、長い間耳だれが持続していたり、何回も繰り返し炎症を引き起こすようなことがあると鼓膜は閉じにくくなります。耳だれが出て鼓膜に穴があいても、そのあと炎症が落ち着けば穴は閉じます。炎症が落ち着くかどうかを決める要因は鼻の奥がきれいかどうかということです。それで、鼻を治療していればよくなるとお話されたのだと思います。
(絶対とは言えませんが、)ほとんどの場合、急性中耳炎を何回かやっても、その都度しっかり治療をしていたら、聴こえなくなったりというような後遺症は起こりません。ただし、耳だれが止まったからといって中耳炎の治療を自己判断でやめたりしていると、稀ですが滲出性中耳炎から真珠腫性中耳炎に移行したり、癒着性中耳炎などになり将来的に手術が必要になったり、難聴が残ったりする場合がありますのでご注意ください。
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QE93 ムンプス難聴?航空性中耳炎?
A <質問>
夕方飛行機に乗る予定のある午前中に、おたふく風邪にかかって完治した友人に会いました。耳下の腫れも引いていて見た目には完治。その夕方飛行機に乗った私は右耳が猛烈に痛くなり、夜中の2時になっても眠れないほどの痛みが続きました。ムンプス難聴の存在すら知らなかった私は、航空性中耳炎と思い、そのように近くの耳鼻科に診ていただきました。が、2週間経った今でも、右耳に膜が張ったような違和感が残ったままです。(左耳を塞ぐと、右耳が完全に聞こえなくなったわけではないのですが、こもって聞こえます。)私自身は耳下に腫れも出なかったのですが・・・おたふくに感染していたということは無いのでしょうか?・・・ムンプス難聴は治らないと聞いたことがあり、不安です。37歳女性。
<回答>
おそらくご質問の方はやはり航空性中耳炎が残っているのではないかと思います。
ムンプス難聴はやはりムンプスウイルスに感染して、身体がウイルスに反応する時に生じるものなので、潜伏期としては平均約2週間を要します。ですので、おたふく風邪にかかった人と接触したといっても、その日の午後に発症するとは到底考えられません。
また、ムンプス難聴の難聴の程度は激烈でほとんど全く聴こえなくなります。聴力検査を行ってもほとんど聾となります。ですので、膜が張った感じという程度ではありません。
航空性中耳炎は飛行機で上空に上がり、降りてくる時に気圧の変化に対応できないために起こります。最初は痛みもありますが、最終的には滲出性中耳炎と同様の経過をたどり、最終的には治る場合が多いと思います。鼻が悪くなければおよそ2週間程度で改善する場合が多いのですが、鼻が悪いと遷延する場合もあります。そうした場合、積極的に鼻から耳に空気を通す治療(通気療法)を行う場合もあります。ただし、鼻の奥に強い炎症がある場合は逆効果になる場合もありますので、注意しながら行います。
航空性中耳炎で一つだけ注意が必要なのは、頻度はごくまれですが、気圧の変化の影響で、内耳と中耳のつなぎ目にひびが入り、内耳液が漏れる状態(外リンパろう)になっている場合があるかもしれません。症状が改善してこない場合、聴力検査も行い、内耳レベルで聴力が落ちていないかを調べてもらいましょう。
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QE94 滲出性中耳炎の治療による鼓膜切開後について
A <質問>
昨日鼓膜を切開してもらいその時はこもった感じが消えていたのですが、6時間くらい後にまたこもった感じがて鼓膜に圧がかかっている感じです。また頭を動かすとカサっと音がしたりします。これはまた滲出液がたまってきているのでしょうか?それとも鼓膜を切開しているためこういう状態なのでしょうか?鼓膜切開直後はとても調子がよかったのですが。
<回答>
正確な所は鼓膜を見てみないとわかりません。
一番可能性があるのは、切った穴が塞がった可能性ですが、時間的には少々早い様にも思います。確かに早ければ数日で切開のあとは閉じてしまうことはよくあります。耳管の腫れがある程度ひくまでに鼓膜の穴が閉じてしまうと再び水が貯まってくる場合はあります。
また、鼓膜の切った穴がその場ですぐに閉じていない場合でも、外耳の方に貯まっていた水が少し出た場合、水が乾くとかさぶたのような乾いた皮のようなものになる場合があります(よく、擦り傷をした時に汁が染み出てきて乾く場合がありますが、あれです)。この滲出液の固まったもので穴が塞がる場合もあります。
もう一つは、鼓膜の穴はあいたままにもかかわらずこもった感じがする場合ですが、鼓膜に多少なりとも穴が開いていると、音を伝える能力はわずかですがロスが出ます。切った当初は水が貯まっていた時よりもいい感じなのでそれに気がつきませんが、少し慣れてくるとこのわずかなロスが気になるようになってくるのかもしれません。
症状が続くようでしたら、やはり切ってもらった先生に診てもらってください。
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QE95 風邪症状のあとの耳の違和感。
A <質問>
4〜5日前から風邪の症状があり、同時に耳の奥が時折痛くなり、痛みのないときは高い所に行った時のように耳がパーンとはった様な違和感があり、つばを飲み込んだりしてもなかなかなおりません。違和感があり気にしているからなのか聞こえにくくなっているような気がします・・・。風邪がなおれば徐々になおっていくのでしょうか?
<回答>
Q&A E66・E85をご覧ください。
まず一番に考えられるのは、耳管狭窄症ですね。風邪で鼻の粘膜が腫れて鼻が詰まるのと同様に、耳と鼻をつなぐ管(耳管)の粘膜が腫れると中耳の気圧の調節が悪くなり、鼓膜がへこみ、膜が張った感じがして聴こえにくくなります。この時、耳管が鼻の奥に開口している付近や耳管自体の炎症が強い場合、多少耳が痛く感じます。さらに炎症が奥に進むと中耳炎になるのですが、そこまで行かずにおさまる場合もかなりあります。
こうした耳管狭窄症は風邪がおさまるにつれて徐々に治ってくることが多いです。早いと数日で治りますが、炎症が強かったり、アレルギー性鼻炎や副鼻腔炎などがもともとある人では長引くこともあります。
ここで一つだけ気をつけておきたいことがあります。それは、こうした耳管狭窄症と似た症状で異なる病気があるということです。メニエール病や低音障害型突発性難聴、あるいは単に突発性難聴でも耳が詰まって聴こえにくい感じがする場合があります。こうした内耳の病気で聴力がおちた場合、早めに治療をはじめないと聴力が悪いまま固定されてしまう場合があるということです。大体のタイムリミットは大体2週間、できれば1週間以内に治療を開始した方がよいということです。
ですので、風邪のあとに耳の違和感がでてきた場合に、数日は様子をみてもよいと思いますが、内耳の障害の可能性も考えて、数日中には耳鼻咽喉科を受診された方がよいと思います。
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QE96 耳の腫れについて
A <質問>
2週間前から耳が腫れ柔道の選手のような耳になりました。ぶよぶよして1度病院で液をぬいてもらいましたがすぐぶよぶよになります。どうしたんでしょうか。
<回答>
耳(耳介(じかい))は、柔道や相撲、ラグビー、サーフィンなどをされる人はよく腫れることがあります。これは、耳の皮膚と軟骨の間に液体が貯まったものです。抜くと新しいものでは血液が引けますし、少したつと血液を放置したあとの上澄みのような液が引けます。
これは耳介血腫と呼ばれるものです。先のようなスポーツなどで耳を強くぶつけたりする時に度々おこります。ただ、ヘルメットをかぶっていたという程度や、全く原因不明の場合も結構あります。
治療としては、貯まった血液を抜くだけでよい場合もあれば、抜いてもすぐ貯まってくる場合もあり、多くは抜いたあとに何らかの方法で圧迫しておく必要があります。何回ぬいても貯まってくる場合には、手術的に貯まらないようにしてもらう必要がある場合もあります。
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QE97 中耳炎と内耳炎
A <質問>
熱が出た翌日耳が痛くなり耳鼻科を受診しましたが外耳炎だといわれました。4日後耳が聞こえずらくなっていたので再診すると中耳炎によるもので内耳炎になっているかもしれないとのことで切開しましたが全くよくなっていません。症状が出てから1週間後くらいからステロイドを飲んでいますがあまり変わった感じはしません、自分の声が反響してしまう感じなのですが再度切開はしてもらえないんでしょうか?また、ステロイドの治療でよくなるのでしょうか?耳鳴りもしています・・。
<回答>
少し時間がたちましたがいかがでしょうか?
急性中耳炎自体でも難聴を自覚することはよくあり(というかほとんどの場合、多かれ少なかれ自覚します)、この難聴が、鼓膜の奥の中耳に膿や炎症による滲出液が貯まっていて聴こえにくいのか、炎症が内耳にまで波及していて聞こえにくいのか、これを鑑別するのは非常に難しい場合があります。
検査としては聴力検査を行い、特に骨導検査という内耳レベルでの聴力を調べることで、多くの場合は鑑別することができるのですが、判断に迷う場合もあります。
そうした場合、積極的に鼓膜切開を行います。鼓膜切開し、中耳にたまった液を吸い出すことで、多くの場合聴力は改善します。逆に改善しない場合は内耳の炎症を念頭に治療をしていく方がよいと思われます。具体的には(中耳炎の時点で抗生物質や消炎剤はもらっているでしょうから)ステロイドを中心とした薬の追加となります。
ただ、鼓膜切開して中耳の液を吸いだしても完全にすべて吸いだせるとは限らず、少し残っていたりすると聴こえにくい感じは残っている場合があります。また、鼓膜切開をしたことで鼓膜に穴があき、そのことが音を伝える上で多少のロスになり、聴こえにくい感じを自覚する方もいらっしゃいます。さらには、一度鼓膜切開した場合でも、すぐに鼓膜が塞がってしまう場合もあり、中耳炎の炎症がまだ残っている場合には再び液がたまってくる場合もあります。
こうなってきますと、それぞれ、個々に応じて考えながら見ていかざるをおえません。鼓膜が閉鎖しているなら、再度切開する場合もありますし、鼓膜の穴が開いているなら切開の必要はなく、内耳はの炎症の波及が疑われる場合には積極的にステロイドを処方したりしますし、単に鼓膜切開後の穴のために違和感を感じていると思われる場合は経過をみていくだけの場合もあります。
中耳炎と内耳炎合併の鑑別は簡単な場合もあれば難しい場合もあるのですが、一つ重要な鑑別点としては、その他の症状の有無となります。中耳由来の場合は自分の声が響くのに対して、内耳に影響が出ている場合は、周囲の音が響きます。また、めまいやふらつきは内耳に影響が出ている可能性を強く疑います。耳鳴りについてはあまり明確な判断材料にはなりませんが、多少の傾向としては、「ピー」という耳鳴りは中耳のことが多く、「キーン」「ジー」といった耳鳴りは内耳のことが多い傾向にあります。ただ、後者の場合、もともと多少そういう耳鳴りがあったのが、こういう耳の病気を契機に自覚されただけということもあるので参考程度となります。
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QE98 耳だれに血が・・・。
A <質問>
母はもともと中耳炎で通院していたのですが、きのうの晩、鼓膜が破れて膿が出てきたのですが、その膿に少し血が混じっていたそうです。血が混じっている原因は何だと考えられますか? 現在入院しています。
<回答>
少し時間がたちましたが、いかがでしょうか?
「中耳炎で通院」ということでしたが、滲出性中耳炎で通院されていたということでしょうか。滲出性中耳炎の場合、治療の途中で急性中耳炎になることは時々あります。
鼓膜が破れた場合、確かに奥から膿がでてくる場合がありますが、時に出血を伴う場合もあります。鼓膜は本来それほど血流の多い場所ではないので、急性中耳炎で鼓膜が破れて膿や滲出液が出てきても肉眼上血液を含んでいないように見えることが多いです。しかし、炎症が強いと充血しやすいため時に出血を伴う耳漏が出てくる場合もあります。
しばらく耳鼻咽喉科で耳の掃除をしてもらいながら、急性中耳炎の治療をしていくと、普通の急性中耳炎と同様に改善することが多いと思います。
ただし、いくつか注意点をお話します。
一つは、普通の中耳炎ではなく、骨を溶かすような中耳炎が潜んでいないかということです。普通、鼓膜を見ていたらわかると思いますが、所見が中々よくならない場合などはCT等で確認しておく方がよいかもしれません。
もう一つは、そうめったにはありませんが、何らかの出血傾向がないかということです。入院されているとのことですので、そのあたり基礎疾患がないかはチェックをうけておかれるとよいでしょう。
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QE99 突発性難聴。飛行機への搭乗は可能でしょうか?
A <回答>
高齢の母が3年ほどまえに突発性難聴になり、ステロイド投与による治療を受けました。今でも時々耳鳴りがあって不快のようですが、この病気になった後も飛行機には乗れるものでしょうか。飛行機は気圧の変化があり、耳へのダメージが大きいように思われますが。
<回答>
最終的には主治医の先生にご確認ください。
といいますのは、突発性難聴というのは基本的には原因不明のものをいいますが、その中には外リンパろうと呼ばれる内耳のまどが破れ内耳の水が漏れ出た結果難聴をきたしたようなものが含まれている可能性があるからです。そうした場合、破れた窓が塞がって治るなり、ある程度のところで落ち着いているなりしている場合、強い気圧の変化を受けると再度悪化する危険性は考えられます。(あくまで理論上の話ですが。)
その可能性が少ないのであれば、一応飛行機に搭乗することは、突発性難聴の発症間もない時期を除けば可能ではないかと考えます。
一つ気をつけておかなければならないのは、飛行機への搭乗ということではありませんが、どこか遠方にでかけるわけですから、疲労と外国でしたら時差による寝不足にご注意ください。こうした要因は耳に負担を与え、同様の病気を引き起こす可能性はあると思います。
最後に、飛行機に乗ったあとに軽い難聴がでる場合があります。これはもちろん再発等の可能性も否定しておく必要がありますが、多くの場合、鼓膜の内外の気圧の調節がうまくいかない場合に起こることが多く、多くは鼓膜の奥の気圧が低いまま耳抜きができない状態や、それに伴った中耳炎(航空性中耳炎)をきたしている状態です。こういうものはきちんと治療したら多くの場合治りますので、症状が続く場合、速やかに耳鼻咽喉科を受診してください。
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QE100 ほぼ毎日のように耳の奥がス゛キス゛キ痛むのですが・・・
A <質問>
一年ほど前に歯医者に歯石を取る為に通っていて、それから耳の奥がス゛キス゛キと痛み始めました。
最初は歯医者で口を大きく開けた状態が続いたので、そのせいかと思い歯医者に通うのを止めたのですが、それでも耳の痛みは変わらず、始めは2、3日置きくらいだったのですが、最近は毎日頭痛のような痛みが起きます。
大体は我慢できるくらいの痛みなのですが、時折ツーンと激しい痛みが起こります。
一度耳鼻科で見てもらったところ、異常なしといわれました。一度精密検査を受けようと思ってるのですが、何科を受けたらいいのでしょうか? 毎日の事なので気になって仕方ありません。
<回答>
お話から推測しますと、まず考えられるのは顎関節症ですね。顎の関節、もしくはその関節に付着している筋肉に負担がかかっている状態です。
顎関節症は歯科治療のような大きな口をあけたあとや、歯を強く食いしばっていたりした時、またストレスの多い時などに生じやすいといいます。
急性期であれば、痛みの強い時には鎮痛剤でしのぎ、できるだけ顎を休ませてやるのがよいと思います。それだけで軽快すれば結構ですが、長引いたり繰り返す場合には、歯の噛み合わせがどうかなど、口腔外科で診てもらうといいでしょう。ただし、耳や耳管、頚部の病気などが潜んでいないか除外しておく必要もありますので、耳鼻咽喉科でも一度は診て貰っておいてください。また、長引く場合心理的なストレスが関与している場合もありますので、心療内科でも診てもらうのも必要な場合があります。
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QE101 小6の娘が耳が聞こえにくいと言い出しました。
A <質問>
現在中1になったばかりの娘ですが、6年生の秋、運動会の練習が激しくなった頃にめまいがする、耳が痛い、聞こえが悪いと言い出したため、耳鼻科に受診しました。検査をしていただいたところ、鼓膜に異常がないが、聴力が20db以下だということで、アデホスを処方されました。その後は、20db近くになったりまた下がったりを繰り返しています。めまいはなくなったものの、耳鳴りは時々するらしく、高い音が聞きづらいといいます。また、山の方に行くと、気圧で耳がふさがった感じになりますが、耳抜きをしても全く治らない状態です。6年生の秋まではこのような症状を訴えたことがなく、普通に聞こえていたようなので、とても心配で、怖いです。これは、どういうことが原因のどういう病気なのでしょうか?また、治療法なども併せて教えてください。
<回答>
あくまで一般的な話として推測としてお話させていただきます。
耳抜きをしても良くならないという場合、まず、耳抜きがうまく出来ているかどうかということがあります。うまく出来ずに中耳の気圧が低い場合、耳管狭窄症の場合があります。これは他にティンパノグラムと呼ばれる鼓膜の検査でもわかります。耳管狭窄症であれば鼻をよくするとともに鼻から耳に空気を通すような治療をしていくことで徐々に改善してくる場合が多いと思います。
ただ、めまいを併発したこと、耳鼻科で鼓膜に異常がなくアデホスを処方されたことを考えますとむしろ内耳由来の可能性が高いと思います。
聴力が日によって良くなったり悪くなったりするところをみますと、最も考えやすいのはメニエール病かそれに近い状態(低音障害型急性感音難聴など)だと思います。
ふつうこうした病気は40才代くらいを中心に多いのですが、10代前半でも時にあります。
治療としてはメニエール病の治療と同様です。ビタミンB12やATP製剤(代表薬アデホス)のような代謝をよくする薬の他、利尿剤(メニエール病は内耳のリンパ液が過剰になった状態と言われているため、余分な水を尿として身体から排泄させるのに用います)としてイソソルビド(代表薬イソバイド、メニレット)なども使用する場合があります。
もう一つ注意が必要なのは、年齢的に小6頃というと思春期でもあり心理的な因子が関連している可能性も考えておく必要があります。色々な治療をしても聴力の変動が激しいような場合には心理的な側面はどうかということも考えておいた方がよい場合もあります。
いずれにしても、長引く場合、徐々に悪くなる場合には一度色々検査をしてもらっておくのも良いかもしれません。
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QE102 両耳の難聴
A <質問>
35歳男性。左耳は10余年前に突発性難聴に なり、そのまま聞こえが悪くなりました。3年前に右が聞こえないのを他人に指摘されて入院して調べました。昼夜交代勤務も体調を悪くした一因ではと思います。その後聞こえがいい時に就職できましたが又聞こえが悪くなり辞めざるを得なくなり現在無職です。
結果は感音性難聴といわれ、耳鼻科に1,2ヶ月ごとに通っています。現在薬はイソバイト(利尿剤)とビタミン剤等服用していますが、時に耳鳴りがひどいと眠れないので、軽い誘眠剤を飲んで寝たりしています。
先日は驚くほど聞こえ喜んでいましたが、この2・3日前から急に聞こえが悪くなりました。耳の横が腫れて押すと痛いと言うので医師に見てもらいましたが触診だけで、別にぐりぐりは無いしとイソバイトの薬をきちんと飲むようにとだけです。 このまま「良くなったり悪くなったりしながらだんだん悪くなる」と医師はいうのですが、他に道は無いでしょうか。
<回答>
お話から推測しますと、一側の突発性難聴と反対側に生じた遅発性内リンパ水腫が考えられますが、別の見方をすれば先行して生じた聴力低下もメニエール病の一つの症状という考え方から両側の進行性のメニエール病かもしれません。いずれにしても、現在でも治療には中々苦労する病態と思われます。
ただ、日によってかなり聞こえが良い日がある様ですので、なんとか良いところで固定させるようにしたいところです。
方法としては、やはり最も中心になる薬剤はイソソルビド(代表薬イソバイド)だと思います。それに、ビタミン剤や内耳の代謝をよくする薬の併用が一般的ですが、そのあたりの薬は副作用も少ないですが、効果も中々切れ味がいいとは言えません。
もし、あと試してみるとなりますとステロイド治療ということになります。場合によっては入院の上点滴でやってみるというのも一つですが、一般的には急に聴力が落ちた場合などは有効ですが、だらだら聴力が変動しながら徐々に落ちてきているタイプにどれくらい効果的かはわかりません。点滴治療をしてみる価値があるかどうかは主治医の先生とご相談ください。
もし、そこまでは踏み切れない場合、内服のステロイドでもう少し様子を診てみることも考えられます。ただし、ステロイドというのは副作用も十分注意して使う薬ですので、そのあたりも考慮して服用していくことになります。
どちらもすでにやってみて治療に反応しない様ですと中々難しいかもしれません。そうなると、補聴器の使用も念頭においておく必要があります。聴力が変動するタイプではうまく補聴器をあわすのは難しい場合もありますが、あまり聴力が落ちてしまってから補聴器をするよりも慣れやすいと思います。
耳の横のぐりぐりというのは触れてみないとわかりませんが、聴力とは直接関係ないのではないかと思います。
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QE103 平手打ちを受けてから耳が聞こえにくい。
A <質問>
突発性難聴は、原因不明の病気と言われていますが、平手打ちが原因でなることはあるのでしょうか?
<回答>
突発性難聴というのは原因不明のものを言います。突発的に聴こえにくくなった場合に「突発難聴」という言い方をする場合もありますが、「突発難聴」と「突発性難聴」は別物です。前者は急性感音難聴で突発性難聴を含みます。
さて、平手打ちをうけて聴こえなくなったという場合、考えることは二つあります。一つは、鼓膜が破れた可能性です。ほとんどの場合これだと思います。Q&A E31も参考にしてください。鼓膜が破れただけでしたら、鼓膜の穴がふさがったら聴力はもとに戻ります。
もう一つは可能性は少ないですが、内耳にも衝撃が伝わり内耳のダメージを受けている場合です。可能性は少ないですが、こちらの方は後遺症として後に難聴や耳閉感が残る場合があります。
いずれにしても、平手打ちを受けた後に、難聴や耳閉感がある場合は1,2日以内に一度耳鼻咽喉科を受診しておく方がよいと思います。
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QE104 一旦治まった突発性難聴の症状が投薬中止後再び増悪。
A <質問>
耳の閉塞感を感じてから一週間後に近くの耳鼻咽喉科を受診、突発性難聴と診断されステロイド剤を含む4種の内服薬を1週間分処方されました。
服用5日ほどから症状が軽快し、閉塞感もごく間欠的にしか感じなくなっていました。 再診時、閉塞感が完全には取れないことを伝えましたが、聴力検査で左右の聴力差がなくなっていることから、ステロイドの服用をやめビタミン剤のみ1ヶ月服用を続け経過を見るよう言われました。
ところがその2日後あたりから閉塞感がほぼ常時再発し、一向に改善しません。
ビタミン剤の処方が終わる1ヶ月後に再度受診することになっていますが、それまで様子を見てよいものか思案しています。また、このような場合ステロイド剤の再投与で効果が見られるものでしょうか。
<回答>
一般論としてお話します。 突発性難聴は突発的な感音難聴(内耳や聴神経由来の難聴)のうち、原因不明のものをいいます。原因不明なので確実な治療法は確立されていません。とは言えある程度合意が得られている治療法はあります。基本的なところではビタミンB12製剤や細胞の代謝をよくする薬、血流を良くする薬などを用いますが、一番効果的であろうとされるものは、現在の所ステロイドということになります。
ただ、ステロイドにどれくらい反応するか、ステロイドをやめた時どうか、というのはそれぞれその人その人によって異なりますので、実際のところは試行錯誤になります。
一度ステロイドを使ってある程度改善したのであれば、薬を中止して再燃してきた場合、もう一度使用してみてもいいと思います。ただし、2回目、3回目の使用の方が効果は少なくなるかもしれません。また、使用する量が増えるにつれて副作用の生じる頻度は増えてくると思います。そのあたりを考慮の上で試してみることになります。
その他の治療としては、突発性難聴の原因(原因はもちろん不明なのですが)が、内リンパ水腫による可能性も考えられる場合、イソソルビド(代表薬:イソバイド、メニレット)を使用してみる場合があります。うまくいくと耳閉感や軽い聴力低下は軽快する場合があります。
ステロイドを減量・中止することで症状が再燃する場合というのはいくつかのことが考えられます。一つは聴こえの細胞のダメージがかなり強いという場合。もう一つは何らかの免疫が関係しているタイプ。これらは、場合によっては再投与して副作用の発現を慎重に注意しながらよりゆっくり減量していく必要があります。
また、ごくまれですが、再発するタイプではまれに聴神経腫瘍が隠れている場合もありますので、一度MRIで確認しておくのもいいかもしれません。腫瘍の圧迫で聴こえの神経が腫れている場合、ステロイドの腫れをひかせる作用で一時的に腫れがひく場合があるからです。ただ、これはあまり急ぐことは少ないので聴力の低下がそれほどひどくなければ治療を優先して行いつつ経過をみて検査をするのでよいと思います。
症状の再燃があったということでしたら、とりあえず早めに主治医の先生に診ていただくことでよいと思います。その結果聴力が低下していたらステロイドの再投与やイソバイドの使用を検討されるかもしれません。ただ、聴力と耳閉感は必ず平行するとは限りません。耳閉感があっても聴力が正常であればもう少し軽い薬で経過をみていくことになる場合もあります。いずれにしても、症状の増悪があれば、早めに一度診てもらってもよいと思います。
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QE105 音響外傷の後、注意しなければいけないことは何ですか?
A <質問>
音響外傷によって耳鳴りが続いています。
再度、大きな音を聞くと耳鳴りが悪化すると聞きました。その後、音には気をつけているのですが、耳鳴りは1ヶ月後くらいに少し大きくなって、もう5ヶ月になります。
耳鳴りが大きくなる原因は何でしょうか? 耳鳴りのことを忘れて普段どおりの生活をしたいと思うのですが、悪化するのが心配でストレスを感じてしまいます。
大きな音を聞かなくても、時間とともに段々悪化するものでしょうか?
あと、ベーカリーで働きたいと思っているのですが、いろんな機械から出る音は悪いでしょうか?このくらいの音までなら大丈夫というのがあるのでしたら、是非教えていただきたいと思います。
もうこれ以上、耳鳴りを悪化させたくはないので、注意できることがあれば、やっていきたいと思っています。
<回答>
音響外傷は強大な音を聴くことによって、聴こえの細胞がダメージをうけた状態です。軽いダメージであれば色々な薬で回復しますが、時に難聴や耳鳴りが残ります。これは聴こえの細胞の中でダメージから立ち直れずに死んでしまった細胞が少なからずあるからでしょう。
回復した場合でも、再び大きな音を聴くと再度聴力低下が生じる患者さんはたくさんいらっしゃいます。これは、一つにはもともと大きな音を聴いた時に内耳にそのまま大きな音が入りやすい(共鳴しやすい)構造をしているとか、聴こえの細胞自体が強大な音に弱いという可能性があるのと、もう一つは最初の音響外傷で聴こえの細胞が回復したとはいえ、予備能力がほとんどない状態でぎりぎりの線で日常の音を電気信号に変える仕事をしてくれているので、強大な音に対しては耐えられないのかもしれません。
