聴覚過敏の検査 

聴覚過敏の検査:

聴覚過敏そのもののための検査というのはありませんが、
いくつか確認しておくための検査があります。
聴覚過敏のおこるメカニズムに沿って考えてみましょう。

1.耳小骨筋関連による聴覚過敏

耳小骨筋反射と呼ばれる検査があります。
耳小骨筋にはあぶみ骨筋と鼓膜張筋があり、主にあぶみ骨筋による
反射を検出するので、あぶみ骨筋反射とも呼ばれています。

一般に80dB程度の大きな音を聴くとこの反応がでてきます。
この反応が減弱、もしくは消失している場合は、
耳小骨筋反射がうまく働かないために起こる
聴覚過敏の可能性があります。

逆に、もっと小さな音でも反応がでる場合は、
内耳の外有毛細胞の障害による補充現象の可能性があります。

2.内耳障害による聴覚過敏

まずは標準純音聴力検査を行います。
聴力検査に異常があった場合は、精密な聴力検査として、
Bekesy検査やSISI検査などの内耳機能検査を行います。

Bekesy検査は、検査音が聞こえている間ボタンを押してもらい、
ボタンがおされている間は、徐々に検査音を小さくしていき、
音が小さくなってきて、きこえなくなったらボタンを押すのをやめ、
ボタンが押されなくなったら、徐々に検査音が大きくなってくるので、
また音が聞こえだしたらボタンを押してもらう。
これを繰り返します。

これを縦軸に音圧、横軸に時間で記録すると、
ジグザグの線が描かれます。
このジグザグのパターンで病態を考えるのです。

内耳障害の場合、わずかな音の大きさの違いを感じ取れるように
なってしまっています。これを補充現象陽性と言いますが、
Bekesy検査では、補充現象陽性だと、ジグザグの振幅の幅が、
狭くなります。

SISI検査は、一定の大きさの連続音を聞いてもらい、
わずかに音の大きさを大きくします。
正常ですと、1dBの変化は聞き取ることができませんが、
補充現象陽性ですと高率で音の変化を聞き取ることができます。

これらの検査で補充現象であれば内耳障害による聴覚過敏と
考えられます。

3.聴覚中枢の興奮による聴覚過敏

これは、現在の所中々うまく検出する検査はないように思います。
ひょっとしたら、耳小骨筋反射が出過ぎる場合で、
内耳機能検査では補充現象が陰性になるような場合があれば
これが当てはまるのかもしれません。

明日は聴覚過敏の治療についてお話します。