聴覚過敏の治療1

聴覚過敏の治療:

聴覚過敏も耳鳴り同様つらい症状の一つですが、
中々治療が難しいところも耳鳴りと似ています。

一般的には、音が響くので耳栓を装着をしたくなりますが、
ごく短時間、環境音がかなり大きい場合を除いて、
耳栓はおすすめできません。(下記※追記参照)

それは、前記のメカニズムの3とも関連しますが、
耳栓をして耳からの入力を遮断すると、
脳への入力が減った分だけ、脳の感度があがります。
すると、益々音が響くという悪循環に陥ることになるからです。

普通の大きさの音がしている程度の場合は、
多少つらくとも耳栓を使わずに音を聴いた方がよいと思われます。

そのほかの一般的な聴覚過敏の治療について

まずは、内耳障害に伴う聴覚過敏について。

これは、まず第一に、早期であれば内耳障害の治療を行う。
あたりまえのことではありますが、大切なことです。
突発性難聴やメニエール病の急性感音難聴をきたした時など、
全力で難聴の治療を行う必要があります。

慢性期の治療が中々難しいのですが、
やはり耳鳴りと同じような治療が有効な場合が多いようです。

耳鳴りの治療として、TRT(Tnnitus Retraining Therapy)という
治療法が有名ですが、その開発者である、Jastreboff博士によれば、
TRTは聴覚過敏の治療にも応用でき、
一定の効果をあげていると述べられています。

ただ、耳鳴り治療で聴いてもらう音よりもさらに小さな音から、
徐々にならしていく必要がありそうです。
(残念ながら、私はこの治療をしたことがありません。)

最近では、耳鳴り治療に補聴器が有効との報告がありますが、
聴覚過敏にも補聴器が有効だという話を聴いたことがあります。
ただでさえ、音が響いてつらいのに、補聴器なんて!
と思われるかと思いますが、メカニズムの2や3を考えると、
聴覚過敏は、音が入りにくくなった結果として、
内耳や聴覚中枢が入ってきた音を、
少しでも聞き逃さいようにしたいという働きなわけですから、
逆に音をしっかり脳に入れてやることで、
興奮を抑えることができると考えるわけです。

次は、耳小骨筋反射異常による聴覚過敏についてお話します。

※2019.12.24 追記
耳栓については上記の理由で勧めないとお話していましたが、
最近読んだ本をもとに少し考えを修正が必要かと考えています。

聴覚過敏は身体が安心感を感じていないことに対する反応という
考え方があり、少なくとも外出先での耳栓は必要かもしれません。

ただし、
”耳栓をすると脳への入力が減少するため、
脳の感度が上がり、さらに聴覚が過敏になる”
という考え方に変わりはありませんので、
長時間耳栓を使用したあとなどは、帰宅後、
自分の聴くことのできる音楽などがあるなら、
ゆったりとリラックスして
そうした音楽などを聴くようにしてください。

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⇒2019.11.18 ~ 2019.11.29 あたりの記事を参考にしてください。