いずれにせよ、やはり大きな音に暴露されるのは極力さける必要があります。ロックのコンサートなどには行かない。(どうしてもであれば耳あて、耳栓などをしっかりする。ただし、それで必ず予防できるとは限りません。)パチンコはしない。ヘッドホーンでガンガンに音楽を聴くというのもやめましょう。また、これは私見ですが、睡眠不足は耳によくないと思います。
もう一つ、耳鳴りについてですが、もちろん先ほど書きました、聴こえの細胞の予備能力が少ないために、一度回復したかにみえたものが再びへたってきて耳鳴りが強くなる場合もあります。聴力検査で聴力低下がないか確認しておく必要があります。また、それとは別に、耳鳴りというのは意識の集中の仕方でも大きくなったり小さいままでいたりするものでもあります。あまり必要以上に耳鳴りに意識を集中するのは得策ではありません。もちろん、どうもいつもと違う、というような時には速やかに耳鼻咽喉科で診てもらってください。
ベーカリーの機械の音が耳にどうかというのは、あいにく分かりません。人によっても違うでしょう。一般的にはちょっと不快だなと思う音量であれば、耳に負担がかかっていると思った方がよいと思います。
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QE106 3〜5秒程度音が遠くなる感じや耳鳴りがします。
A <質問>
18歳女性。1ヶ月くらい前から、音が遠くなる感じや、耳鳴りがします。でも一瞬で、長くて3秒から5秒くらいで治ります。
イヤホンで大きい音を聞いたりしてたから かと思ったんですが、結構、耳の病気にいろいろな種類があって、不安になったので、書き込みました。
今はもう、上のようなもう症状は何もみられず、あれは何だったのか気になります。
私は精神疾患も持ってるので、関係ありますか?
<回答>
数秒間耳が遠くなる感じや、キーンという耳鳴りを感じるのはそれほど珍しいことではないと思います。症状が持続しなければとりあえず様子をみていてよいと思います。持続したままの場合は、突発性難聴などの可能性もありますので、数日の間、できれば当日か翌日には診て貰う方がよいと思います。
ただ、同様の一過性の症状が頻発する場合は、身体が疲れていたり、ストレスがあったりすることが多いと思いますので、なんとかそのあたりをよくするように心がけてください。また、あまり繰り返しおこる場合は、自覚症状がない程度で聴力が低下してる可能性も否定はできませんので、一度耳鼻咽喉科の診察を受けられた方がよいかもしれません。
精神疾患についてはどんな病気かにもよりますが、それほど関連付けて考える必要はないように思います。特に幻聴などがなければ大丈夫かと思います。ただ、うつ病などでは上に述べたような心理的ストレスと多少は関連があるかもしれません。いずれにしても、そのあたりは主治医の先生にもお尋ねください。
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QE107 8歳の息子が「右耳聾」と言われた。これはムンプス聾?
A <質問>
就学前後と2回耳下線炎になったことがあります。先日、息子が「右耳が聞こえない」と訴えるので、耳鼻科で2回聴力検査をしたら、「右耳聾」と宣告され、左耳は全く問題ないと言われました。
耳下線炎のことを医師へ話したら、確かなる原因は解らないが、「たぶん過去のウイルス感染」によるものと言われました。聾と言われた者が回復することがあるのでしょうか?また、8歳の子供が長時間の聴力検査に適正に対応できるものでしょうか?息子は集中力があまりなく、上の空で検査結果は有効なものでしょうか?ただ、やはり「イヤホンの音楽」が聞こえないと言いいます。今からでも血液抗体検査で「当時確かにムンプス(おたふく風邪)であった」ことは確かめられますか?突発性難聴やムンプス聾であることを信じたくありません。願わくば、突然「聞こえるようになって欲しい」です。
<回答>
まず血液抗体検査では、過去にムンプスウイルスにかかったことがあるかどうかは分かりますが、「当時」かかったかどうかはわかりません。(もし、今現在耳下腺が腫れている、もしくはせいぜい2週間以内で感染が疑われる場合には、その腫れがムンプスウイルスの初感染かどうかはわかります。)
子どもの高度難聴・聾の原因としておたふく風邪のウイルス(ムンプスウイルス)によるものは原因のはっきりしているものの一つとして有名です。残念ながらこのムンプスで生じた高度難聴・聾は現在の医学ではほとんど回復は難しいとされています。ごく初期に突発性難聴と同様の治療(ステロイド治療が中心になると思います。)を行えば、うまく行くとわずかに聴力が残るかもしれないという程度です。
聴力検査は普通8歳であればだいたいの子どもはうまくできると思います。ただ、この時期は心因性の難聴も時にみられますので、原因の分からない難聴が見られたら、一度他覚的な聴力検査(聴性脳幹反応など)でも確認してみる方がよいでしょう。もし、心因性であれば高い確率で回復するでしょう。
子どもさんが片耳とはいえ聾だと宣告されればショックだと思います。しかし、これは受け入れていかざるおえないものだと思います。片耳が聾でも普通に生活している人はたくさんいらっしゃいます。残った方の耳を大切にするようにしてください。人が周囲にいる所で耳かきをしない。人から耳に平手打ちを受けたりしないように。あまりにも大きな音で音楽など聞かない。パチンコなど騒音の強い所は控える、などなど。また、急に良い方の耳が聞こえにくいと感じたら、すぐに(といっても真夜中に行く必要はないですが)耳鼻咽喉科を受診してください。
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QE108 あぶみ骨手術を勧められました。
A <質問>
ヴァイオリニストです。オーケストラの騒音から耳鳴り、難聴に1年以上前から悩まされ、仕事も出来ません。スイスの病院では何も出来ることはないと、血流を良くする薬と仕事を休むことを勧められただけでしたが、日本の病院でCTを取られ、あぶみ骨の手術を勧められました。治るものなら何でもしたい気持ちですが・・・。
<回答>
あぶみ骨手術を勧められたということは、耳硬化症ということでしょう。中耳の音を伝える3つの骨(耳小骨)のうち、一番内耳に近い部分の骨が、内耳との境で硬く固着してしまっているために聴力低下をきたしている状態です。耳硬化症の診断は中々難しく最終的には手術的に開けてあぶみ骨を動かしてみないとわからない場合もあります。しかし、聴力像やCT所見、症状、精密聴力検査等である程度診断できると思います。
もし、耳硬化症であれば、手術をすることでかなり聴力が改善する可能性があります。ただし、耳硬化症は純粋な伝音難聴ではなく、少し経過が長くなってくると内耳も弱ってきます。そのため、あぶみ骨手術をしてもある程度までしか改善しない場合もあります。しかし、手術をする前よりもよくなる可能性があるので、手術を勧められたのだと思います。
ただし、手術ですからリスクについても知っておく必要があります。あぶみ骨手術の場合、内耳に一番近い部分の手術ですので、まれに内耳にダメージを与えてしまう場合があるかもしれません。そうすると、聴力は改善されないばかりか、もっと悪くなる危険もあるわけです。一般に熟練した医師によるあぶみ骨手術でしたらその危険か極々まれだとは思います。しかし、手術を受けるにはそのリスクも受け入れる必要があります。
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QE109 一時的に自分の呼吸音が大きく聞こえます。
A <質問>
疲れた溜まった時や、空腹時に、水が入った時のような、自分の呼吸音が大きく響いて聞こえる状態になります。片方の耳だけの時もあれば、両方の時もあります。しっかり寝たり、食事を摂ったりすると治るのですが、(特に食事を摂るとよく治ります)どういった病気が考えられるでしょうか。
<回答>
最終的には診て見ないとわかりませんが(みても推定になる場合もありますが)、耳管開放症が最も疑われると思います。
その他としては、逆に耳管狭窄症の可能性もあるかもしれません。
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QE110 鼓膜が倒れてる!?
A <質問>
耳の調子が悪かったので耳鼻科に行ったら、両耳の鼓膜が内側に倒れてるといわれました。これは何が原因で治療をすれば完治するのでしょうか?
<回答>
これは耳管狭窄症のことだと思います。耳管狭窄症について検索してみてください。
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QE111 突発性難聴での入浴
A <質問>
突発性難聴で入院した際、長めの入浴は避けるようにしてくださいと言われました。理由は何でなんでしょうか?
<回答>
理由はいくつか考えられます。 一番の理由は長時間の入浴は疲れるためだと思います。入浴は意外に疲れるものだと思っておいてください。突発性難聴に対するセルフケアとして安静にしておく方がよいと言われる場合があります。実際にどれだけの医学的根拠があるのかわかりませんが、この病気の場合、あまり無理をしない方がよいと言われています。突発性難聴の原因は不明ですが、過労やストレスが身体の自律神経にも大きな影響を与えているものだと考えられます。ですので、短時間入浴し、リラックスするのはよいかもしれませんが、長時間入浴し疲れるのは逆効果なのだと思います。
また、突発性難聴の原因として想定されているものとして、ウイルス感染、もしくは一度感染したウイルスの再活性化などが考えられています。それが、体力を入浴(入浴に限らず激しい運動でも)で消耗すると、免疫力が低下してより悪くなるのではないかと考えられるからだと思います。
また、突発性難聴の中には三半規管や前庭と呼ばれるからだの平衡機能にもダメージを受けている場合があり、ふらつきやめまいが急に生じる場合があります。そうしますと、入浴というのは非常に危険な状態だということになります。ですので、入浴は短時間ですますようにしていただき、また、入浴時には周囲の人に声を掛けておいていただいて、異変があればすぐに来てもらえる体制を作っておくことも大切になるかもしれません。
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QE112 「突発性難聴」と「急性低音障害型感音難聴」
A <質問>
最初の個人病院で「突発性難聴」と診断、治らなかったという事で、紹介された大病院にて診断してもらったところ「急性低音障害型感音難聴」とのことでした。「突発性難聴」に対する治療は、ステロイド・ホルモン剤、安静。「急性低音障害型感音難聴」は、ビタミン剤、末梢神経を動かす薬、通常生活OK。同じような症状とはいえ、治療法がここまで違うのは仕方ないのでしょうか?
<回答>
これは、現場でも多少混乱しているところでして、実際にどちらの診断も治療方法も妥当なところではないかと推測します(あくまで推測ではありますが)。
診断の違いは大きく包括的な言い方か、もう少し細かく分類したかというような違いかと思います。突発性難聴というのは、急性(ほとんど突発的に)の感音難聴(内耳または聴神経由来の難聴)のうち、原因不明のものの総称です。
近年、突発性難聴の研究が進んできまして、同じ突発性難聴という病気の中でもある種同じような性格をもった病態に注目されるようになりました。つまり、特に低い音を中心に聴力低下をきたしているグループです。これを「急性低音障害型感音難聴」として別にする場合がでてきています。
治療法の違いというのは、時期の違いとも関連があるのではないかと思います。突発性難聴の基本は安静でありステロイド治療であるというのはおおむねそうであると思います。ただ、時間的に少したってきた場合、すでにステロイド治療が行われている場合には、ビタミン剤や血流をよくする薬が中心になることは考えられます。しかし、急性低音障害型感音難聴でも初期で聴力低下が強い場合はステロイドも使用しますし、安静にしておいた方がよいとは思います。逆に突発性難聴という診断でも、ある程度時間がたってきた場合は、いつまでも寝ているわけにもいきませんから、通常生活はOKとなると思います。
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QE113 突然耳が聞こえなくなり11年間耳鳴りとともにすごしてきました。
A <質問>
現在17歳男性。6歳の時、突然耳が全然聞えなくなりました。
その時、病院へ入院しましたが、検査の結果は、「耳は正常です。何の症状も無いです。多分神経性の耳鳴りで、治らない」と言われました。その後11年を耳鳴りで過して来ました。耳鳴りを治すのに何か方法が有りませんか?
<回答>
診療をしていますと、時々「『神経性』と言われた」とおっしゃる方がいます。この「神経性」という言い方には世間的には2つの場合があります。一つは神経細胞もしくは神経線維由来の病気という意味ですね。神経細胞というわけではありませんが、聴こえの細胞由来、すなわち感音難聴を耳鼻咽喉科の医師でも、患者さんに理解してもらうために「神経性」と説明される場合があります。
もう一つは、「精神的な」という意味で説明に使われる場合もあるということです。この場合、耳鳴りについていえば、聴力検査をはじめ、色々な検査で異常が認められない場合であったり、いくつかの検査結果どうしがつじつまが合わない結果であったりした場合、診察する側はこれは精神的な要因に由来するのではないかと考えるわけです。こうした場合、便宜上「神経性」という説明をする場合があります。
さて、ご質問については少し不明な点があります。全く聞こえが悪くなったと書かれていますが、医師からの説明に、「何の症状も無い」とあります。聴こえないのすから「症状がない」わけではありませんね。
この方の場合、「色々な検査をしてみたが、聴力の低下以外に何の異常も認めなかった」という意味でしょうか。そうであれば、全く聞こえないということであれば、診断としては「突発性難聴」であると考えられます。ですので、「神経性」という意味は「突発性難聴による感音難聴とそれに伴った耳鳴りということになります。
突発性難聴後であれば、何年もたっていますので聴力を改善することは現在の医学では難しいと思います。しかし、耳鳴りについては色々と試してみる方法はあると思います。ただし、そのうちどれ位有効かはやってみないとわかりません。現在のところ耳鳴りの治療というのはかなり難しい分野ではあります。また、耳鳴りが改善したからと言って、聞こえがよくなるわけではありません。そのあたりはご理解いただきたいと思います。
どんな方法があるかについては、「耳鳴りの話」をお読み下さい。
また、ここで書いてある治療がどこの医療機関で行われているかについてはわかりません。
最寄の耳鼻咽喉科の先生もしくはインターネット等で探してみてください。
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QE114 「鼓膜の張りが弱い」と言われました。
A <質問>
2歳の息子が耳鼻科で、あおばながでていて、『少し鼓膜の張りが弱いなぁ』と言われました。大丈夫でしょうか?
<回答>
おそらく、耳管狭窄症で鼓膜の奥(鼓室)の気圧が低くなっている状態が長く続いて、鼓膜がのびた状態になっているのだと思います。耳管狭窄症は鼻汁がでていてそれをよくすすっていると起こります。鼻の治療をしっかり行うのと、鼻すすりを極力させないようにする必要があります(2歳の子には中々難しいことですが)。
鼻がよくなれば改善する場合が多いとは思いますが、あまり長い期間続くと元に戻らない場合もあります。その場合、ごくわずかですが聞こえが悪い状態が続くかもしれません。ちょうど高い山に登った時にツーンと聴こえにくい状態を想像していただければよいと思います。
さらに状態がひどくなりますと、鼓膜が奥の壁にくっついてしまう場合があります。これを癒着性中耳炎と呼びます。先述同様軽度の難聴がでる場合があります。日常差し支えない場合もありますが、最終的に将来耳垂れがでやすくなったり、手術が必要な真珠腫性中耳炎に移行するタイプもありますので、経過はよく診てもらっておく方がよいでしょう。
そういう兆しがでてきた場合は、鼓膜の中の気圧を戻すために鼓膜にチューブを入れて外耳道から換気をさせるのも一つです。2、3歳ですと全身麻酔が必要になる場合が多いですね。(その前に鼓膜の切開だけでよくなるか見てみる場合もあるかもしれません。)
必要以上に心配はいりませんが、定期的に経過をみてもらっておく方がよいと思います。耳管の機能は小学校に上がる頃から成熟してくることが多いので、大きくなると心配ない場合が多いですが、この時期を超えて鼓膜がへこんだ状態が続くと、大人にまで持ち越す場合もでてきますので注意が必要です。
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QE115 「耳に水が貯まっている」と言われました。
A <質問>
父親が耳に水がたまると最近頻繁に病院へ行きだしました。はじめは肩こりが原因と薬だけ渡され、数日後症状を訴えると水を抜かれたといい、また今日は水の量がとても多いと言われたそうです。水を抜く時は痛いらしく、それでも原因は肩こりと言われ、抗生物質な何かの薬も服薬していますが、一向に改善せず、逆にひどくなっているようで心配です。先生のQAを読むと滲出性中耳炎かと思うのですが、父の病気の進行度や治療方法など、教えて下さい。
<回答>
確かに滲出性中耳炎が最も可能性が高そうですね。お父様の状態がどうかということは拝見しておりませんのでなんとも言えません。
一般的な話としてご理解下さい。
耳に水が貯まる原因として多いのは鼻の病気(副鼻腔炎やアレルギー性鼻炎など)がある場合が多いのですが、どちらかといえば若い人の滲出性中耳炎ですね。高齢者の方も耳に水が貯まる場合がありますが、この場合は、原因不明といいますか、耳管(耳と鼻をつなぐ管)の機能が弱っていることが多いのではないかと思います。大人の滲出性中耳炎の場合、一つ注意が必要なのは、耳管が鼻の奥に開口しているところに腫瘍ができている場合がまれにありますので、ある程度の経過で症状が改善しなければ、一度はファイバースコープで鼻の奥を確認してもらっておく必要があります。それが大丈夫でしたら、じっくりと治療を行っていけばよいと思います。
治療ですが、色々なステップの治療が考えられます。
まずは、鼻の奥の炎症から鼻粘膜が腫れ、耳管粘膜も腫れて症状がでているという観点から鼻の治療を行います。具体的には、抗生物質や消炎剤、時にアレルギーに対する治療も同時に行います。
それと同時に「通気治療」を行う場合もあります。滲出性中耳炎が治るというのは、中耳にたまった水が抜けてかわりに空気が入らなければいけませんので、逆に空気を強制的に送り込んでその圧で中の水を追い出そうとする治療です。これはされる先生とされない先生がいらっしゃると思います。
そうした保存的な治療で改善しない場合、次に行うのが鼓膜穿刺または鼓膜切開です。細い針のようなもので水を抜くのが鼓膜穿刺で、細い刀で鼓膜を切って水を吸い出すのが鼓膜切開です。一般的には鼓膜の水を抜けばその場で症状は軽くなることが多いです。しかし、鼓膜の穴が塞がるとすぐにまた水が貯まる場合もあります。そうした場合、何度か同様の手技で水を抜くこともあります。しかし、何回も繰り返す場合には、鼓膜を切って(鼓膜切開)からその穴が塞がらないように、小さなチューブを鼓膜に挿入する場合があります。このチュービングでしばらく耳に水が貯まらないようにしておくと、最終的にチューブが抜けたり、チューブを抜いたりして、鼓膜の穴が閉じても再発しなくなる場合が多いと思います。(ただ、中にはチューブがぬけた途端、すぐに水が貯まってくる人も少なからずありますので、再度入れる必要があることもあります。
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QE116 耳かき損傷後の耳鳴り
A <質問>
誤って耳かきで鼓膜に3分の1程度の穴を開けてしまいました。すぐに病院で検査と治療を受けたのですが、耳だれ、軽度の難聴、耳鳴りの症状がありました。抗生物質と点耳薬を処方され、2週間で鼓膜は塞がって耳だれと難聴は問題なく回復したのですが、耳鳴りだけは残ってしまいました。静かな場所にいると常にキーンと高音の耳鳴りが1日中続いていて精神的に不安になってきました。たまに鼓膜の音か分かりませんがポコっと音がします。鼓膜の状態はきれいで問題は無いとのことでした。 医師はおそらく鼓膜損傷の後遺症で今後は1月に1回通院してくださいと特に薬を飲む必要もないとのことでした。現在1カ月が経過していますが状況は変わりません。
<回答>
耳鳴りというのは中々治療が難しいものが多いのが実情です。
この方の場合、耳かきで損傷した時に、内耳にもダメージがあったかどうかは、この文からはわかりませんが、めまいがなければおそらく内耳まで損傷は及んでいないものとは思われます。ただ、損傷後に耳垂れが出ていたとのことで、細菌感染を合併していたと考えられます。これは中耳炎になるわけで、普通は耳鳴りなどがあとに残ることはありません。ただ、中耳炎の炎症が内耳にまで刺激を与えていた場合、何らかの後遺症がのこる場合があるかもしれません。まあ、そういう場合には、多少なりとも難聴が残ることが多いと思います。
もし、内耳にダメージを与えたことによる耳鳴りですと中々厳しいかもしれません。場合によってはビタミンB12製剤や内耳の代謝をよくする薬などを試してみるのもよいかもしれませんが、効果はやってみないとわかりません。
聴力が完全に回復しているのに耳鳴りがする場合、どう考えたらいいでしょう?
一つは「キーン」という耳鳴りの場合、一般的に検査する音域(125Hz〜8000Hz)よりも高い周波数で何らかのダメージを受けている可能性は否定できません。ただ、そうした場合一般的には日常生活に全く差し支えありませんので、通常の聴力検査で問題がなければそれ以上加療は行わないことが多いでしょう。もし、この可能性を考えるならば、一般的な内耳の障害の治療を少し行ってみるのもよいかもしれませんが、たとえばステロイドによる治療は効果と副作用の出現の危険を考えればやりすぎかと思います。
もう一つの可能性は、本来鼓膜の怪我をしなくても、もともといくらかの耳鳴りは誰でもあるのですが、それを今まで意識することがなかったのが、鼓膜損傷、あるいはそれに続発する感染というエピソードを通して、耳に敏感になってしまったという可能性です。私も耳鼻咽喉科医という仕事柄、自分の耳に耳鳴りがあるかどうかを気にしてみることがありますが、「キーン」という耳鳴りは確実にあります。ただ、普段他の用事をしだしたり、別のことを考えたりしますとすぐに忘れてしまいます。ところが、耳に意識を絶えず集中するようになると、どうしてもその音が耳から離れないように感じることはあります。
こうした場合、自分の体の中の音に対して過敏になっているので、どうしても気になった仕事も手に付かない、夜も眠れないというのであれば、少し抗不安薬(俗に言う精神安定剤)のような薬や、軽い抗うつ剤のようなものを処方していただくのも一つかもしれません。そのあたりは、主治医の先生ともご相談されるとよいと思います。しかし、一番大切なのは、あまり耳鳴りに意識を集中しないことです。まあそれができればそれほど苦労はないのですが。
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QE117 聴力異常なしで音が二重に聞こえる。
A <質問>
両耳の奥が原因不明に痛く、腫れたような感覚が一日中続き、夕方はチャイムの音が時々雑音のように聞こえました。翌日、腫れ・痛み感は軽くなりましたが右の耳だけ音が二重に聞こえるようになりました。このほかの症状はありませんでした。その翌日も症状が続いているため、受診し聴力検査もしましたが異常ありませんでした。先生も考えあぐねているご様子で、いろいろ試してみましたが改善されませんでした。ステロイド剤を4日分投与されましたが、いろいろ調べてみるとあまり服用したくない薬のようです。何が原因で、症状は今後どのように推移するでしょうか。
<回答>
これは中々難しく、耳鼻咽喉科の医師の中でも考え方は一つではないかもしれません。以下はあくまで推測です。 「音が二重に聞こえる」という症状は、基本的には内耳の障害だろうと、私は考えます。聴こえの細胞が、所々歯抜けのように細胞がダメージを受けている場合には周囲の健常な細胞が肩代わりをしてしまうのであまり聴力低下が目立たないということがあるかもしれません。この「二重に聞こえる」という症状がは、「補充現象」と呼ばれ、一部の聴こえの細胞に障害が出た場合に、残った他の細胞がその損失を補おうとする機構です。人間はこの機構に適応するところまで進化していないのでこれを不快に感じるのだと思います。
治療ですが、やはり内耳の障害の時の治療に準じるのがよいと思います。ビタミンB12製剤や代謝を改善する薬が中心になります。これらがどれくらい効果的かはわかりませんが、内耳障害の時の基本的な薬剤です。ステロイドについては、聴力が正常ですので、どうしても飲まなければいけないというわけではありませんが、一番効果が期待できる薬だと思います。(実際に効果あるかどうかは保証はできませんが。)基礎疾患や重篤な既往歴がなく、若い人であれば少量のステロイドは短期間であればそれほど重篤な副作用はでにくいと思います(あくまで一般論で、実際には個人差はあると思いますが)。最終的には飲むか飲まないかはご本人が決めればよいと思います。ただ、ステロイドは効果が期待できる時期というのがありますので、ご注意下さい。あまり遅くなると効果は期待できません。
その他の薬としては、メニエール病に代表されるような内リンパ水腫が関与しているという発想からイソソルビドを使用してみるという考え方もできますが、効果の方はやってみないとわかりません。内リンパ水腫であれば低音を中心とした聴力低下が見られる場合が多いので、この場合当てはまるかどうかはわかりません。 なお、耳の奥の痛みや腫れた感覚というのはどうしてか分かりません。何らかの咽喉の炎症で耳の下のリンパ節が反応した可能性もありますがわかりませんし、それと音が二重に聞こえるという症状を私は一元的には説明できません。
今後の予後ですが、これは分かりません。何かの拍子で急に改善する可能性も否定はできませんが、一般的に2,3週間症状が固定しいるようであれば、ある程度この症状を受け入れざるおえないかもしれませんね。
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QE118 耳から血が出てきてめまいがします。
A <質問>
母の症状の話なのですが、耳からまず血膿があり、病院で見てもらった所、鼓膜が波打っているといわれました。大きな病院でCTを撮ってもらった方がいいということでした。その時、検査という事で耳の中の血の塊を吸引したところそのまま、めまいを起こして倒れてしまいました。病院から帰った今も軽くめまいが起こるらしいです。吸引されるまでめまいなどは無かったようなのですが、年を越えてからの診療まで安静にしているだけで大丈夫なのでしょうか?
<回答>
大分時間がたってしまいましたが、その後いかがでしょうか?
お話から推測すると、真珠腫性中耳炎が最も疑われます。この時には、血性の耳だれが出る場合もあるでしょうし、中を吸引しますと、激しいめまいを起こす可能性は十分考えられます。真珠腫は炎症性の病気ではありますが、ひどい場合、骨をどんどん溶かしていきますので、三半規管が侵されるとめまいがしますし、ひどい場合顔面神経麻痺もでてきたりする場合があります。ですので、CT検査でその程度をよく調べてもらって、手術が必要かを検討してもらって下さい。
もう一つ、似たような症状で、可能性はごくごく稀ではありますが、腫瘍(中耳癌など)の可能性も考えておく必要はあると思います。
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QE119 耳そうじをしていたら綿棒に血が!
A <質問>
1歳になる娘の耳そうじをしていたら綿棒に血がつきました。いつも耳そうじを嫌がり大泣きで大変です。
ひょっとして耳が何かあるのかと思い心配になり質問させていただきました。病院に連れて行ったほうがいいのでしょうか?教えて下さい。
<回答>
出血の程度にもよりますので、一概には言えませんが、一刻を争うわけではありませんが、1,2日の間に一度診てもらっておく方がよいと思います。耳の穴の皮膚(外耳道)の損傷であれば、それほど心配はありませんが、傷つけ方によっては鼓膜に穴が開いてしまっている場合があります。
