声のもつ情報量

前回は声を分析するだけで
健康状態がわかるようになるかも!という話をしました。

こうした話は大分前から言われてきました。
以前、声にはたくさんの情報が含まれている、
という話を何回かこのブログで扱ったことがあります。

本:人生を変える「声」の力/8割の人は自分の声が嫌い
本:声 ~記号に取り残されたもの~

我々の発する「声」には、我々が思っている以上に、
たくさんの情報が含まれている様です。
我々は声で意思を伝えようとしますが、
それは話す内容よりも実は、
話声に付随するいろいろな情報の方が
時には多くのことを伝えている可能性があります。

まあ、そんな難しい言い回しでなくても、
話し方やイントネーション、声の強弱等で、
僕たちは話している人の精神状態や、健康状態にまで
気がつく場合があります。

「今日は○○さん、声が沈んでたねぇ」とか、
テレビを見ながら、
「悲しい・・・ってこの人言ってるけど、声は弾んでたよね」
なんて変な勘ぐりをしたりしています。

まあ、このあたりの能力は女の人の方が得意かもしれませんね。
特にお母さん方は、子どものちょっとした変化を
声のトーンなんかで気づいている人もいるかもしれません。

男はその点ダメですね。
嫁さんには隠し事はできません・・・多分。

まあ、それはさておき、
先日、声について面白いなと思うことがありました。

診察中電話がかかってきました。
「○○なんですけど、嚥下(飲み込み)について、
ちょっと教えて欲しいのですけど・・・」という電話でした。
最初○○の部分が聞き取れなくて、
患者さんか、あるいは当院に来られたことのない方からの
電話かと一瞬思ったのですが、
何となく声に聞き覚えがあるなと思って記憶をたどっていったら、
10年以上前に当院に勤めていた看護師さんからだ
ということに気がつきました。

「あれ?○○さん?」「そうです、ご無沙汰してます!」
ということで、状況をつかむことができたのですが、
10年以上前であっても、声の記憶は残っていて、
思い出すことができるんですね。

べつにこうした話に限らず、
人の声って、以外に覚えているものです。
それも、かなりの人数の人の声を識別できます。
テレビに出てくる人なども含めたら1,000人は軽く超える
のではないでしょうか?
(ひょっとしてら10,000人以上かも)
逆に言えばそれを識別できるだけの情報量が
含まれているわけです。
モノマネなどはその中のいくつかをピックアップしているのですね。

人間は無意識のうちにそうした情報を検知・識別して
生活をしているわけです。
そして、近年発展してきた人工知能AIも
徐々にそれができるようになってきて、
むしろ人間以上に進化してきたということのなのでしょう。

前回はnatureの記事を紹介しましたが、
すでに日本でもいろいろな試みがなされている様です。

日本経済新聞電子版:
日立システムズとPST、病気の予防や未病の早期発見に寄与する「音声こころ分析サービス」を開発
電話の声を分析して、こころの状態を把握しようというものです。

この記事の最後の方にも書いていますが、
この日立システムズのサービスは、PSTという会社が開発した
未病音声分析技術 MIMOSYS(ミモシス:MindMonitoring System)
というものを利用している様です。

PSTでは他にも現在病態サーチエンジンを開発中の様です。
https://medical-pst.com/

(上で「人間以上に進化してきた」と書きましたが、
 この企業のQ&A(感情13)によると、
 声から個人を特定するのは、
 現在のところまだコンピュータでも難しいみたいです。
 まあ、それでもそのうちに出来るようになるのでしょうね。)

言葉は国、民族によって異なるので、外国で発見された結果が
そのまま他国で使えるわけではないように思います。
(もちろん方法論は使えるでしょうが)
日本では日本語に精通した日本の企業に
頑張ってほしいと思います。