マスクにまつわるエトセトラ

ブログ草稿 新型コロナ感染症の感染拡大に伴い、
日本では日常でマスクをするのがごくありふれた風景となりました。

マスクの有用性についての論文は以前よりみられます。
SARS-Cov-2(新型コロナ)についてではありませんが、
呼気中の呼吸器ウイルス排出とフェイスマスクの有効性について、
こんな論文があります。
Respiratory virus shedding in exhaled breath and efficacy of face masks(呼気中の呼吸器ウイルス排出とフェイスマスクの有効性)

↑nature medicineの記事 (google翻訳を少し修正) :
急性呼吸器疾患に罹った子供と大人の呼気と咳に含まれる、季節性のヒトコロナウイルス、インフルエンザウイルス、ライノウイルスを調査しました。 外科用フェイスマスクは、呼吸器飛沫中のインフルエンザウイルスRNAおよびエアロゾル中のコロナウイルスRNAの検出を大幅に減少させ、呼吸器飛沫中のコロナウイルスRNAの検出を減少させる傾向があります。 私たちの結果は、サージカルフェイスマスクが症状のある個人からのヒトコロナウイルスとインフルエンザウイルスの感染を防ぐことができることを示しています。

これは、「マスクは人にうつさないために有効」という話ですね。
ここで、呼吸器飛沫(respiratory droplets)と言う言葉と、
微粒子エアロゾル( fine-particle aerosols )という言葉が出てきます。
前者は発生源の近くに急速に落下する大きな飛沫で、
直径が5μmを超える大きなかたまりなのに対して、
後者は5μm以下の飛沫を指します。

コロナウイルス(これは旧型のものと思います)と
インフルエンザウイルスでは、
呼吸器飛沫も微粒子エアロゾルも、
発症している人がマスクをすることで、
他の人に移るのが大きく減ることが示されています。

(これに対してライノウイルスでは、
微粒子エアロゾルに関してはマスクのあるなしで
有意差はみられなかったようです。)

これは、「人に移さない様にするのにマスクは有効」
という話ですが、
先日、日本からこんな報告がありました。
Effectiveness of Face Masks in Preventing Airborne Transmission of SARS-CoV-2(SARS-CoV-2の空中伝播の防止におけるフェイスマスクの有効性)(American Society for microbiology, mSphere)

テレビやネットで見られた方もいらっしゃるかもしれません。
要旨(google訳):
CDCとWHOのガイドラインでは、コロナウイルス(CoV)病2019(COVID-19)の蔓延を防ぐためにフェイスマスクの着用を推奨しています。ただし、感染性重症急性呼吸器症候群CoV-2(SARS-CoV-2)液滴/エアロゾルの空中伝播に対するそのようなマスクの保護効率は不明です。ここでは、人間の呼吸と咳によって生成される感染性SARS-CoV-2含有液滴/エアロゾルの空中透過シミュレーターを開発し、感染性液滴/エアロゾルの透過性とさまざまなタイプのフェイスマスクが透過を遮断する能力を評価しました。綿マスク、サージカルマスク、N95マスクはすべて、SARS-CoV-2の感染性液滴/エアロゾルの伝播に対して保護効果があり、マスクをウイルススプレッダーが着用した場合の保護効率が高いことがわかりました。重要なことに、医療用マスク(サージカルマスク、さらにはN95マスク)は、完全に密閉されていても、ウイルスの飛沫/エアロゾルの伝播を完全にブロックすることはできませんでした。私たちのデータは、医療従事者がマスクの適切な使用法と性能を理解し、感染した患者から身を守るために追加の機器が必要かどうかを判断するのに役立ちます。

ここでは、人間の首の模型を2つ作って、
片方にウイルスを含んだ空気を口から流し、
もう一方の首の模型から空気を吸い出して、
どれくらいウイルスが吸い込まれたかを測定しています。

この要旨を読むと、やはりマスクは感染者がすべきもの
という感じがしますが、データを見ると、
非感染者の方がマスクをした場合でも、
ウイルスを吸い込む量は減っており、
一定の効果はあるのではないかと考えます。

なぜなら、以前当院ブログでも取り上げましたが、
吸い込む量が少なければ、初期に
インターフェロンなどの自然免疫で防衛することができ、
重症化しなくてすむのではないかと考えられるからです。
新型コロナ感染症とインターフェロン
新型コロナ感染症とマスク
(これはあくまで仮説ではありますが)

こうした考え方に通じる投稿が
New England Journal of Medicineの9月11日号に書いてありました。
Facial Masking for Covid-19 ? Potential for “Variolation” as We Await a Vaccine(Covid-19に対するフェイシャルマスキング:ワクチンを待ちながらの”種痘”の可能性)

この記事については、
9/20のYahoo! JAPAN ニュースで忽那賢志先生が、
わかりやすい解説を書いて下さっています。
マスクが新型コロナの重症化を防ぐ、という仮説

やっぱりマスクはした方がいいみたいですね。
でも、自粛警察みたいに圧力をかけるのも
ちょっと違うような気がします。

万が一自分が感染していたら人に移すのはイヤだから
(感染力は症状が出る前からあるそうですから)、
逆に人からもらってしまう場合でも、
少しでも重症化する可能性が低くなるのなら、
今はちょっとマスクをしておきましょう、
くらいの気持ちで過ごしていきたいところです。

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と、上の様な話を28日に書いたのですが、
翌日となった29日、NEJMから、
この考え方に対する警告的な投稿がありました。
>Facial Masking for Covid-19

”現在、マスクが感染リスクの低減以上の利点を提供すると結論付けるには、研究のギャップが多すぎます。 リスクを完全に理解せずに、これらのメリットを主張するべきではありません。(google翻訳)”

マスクがワクチンの代わりになるみたいに主張するのは、
行き過ぎだ!ということでした。