耳の損傷、特に鼓膜に穴が開いてしまったりした場合に、最も気をつけないといけないのは感染です。膿や汁が出てくるようならさらにしっかり診てもらっておく必要があります。
また、ごくまれですが、綿棒や耳かきで鼓膜を損傷した際に、内耳まで損傷する場合があります。その場合、多くの場合めまいや治りにくい難聴が出現してきます。特に損傷後吐いたりする場合は要注意です。
(ただし、鼓膜の損傷や、外耳道の損傷で耳だれや血の塊がたまるだけでも難聴は起こりますので、聴こえについては自覚症状だけでは、どの部分の損傷かはわかりません。) 特に鼓膜に損傷がなく、感染が起こらなければ、1週間ほどでよくなる場合が多いと想います。
なお、小さなお子さんの場合、耳そうじをする際に、あまり痛がらせない方がよいと思います。一度痛みを知ってしまうと次からが大変です。家で取れないと思われれば、あまり深追いせずに最寄の耳鼻咽喉科を受診してください。
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QE120 耳硬化症の手術を予定しています。
A <質問>
近いうちに耳硬化症の手術を予定しているものです。
全身麻酔を希望しているのですが、術前検査で肝機能が上昇していると指摘されたのですが、全身麻酔は可能でしょうか。やはり局所麻酔での手術にしたほうがいいのでしょうか。かなり迷ってます。
<回答>
これは、最終的には主治医の先生と麻酔を担当されている先生とご相談下さい。肝機能低下の程度にもよりますし、その医療機関での手術をされる先生の考え方にもよると思います。
確かに一般的には、局所麻酔の方が全身的な負担は少ないようにも思いますが、患者さんが手術中に痛まないように、全身的にもやや眠くする注射なども一緒に行うことが多いので、必ずしも局所麻酔の方が負担が少ないとはいいきれない場合があるかもしれません。
局所麻酔で行うことの利点は、耳硬化症の場合、硬くなった耳小骨をはずし、かわりに人口の耳小骨や自分の耳小骨を加工して作り変えて置いたりします。この時の細工がうまくいった場合、入れ替えたとたんに聴力がよくなることが多いので、局所麻酔の場合、手術中に確認することができます。逆に、手術中の耳の骨を削る音などが聞こえてきますので、怖がりの人は全身麻酔の方がよい場合もあります。
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QE121 右耳だけ音程が違ってきこえます
A <質問>
1週間ほど前から、右耳がつまっている感じがします。左耳をふさいでピアノの音で確認したところ、チューニングがズレているように、違う音程できこえます。
大音量で音楽を聴いたり、ヘッドフォンをしてピアノをひいたりしていたことで、耳の病気になってしまったのでしょうか?
<回答>
内耳性で聴力が少し落ちている可能性が高いと思います。1週間程度の間に最寄の耳鼻咽喉科を受診された方がよいと思います。早い方がよいと思います。
可能性としては、突発性難聴、低音障害型感音難聴、蝸牛型メニエールなどでしょうか。結果的に中耳性の難聴であれば治りやすいのでラッキーですが、内耳性の難聴は早めに治療しないと治りにくい場合があります。
原因は不明の場合が多いですが、確かに過度の音量で音楽を聴いたりするのは原因になる場合があると思います。
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QE122 鼓膜が厚くなった。
A <質問>
耳掻きのしすぎで鼓膜がレントゲンに写るほど厚くなってしまい。低音が聴き取れず補聴器をしようしています。手術で治す事ができますか。
<回答>
外耳炎、もしくは外耳道の湿疹に伴い、皮膚が分厚くなったものと思われます。
理論的には鼓膜の張替えというのは可能かと思いますが、一般的には行いません。
炎症が鎮まればもう少し皮膚層の腫れがひくと思いますので、根気よく外耳炎の治療を行うことが大切だと思います。
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QE123 妊娠中の抗生物質に関して。
A <質問>
現在臨月の33歳の妊婦です。4日前ほどに風邪を引き、その後中耳炎になったのですが臨月に入っているため薬は点耳薬をいただきました。二日後痛みが治まらず、鼓膜切開を受けました。その後も痛みに耐え切れず2回ほど鎮痛剤(カロナール)を飲みました(産科の先生にも了承済み)。そしてまた1日あけて痛みが治まらず夜中にも痛みで寝れないほどでまた診ていただいて膿を吸い取る処置、消毒などを受け今回は抗生物質(ペニシリン系のオーグメンチン錠)を5日間分出されました。その時に産科の先生に連絡をして「大丈夫」と返事をいただいてから耳鼻科の先生は処方してくれたんですが、やはり「抗生物質」とゆうだけで拒否反応といいますかためらってしまいます。しかし痛みに耐えれず産科の先生にも「大丈夫だから」と言われて飲んではいますが・・。妊婦さんに抗生物質を処方される時などあると思いますが「オーグメンチン錠」は大丈夫でしょうか?色々検索しててもあまり載っていなかったので。御回答お願いします。
<回答>
妊娠中に中耳炎などになりますと、中々心配ですね。私どもも妊娠中の服薬については、基本的には産科の先生と相談の上、ご本人に最終的には決めていただくようにしています。
一般的な話にはなりますが、妊娠中の服薬については次のように考えています。
1)妊娠4週までは、妊娠しないか、薬の影響は完全に修復されてしまうといわれているようです。しかし、不安があると思いますので妊娠の可能性がある方の場合は、最小限の薬とし、それも影響の少ない薬にしておくことが望ましいと考えます。
2)4週をこえますと、今度は絶対過敏期と言われ、最も薬の影響を受けやすい時期だといえます。この時期は特に服薬に気をつけます。極力薬は飲まずにいければその方がよいでしょう。しかし、あまり我慢しすぎますと、今度は回復に時間がかかりますし、より強い、より危険な薬が必要ななる場合がありますので、ある程度様子をみてひどくなるようなら、主治医の先生に相談した方がよいと思います。その場合、まずは妊娠に対して安全性の高い薬を選択して使用することになります。基本的には、効能書に、「有益な時にのみ使用のこと」と書いてある薬を使用します(産科の先生と相談してということになりますが)。
3)妊娠も中期になると安定してきて、相対的危険期となります。この時期は初期よりは薬の影響を受けにくいといわれています。それでも、この時期に服用する薬は、やはり「有益な時のみ使用」という薬を選択します。
4)妊娠後期も基本的には同じような考え方ですが、痛み止めは最も注意が必要です。そんな中ではアセトアミノフェン(カロナール)はかなり安全性の高い鎮痛剤ではあります。
妊娠と薬についてここは参考になると思います。
上のサイトなども参考に、最終的に服薬するかどうかは決定してください。一般的にはオーグメンチンはFDAでBクラス、虎ノ門病院基準でもかなり安全性の高い薬だと思います。
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QE124 一歳児の難聴の手術について
A <質問>
1歳の子どもなのですが、生後すぐの検査から難聴の疑いがあり定期的に診てもらっています。
ここ半年ほど滲出性中耳炎の治療をしていましたが先日鼓膜切開をしてチューブを入れました。
その後の聴力検査で今までよりはいい結果が出たのですが、1000ヘルツや4000ヘルツの音は大体正常に聞こえているのに2000ヘルツの部分だけが50dbくらいという結果が出ています。
こういう難聴の場合は補聴器をつけることはできないらしく、今はしばらくこのまま定期的に聴力検査をしていって後々手術をする可能性もあると聞きました。こういう場合の難聴の手術はあまり小さい子には行われないのでしょうか?
手術せずにすむならそれにこしたことはありませんが、いつかは手術をするのであれば早めにした方が言葉の覚えなどに影響が少ないのではないかと思うと心配です。
<回答>
お子様の難聴がどういうものなのか、文面だけでは判断しかねますが、言葉の問題は一般的な話になりますが、1つの周波数の低下のみではそれほど起こらないのではないかと考えます。生まれつき片方全く耳の聞こえない人もたくさん診ていますが、言葉の障害を感じることはありません。
手術が、どういう手術なのかわかりませんが(やはり、詳細は主治医の先生にお尋ね下さい)、感音性難聴(内耳レベル、聴こえの細胞のレベルでの聴力低下)であれば、普通手術はあまり効果的とはいえません。手術で聴力が改善される可能性があるとすれば、伝音性難聴(中耳での難聴)であり、幼少時からとすれば、中耳の奇形もしくは耳小骨の異常(離断:骨のつなぎ目がはずれていてうまく音が伝わらない状態)が考えられます。この場合、耳小骨のつなぎをうまくもどしてやると聴力がよくなる可能性があります。この場合は手術は急ぐ必要はないでしょう。ただ、確かに一部の周波数のみが聴こえにくい場合、音が歪んで聴こえる可能性はあります。それが、どれくらい言葉の発達に影響を及ぼすのかはわかりません。やはり主治医の先生とまずはご相談下さい。
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QE125 耳鳴りは治らないのか?
A <質問>
昨年10月嘔吐が止らないので救急車にて脳神経外科病院へ搬入され4日で退院、その入院中MRI,MRA,CT、カテーテル検査実した施結果脳は全て異常なしでした。診断は脳出血、くも膜下の疑いとのことでした。
これよりあとに、四六時中耳鳴りが異常に大きく、夜も寝られないので現在は眠剤を服用(医者よりの処方にて)して睡眠をとっています。
また外出も出来ないような状況です。
耳鳴りで耳鼻咽喉科も受診をしましたが耳関係は異常が認められないとのこと。 耳鳴りが続くので今年の1月末に再度MRI,MRAの精密検査を実施したがこれも脳には全く異常なしでした。また神経内科でも相談しましたが耳鳴りは治らないとのこと・・・
本当に耳鳴りは治らないのでしょうか?何か症状を軽くする方法はないのでしょうか?
<回答>
耳鳴りは確かに非常に難しい症状の一つです。
以前耳鳴りについて書いた記事がありますのでご参考にして下さい。
耳鼻咽喉科で検査も受けられていらっしゃいますので、大きな重大な病気はないのかもしれませんが、症状が続いている間は、ある程度定期的に診て貰っておいてください。
その上で、難聴がないのに耳鳴りがする場合を考えますと、もちろん、ある一定の周波数で、聴力低下がある可能性は考えられますが、その他にストレスや過労などがある程度影響を及ぼしている可能性も考えられます。その場合、抗不安薬や抗うつ剤などの方が有効な場合もあります。
また、耳鳴りの治療を受けていただくにあたって、あまり耳鳴りを敵視するのではなく、疲れや緊張などを知らせてくれるモニターのようなものと捕らえるようにしてみてください。そして100%耳鳴りが消えるのを目標にするのではなく、まずはある程度耳鳴りが小さくなることを目標にして普段すごすようにしてみてください。
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QE126 鼓膜が破れたのでは・・・
A <質問>
昨日の夜、子供に耳の奥まで耳掻きで入れられてしまいました。血も耳垂れもでなかったんですが、耳が響き、音が大袈裟に聞こえます。あと口の中が痺れる感覚で舌も痺れています。鼻をかんだら、その耳から空気が出ているようで、温かくなっています。
早急に病院へ行ったほうがいいでしょうか・・・・
<回答>
1秒を争うわけではありませんが、少なくとも数日中に速やかに耳鼻咽喉科を受診してください。
耳かき損傷による鼓膜穿孔が最も考えられますが、そのダメージの受け方はいろいろあります。この方の場合、「耳が響き、大袈裟に聞こえます」という症状が気になります。周りの音が響いて聴こえる場合、内耳にまでダメージを受けている可能性があります。こうした症状にめまいも加わって来るようであればより疑いが強くなります。
もし、内耳にダメージを受けた場合は、その症状によって治療が変わってきます。軽い場合は、ビタミンB12製剤を中心に経過を見ていくだけでよい場合もあるかもしれませんが、時にステロイドを使用した方がよかったり、もっとひどいと入院の上、安静にしていただき点滴の治療が必要な場合もでてきます。また、さらには内耳に穴があいたと考えられる場合は手術が必要な場合もでてきます。
関連痛で痛みを口内に感じている場合が多いのですが、。舌の知覚を感じる神経(鼓索神経)が鼓室の中を走っており、この神経を傷つけてしまった可能性もあります。この神経は、真珠腫性中耳炎の手術でやむをえなく切る場合があり類似の症状が出る時がありますが、3ヶ月程度で改善することが多い様です。ビタミンB12製剤の服用がよいかもしれませんので、主治医の先生とご相談下さい。
耳鼻咽喉科の診察で、鼓膜の穿孔が確認されれば、聴覚に異常を感じる場合は聴力検査を受けておきましょう。内耳レベルで聴力に異常がなければまずは一安心です。たいがいは鼓膜の穴が塞がれば聴こえは元にもどると思われます。ただし、音を伝える耳の小さな骨(耳小骨)をひっかけている場合は、鼓膜の穴が塞がっても聴力が戻らない場合があります。この場合は、聴力低下の程度にもよりますが、はずれてしまった耳小骨を直す手術が必要になる場合があります。聴力低下がある程度ある場合、この耳小骨の問題なのか内耳の損傷なのかを見極めることが重要になってきますが、見極めは簡単な場合もあれば、判断に迷う場合も時にあります。
鼓膜の穴ですが、単純に穴があいただけの場合は、経験的には、早いと1週間、普通で3週間程度で穴が塞がるように思います。3週間程度で傷も綺麗になっても穴が塞がらない場合、そのまま3ヶ月程度経過をみるか、鼓膜にテープなどを張ってふさいでみるようにします。テープを支えにして鼓膜が伸びてくれる可能性があります。テープを張ってもうまくいかない場合、あるいは3ヶ月程度経過をみて(もちろんその間定期的に診てもらう必要はあります)、穴が塞がらない場合、手術的に穴をふさいでもらうとよいと思います。
こうしたケースで最も気をつけておかなければいけないのは感染です。感染を起こして中耳炎になると、ひどいと耳の後ろの乳突蜂巣とよばれる場所にまで炎症をきたすと、中耳炎の手術が必要になる場合があります。洗髪などは、耳に水が入らないように十分に注意してください(主治医の先生にもお尋ね下さい)。
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QE127 外傷性鼓膜穿孔後の耳漏
A <質問>
主人が一週間ほど前に耳をつき鼓膜を破ってしまいました。
病院で診察してもらいましたところ、鼓膜が破けている状態で、処置をしていただきました。
2週間後にまた来てください。万一、まだ再生しないようなら手術します、とのことでした。
3日後、少し血の混ざった、黄色い透明がかった色の液体が出てくるようになりました。5日後に再び病院へ行きましたが化膿しているようで、点耳薬と飲み薬も処方してもらいました。
今は黄みがかった透明の液体になり量は少しは減ってきています。
1)治る過程でその液体はでてきてるのでしょうか?
2)鼓膜の奥から液体が出てるようなのですが、鼓膜が再生する時には鼓膜の奥のその液体はなくなりますでしょうか?
3)耳が聞こえにくいようですが元のように聞こえるようになるのでしょうか?
4)喫煙するのですがだいじょうぶでしょうか?
5)どのような食事が良いのでしょうか?
<回答>
1)一般的には外傷によって鼓膜が破れた場合、ごく最初は出血がありますが、その後にそういった液がでてくることはありません。やはり感染で炎症を起こしている可能性が高いと考えます。
2)耳だれが出ている状態では、穴はある程度の大きさまでは小さくなる可能性はありますが、完全に閉じることは少ないと思います。ただ、急性中耳炎の時にわざと鼓膜を切開することがありますが、その場合、まだ炎症が鎮まっていなくても鼓膜の穴が塞がってしまうことはよく経験しますので、中に炎症が残っていても塞がる場合はあると思います。そうした場合、多少聴こえにくいのが残る場合があります。(ただし、この難聴は中の液が消失したら改善します。)
3)難聴が治るかどうかですが、炎症もおこさずに自然に閉鎖してくる場合、多くの場合聴力はもどります。穴が中々塞がらない場合、穴を塞ぐ手術を行えば、概ね聴力は戻る場合が多いと思います。ただし、ここで一つ注意が必要なのは、最初の鼓膜が損傷した際に、鼓膜が損傷しただけかどうかということです。損傷がもっと奥の内耳にまで及んでいる場合はなんらかの内耳に対する治療をあわせて行わないと聴力は回復しない場合があります。(内耳の治療を行っても難聴が残る場合もあります。)また、鼓膜の損傷の際に、中耳に存在する音を伝える骨(耳小骨)に損傷が及んでいる場合は鼓膜の穴が塞がっても難聴が残る場合があります。これは最終的に手術にて音を伝える骨をつなぎなおすことである程度聴力は回復する場合があります。
4)喫煙はこの件に関しましてはあまり関係はないと思います。ただ、内耳に影響がでているような場合には加療の妨げになる可能性は多少あります(血流を悪くするため(推測))。
5)食事はそれほど影響はないと思います。ただ、感染を起こした場合、飲酒は炎症を長引かせる可能性があると思います。
外傷による鼓膜穿孔の場合、最も気をつけなければいけないのは、やはり感染です。耳に水が入らないようにご注意下さい。
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QE128 生まれつき片耳がふさがっています。
A <質問>
生まれつき片耳がなく、耳の穴も開いていません。小学校の時に自分の体の一部から人工の耳を作ったのですが、変な形です。今まで隠してさまざまなところで生活してきました。私はもう17歳になってしまいました。せめて外見だけでも普通になりたいのですが今から手術を受けることは可能でしょうか??こういう手術は若いうちでないとできないのでしょうか?
<回答>
先天性外耳道閉鎖症と小耳症による治療を受けられたものと思われます。
昔は耳鼻咽喉科ですべて治療を行ってきた時代がありましたが、現在では外耳道閉鎖症は耳鼻咽喉科で、耳介の作成は形成外科で分担して治療を行うことが多いと思います。
「小耳症」で検索すると治療法について書かれたホームページがいくつかでてくると思いますのでご参考にしてください。
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QE129 左耳からの電子音のような音がします。
A <質問>
4日ほど前から、左耳の様子がおかしいです。耳が張ったような感じ(トンネルに入ったときみたいな)とピとかポとかの電子音が周りの音と共鳴して聞こえてきます。たまに、周りの音がそのまま左耳のそばから2重に聞こえてきます。以前から右耳の耳鳴りがあったのですが(ピーという音とジー、ジーという音)病院にいっても難聴ではないので大丈夫と言われただけでした。今回の左も病院で相手にしてもらえないかも、と思い行けません。
結構ストレスなのですが、病院は行ったほうがいいのでしょうか?
<回答>
一応基本的には、「音が二重に聞こえる」という症状は内耳の病気を念頭においておく方がよいと考えます。
聴力検査で難聴が認められなかったのは、あくまで推測ですが、現在の医学ではうまくひかからなかったというだけなのかもしれません。8kHzよりも高音で聴力が落ちているとか、検査をする周波数の間の狭い音域でのみ聴力が落ちていたとかいう可能性は否定できません。ただ、それは逆に言えば(心理的には負担があるとはいえ)日常生活にはあまり影響はないと考えられると思います。
しかし、前回聴力に問題がなかったからと言って、今回も問題がないとは言い切れませんので、症状がでてきたらその都度きちんと検査を受けておかれる方がよいと考えます。
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QE130 外リンパろうの可能性について
A <質問>
一月前から突発性難聴と診断され、治療を続けています。ステロイドを服用すると2、3日でよくなるのですが、ステロイドが切れると症状が戻ります。
発症当初から耳鳴り、めまいはなく、ただ耳が詰まった感じ、音程が低く聞こえ、かつ聞こえにくいという症状です。日常生活に支障はありません。発症を認識したのは家族とは会話をしているときで、次の日の朝、よりはっきりと感じ、その日に受診しました。
以前から摂食障害があり一日一回程度過食嘔吐してしまいます。
また職場は高層ビルの上の方で、毎日最低2回は高速エレベータにのります。
上記の症状で外リンパろうの可能性はあるでしょうか。
<回答>
ある日急に、それも何時何分というレベルで難聴を自覚したことからすると、まずは突発性難聴と診断されることは妥当だと思います。
ただ、突発性難聴はあくまで原因不明のものをいい、検索の結果他の病気であることがわかる場合は時としてあります。確かに外リンパろうも突発難聴の原因の一つであります。
ただ、外リンパろうを実際に診断することは非常に難しいものです。実際には手術で中耳と内耳の境界付近を丹念に観察するしか確定診断をつけることができない場合も多々あります。
そんな中、外リンパろうを疑わせる症状がいくつかあります。1)急な難聴が生じる前に「ポン」というような音(Pop音)を聴いたと患者さんが話された場合。2)急な難聴を引き起こすきっかけとして、強く力んだる重いものを持ったりした時である場合。3)聴力の変動がある場合(ただし、聴力の変動はメニエール病でもみられます)。4)難聴の生じるきっかけとして、ある程度の強さで頭をぶつけた既往がある場合、などなど。
ご質問の方の場合、高層階への上がり下がりがあるとのことが、多少気になりますが、それ以外はあまり積極的に外リンパろうを疑うことはないようにも思います。
ステロイドを服用するとすぐよくなるが、やめるとすぐ繰り返す場合、その事実から、ステロイド依存性感音難聴である可能性があります。これは、症候上の病名ですので、外リンパろうや、メニエール病、突発性難聴を否定するものではありません。
ステロイド依存性の難聴をどう考えるのでしょうか?一つは聴こえの細胞のダメージがかなり強いのではないかと思うのです。そうした場合、ステロイドを減量するスピードを落としてゆっくり止めていく必要があります。そうなると副作用の出現を懸念しながら行かなければいけません。もう一つは免疫の関与する可能性です。この場合もステロイドの減量を副作用がそれほどなければ通常よりもややゆっくりめに行う方がよい場合があります。
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QE131 音がモールス信号のように聞こえる
A <質問>
17歳の時に朝起きたら突然、片耳だけ周囲の音がモールス信号のような「ピーピー」という電子音に聞こえるようになった事がありました。ちょっと椅子を動かした時の音から人の喋り声まで、頭に響くとても大きな電子音に変換されて聞こえてきました。特に子供の高い声には我慢できないほどで、すごく気持ち悪くなりました。それでもそのうちに治るだろうと思い、耳栓をつけながら生活していましたが、3日たっても一向によくなる気配が無かったので、地元の耳鼻科病院に行って検査をしました。その結果、その片耳だけ著しく聴力が落ちてるという事と、現在では原因不明の病気ですと言われ抗生剤をもらいました。その日から抗生剤を服用する事で3日くらいかけて徐々に正常に戻っていきました。友達に話すとストレスからくる「何か」なのではと言われましたが実際のところはどうなのでしょう?またこういったケースは結構あるのでしょうか?
<回答>
これは実際に聴力や鼓膜を見ていないのでなんとも言えません。その上で、推測されることをお話しますが、的を得ているかどうかは分かりません。
「聴力が落ちていて原因不明の病気」という説明から推測するには突発性難聴であった可能性があります。突発性難聴のような内耳の病気の場合、患者さんは「周囲の音が割れて聞こえる」とよく表現されます。あるいはさまざまな耳鳴り(キーン、ワーン、ジー、ジャンジャン・・・などなど)を自覚する患者さんも数多くいらっしゃいます。モールス信号の様な音というのが、果たしてそれかどうかわかりませんが、一つの考え方として内耳が急なダメージをうけた可能性が考えられます。そして、この突発性難聴の(原因は不明ですが)誘引としては、ストレスも関係すると考えられます。
ただ、一つ引っかかるのは、「抗生剤を処方された」ということです。一般的には突発性難聴に抗生物質は用いません。ただし、突発性難聴の原因は現在のところはっきり断定されてはいませんが、似た様な治療(つまりステロイド治療)を行う病気の一つに顔面神経麻痺があり、この病気の原因の一つとして候補に挙がっているものの中にヘルペスウイルスによる感染(もしくは昔感染していたウイルスが体力の低下に伴い出てきた)があります。そういう観点から、抗ウイルス剤を処方されたというのは考えすぎでしょうか。この抗ウイルス剤も広い意味では抗生物質とも言えますから、可能性はあると思います。
もう一つの可能性として、やや可能性としては低いのですが、滲出性中耳炎であった可能性です。滲出性中耳炎では、時に「ピー」という耳鳴りを訴えられる患者さんがいらっしゃいます。その音がモールス信号に似ていたとい可能性ですね。滲出性中耳炎の場合、治療としては鼻をよくすることなので、抗生物質を処方されるということはよくあります。ただ、「原因不明」という説明をされるかどうかはわかりません。
あとは、突発性難聴で処方された薬がステロイドだったのが、抗生物質だと記憶違いされているか、ですが、これは少し考えにくいですね。あるいは、耳の症状とは別に耳・鼻・のどのどこかに何らかの炎症がたまたたまあって、そちらの治療目的で抗生物質が処方されていた可能性もあったのかもしれません。
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QE132 耳の奥でカタカタいう
A <質問>
階段を降りるときなど、振動があるときに、右耳の奥がカタカタいうようになりました。始まったのは2週間ほど前です。放っておいてもよいものでしょうか?
<回答>
この質問に限らず、「放っておいてよろしいでしょうか?」というご質問をよくいただきますが、拝見していない以上、放置してもよいとは言えません。ご相談されるということは、もうその時点で耳鼻咽喉科を受診していただいてもよいかと考えます。ここでのお答えはあくまで可能性として、参考程度として下さい。
さtげ、お尋ねの件ですが、最も考えられるのは、鼓膜に耳垢が付着しているようなケースです。その他としては、疲れたときにまぶたが痙攣するようなのと同じような鼓膜の痙攣のようなものがあるかもしれません(あくまで推測です)。
耳垢の有無をまず見てもらうといいでしょう。
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QE133 スキューバダイビング時の耳の痛み
A <質問>
耳ヌキがうまくできないのは、耳の病気は関係あるのでしょうか?特に右耳のみダイビング時の痛みがつよく、海から上がったあとも耳に水が入った感じが1日抜けませんでした。痛みは少しづつ減少してますが。。。
これから続けても病気にならないか、聞こえならなくならないか心配です。
<回答>
耳抜きができない場合、ダイビングは無理にはしない方がよいと考えます。症状がひどくなりますと、内耳への影響がでることも念頭においておかなければなりません。もし、急性の内耳障害が生じた場合、めまいや平衡障害がおこることもあり、水中での発症は命にかかわることもでてくる場合があります。また、永続的な難聴が生じる場合もあります。
潜水に関してはあまり早くすすめない。耳抜きができない場合はそれより深くは潜らない。これは徹底してください。
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QE134 大丈夫でしょうか? 診てもらった方がよいでしょうか?
A <質問>
以前より色々な症状に対して度々このようなご質問をいただきます。 これは、いくら言葉で説明していただきましても、見てみないとわかりません。また、一見しただけではわからない場合もあります。そういう場合は、経過を定期的に見ていく必要があります。 ですので、こういうご質問にはお答えすることができません。
本来、ご質問をいただく様な症状が出現した時点で診察を受けていただく方がよいと考えます。

