本:からだ言葉の本3「鼻」 

昨日につづき、からだ言葉。

<鼻>

馬のはなむけ・・・送別の志。はなむけは「鼻向け」だけど餞別の「餞」の字をあてることもありますね。ネットで調べると土佐日記にも出てくるんですね
木で鼻をくくる・・・突慳貪(つっけんどん)なあしらい方をする
小鼻が落ちる・・・病人が衰弱して死に近づく。小鼻の肉がそげ細るのをいう(この言い方じたい知りませんでした)
小鼻をうごめかす・・・得意のさま
出っ鼻・・・=出っ端。岬や崖のように突出したところ。またそれに準じた状況
出鼻・・・1)出会い頭、2)先端
出鼻をくじく・・・やり始めたばかりのところで、邪魔が入ったり中断を余儀なくされる
鼻嵐・・・激しい鼻息
鼻息・・・実際の鼻息以外に、意気込みや勢力を意味することも
鼻息をうかがう・・・他人の起源をうかがう
鼻歌まじり・・・軽い気持ちで物事をするさま
鼻緒・・・下駄の鼻に見えるから?
鼻があぐらをかく・・・鼻が低く、小鼻が横に張っているさま
鼻がきく・・・秘め事などをいち早くかぎわける
鼻が高い・・・1)美貌の一種、2)誇らしい自覚
鼻が曲がるような・・・悪臭が鼻を強く刺激するさま
鼻紙代・・・はした金
鼻紙同然・・・軽蔑ないし軽視の表現
鼻から・・・最初から、あたまから、いきなり
鼻薬(はなぐすり)・・・1)鼻薬、2)少額の賄賂、3)子どもをなだめるために与える菓子(へぇ~、2)や3)は知りませんでした)
鼻薬をかがせる・・・賄賂を贈る
鼻薬を利かせる・・・賄賂の効果をねらう
鼻くそみたいな・・・侮蔑の表現
鼻くそをほじる・・・そのまんまの意味以外に、退屈、不如意、手をこまねくの意味も
鼻毛を数える・鼻毛を読む・・・自分に惚れた男を女が手玉にとる(これは知りませんでした。泉鏡花の婦系図(おんなけいず)に出てくるそうです)
鼻毛を抜かれる・・・たぶらかされる
鼻毛をのばす・・・女に溺れるさま
鼻声・・・そのままの意味もありますが、思惑あって何かさせた物言い、媚態を意味することも
鼻先知恵・・・そこの浅い知恵(知りませんでした)
鼻先でせせら笑う・・・馬鹿にして笑う
鼻先に突きつける・・・目の前に突きつける
鼻白む・・・気後れする
鼻っ柱が強い・・・勝ち気で人の言いなりにならない
鼻っ柱をへし折る・・・相手の自信や高慢をくじく
鼻つまみもの・・・近隣に嫌われている人物
鼻面を取って引き回す・・・自分の好き勝手に他人を動かす(知りませんでした)
鼻であしらう・・・相手の言葉にとりあおうとせず、冷淡に扱う
鼻にかかる・・・物言いや声が、人の注意を惹くべく変わるさま
鼻にかける・・・自慢する、得意がる
鼻につく・・・1)イヤミな様に辟易する、2)慣れすぎてイヤになる
鼻先に人参をぶら下げる・・・褒美をちらつかせて人を奮起させる
鼻の穴をふくらませる・・・ちょっとした不満ないしは得意の状態
鼻のアブラをちょいと付けて・・・(大昔、手品の決まり文句でうっすら聞いたことがあるような)仕草まじりに人の気をひいて事を始める時の身振りと文句
鼻の下をのばす・・・好みの女性に対して顔が緩む男性を指して用いられる表現
鼻の下が長い・・・女に甘いさま
鼻持ちならない・・・1)臭くて我慢できないこと、2)見聞きするに堪えぬほど言動がいやみ、キザなこと
鼻をあかす・・・裏をかいて勝ちを取る、仕返す
鼻をつく・・・1)悪臭がこたえる、2)狭苦しい、3)失敗して叱られる、勘当される(うーん、2)や3)の使い方はイマイチピンときません)
鼻をつっこむ・・・割り込む、向こう見ずに参加する
鼻をならす・・・1)不満を表明する、2)こびる
目から鼻へぬける・・・怜悧のさま、勘が良い
目くそ鼻くそを笑う・・・愚か者どうしの諍い
目と鼻の先・・・間近なこと
目鼻がつく・・・物事に見通しがつく
目鼻をつける・・・仕上げる

鼻に関する慣用句は、
自慢、高慢、侮蔑、好き嫌い、色恋(鼻毛・鼻の下)
といった感情や欲望と関連があるものが多いようですね。