どういう病気の可能性があるかということは、時にお答えさせていただいておりますが、一般的なお話として読んでいただきたいと思います。 このQ&Aで診察を受けた方がよいかどうかを指示することはできません。あくまで、読まれる方が診察を受けるための判断の一つの材料として、あるいは今後の治療への一つのてがかりの一つとしてご利用いただくためのものとお考え下さい。 また、インターネットでは他にもたくさんの先生が色々な情報を提供されていますので、当ホームページだけで判断するのではなく、多方面より情報を取得して総合的に判断していただきたいと思います。
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QE135 左耳の奥から『キーン』と言う音が鳴り続いている
A <質問>
今朝起きたときに左耳が聞こえにくくなり、綿棒で耳の掃除をしたが余り変わらなかったので気にしないでいましたが、夕方から突然、左耳の奥から『キーン』と言う音が鳴り続いています。聞こえなくなってしまうか心配です教えてください。
<回答>
やはり一番用心しておかなければいけないのは突発性難聴です。もしくはそれに近い急性の内耳の病気です。
「キーン」という耳鳴りは普段でも時に感じる場合がありますが、普段は長くても数十秒で消えてしまいます。こういうものは問題ないと思われますが(そうしたものでも、あまり頻繁に起こるようでしたら、やはり診てもらってもよいとも思います)、持続する耳鳴りは特に気をつけておいた方がよいと思います。
1秒を争うものではありませんが、数日の間に受診されるののがよいと考えます。もし突発性難聴であった場合、1週間からせいぜい2週間以内に治療を行わないと聴力がおちたまま固定される危険があります。
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QE136 鼓膜の凹みと、水が溜まる症状について
A <質問>
今年の3月、耳が塞がった感じ(強く感じた)と、聞こえの悪さがあり耳鼻科を受診したところ、「鼓膜が凹んでいる・水が溜まっている」と言われました。3,4年前にもそのようなことがありましたが、一回の治療で治りました。もともと気圧の変化に弱いらしく、普段から軽く詰まった感じはありました。暫らく治療を受け一度は落ち着きましたが、7月下旬に再度同じ症状が出てきました。風邪をひいたのが一つの原因だろうと言うことでした。 はっきり診断名は言われていません。
また、現在『痒疹』で治療を受けていますがアレルギーとの関係はあるのでしょうか?
<回答>
「鼓膜がへこんでいる」とか「鼓膜が倒れている」というような説明を受けられることが多い病気は「耳管狭窄症」だと思います。「水がたまる」というのは、中耳に水がたまるのと内耳に水がたまるのでは意味が変わってきますが、鼓膜のへこみとの関連でいえば、これは中耳に水がたまったことを意味し、「滲出性中耳炎」という病気だと思います。(「内耳に水がたまる」というのは、正確には、本来内耳は内リンパ液という水があるのですが、それが過剰になり圧があがっている状態のことをいい、メニエール病とその関連の病気になります。)
この耳管狭窄症と滲出性中耳炎は親戚関係にある病態なので、同時におこることもありますし、鼓膜のへこみが強くなった結果水がたまってくるというような場合もあります。
いずれにしても、これは「耳管」と呼ばれる耳と鼻をつなぐ管の調子が悪いことから起こります。調子が悪くなる原因としては、感冒、鼻炎、副鼻腔炎、アレルギー性鼻炎などが強く関与しています。(ごくまれに鼻の奥(上咽頭)に腫瘍ができている場合もありますので長引く場合はその部分の精査が必要です。)
「痒疹」との関連ですが、アレルギーが関与するものであれば、アレルギー性鼻炎が関係する場合があるかもしれません。
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QE137 サーフィンで人と接触して以来目が回ります。
A <質問>
サーフィン中人と接触(左耳部)して目が回り、その後海中から海面に上がる動きのとき目が回ります。耳の中にも水が入り 多少は抜けたのですが、まだ閉塞感が残っています。
<回答>
いくらか時間がたってしまいましたがいかがでしょうか?
実際には中を見てみないとなんとも言えませんが、めまいがする様なら、やはり早めに一度診ていただく方がよいでしょう。
サーフィンに限らず、スポーツなどでもそうですが、耳を強くぶつけた後に耳閉感が生じた場合、一つ気をつけておかなければならないのは、鼓膜が破れていないかどうかということです。平手打ちなどでも鼓膜は破れますが、ボールが耳に当たった場合などでも当たり具合によっては鼓膜が破れる場合があります。特にサーフィンなどの場合、中がぬれている場合がありますので中耳炎を起こす危険がありますので、耳閉感や難聴などの症状があった場合には速やかに一度耳鼻咽喉科の診察をうけておいた方がよいと思います。
まためまいがするという場合、内耳にダメージを受けている場合がありますのでやはり速やかに診てもらってください。
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QE138 耳のカビと診断されたのですが。
A <質問>
病院で耳カビと診断されましたが、薬局で出せるお薬はないので、定期的に外来してくださいといわれました。
友人が以前、他の病院で耳カビと診断された時は、毎日お薬をぬって「治った」と聞きました。カビの種類もあるのでしょうが、自分で塗るお薬はないのでしょうか。
<回答>
梅雨時から夏の時期には外耳炎が多く、この外耳炎でもじゅくじゅくするような場合にはカビがつきやすくなります。一般的には黒カビと白カビが多く見られます。また、時にカンジダと呼ばれるカビの一種がつく場合もあります。
外耳道のカビの治療ですが、飲み薬は一般的にはあまり使いません。カビに対するのみ薬というのも一般的にはありますが、白癬菌(水虫など)に対するものが多く、耳に付着する真菌とは違うこともあり、また耳のカビの場合は、皮膚の表層に付着するものが多いため、手間をかけてきれいにしていくだけで改善する場合が多いのであまり内服薬は用いません。
こうした耳のカビに対する薬剤ですが、外耳道のカビに対して適応がきちんと通っているものはほとんどないため、使える薬はないと言われたのかもしれません。ただ、他の皮膚の部分に使われる塗り薬や液の中には有効なものがあり、医師の裁量の範囲で使用しているのが現状と思われます。
実際私の経験ではクロトリマゾール(商品名エンペシド)の液やクリームは比較的よく効くように思います。が、人によってかぶれ易い人もいらっしゃいますので、処方されない先生もいらっしゃるかと思います。
また、外耳道の奥の方はやはり前述のごとく丁寧な清掃と消毒が一番大切であり、ある程度定期的な受診が必要になると思います。
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QE139 慢性中耳炎手術と耳管開放症
A <質問>
長年慢性の中耳炎にかかり、先生のすすめで、鼓室形成手術っをしましたが,術後から嚥下のさい鼓膜にバコバコ空気が抜ける様な音で、退院の日に歩いている時開放しました。バコといって其のまま自分の呼吸音がゴーゴーと聞こえました 1〜2分位で直りましたが その後も1日おき位に数秒開放します.鼓室形成の手術の前に 開放症が有るのか確認しないで手術するものなのですか・・?
<回答>
そうですね。一般的には慢性中耳炎の手術前に開放症があるかどうかをチェックすることはしない医療機関が多いと思います。
といいますのは、一つに耳管開放症の診断自体が難しいことがあります。最近でこそ耳管機能検査ができる機械というのも出てきていますが耳管を専門に外来をされているような所でされている程度で、まだまだ一般的ではないと思います。その他に診断する方法としては、鼻をつまんで唾液を飲み込んだり深呼吸をする際に鼓膜の揺れがおこるかどうかをみることでもある程度判断できる場合がありますが、これは鼓膜が正常の場合であって、慢性中耳炎のような場合、たいてい鼓膜に穴があいているのでこの検査はできません。
またこうした検査には、症状があっても検査が陰性になる場合(偽陰性)や症状がなくて(結果的に手術後も症状がでないような人)も、検査結果が陽性にでる場合(偽陽性)が必ず一定の割合でみられると思います。そうした場合、手術をどうするのかということになります。現在のところ、いくら耳管開放症があったとしても、慢性中耳炎を治療する方が有益性が高いと考える耳鼻科医がほとんどではないかと思います。まあ、こうした考え方は時代とともに変わってくるかもしれませんから、今後慢性中耳炎の手術をされた人の中でご質問の方のような人が多くなってきた場合、それでも手術をするかどうかは患者さんに選択していただくようになってくるであろうとは思います。
また、こうした術後の状態は手術をしてみないとわからないともいえます。といいますのは、慢性中耳炎の手術をすることで、中耳から耳管に移行する部分の粘膜の腫れがひいてくるので、手術後耳管開放症の症状が出現してくるということも考えられます(あくまで一つの可能性ですが)。そうした場合は、手術前に耳管開放症の検査をしても意味がないかもしれませんね。
さて、こうして出現した耳管開放症ですが、時間の経過で改善する場合もあるのではないかと思います。どうしても手術というのはストレスですので、多少体重減少などもきたしやすいでしょうから、本来もともとその素因があった人が、こうした手術がきっかけで症状がはっきりでてくるということも考えられます。そうした場合なら、しばらくして普段の生活に戻っていくと症状が焼失していく可能性もあると思います。
しばらく経過をみていただき、それでも症状が改善しない場合、主治医の先生とご相談いただき、開放症の治療をしてみるのも一つかと思います。開放症の症状もひどくなるとつらいものがあるかとは思いますが、慢性中耳炎を放置しておいて悪化することを考えると、ごく一般的な話となりますが(個々のケースでどうとは言えませんが)、耳管開放症があったとしても手術は受けられる方がよいのではないかと思います。
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QE140 片耳が全く聞こえません。
A <質問>
主人は小学校くらいから現在(32歳)まで、片耳が全く聞こえません。原因はよく分からないようなのですが、小さいころによく母親に耳かきをしてもらっていたそうなのですが、それがすごく痛かったそうです。今は痛みがたまにあるようで、耳垂れもたまに出ています。主人は慣れてるから気にしてないと言いますが、やっぱり両耳聞こえるのと方耳だけしか聞こえないのでは全く違うと思うので、 なんとか治してあげたいと思うのですが、やっぱり手術しか方法はないのでしょうか?そしてその費用とはどのくらいかかるのでしょうか?教えて下さい。
<回答>
これはお話だけでは、正しくお答することができません。やはり診察をして、聴力検査もしてみないとどういう難聴なのか、手術が可能な難聴なのかもわかりません。
お話から多少推測するとすれば、耳だれが出てくるとのことから、慢性中耳炎で鼓膜に穴があいている可能性があります。そういう難聴の場合、鼓膜の穴をふさぐ手術をすれば聴力がよくなる可能性はあります。ただ、慢性中耳炎もひどかった場合、内耳まで傷んでいると鼓膜の穴をふさいでも聴力はそれほど回復しません。
手術の金額ですが、これはどういう手術をするか、鼓膜を閉じるだけの手術か、耳の後ろの汚れた所も掃除するかといったことでも金額は変わってきます。また、何日入院するかによっても変わってきます。こうしたことは、実際に手術をしていただく医師におたずねください。
なお、他の原因で難聴がある場合、たとえば先天的に内耳の発育が悪いような場合には手術の適応はありません。
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QE141 スポーツ時の耳の閉塞感。
A <質問>
若い時からスポーツで夏場の激しい練習の時に、後半ぐらいになると耳の閉塞感、自分の声が頭の中で響く、鼻で息をすると自分の鼻息が頭の中で響く、といった症状が現れ、練習が終わりしばらくすると治っていました。
先日インターネットで「耳管開放症」という同じような症状を見つけあわてて耳鼻科に行って来たところ、耳の中と鼻の中を見ただけの簡単な検査で「耳管狭窄症」だといわれ、スポーツも続けても良いと言われました。
そんな簡単な検査でこの二つの病気の区別がつくのかが一つ目の疑問で、先生の言われるとおりこの先もスポーツをやってもいいのか、何度もなっていると悪化することはないのか、というのが二つ目の疑問です。
もし「耳管開放症」なら根治が難しいとネットで書いてありましたので、もしそっちの方ならと思うと怖くてスポーツができません。
<回答>
お話から推測しますと確かに耳管開放症の可能性が高いと思います。ただ、この病気は最近大分注目されてきましたが、まだまだ耳鼻咽喉科医の中でも診断をつけるのは難しい部類の病気だと思います。
それは、一つには中々検査が難しいことがあります。耳管機能検査の機械というものもありますが、まだまだ普及していません。唾を飲み込む時の鼓膜の動きで判断できる場合もありますが、あくまで参考です。また、耳管狭窄症との鑑別ですが、これが中々一筋縄でいかない部分があります。確かにティンパノメトリーという機械を使って簡単に狭窄症があるかどうかわかります。ただ、開放症をもった人の中にもティンパノで狭窄を示す検査結果(C型)を示す人がいます。相矛盾するような感じがしますが、開放症の人は自分の声が響くいやな症状を消すために無意識に鼻すすりを行って耳管狭窄症と同様の状態を作り出している場合があるからです。実際、診察をしていても狭窄症なのか開放症なのか判断に迷う場合は結構あります。
スポーツを行うと症状が出現するという人は結構あるのではないかと思います。これは一つに発汗によって脱水傾向が生じ、耳管粘膜の腫れぼったさがとれてしまうのではないかと思います。ですので、水分をしっかりとっておくことが肝心かと考えます。また、「根治が難しい」といえば、確かにそうかもしれませんが、それはそういう体質というとらえ方、耳管開放症を起こしやすい粘膜、骨格であるととらえる方がいいのだと思います。痩せすぎたり、脱水傾向があったり(あと多少ストレスなども関与しそう印象はありますが)、そういったことで症状が出たり消えたりしているものと思います。また、そのことと、何度もなることで悪化するかということは関係ないのではないかと思います(これはあくまで私信ですが)。
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QE142 鼓膜の内側の空気圧についてと耳の下の腫れ
A <質問>
自分はよく昔から、くしゃみやあくびをすると耳とのどをつなぐ管が開き、呼吸時の音が中から聞こえたりします。今度はそれを直そうと、口を閉じ、鼻をつまんで息を吸い込むようにして開いた管を閉じていました。
ここ1,2年では唾液を飲み込んだだけで内耳内の管(註:これは耳管と思われます)が開いてしまい、自分で鼻をつまんで中耳内の空気圧を下げて閉じるを繰り返していました。急激な圧力変化で平衡感覚がずれてまっすぐ歩けなかったり、しばらく聞こえる音が小さくなったりもして痛みもありました。
ですが今年の10月5日にその耳とのどをつなぐ管が開き安い方の耳の下(右下顎の骨の下)に5センチぐらいの腫れた塊のようなものが出来て、食事や会話などのあごを動かすとき、上記の中耳内の空気圧が変わったときなどに強く痛むようになっています。
何か悪い病気なのでしょうか。
<回答>
これは2つの事象を分けて考えるべきでしょう。
前半の部分は耳管開放症の症状が一番疑われます。ただし、平衡感覚がおかしい感じというのは、内耳に何らかのダメージを与えているのかもしれませんので、一度最寄りの耳鼻咽喉科で聴力検査や、場合によって平衡機能検査も受けられてもよいかと思います。まあ、一時的なものであれば大丈夫かもしれませんが、あまり無理な中耳の気圧の変化をおこさせない方がよいと思います。
お話の後半部分、耳(顎?)の下が腫れたと言われることに関しては、耳管開放症とは別に考えるべきで、リンパ節の炎症や何らかの腫瘍なども考慮していく必要があり、続くようであれば早めに耳鼻咽喉科で診てもらってください。
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QE143 滲出性中耳炎と言われました。
A <質問>
私は、現在ペルーに住んでおります。滲出性中耳炎に対する治療として鼓膜切開をすすめられましたが、この手術の説明がよくわかりませんでした。全身麻酔をしてから行うそうですが、それほど大がかりな手術でしょうか。また、この手術を受けなかった場合は、その後大きな病気になってしまうのでしょうか?
<回答>
医療状況は国によって大きくちがうので外国に滞在されている方は大変ですね。
滲出性中耳炎に対する鼓膜切開術はポピュラーな手技であり広く行われていると思います。
これは、鼓膜の奥(中耳)に水(一般的には滲出液と呼ばれる染み出てきた液体や、中耳炎のなごりで残っている膿の残りなど)が飲み薬や場合によって通気療法という空気を強制的に送り込む治療などおこなってもよくならない場合に次の方法として行う治療方法です。この鼓膜切開で中の水を吸い出すのと換気を行います。これでも鼓膜の穴が閉じてしまうとまた溜まってくる場合にはチューブを留置して穴がふさがらないようにする手術(チュービング)もあります。
ただ、鼓膜切開を全身麻酔で行なうのが普通かどうかは外国のことはわかりません。
日本国内での私の印象についてお話しますと、普通の成人の方でしたら鼓膜切開は局所麻酔で行うのが普通だと思います。幼児の場合はあまりに激しく動いて嫌がる子どもの場合は全身麻酔で行うこともあるかもしれません。また、局所麻酔薬に対してアレルギーがある人でも同様に全身麻酔で行う場合はあるかもしれません。しかし鼓膜切開については手技的には一瞬に近い程度の時間ですので、しっかり身体や頭を固定して麻酔なしで切開する場合もあると思います。
もし全身麻酔まで必要であれば、いっそチュービングまで行うことが多いように思います。
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QE144 風邪のあと、全ての音程が低く聞こえます。
A <質問>
数日前風邪(熱・喉の痛み・咳・鼻水などの症状です)をひいたのですが、熱が引いた次の日に学校へ行ったらチャイムの音に違和感を感じました。最初は気のせいだと思っていたのですが、テレビの音も、普段聞く音楽も全て音程が低く聞こえます。
音が聞こえにくいとか、そういったことはなくただ音程だけがいつもと違うのです。
周りには、風邪のせい、鼻のかみすぎだと言われ、しばらくすれば治るかと思い2・3日様子を見ていましたがなかなか治る気配が無く、心配になってきました。
これは風邪の症状の1つなのでしょうか?それとも耳鼻科などに診てもらった方がいいのでしょうか?
治療が遅れた場合治らなくなったりするのでしょうか?とても不安です。
<回答>
これははっきりしたことは言えないのですが、一つ可能性があるのは薬剤との関係です。
インターネットでうまく検索すると出てくるのですが、「フラベリック」という咳止めの薬には、時に音階が半音もしくは半音まで行かないけれども低く聞こえるという症状がでる場合があるようです。
これは私も数年前まで全く知りませんでした。少し前まで効能書などにも書かれていませんでした。現在は"聴覚異常(音感の変化等)"という項目が追加されているようです。インターネットで見ていますと絶対音感を持った人で、この薬を飲んだ人に多いようで、多くの人には異常は感じられないようです。このため副作用としては認識されていないのかもしれません。ですので、このことは医師でもあまり知らない人が多いと思います。
私もこのことを知ってから、一人だけ同じように言われる患者さんに出会ったことがあります。やはりこの薬剤を服用されていました。
インターネットでの情報ですので完全に信じることはできないかもしれませんが、この薬剤による場合、中止すれば1,2週間で回復すると書かれていた方がありました。もし、この薬を飲まれているようでしたら、一度中止してみてください。
ただ、一部には、「風邪で熱がでたらそうなる」と書かれているのも見ましたので、薬ではなく風邪の症状で出ている可能性も否定はできません。
なお、この症状は、「テグレトール(カルバマゼピン)」という薬(うつや三叉神経痛などで使用)でも起こるようです。
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QE145 右耳の聞こえ方が悪くなると左耳に影響がでますか?
A <質問>
週に3回程度、朝目覚めると、右耳に水が入ってるような感覚がし、換気扇の音や飛行機の音が、やけに大きく聞こえることがあります。
たいてい夕方には気にならなくなるのですが、程度がひどいと、左耳の低音の聞こえが悪くなります。と同時に、左耳に聞こえる音が、二重に(笛の音のような音で)聞こえます。
耳鼻科に通っていますが、この症状を訴えても左耳の低音の聞こえが悪いという聴力検査の結果でしか判断してもらえず、右耳についてはなにも言われません。
5回目の診察で、メニエールと言われ、イソバイドを飲んでいます。このままでは、なんだか納得がいきません。
<回答>
お話から推察すると、両側のメニエール病の可能性があると思います。(あくまで推測ですが。)
ただ、めまいやふらつきがでていないであれば、現在の診断名としては、「両側変動難聴性感音難聴」と呼ぶべきかもしれません。ただ、これは読んで字のごとく並べただけの病名ですね。この病気の本態は、現在も研究中でしょうが、おそらくメニエール病とオーバーラップする部分が多いと思われます。メニエール病の典型例は、回転性めまい、低音部を中心とした難聴・耳鳴り・耳閉塞感ということになり、一般的にはどちらか片方の耳でおこります。しかし、片側のメニエール病だと思われた人の中で反対側にも症状がでる人が、(報告者によって多少数値は異なりますが)30%程度あると言われています。ですので、両側メニエール病というものも結構あります。
さて、この方ですが、症状と聴力が一致しないので納得できないようなのですが、・・・これは私も長く外来をやっていますと似たような症状を訴えられる患者さんが時にいらっしゃいます。
症状は低音の耳鳴りであったり、音が二重に聞こえたりといった、感音難聴を想起させる症状であるにもかかわらず、聴力検査をしても異常がない場合や、聴力検査をしてみると訴えられている症状とは反対側の耳の聴力が低下している場合など、うまく説明できない場合がまれにあります。
どうしてそうなるかはこれからの研究を待つとして、こういう患者さんの経過をみていますと、もちろん、そのまま良くなる方もいらっしゃるのですが、中にはその後しばらくして聴力が低下し始める人もいらっしゃいます。
ですので、基本的にはメニエール病の治療でよいのではないかと思います。飲み薬は右耳だけ、左耳だけに効くというわけではありませんので。
もちろん、色々な検査所見を拝見しているわけではありませんので、正しいかどうかはわかりません。場合によったら、より詳しい検査をしておいた方がよいような場合もあるかもしれません。気になる症状があったら、そのつど主治医の先生にご報告してご相談してみてください。
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QE146 時々痛みと共に耳が聞こえなくなる。
A <質問>
彼女の耳が原因不明の病気なんです。その病気の主な症状は、時々痛みと共に耳が聞こえなくなるのです。気圧の変化などに弱いみたいです。最近症状に変化があって、痛みはなくなったのですが耳が聞こえなくなることが単発的に頻繁に起こるようになりました。一応お医者さんに見てもらっているのですが原因がわからないようなのです。何の病気かはわからなくとも、ちょっとしたことでも教えてもらえると助かります。
<回答>
やはりこれだけでははっきりとしたことはお答できません。
まあ、その中で考えられることをお話します。
痛みがあることと、一時的な聞こえにくさということから考えると、耳と鼻をつなぐ耳管と呼ばれる管の粘膜の炎症(耳管炎)とそれに伴った耳管狭窄症がまず考えられます。短時間(数分から1,2日)で完全に治ってしまうようならそれほど問題はないと思われます。ただどんどんひどくなる場合は、耳管が鼻の奥に開くところ(上咽頭)にできものができている場合もありますので、fiberscopeでチェックをしてもらっておく必要があります。
もうひとつは耳の閉塞感から内耳が弱っている場合で、特にメニエール病との関連が疑われます。この場合あまり耳の痛みを感じることはありませんが、原因となっている耳の付け根あたりは首に行っている筋肉が付着してある部分で、ここの筋肉が凝ってくると痛みとして感じることもあります。こうした場合、寝不足やストレスをさけるようにしてください。
いずれにせよ、症状が持続する場合が比較的早めに(せいぜい1週間程度)耳鼻咽喉科を受診するようにして下さい。
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QE147 片方からだけ耳垢が。
A <質問>
耳垢が左耳は出るのですが、右耳は全然でません。これは何か問題があるのですか?
<回答>
耳垢は皮膚の新陳代謝による角質層と周囲の耳垢腺という腺から分泌される分泌物からなるものです。
可能性があることとしては、一つには、たまたまこの耳垢腺が少ないためにあまり耳垢ができない場合ですね。実際、耳垢はたまらない人は少しもたまりません。これは分泌される分泌物がもともと少ないのかもしれません。
まあ、それはたまたまそうであると考えておく方がよいかもしれません。他に考えておくことして、軽度の外耳炎があるのではないかということです。これはあくまで推測ですが、軽いけれど外耳炎がある場合、外耳の新陳代謝が腺の高まり分泌が高まり耳垢形成が亢進しているのではないかと思います。痛み、かゆみなどが出てくるようなら外耳炎、外耳道湿疹として加療すべきかもしれません。まあ、それまでは、逆に触りすぎないようにしながら、定期的に耳垢を取ってきれいにしておくのがよいかと思います。
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QE148 耳かきをしていて鼓膜を破ってしまいました。
A <質問>
彼女が耳かきをしているときに、肘に僕がぶつかってしまい 右耳の鼓膜を破ってしまいました。
最初はとても痛がっていましたが、痛みは徐々に消えたようです。
出血も多少ありました。めまいはなかったのですが翌朝、右半分の味覚がわからなぃのと耳鳴りがするとのこと。
そのまま病院で診察して聴力検査をするとほとんど右耳は聞こえていませんでした。
その病院の先生は耳小骨に異常があるかもしれなぃと言っていたのですが、詳しい検査は後日するみたいです。耳小骨に異常がある場合、手術をすると聞いたのですが、 彼女の聴力は戻るのでしょうか?
味覚や耳なりは治るものなのでしょうか?
その他後遺症など残ってしまうのでしょうか?
<回答>
めまいがないとのことなので、一般的には中耳の問題だけのはずなのですが、右耳がほとんど聞こえないとの表現が気になります。
聞こえの検査の結果が30dB程度であれば、鼓膜に穴があいたことによる音を伝えるロスと考えられますが、50−60dB程度の聴力低下があるなら、音を伝える骨(耳小骨)をひっかけてはずれてしまった可能性があり、聴力を戻すには確かに手術が必要になるかもしれません。
さらに聴力が悪い場合、80−90dBなどの場合、耳小骨だけでは説明がつかない可能性(あくまで可能性ですが)も考えておいた方がよいかもしれません。すなわち、内耳にも損傷が起こっている場合です。まあ、普通はめまいを伴うことが多いのですがない場合もあると思います。
耳鳴りもどこまで損傷したかによって後に残るかどうか変わってきます。 鼓膜の損傷だけなら、穴がふさがったら耳鳴りも消失する可能性が高いといえますが、耳鳴りは色々な要因がからみますので必ずというわけではありません。 内耳に損傷がある場合は耳鳴りは少し残りやすいと思います。 もちろん、それにしても、損傷した時そのままの耳鳴りということは少なく、 多少は小さくなるとが多いと思います。
味覚については、中耳には耳小骨の近くに味の神経(正確には鼓索神経という 舌の知覚の神経)をひっかけてしまった可能性があります。 神経が切れてなければ比較的早めに(そうですね、2週間程度でしょうか?) 回復してくるのではないかと思います。 切れてしまった場合というのは、ちょうど手術で切らなければならない場合が あるのでそれに準じて考えますと、多くの場合は3ケ月程度で回復してくる 場合が多いと思います。これは、反対側の鼓索神経が伸びてくるのではないかと 考えられます。また、先ほどお話しましたように正確には知覚の神経で、 損傷を受けた直後はしびれた感じがして味覚がおかしい感じがしますが、 味覚の神経は別にありますので、鼓索神経の異常興奮がおさまれば、味覚としては 回復してくるのではないかとも考えられます。まあ、そうはいっても最終的には 終わってみないとわからないのですが。
舌のしびれが持続しているようでしたら、ビタミンB12製剤をとりあえず 主治医の先生にいただいくのもよいかもしれません。
また、内耳の損傷が疑われる場合には、そちらの治療も合わせてしてもらう 方がいいでしょう。
まずは、主治医の先生とよくご相談ください。
無事ご快復されることをお祈りしています。
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QE149 耳のしわの腫れ
A <質問>
耳のしわが寄っている所に1センチ位の空気にような水が溜まったようなふくらみができました。 痛みなどは無く、ぷっくとした感じです。
2週間位経って、しぼんできたんですが、中に何かかたまっています。
<回答>
正確なところは見てみないとわかりませんが、おそらく「耳介血腫(じかいけっしゅ)」と呼ばれるものではないかと思います。
いわゆる「耳」、つまり外に出っ張っている部分ですが、これは軟骨でできています。この軟骨と皮膚の間に血がたまる病気です。ただしふくれた直後は血なのですが、少したつと血液の血球成分は見られなくなり黄色い透明な血漿と同じような液体がたまります。
一般的に多いのは、相撲取りや柔道、レスリングをする人などに多く、耳を強く床にぶつけるためではないかと思います。その他、サーファーなどにも多いと思われます。しかし、原因不明の場合も多くみられます。
治療としては、中の液体をを注射器で吸い取るだけで治る場合もありますが、抜いただけではその隙間にすぐにまた同様の血液や血漿がたまってくることが多く、抜いた後、しっかり押さえて少なくとも数日圧迫しておく必要があります。
それだけしていても再発する可能性は結構あります。何回も再発する場合、液体を抜いた後、ステロイドなどを少量注入することで落ち着く場合もあります。それでも再発する場合には、手術的に縫い合わせる必要があります。
放置した場合ですが、徐々に吸収され治る場合も可能性としてはありますが、多くの場合、腫れていた部分が同じ太さで固くなるのが普通です。相撲取りや柔道家の耳は多くの人がそうなっていると思います。
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QE150 耳鳴りと閉塞感
A <質問>
42歳主婦です。4月14日に下を向いた瞬間、耳の奥でパチッとした音を確認したあとザーッという耳鳴りが右耳で聞こえるようになりました。更に一週間程度後に耳の閉塞感から自分の声がこもって聞こえたり、高い音や換気扇が響いたりします。
28日から二度耳鼻科を受診しましたが改善が見られず断がつかないため、大学付属病院を紹介されましたが、ここでもまだ病名の診断が付いていません。
一ヶ月経った現在では、何の改善もなく聴力も少しずつ落ちてきています。今飲んでる薬は、ムコダイン、ポララミン、メチバコール、カルナクリンです。
考えられる病名が分かれば教えていただけないでしょうか?
<回答>
あくまで推測で考えられることをお話します。
「耳の奥でパチッと音を確認して」という症状から、「外リンパろう」がまず疑われます。外リンパろうとは、内耳と中耳が接している部分(内耳の窓)がやぶれて内耳の液(外リンパ)が中耳に漏れている状態です。何らかの刺激(多くは力んだりせき込んだりなどで脳脊髄圧が急に上がった場合や、頭を強く打ったあと、あるいは強く鼻をかんだりして中耳の圧が急に変化した時など)によっておこります。「高い音や換気扇が響く」という症状も内耳の病気を思わせます。ただ、「自分の声がこもる」という症状は中耳や鼓膜の問題の可能性も考えていく必要があるでしょう。
メチコバールやカルナクリンは内耳の障害を前提に処方されているのでしょう。ムコダインやポララミンは中耳の問題に対する処方と思われます。
聴力検査の結果をみていませんのでこれ以上のことは言えないのですが、もし内耳レベルでの聴力低下が進んできているのであれば、ステロイドの使用も検討していただいた方がいいと思います。
また、もし「外リンパろう」が強く疑われ、聴力低下が進む場合、場合によっては手術で内耳の窓がどうなっているのかを見てみる場合もあります。内耳の液が漏れているといっても、肉眼で確認するのはかなり難しいのですが、顕微鏡下でじっくり観察すると漏れているのがわかる場合もあります。こうした場合、内耳の窓の上をきれいに覆って接着剤で固定すると症状が改善する場合もあります。(もちろん、そこまでしても症状の進行を止めるだけで聴力が改善されないこともあるかもしれません。)
最終的には主治医の先生とよくご相談して下さい。
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QE151 川で水遊び(ジャンプ)をしていて耳鳴りと耳痛が。
A <質問>
旅行に行き、川に遊びに行きました。 5mくらいある岩の上から川に向かってジャンプをしたところ、キ−ンという音がなり1時間くらいするとあくびをすると右の耳が痛みました。 今は耳の閉塞感と、耳の奥でボーっと音がしている感じがします。病院に行ったほうがいいのでしょうか?
<回答>
あくまで推測ですが、耳の穴(外耳道)に水面が当たった際に外耳道の気圧が上がり、鼓膜が破れた可能性が考えられます。あるいは、水深の深い部分に急に潜ることで中耳の気圧と外の水圧に急な差ができ、やはり鼓膜が破れた可能性があります。あるいは、鼓膜は大丈夫でも後者の場合、内耳に圧がかかりすぎて、内耳にダメージを受けた可能性も考えられます。経験の浅いダイバーが耳抜きをせずに深く潜った場合などにも起こるかもしれません。
いずれにせよ、症状が持続するようであれば、せいぜい数日の間に最寄りの耳鼻咽喉科で診ていただくのがよいと考えます。
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QE152 耳が塞がる感じが取れない
A <質問>
睡眠不足が3週間続き、ある朝左耳が塞がったように突然聞こえなくなりました。
現在海外にいて日本の様な医療システムとは違い、なかなか専門医に見てもらうことができず、5日後にようやく一般医に見てもらうと中耳炎という診断をうけ、抗生物質を貰いましたがいまだに塞がった感じが取れません。
今後どのようにすべきでしょうか。また、自分で出来る対処療法などありましたら教えてください。
<回答>
実際のところは鼓膜を見てみたり、聴力検査をしてみないとわかりません。一つ気をつけなければいけないのは、内耳性の病気、特に突発性難聴の場合、遅くなると治りにくくなるので注意が必要です。中耳炎(耳が痛かった覚えがなければ滲出性中耳炎だろうと思われますが)のような中耳の病気はおおむね時間が多少たっても鼓膜の奥の鼓室に貯まった水が抜けさえすればもとに戻ります(真珠腫などはそうとも言い切れないことはありますが
まずは、もう一度診察を受け、できれば専門医に診てもらえるように紹介状を書いていただくのがいいのですが・・・国によって事情が違うのですぐには診てもらえない場合もあるかもしれませんね。
自分でできることとなると限られていますが、まずはしっかり睡眠をとること。睡眠不足は内耳に悪影響を与えるのではないかと私は考えています。
もし市販の薬が手に入るようでしたら、ビタミンB12をしっかり摂るようにしてください。
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QE153 耳の違和感
A <質問>
二ヶ月ほど前から右耳の調子がおかしいです。
症状としては自分が発した低い声が右耳に響く左耳に比べて違和感があるそうです。一ヶ月前ぐらいに病院に行きましたが異常なしでした。ですので昔から鼻炎もちで鼻が詰まっていたのでよく耳抜きなどをしていました。その影響かなと思っていましたが一向に直る気配がないのでネット調べ自分は一年前からイヤホンを一時間以上毎日のように使っていたので音響難聴ではないかと思うようになりました。そこで本当に音響難聴なのか?そうだとしたら自分は何をすれば良いのか?教えてください。中学三年の男です。
<回答>
あくまで一般的な話になりますが、「自分の声が響く」と言う時は中耳もしくは耳管の問題なのに対して、「周りの音も響く」場合には内耳の不調が考えられます。
ですので、自分の声が響くところから考えると、中耳か耳管の問題の可能性が高いようにも思います。
ただし、あくまで典型的な場合ですので、やはり症状がある場合は時々耳鼻咽喉科で聴力検査や、ティンパノメトリーという鼓膜の検査を受けてみる方がよいでしょう。1階の検査では正常でも、日を変えて検査してみると異常が見つかる場合もあります。
上記より中耳の方が可能性が高いですが、耳の酷使は内耳の疲弊にもつながります。
お尋ねのような、毎日長時間イヤホンで音楽を聴くことの影響ですが、強大な音で聴く場合はやはり内耳にダメージを受ける場合はあるでしょう。一般的に狭い意味で「音響外傷」と言えば、ロックのコンサートやカラオケなど大きな音を一定時間(数時間程度)聞いたあとなどに起こる急性の感音難聴(内耳の難聴)をさします。
これに対して、慢性的に大きな音を効くうちに徐々に聴力が低下していくものは慢性的な広い意味での音響外傷と言ってもいいかもしれません。
いずれにしても、音響外傷の場合は、聴力の低下をきたす場合が多いと思います。
この方の場合、まずは鼻炎をよくする必要があります。鼻炎から耳管狭窄症が起こっている可能性があります。耳抜きはあまり無理には行わない方がいいでしょう。鼻炎を良くしながら経度行うことはいいでしょうが、あまり強く通すと、中耳の圧が急にあがり、内耳にダメージを受ける可能性がありますので注意が必要です。
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QE154 耳鳴りの一種でしょうか?
A <質問>
低音の突発性難聴と診断を受け、2週間後に聴力も耳鳴りも治りました。
しかし、その5日後に、また耳に違和感を感じ始めました。違和感とは、無音のところでは聞こえないのですが、音を聞くと、音の種類や音の大小に関わらず、耳に音が響くかんじで、ボーというような音が鳴ります。
これは耳鳴りの一種ですか?突発性難聴の再発ですか?
<回答>
聴力検査を再度してみないとわかりませんが、再発の可能性があると思います。ただ、突発性難聴というのはあまり何回も繰り返すものではないので、低音の突発性難聴と言われているところからすると、低音障害型の急性感音難聴と考えられ、その実態はメニエール病に近い状態(蝸牛型メニエール病)の可能性も考えられます。(あくまで推測ですが)
メニエール病や低温障害型の感音難聴などでは、「ボー」という耳鳴りは比較的多いと思います。
再度医療機関で診ていただくことをおすすめします。
ただし、検査の結果、聴力に異常がない場合も時々あります。私はこの状態は、聴力に異常がでるほどではないが、少し弱っているという状態かなと思っています。そういう場合、もう少し突発性難聴の治療に準じて薬を服用するか、その中でも弱い薬(ビタミンB12など)で経過をみる、あるいは、十分注意しながら睡眠をよくとるようにして経過を見る、などの方法が考えられるかと思います。低音部が低下している場合はメニエール病に準じてイソソルビドを服用してみるのも一つかもしれませんが、診断をもう少ししっかりつけるなら、グリセロールテストや蝸電図検査という検査を受けられるのもよいかと思います。
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QE155 老人の難聴は治りませんか?
A <質問>
81歳の男子です。最近会話が(特にテレビ)の内容の理解が出来難くなり、かかりつけの先生は、耳鼻科医では耳には全く異常なく、「トシじゃからなぁ」とのこと。
老人には音の世界は無理なんでしょうか。
<回答>
聴力検査の結果やティンパノメトリーという鼓膜の検査の結果、鼓膜の状態を診てみないとわかりませんが、鼓膜の検査に異常がなく、鼓膜所見も正常で、聴力が年齢相応であれば加齢による聴力低下と考えられ、薬や手術で聴力を改善するというのは難しいと思われます。
ただし、鼓膜の奥に水がたまっているとか(老人では時々みられます)、聴力に明らかな左右差があるとか、難しい話になりますが、聴力検査で気導と骨導に差がある場合(つまり、耳から音を聴くのに比べて頭の骨に振動を与えて音を聴いた時の方がよく聞こえる場合)などでは中耳に何らかの病気がある場合がありますので、治療を行えば聴力が少し改善する可能性はあります。たとえば、鼓膜の奥に水がたまっている(滲出性中耳炎)の場合は、中耳の水を抜けば聴力が改善します。気導ー骨導差が大きい場合、耳硬化症や耳小骨離断という病気があれば、(年齢的に手術が可能かという話は置いておくとして)理論的には聴力が改善する場合があります。
しかし、そういう可能性がなく、やはり老人性難聴であった場合は中々難しいのが現状です。これは、聴こえの細胞が弱ってしまったという問題点と、脳の方での処理能力が遅くなってきてしまっているという2つの問題点があります。
特にテレビや最近の若い人の会話は早口であったり滑舌が悪かったりしますので、ますます聞き取りにくくなっています。
これに対する適切な治療法というのはないのですが、いくつかのやってみてもいいかのと思われることをお話します。
一つはやはり補聴器です。老人性の難聴では、先にお話しましたように、脳での処理能力も遅くなっているので、補聴器で音を適切に大きくしても、「音がひびくばかりで、音は聴こえるが何を言っているかわからない」とあまり向かない場合が多いかもしれません。しかし、一つにはこれはリハビリの器械と位置付けていただいて、少しずつ慣れていくというか、新しい聴覚の状態を覚えていくという手続きが必要になります。また、高度難聴がある場合は脳に音刺激がないと脳も活性化されず痴呆症状を誘起させる可能性もあります。また、環境の音を聴くというのは車の音など危険から身を守るためにも必要と思われます。
次に、特にテレビや携帯電話などですが、種類は少ないのですが、早口の音声を少しゆっくりにしてくれる機種があります。こういう機能を使うと、少し聞き取りがしやすくなる可能性があります。
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QE156 手術後も改善されない耳閉感と耳鳴り
A <質問>
ボストン在住の主婦です。昨年の12月にいきなり耳が詰まり、耳鳴りそして激しい耳痛に見舞われ真珠腫中耳炎と診断されました。
1月に全身麻酔による日帰り手術を受け今日で1ヶ月が経ちました。医者からはこれらの症状は1ヶ月もしたら元に戻るだろうと言われ、また3週間目の診察で、耳の中の垢や血痕などを機械で吸引してもらい「少しは良くなっただろう!?」と言われましたが残念なことに全く術前と状況は変わりません。時折、嚥下やあくびをした時に瞬間にすっきりすることがありますが、またすぐに元に戻ってしまいます。
知人の場合、術後は良好で全く問題はなかった(耳詰まりなど)と聞きました。もちろん人によって回復度は違うものなのでしょが、もしこのまま聴力や耳なりが回復しなかったら..と思うととても不安で仕方がありません。英語にも相当苦労しているのですが、このような状況を医者に話しても、ストレスや鬱が酷くなるようだったらホームドクターに行くようにと勧められ余計気分が落ち込んでしまいました。何かアドバイス等ありましたら宜しくお願い致します。
それから、Tympanoplasty with mastoidectomyとは乳突削開型鼓室形成術 また、cystとは膿(fluid)と理解していいのでしょうか?
<回答>
少し時間がたってしまいましたが、その後いかがでしょうか? 外国で治療を受けられるのは言葉の問題だけでなく大変なことと思います。
さて、現在の症状ですが、嚥下やあくびの際にすっきりするとのことから考えると、手術をした中耳のスペースにまだ血液や滲出液とよばれる周りの組織から染み出てくる液体がたまっているのではないかと思われます。嚥下やあくびのような動作を繰り返していくうちに軽くなってくるのではないかと思います。
Tympanoplasty with mastoidectomyはお尋ねの通りでよいかと思います。耳の後ろに乳突蜂巣と呼ばれる小さな部屋の集まりがあるのですが、その中まで病気が進行している時に小さな部屋を大きな一つの部屋にしてしまい、病巣を取り除くことで再発を予防するわかです。
cystは一般的には膿や液体のたまった袋状になったものをさします。
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QE157 慢性中耳炎と診断されました。
A <質問>
この間慢性中耳炎と診断された、子供です。耳の洗浄を毎日していますが、最初の日に耳から肉片が出てきました。
大丈夫ですか?出血も少し続いています。
<回答>
「肉片」というのは、おそらく「肉芽」とよばれる組織でしょう。炎症が多少長い時間続いた場合、皮膚や粘膜の傷口から血管成分の豊かな組織がでてくる場合があります。まあ、それが傷口を覆って治ろうとするのでしょうが、長時間膿などにさらされていて出現してきた肉芽は「不良肉芽」と言い細菌の温床にもなりやすいので治療にはあまりふさわしくなく、切除しなければならないこともあります。ですので、洗浄で出てきたのはそれほど悪いことではありません。汚いものは洗い流すというのは治療の原則です。
出血についても、洗浄や耳処置の時に少量でるのはそれほど大丈夫ではないかと考えます。中には真珠腫性中耳炎などもあるので、一概には言えませんが、先ほど話した不良肉芽は血管が豊富なので出血しやすいので、その部分からの出血はしばしばあることかと思います。ただ、出血も量が多い場合や、奥の方からでてくる場合(これは医師にしか見えませんが)は注意深く診ていかなければいけない場合もあります。場合によればCTを撮ってみる必要があるかもしれません。
洗浄である程度落ち着いてきましたら、場合により点耳などを行うとさらにきれいになる場合もあります。逆に、洗浄していても中々耳漏が止まらない場合には、最終的には手術をした方が良い場合もでてくるかもしれません。
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QE158 耳に違和感
A <質問>
毎日、鼻が詰まっている方の耳に水が入っているようなかんじがします。これはどういった症状なのでしょうか。また、どういった治療をすればよいのでしょうか。
<回答>
一番考えやすいのは、鼻が詰まっている方の鼻腔の粘膜が全体的に腫れていると考え、鼻と耳をつなぐ管(耳管)も同時に腫れてしまっていて、耳管狭窄症を起こしているのではないかと考えます。
もし、そうであれば、やはりまずは鼻の治療をしっかり行うことです。それだけでも通ってくる場合があります。その上で、まだ通らなければ、強制的に鼻から耳に空気を通して見るという治療(通気)があります。ただし、通気は一時的なものなので、最終的には鼻をよくて治していく必要があります。
耳のつまった感じは、その他いろいろな病気でなる場合がありますので、続く場合は診てもらってください。内耳レベルで聴力が落ちた場合にも詰まって感じるだけの場合もあり、そういう時にはせいぜい2週間以内に治療をしないと治らなくなる場合もありますので注意が必要です。
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QE159 耳の中のカビ
A <質問>
小さい頃に鼓膜を3回やぶっています。そして大人になってから慢性中耳炎を何年かに一回ほど繰り返すようになり、2年前にもまた中耳炎になりました。
その時は「治っては中耳炎になりの繰り返し」でなかなか治らず・・・。そして菌の検査をしたところカビがあり中耳炎になりやすくなっていたことが分かりました。
それからずっと菌の塗り薬を塗っているのですが、1年以上たっても完全には治らず・・。
最初よりは良くなってはいるんですが、今は痒みはないんですが、綿棒でそっと拭くと黄色い水っぽいのが少しつきます。
先生は角質の奥にカビが入り込んでるから、時間がかかると言ってます。あと聴力が少し落ちているんですが、それも中耳炎にならないかぎりこれ以上は落ちないと言われました。ほんとうにそうなんでしょうか?またカビはこんなに時間がかかるものでしょうか? あと最近ガサガサ耳の中で鳴ることがあります。
<回答>
カビの種類が普通の黒カビや白カビなのか、カンジダと呼ばれるものなのかにもよりますが、いずれにしても確かにカビはしつこく時間がかかる場合もあります。
抗真菌剤のクリーム等をぬるのは一つの方法ですが、中々奥の方は塗れないので根治が難しいのかもしれませんね。抗真菌剤の点耳を行うのも一つですが、正式に点耳として保険収載されているものはなく、内耳等に影響の少ないと思われる薬剤を医師の裁量で使う場合もあると思います。ただ、鼓膜に穴があいている場合に特にそうですが(あるいは穴がなくとも、炎症が強い場合など)液がしみたり痛みを感じる場合もありますので使用が制限される場合もあります。
耳の中のカビ(特殊なものは除く)では、基本はやはり耳の中の掃除(場合によって洗浄)と消毒、抗真菌剤の外用が中心になると思います。
また、カビが生えやすいかどうかは、環境が湿っているかどうかによります。もともとの中耳炎や外耳炎がどのくらいコントロールされているかがカギになると思います。もし鼓膜に穴があるのであれば慢性中耳炎ということになりますので、奥から耳だれが出てきていてそれがカビを繁殖させるもとになっていないか。外耳炎でも同様です。触りすぎて外耳道が擦り傷状態になっていると滲出液がでてきます。この滲出液はカビの大好物です。外耳道のカビはかゆみを伴いますので耳を触りたくなるのはよくわかりますが、極力触らないようにしましょう。触る時には抗真菌剤をつけた綿棒で軽く触るくらいにしておいて、早めに掃除をしてもらいに耳鼻咽喉科を受診する方がよいと思います。
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QE160 あぶみ骨の異常による難聴
A <質問>
数年前から鐙骨がずれていることにより、片耳の聴力が弱っています。 症状的に悪くならないので手術をしないことで生活しています。 気になるほどの耳鳴りが少しあります。
最近ですが、その聴力の弱い方が一層聞こえにくくなっているようで、 自分の声が2重に聞こえたり、話す声が二重に聞こえたりします。
片方が聴力が弱いため、正常の耳から2重に聞こえてくるような気がします。 聞こえが違うのですが鐙骨が動いているということがあるのでしょうか? 2重に聞こえると言う新しい症状が出ましたが、何か変化が起きた可能性があるのでしょうか?
<回答>
「鐙(あぶみ)骨がずれている」という病態がどんなものかもう少しはっきりしませんが、2つの可能性(といっても結局一つの可能性ですが)が考えられます。
一つはあぶみ骨の病気として一般的なのは、「耳硬化症」という病気があります。これはあぶみ骨とそれをつなぐ内耳の窓の接着がかたくなってしまう病気で、初期は中耳の病気として考えておけばよいのですが、経過が長くなってきますと内耳にも病気が波及してくる場合があります。「音が二重に聞こえる」というのは内耳の補充現象(聴力が弱った分、響く感じがする)と考えられるかもしれません。
耳硬化症は元来中耳の病気ですが、進行してくると内耳の病気でもあります。再度検査をしてもらい、進行を抑えるためには手術をした方がよいかもしれません。そのあたりはかかりつけの先生にご相談ください。
もうひとつの可能性は、確かにあぶみ骨がずれているという場合、実際にそうであれば、なんらかの拍子にあぶみ骨の一部が内耳窓にささったりしてわずかに内耳の窓が破れているというようなことがあり得るかもしれません(これはあくまでかなりの推測ですが)。
いずれにせよ「音がひびく」という症状は内耳の症状と考えられ、早めに医療機関を受診する方がよいと考えます。
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QE161 耳の中が痙攣します。
A <質問>
昨年末から始まりました。最初は「ぽっぽっぽ」と脈拍の倍ほどの早さで1時間程で止まりましたが2回目からはかなりの速さで「ぽぽぽぽ・・・」と痙攣してます。13時間続いたときも有りました。今は3〜5時間毎晩痙攣してます。時間の長さも音の大きさもまちまちで殆どの場合真夜中に起こりますので眠れず睡眠剤を使用してます。痙攣の時には鼓膜の痙攣は無いとの事です。
MRIやCTの結果も異常はありませんでした。原因及び。治療法を教えてください。今、テグレトール100mgを痙攣時に1錠飲んでますが同時に眠剤も飲むため眠ってしまって薬に効果があるかどうかわかりません。
<回答>
適確なアドバイスになるかどうかわかりませんが。
一般的にはこうした症状は鼓膜を動かす筋肉(鼓膜張筋:強大な音が内耳に入りすぎないように、鼓膜を緊張させる反射をおこす筋肉)の痙攣の可能性が高いようには思います。ただ、上にも書いてありましたが、症状が出ている時に鼓膜をみていただいても鼓膜に痙攣はみられなかったとのことなので正しくはないのかもしれませんが。実際に鼓膜張筋が収縮するとどのくらい鼓膜に変化がみられるのかは私は見たことがないのでわかりません。
もし鼓膜張筋の痙攣であれば、テグレトールを処方されているのは理にかなっているとは思われます。
効果が不明な場合、では次にどうしようかですが、こうした筋肉の痙攣は寝不足や疲れ、ストレスとも関連があるのではないかと思います。寝不足や疲れでまぶたがピクピクするのを経験されたことがある人も多いと思われます。
不快な症状ですので、眠れなかったり、気分が悪いのはどうしてもあると思われますが、逆に不眠やストレスが症状を悪くしているということも考えておかなければなりません。あまり深刻な不眠の場合はやはり専門医にご相談いただくのも必要かと思われます。耳の症状で眠れずストレスがたまってくると考えがちですが、逆も結構あります。ストレスがこうした症状を増悪させていることもあるかと思います。
そうしたことを踏まえて、解決できる問題があればそれも行っていく上での話になりますが、もし小さな筋肉の痙攣によるものであれば、漢方薬で抑肝散(よくかんさん)や抑肝散加陳皮半夏(よくかんさんかちんぴはんげ)などは時に有効な場合があると思います(あくまで一般的な話ですが)。これらの漢方薬は筋肉の問題(漢方では肝(いわゆる西洋医学の肝臓とは異なります)に属する薬と言われています)をよくする薬であり、加えてストレス等(これも漢方では肝の問題)も調和してくれる作用があるとのことです。もちろん、最終的には漢方には漢方独自の診断方法もありますので、うまく効果がでないようであれば専門の漢方医にもご相談してみてください。
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QE162 鼓膜が「ドドドド・・・」と鳴ります。
A <質問>
早朝起きたて、軽いしゃっくりのような嚥下運動がおこります。その際になんらかの影響で右耳の鼓膜に力が入り、鼓膜が痙攣したかのような症状に悩んでいます。
その症状は、1〜2週間に1度おこります。起こる間は、丸1日が多いです。鼓膜が「ドッ」「ポッ」「ドドドド…」といったような3秒に1度、断続的に起こります。
耳鼻科へ何件も通いましたが、異常無しと言われます。 1つの耳鼻科で言われたのが、鼓膜の痙攣かもしれないということくらいです。
いったいこの症状はなんなのでしょうか?不安で仕方ありません。それと鼓膜の痙攣って実際存在するのでしょうか?
<回答>
実際に診てみないと分かりませんし、診てもわからないかもしれませんが。
お話から推測すると、やはり鼓膜の痙攣の可能性が高いように思います。
正確には鼓膜が痙攣するのではなく、鼓膜を張る働き(これは強大な音が内耳に侵入しないように守るシステムとして必要)をする筋肉「鼓膜張筋」という筋肉がありますが、これが痙攣する場合があるようです。
まぶたがピクピクと痙攣した経験をお持ちの方もいらっしゃると思います。ああいう風に、体の小さな筋肉は疲れると痙攣をおこしやすくなります。鼓膜張筋もそうした疲れなどで痙攣するのではないかと考えています。ただし、ごくごく稀ですが、聴神経腫瘍などが、顔面神経に触れた場合などに初期に顔面けいれんをおこす場合があると聞いたことがありますので、この鼓膜張筋も顔面神経由来の神経からくるので、あまり長く続く場合などは、一度そうしたものを除外しておく方がよいかもしれません(まあ、これはかなり稀だとは思いますが)。
こうした症状がでてきたら、まずは疲れているのではないかと考え、休息・睡眠をよくとるようにしてください。
その上で、続くようであれば、耳鼻咽喉科を受診してください。場合によって、ビタミンB12や漢方薬などが効果があるかもしれません。
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QE163 急性中耳炎で鼓膜切開を受けましたが耳痛・耳漏が止まりません
A <質問>
副鼻腔炎から急性中耳炎になり両耳鼓膜切開しました。鼓膜切開をすれば痛みが和らぐものと思っていましたが、5日経過した今も痛みが治まらず、ロキソニン錠を1日3〜4錠服用しています。かかりつけ医からは痛み止めの服用はなるべく控えるように言われていますが、どうしても我慢が出来ません。横になると痛みが増すので、この5日間座った状態で寝ています。
現在の症状は、耳痛、強い耳閉感、汚い鼻水です。(鼓膜は左が開いてますが、右耳は閉じかかっているそうです。)耳だれはかなりの量が出ています。
早くこの痛みから解放されたいのですが、中耳炎以外の病気が考えられますか?
<回答>
他の病気、というよりも病気の勢いが強い、もしくはもう少し深い部分まで炎症を起こしているものと考えます。
中耳炎は中耳腔というところに感染がおこり炎症を起こしているわけですが、中耳腔はその深部に乳突蜂巣という蜂の巣状になった多数の小さな部屋でできた部分につながっています。こちらの方まで炎症が及んでいる可能性もあります。
治療ですが、あまり良くならなければ抗生剤を変更してみてもらうことや、抗生剤の点滴をしてもらうこと、あるいは症状の鎮静化のためにステロイドを少し併用してもらう等必要かもしれません。
さらに良くなければ入院の上治療を受ける必要がある場合もあります。
主治医の先生とご相談ください。
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QE164 聴覚過敏について1
A <質問>
イベント会場でスピーカーの横にいて音響外傷になりました。ステロイド投与で聴力は落ちていないのですが,その後,耳鳴り,めまい,聴覚過敏となり,外出先では,耳栓を外せなくなりました。
ちなみに,自宅の真上を飛ぶ飛行機,防災のサイレン,スーパーの中,ドライアー,髭剃りの音,など,耳栓をしていないとダメです。もう4か月になりますが,この繰り返しです。
本日,歯科に口の清掃で受診したら,虫歯があるといわれました。 3か月くらいは様子をみれるといわれましたが,おそらく歯を削る音に耐えられないと思います。耳栓をしていたら,歯を削る響きが,耳の中にこもると思うのですが,外からの削る音は耳栓で緩和されたとしても,響く音はやはりよくないのでしょうか? 聴力が落ちていないだけに,歯科の治療でまた悪化するのではないかと不安でたまりません。
<回答>
歯科治療については、経験がないので何ともいえませんが、 耳栓をすると、骨導音(骨を伝わって内耳に届く音)が増強されるので、逆効果ではないかと推測されます。
どうしても歯科治療が必要な場合は、十分心身の体調を整えた上で、 場合によっては、急性の聴力低下の治療で用いる薬剤を予防的に服用しておき、すこしずつ削ってもらって経過をみていくのが現実的なところかもしれません。 ただし、予防的に薬剤を服用することは保険診療と相反するものでもあり、実際には、歯科治療を少しずつ行い、聴力低下もしくはその他の症状が増悪したと思われればすぐに治療を受けるしかないかもしれません。主治医の先生と相談してください。

以下、聴覚過敏についての一般的なお話をいたします。
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QE165 聴覚過敏について2 分類
A まず、聴覚過敏の定義ですが、きこえてくる音が響いて聞こえる症状を言いますが、自声強調(自分の声が響く)は耳管・中耳あるいは外耳の疾患で生じるもので、聴覚過敏とは分けて考えます。

聴覚過敏の定義ははっきりと決まっているわけではありませんが、
・Loudness perception disorder(音量に対する認知障害)
・Reduced Loudness Tolerance(音耐性の減弱)
などと表現されています。医学用語ではHyperacusisが対訳として用いられる場合が多いと思いますが、その他、Phonophobia・Misophonia(音恐怖)なども使われます。

聴覚過敏は、内耳障害の時に多いですが、顔面神経麻痺の時や、偏頭痛の際にも出現することがあります。
こうしたことを踏まえて、私はメカニズムから原因を3つに分類しています。 1.耳小骨筋反射・鼓膜張筋反射の異常
聴覚の精細な仕事として、強大な音が耳に入ってきた時に、鼓膜を緊張させたり、耳小骨の音の伝わりを抑制させて、強大な音が内耳に入って聴覚の細胞(有毛細胞)が壊れないようにするシステム(反射)があります。この反射がうまく行かなくなると、大きな音が内耳にダイレクトに飛び込んでくるので音が響きます。顔面神経麻痺の際に生じる聴覚過敏はこれにあたります。

2.内耳の反応異常
内耳の外有毛細胞が障害されると、音の強弱に対する内有毛細胞(音を電気信号に変換して脳に情報を送る細胞)の調節がうまくいかなくなります。補充現象(Recruitment)とも呼ばれます。音の強さがわずかに増強した際に、音の受け取り方が異常に増大する現象と表現されます。

3.聴覚野での感度の上昇
これは推測の域を超えませんが、脳での感度が上がる場合があると思います。偏頭痛に関連する聴覚過敏や聴力が正常の場合の聴覚花瓶の一部ははこれだと考えます。

次回に続きます。
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QE166 聴覚過敏についえ3 検査
A 聴覚過敏そのもののための検査というのはありませんが、いくつか確認しておくための検査があります。
聴覚過敏のおこるメカニズムに沿って考えてみましょう。

1.耳小骨筋関連による聴覚過敏
耳小骨筋反射と呼ばれる検査があります。耳小骨筋にはあぶみ骨筋と鼓膜張筋があり、主にあぶみ骨筋による反射を検出するので、あぶみ骨筋反射とも呼ばれています。一般に80dB程度の大きな音を聴くとこの反応がでてきます。この反応が減弱、もしくは消失している場合は、耳小骨筋反射がうまく働かないために起こる聴覚過敏の可能性があります。 逆に、もっと小さな音でも反応がでる場合は、内耳の外有毛細胞の障害による補充現象の可能性があります。

2.内耳障害による聴覚過敏
まずは標準純音聴力検査を行います。聴力検査に異常があった場合は、精密な聴力検査として、Bekesy検査やSISI検査などの内耳機能検査を行います。
Bekesy検査は、検査音が聞こえている間ボタンを押してもらい、ボタンがおされている間は、徐々に検査音を小さくしていき、音が小さくなってきて、きこえなくなったらボタンを押すのをやめ、ボタンが押されなくなったら、徐々に検査音が大きくなってくるので、また音が聞こえだしたらボタンを押してもらう。これを繰り返します。
これを縦軸に音圧、横軸に時間で記録すると、ジグザグの線が描かれます。このジグザグのパターンで病態を考えるのです。
内耳障害の場合、わずかな音の大きさの違いを感じ取れるようになってしまっています。これを補充現象陽性と言いますが、Bekesy検査では、補充現象陽性だと、ジグザグの振幅の幅が、狭くなります。
SISI検査は、一定の大きさの連続音を聞いてもらい、わずかに音の大きさを大きくします。正常ですと、1dBの変化は聞き取ることができませんが、補充現象陽性ですと高率で音の変化を聞き取ることができます。
これらの検査で補充現象であれば内耳障害による聴覚過敏と考えられます。

3.聴覚中枢の興奮による聴覚過敏
これは、現在の所中々うまく検出する検査はないように思います。ひょっとしたら、耳小骨筋反射が出過ぎる場合で、内耳機能検査では補充現象が陰性になるような場合があれば これが当てはまるのかもしれません。

次回は聴覚過敏の治療についてお話します。
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QE167 聴覚過敏の治療1
A 聴覚過敏も耳鳴り同様つらい症状の一つですが、中々治療が難しいところも耳鳴りと似ています。

一般的には、音が響くので耳栓をの装着をしたくなりますが、ごく短時間、環境音がかなり大きい場合を除いて、耳栓はおすすめできません。
それは、前記のメカニズムの3とも関連しますが、耳栓をして耳からの入力を遮断すると、脳で入力が減った分だけ、脳の感度があがります。すると、益々音が響くという悪循環に陥ることになるからです。普通の大きさの音がしている程度の場合は、多少つらくとも耳栓を使わずに音を聴いた方がよいと思われます。

その他の一般的な聴覚過敏の治療について

まずは、内耳障害に伴う聴覚過敏について。
これは、まず第一に、早期であれば内耳障害の治療を行います。あたりまえのことではありますが、大切なことです。突発性難聴やメニエール病の急性感音難聴をきたした時など、全力で難聴の治療を行う必要があります。
慢性期の治療が中々難しいのですが、やはり耳鳴りと同じような治療が有効な場合が多いようです。
耳鳴りの治療として、TRT(Tnnitus Retraining Therapy)という治療法が有名ですが、その開発者である、Jastreboff博士によれば、TRTは聴覚過敏の治療にも応用でき、 一定の効果をあげていると述べられています。
ただ、耳鳴り治療で聴いてもらう音よりもさらに小さな音から、徐々にならしていく必要がありそうです。
(残念ながら、私はこの治療をしたことがありませんので詳しい方法はわかりません。)

最近では、耳鳴り治療に補聴器が有効との報告がありますが、聴覚過敏にも補聴器が有効だという話を聴いたことがあります。
ただでさえ、音が響いてつらいのに、補聴器なんて!
と思われるかと思いますが、メカニズムの2や3を考えると、聴覚過敏は、音が入りにくくなった結果として、内耳や聴覚中枢が入ってきた音を、少しでも聞き逃さいようにしたいという働きなわけですから、逆に音をしっかり脳に入れてやることで、興奮を抑えることができると考えるわけです。

次回は、耳小骨筋反射異常による聴覚過敏についてお話します。
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QE168 聴覚過敏の治療2
A 耳小骨筋反射異常による聴覚過敏について:

顔面神経麻痺に伴うものは、まずはその治療を全力で行うことは言うまでもありません。

顔面神経麻痺後の慢性的な耳小骨筋反射異常については、中々難しいのかもしれませんが、麻痺してしまった神経が伸びてくるのを促進させるためには、末梢側でその働きを必要にしなければなりません。
顔面神経麻痺では、麻痺が落ち着いたところで、顔面のマッサージを行うことが有効であり、大切なリハビリです。
(ここから先は推測でのお話になりますが)
耳小骨筋反射の麻痺に対しても、内耳にダメージを受けない程度の音量でないといけませんが、ある程度しっかりした音を聴いて耳小骨筋反射を起こしたくなるような刺激が必要なのではないかと考えます。

これは、顔面神経麻痺に伴う聴覚過敏ですが、それ以外にも、最近耳小骨筋反射異常が 意外に多いのではないか考えています。
これは、ストレスなどによって引き起こされるものが多い様に思います。
中々よい方法がないのですが、下記に本に参考になりそうなことが書いてありました。

『耳トレ! こちら難聴・耳鳴り外来です』 中川雅文著、エクスナレッジ社

この本の中に、耳小骨筋(あぶみ骨筋)反射不全のお話が出てきます。
あぶみ骨筋は、顔の表情を作る顔面神経を源とする神経に支配されています。ですので、心から楽しい、幸せと感じて表情が緩むと、あぶみ骨筋もリラックスしてうまく働くのに対し、日常生活でストレスを抱えている人、毎日を不機嫌に生きている人では、あぶみ骨筋は凝り固まっていてうまく働かないそうです。
著者は、あぶみ骨筋をうまく働かせるには、日ごろからメインテナンスが必要であり、それんには音楽のある生活をすることが大切だと述べています。また、耳栓をして、マーチのリズムで散歩をすると、あぶみ骨筋がキュッキュッとリズミカルのマッサージされて 働きを取り戻すといいます。
耳栓をすることに関しては、前記のように、私はあまりお勧めしませんが、筆者の述べる様な10分程度であれば、一度やってみる価値はあるかもしれません。
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QE169 聴覚過敏の治療3 抑肝散
A さて、聴覚過敏の治療についてお話をすすめてきました。

・急性期であれば原疾患の治療をしっかり行う
・TRT療法に準じて加療を行う。
・耳小骨筋(あぶみ骨筋)反射異常であれば、心から笑い、幸せを感じる様に  心がけ、あぶみ骨筋をリラックスさせる
(リラックスは耳小骨筋反射による聴覚過敏だけでなく、他のタイプでももちろん大切なことだと思います。)

それ以外に、何か薬物治療でいいものはないか?

自験例ですが、以前聴覚過敏の方に、漢方薬の『抑肝散』を処方し、有効であったことがありました。ただし、これはまだ、一般的にはまったくコンセンサスを得ていません。
ただ、抑肝散の使用目標や、薬剤の性格を考えると、あながち間違った方向性の薬ではないと考えています。

抑肝散は、もともとは、身体が弱く、神経過敏で怒りやすく、すぐに疳をたてる子どもで、けいれんをおこしたり、歯ぎしりをしたりするものに用いる処方とされています。
そうした原典を踏まえて、チックなどの筋肉異常運動や抑鬱、不眠などに用いられ、近年では小児よりもむしろ老人の認知症にも盛んに用いられるようになっています。また、耳鳴りや統合失調症における聴覚過敏などにも有効な場合があると言われています。
抑肝散の「肝」は、西洋医学的な肝臓ではなく、精神作用や筋肉に関する病態をも含む概念です。この「肝」が亢進すると、脳が興奮状態になり、怒りやすかったり、抑鬱状態などの精神症状が現れやすくなるのと、痙攣や筋肉の緊張が顕著になると言われています。
この「肝」の亢進を抑えるのが「抑肝散」です。そう考えますと、抑肝散は、耳小骨筋(あぶみ骨筋や鼓膜張筋)の緊張を和らげる作用や、脳の異常興奮を抑える作用があると考えることができます。
実際に聴覚過敏に抑肝散が有効かどうかを確定するには、これからもっと症例を積み重ねていく必要があります。
試してみたいと思われる方は、主治医の医師と相談の上、自己責任でお願いいたします。
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QE170 DPOAE(歪成分耳音響放射)について
A <質問>
46歳男性です。主訴は、耳鳴りと聴こえの不調(音が大きく割れて聞こえて鼓膜あたりもブググブっと音を立てたり、音に刺激されて別の音(高周波の電子音のような音)が聞こえる)。病院を受診し、純音聴力検査と、DPOAE検査を受けました。純音聴力検査の結果はぎりぎり正常範囲だけど、左耳の外有毛細胞が悪いと診断されました。検査結果を渡されましたが、DPOAEの見方がわかりません。
<回答>
確かにインターネットをみても、DPOAEの見方について詳しく書いてあるサイトはほとんどありませんね。聴覚を専門に研究にも応用されている場合は、結果を詳しく分析されるのかもしれませんが、むしろ近年ではDPOAEは主に難聴のスクリーニングに用いることが多いので、Pass(合格)とRefer(要検査)で判断するため、あまり詳しく波形を載せることがありません。
下記に雑誌に少しだけグラフが載っています(図6)。
http://www.juntendojibi.com/wp/wp-content/uploads/2013/09/nanchou.pdf
このグラフの「DPOAEレベル」と書いてある付近の波形が得られるのが正常で、これが実際の聴力検査の値と比較的よく相関するということで、検査に用いられています。 ですので、内耳(外有毛細胞)が弱ってくると、この波形がどんどん下に下がってくるわけです。どこまでが正常(Pass)で、どこからが異常(Refer)かは、その器械によって異なると思いますので、なんともいえませんが、おおよそ、ノイズレベルより明らかなに上にあれば、Passではないかと思います。
その上で、Referになるほどでないけれども、波形が下がってきていれば、ある程度の外有毛細胞が弱ってきているとみることができると思います。
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QE171 聴力低下がない場合の耳鳴・聴覚過敏にステロイドやプロスタグランジンは?
A <質問>
耳鳴りと音がひびくのですが、病院で聴力検査を行いましたが、ほとんど正常範囲でと言われました。インターネットでは、ステロイドやプロスタグランジンによる治療などもみられますが、聴力が正常の場合は無理でしょうか?
<回答>
一般的には、耳鳴りは聴力が落ちた結果として発生してきます。聴力が正常の場合はどう考えるべきでしょうか?これについては、聴力障害のみられない耳鳴りについて」 を参考にしてください。
そこにも書きましたが、比較的早期であれば、ステロイドの治療や、場合によってプロスタグランジンの治療も考えてみてもよいと思います。ただ、これはあくまで推測の域にを前提に治療をすることになりますから、患者さんと主治医の先生と充分話し合って、納得された場合に治療を行うべきと思います。一般的には、糖尿病、高血圧、胃潰瘍、緑内障等がなければ、ある程度の治療は試みてもいいのではないかと私は思います。ただ、一般的な高度な突発性難聴の治療のような点滴を1週間以上行うような強い治療はやりすぎかなと思います。
同様にプロスタグランジンも、ためしてみてもよいかと思いますが、出血傾向のある人は禁忌です。いずれにしても、あまり月日があったものの場合は、効果が期待されないばかりか、副作用のことがありますのであまりおすすめしません。
聴力検査であまり異常がないのに、その耳鳴りの苦痛度が高い場合は、やはり脳における耳鳴り対する感度が上がっているためだと思います。つまり、大脳辺縁系や自律神経系が興奮しているために本来小さな耳鳴りであるはずのものが、大きく感じられるようになっている可能性が高いと思われます。
その場合は、心身医学的アプローチも必要ですので、心療内科等の先生と協同で対処する方がよいかもしれません。
ただ、最近少し言わるようになったのですが、ベンゾジアゼピン系の抗不安薬・向精神薬は、脳の可塑性(いわゆる脳の柔軟性)を弱めるとの報告もあり、耳鳴りに対するとらわれがうまく抜け出せない原因になる場合もありますので注意が必要です。
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QE172 抗うつ薬で難聴はきたしますでしょうか?
A <質問>
不眠ぎみで、抗ヒスタミン作用のある抗うつ薬を常用しています。これの影響で外有毛細胞が障害されることは考えにくいでしょうか?徳島県の薬剤師さんのページ には、聴覚に影響するおそれのある様々な薬がリストアップされています。
私の服用している薬は、この中には含まれておりませんでしたが、リストには抗ヒスタミン薬が複数含まれています。抗うつ薬のせいで耳の調子が悪ることが起こり得るのでしょうか?
<回答>
確かに上のHPには色々な薬剤が揚げられていますね。
私の勉強不足かもしれませんが、抗うつ薬で難聴をきたしたという話は聴きませんが、可能性をしました文献があるのかもしれません。
ただ、どんな薬でもいろいろな副作用の可能性はありますので、気になるようであれば、主治医の先生と相談の上、減量もしくは休薬してください。抗うつ剤(特にパキシルのようなもの)は、急に止めると症状が悪化したり、めまいが生じたりすることがありますので注意して、自己判断で休薬するようなことは控えてください。
一般的には、難聴(特に内耳の難聴)を来しやすい薬剤として有名なのは、アミノグリコシド系抗生物質(ゲンタマイシン、ストレプトマイシンなど)、グリコペプチド系抗生物質(バンコマイシンなど)、マクロライド系抗生物質(クラリス、エリスロシンなど:これらは多くは一過性)、白金系抗がん剤(シスプラチンなど)、サリチル酸系解熱鎮痛剤(アスピリンなど)、インターフェロン、ループ系利尿剤、抗原虫剤(キニーネ)、キレート剤が言われています。
先にも書きましたが、抗うつ剤で少なくとも不可逆性の難聴が生じるという話は、あまり一般的ではありません。しかし、今後報告が増えてくると一般的に気をつける薬剤になってくる可能性はあります。ただ、うつ状態の時にはそのこと自体が聞き取りにくく感じる状態を含んでいる様に思います。
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QE173 外有毛細胞の損傷を拡大させないようにするにはどんな事に注意すべきですか?
A <回答>
特に外有毛細胞だからとか、内有毛細胞の場合はとか、そういった違いはありません。
いずれにしても、最も注意すべきことは、騒音・強大音への暴露だと思います。パチンコやカラオケ、ロックのコンサートなどは、行ってはいけないわけではありませんが、耳栓などを持参し、音が大きいなと思われれば耳を保護するようにしましょう。また、ヘッドホンでの音楽を聞く時には、長時間大きな音で聞かないように。電車の中などは、思ったよりも大きな音がしていますので、そこで音楽を聴こうとすると、かなり大きな音量で聞くことになります。これでは、有毛細胞が消耗してしまい。将来聴力が落ちてくる可能性が高まります。
逆に内耳(有毛細胞)によいこと:睡眠をしっかりとって、ストレスをうまく発散させ、適度な運動をします。水分もしっかりとりましょう。結局、内耳に行く栄養や酸素を増やすことが大切です。栄養と酸素が充分回れば、キコエの細胞は生き生きとして働いてくれます。これに対して、栄養や酸素が足らなければ、聴こえの細胞はスリープモードに入ってしまい、聴力の低下が始まります。その状態が進と、そのままアポトーシス(細胞死)にいたってしまいます。
また、上に述べたような強い音はあまり聞いてはいけませんが、人とのコミニュケーション(会話)や、自然の音(小鳥のさえずりや木々の枝のざわめき、小川のせせらぎや滝の音など)などは積極的に聞こうとする方がよいと思います。
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QE174 耳鳴りは最悪、どこまで大きくなりますか?
A <質問>
耳鳴りが始まってからその音の大きさが少しずつ大きくなってきています。 最悪、どこまで大きくなりますか?ある程度の大きさになればそれ以上大きくならなくなるものでしょうか?
(ここで言う耳鳴りは慢性のものを指します。 急に生じてきた耳鳴りは聴力低下のサインかもしれませんので 数日中に最寄りの耳鼻咽喉科を受診してください)

<回答>
まずは、こうした考えを持つこと自体をやめましょう。
最近の耳鳴りに関する考え方は「耳鳴りは脳で知覚される」というのが主流です。
確かに耳鳴りの発生源は内耳(蝸牛)であることが多いと思われます。耳鳴りの多くは 聴力が低下した結果として音を感じていると言われています。
(聴力を調べてもらったところ正常だと言われた場合は、ここをごらん下さい)
我々は音を耳で聞いているように思っていますが、実際には耳はマイクロフォンとして音を拾っているだけで、音を音として感じ取っているのは脳の働きなのです。ですから、実際には「音は脳で聞いている」という方が正しいのです。
ですから、耳鳴りの発生源は内耳(時に聴神経)かもしれませんが、耳鳴りを耳鳴りとして聞いているのは脳なのです。もっと言えば、耳鳴りを「嫌な音」として聞いているのは脳の働きなのです。つまり脳での認識メカニズムの過剰反応というか、考え方・とらえ方に悪い癖がついているというニュアンスでとらえていただけるとよいかと思います。
耳鳴りはどこまで大きくなるか?
これは、脳での感覚がどこまで大きくなるかという問題です。そう考えると、耳鳴りの大きさはその人の耳鳴りへの集中の度合い次第ということになります。

人間の感覚というのは、非常に繊細です。 優れた指揮者は、オーケストラの団員がそれぞれが演奏する音の中から少しの違いも聞き逃さないで指摘します。それは、もちろん天性のものもあるでしょうが、後天的に訓練によって開花した部分も多いと思います。我々一般人は、そこまでの音を聞き分ける力はないかもしれませんが、それでも訓練次第で、そこそこのまで感覚を研ぎ澄ますことは可能だと思います。
耳鳴りも、それは本人にとっては不本意なことではありますが、耳鳴りに対する感覚を研ぎ澄ますことにより、どんどん大きく感じるようになっていきます。
何度も言いますが、それは精神論ではなく、脳の網様体賦活系(RAS)と呼ばれる部分の仕業です。
しかし逆に「心頭滅却すれば火もまた涼し」という言葉もありますように、感覚というのは、そこまで遮断することも、時に可能だということです。
耳鳴りを敵視して、完全に消えることを目標にすると失敗します。「あってもなくてもどうでもいい」という態度で、「耳鳴りがしていても、日常生活を普通に暮らせる」。まずは、この辺りを目標にしてみてください。力がぬければ本当に耳鳴りが小さくなるかもしれません。
(耳鳴りはその他、動脈硬化を改善したり、自律神経を整えたりということで改善することもあるのではないかと考えています。)
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QE175 滲出性中耳炎でチューブ挿入をしましたが耳閉感が残っています
A <質問>
75歳男性です。左右の耳詰まり感が強く、近医耳鼻咽喉科を受診したところ、左右両耳の滲出性中耳炎と診断され、以降鼓膜切開と注射器による吸引を繰り返し行いました。
この間CT画像検査を施行、結果は特に問題なしでした。
治療としては、数回ステロイド系の薬も試しましたが、いずれも2,3日で再発してしまいます。
他の病院に変わったら、チューブ挿入を勧められ、5日間の間隔で左右両耳にチューブ挿入を施術しました。
以後1週間の経過としては確かに酷かった頃の閉塞感は減少はしたものの、依然として若干の耳詰まり感は残っています。従って自分の声も相変わらず頭に響き不快感は解消していません。内服薬の中には気管支粘膜整調剤、副鼻腔炎など鼻の薬も含まれていますが、未だ耳鳴りと時により鼻詰まり、また時折鼻水も! そしてこれも時々ながら軽い咳と喉のタンが出るのも当初から続いています。

<回答>
実際には、診て、現実に治療を行ってみないと何とも言えませんが、治療に苦慮する滲出性中耳炎の方がないわけでもありません。
ただ、CTで問題がないとのことですから、乳突蜂巣炎(中耳からもっと骨の奥に炎症が波及したもの)はないようです。
「自分の声が頭に響く(自声強調)」という症状は、原則的には中耳・耳管の問題が考えられます。(これに対して、「周囲の音が響く(聴覚過敏)」という症状は内耳障害が疑われます。)
滲出性中耳炎であれば、チューブ挿入によって、ある程度症状がとれるはずなのですが、すぐに100%症状がなくなるとは限りません。それは、チューブを鼓膜に留置するということ自体が、違和感として感じる場合もあるからです。
特に経過が長くなってきて、精神的にもナーバスになっていらっしゃると、感覚が鋭敏になってきていますので、どうしてもチューブの留置された状態自体が気になってしまうかもしれません(これは耳鳴りのメカニズムと似ています)。
また、わずかですが、鼓膜に穴が空いている状態ですので、音の伝達には若干のロスがでてきます。これらを違和感として感じるわけです。
とりあえず、チューブを留置していれば、鼓室に残っている滲出液がかりに残存していたとしても、徐々に耳管を通して鼻にぬけていきます。

次のエントリー(E176)に続く
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QE176 滲出性中耳炎でチューブ留置後も耳閉感が残存します2
A (E175からの続き)
もし、チューブを留置しても自声強調が続くとすれば、実は耳管開放症が併存しているのかもしれません。
耳管開放症は鼻と中耳をつなぐ耳管が開き気味になるため、のどから鼻の奥(上咽頭)を経由して、耳管から直接声が中耳に入ってくる状態です。滲出性中耳炎が、耳管が狭くなり鼓室に水が溜まるのと真逆な感じがしますが、実際には両方が併存する場合はあります。これを耳管機能不全と呼ぶ場合もあります。耳管開放症があると、風邪気味やアレルギー性鼻炎などがある場合に鼻をかんだ時などに中耳に容易に細菌が侵入しやすく感染を起こしやすいからです。
耳管開放症に対する治療は、現在の所まだこうすれば必ず良くなるという治療法はありません。ただ、漢方薬(加味帰脾湯や補中益気湯など)が比較的有効だと言われています。(その他、耳管にピンなどを挿入して狭くする手術などがありますが、なかなか出来る施設が限られています。)
耳管開放症は、脱水や急な体重減少の時、ストレスが多い時(耳管の血流低下が原因かという説もある様です)などに悪化します。水分をこまめに摂り、睡眠もしっかりとって、体重減少に気をつけ、ストレスを貯めないように注意しましょう。
鼻水や軽い咳や痰は、滲出性中耳炎が原因ではなく、むしろ逆で、鼻が悪いために滲出性中耳炎になりやすくなります。透明な鼻水が多ければ、アレルギー性鼻炎がベースにある可能性がありますので、アレルギー性鼻炎の治療も一緒に行うことが大切と思われます。
最後に、残存する症状の一つに耳鳴りがあることが、少しだけひっかります。 滲出性中耳炎の場合、一般的に多い耳鳴りは「ピー」という音です。「キーン」とか「ジー」といった耳鳴りは内耳由来のことが多いと思われます。ただ、年齢からも推察される様に、本来もともと加齢性難聴に由来する耳鳴りが多少あった可能性も考えられます。それが、こうした病気で苦しまれるうちにはっきり意識するようになった可能性もあります。そうであれば、耳閉感がとれてきたことで、いくらか小さくなるかうまくいくと消失する場合もありますが、本来していた耳鳴りに気づいてしまったという様なものなら、その後もある程度の耳鳴りは残る場合もあります。そうした場合は、あまり耳鳴りにこだわるのは得策ではありません。
こうした場合、一つだけ気をつけておかなければならないのは、内耳性や聴神経性の難聴が潜んでいないかということです。鼓膜切開・チューブ留置を行っても耳閉勘が改善されない場合は、聴力を検査してもらっておいてください。
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QE177 大きな音や高い音を聴くと時々 左耳の奥でゴソゴソと鼓膜が動くような音がします
A <質問>
一ヵ月程前から、大きな音や高い音を聴くと時々左耳の奥でゴソゴソと鼓膜が動くような音が続いております。

最寄りの耳鼻咽喉科で診察していただきましたが聴力検査も問題なく、鼓膜への耳垢の付着などもありませんでした。

最近になって、包丁で野菜を切る音や部屋の扉が閉まる音、携帯電話を閉じる音などでも頻繁に左耳の奥でゴソゴソやもぞもぞといった音が酷くなってきました。静かな場所にいると余計に症状が顕著になります。

また夜横になると症状が酷くなり唾を飲むともぞもぞ、という音がしたり寝返りを打つと、鼓膜が動く・・・と言いますかもぞもぞした感覚や音があります。

<回答>
中々ハッキリと「○○病ですね」といった感じに断言できないのですが、推定できることをお話いたします。

最も考えられるのは、鼓膜を動かす筋肉のけいれんもしくは過敏かもしれません。
疲れたり寝不足が続くと、まぶたがピクピクすることはありませんか?あれと似た現象が鼓膜を動かす筋肉に生じている可能性があるかと思います。

鼓膜は、大きな音が耳に入ってきたときに、内耳を痛めないように鼓膜をキュッと固く張ることで音が入りすぎないようにするシステムがあります。この鼓膜を固く張る仕事をしているのが鼓膜張筋という筋肉です。これは人間の身体の中でもかなり小さな筋肉なんですが、こうした小さな筋肉は寝不足や疲れなどでけいれんを起こす場合があります。

この鼓膜張筋が痙攣をおこすと特に要因もなく鼓膜がポコポコ言いますし、そこまでではなくてもちょっとした刺激に反応する場合は音を聴いた時に過剰に反応してしまうのではないかと思います。(これはあくまで推定です。)

いずれにしても、寝不足、疲れ、ストレスなどを貯めていないでしょうか?
特にストレスは漢方で言うところの肝経(一般的な肝臓とは異なります)と関連が強く、肝経は筋肉とも関連が深いとされます。

治療は上記の考え方からすると、神経・筋肉系によいとされるビタミンB12、漢方薬で抑肝散あるいは抑肝散加陳皮半夏あたりが有効かもしれませんが、実際のところは診てみないとわかりません。(実際にこうした薬剤を服用される際には、主治医や薬剤師の先生とご相談下さい)
いずれにしても、寝不足、疲れ、ストレスを改善するのが最も大切と考えます。

最近似たような症状を訴える患者さんが多くなったような気がします。睡眠が足りていない患者さん、ストレスを抱えた患者さんが増えたからかもしれません。
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