僕が医師になるまで30

大学6年生になった頃というと、ポリクリも半分消化し、
そろそろ卒業後のことが気になり出す時期。

世の中には、
国から高額な補助を受けているからには、
ちゃんと医者になって人のためになるべきだという人もいますが、
必ず医者にならなくてはならないとも思いません。

大学で学んだ医学知識というものはを生かせば、
どんな分野に進んだとしても
その人が社会に貢献できることはたくさんあると思います。

実際に大学の先輩の中には新聞社などに
就職された方もいらっしゃった様ですし、
考えてみれば、しっかりした医学知識を持った人が
医学系のニュースの解説やコラムを
書いたりするのもわかりやすくていいだろうと思います。

ま、そんなことを言わなくても、
大概の人は医学部を卒業したら医師になりますけどね。

基礎医学の研究者なども、
実際に直接的な医療を行う訳ではありませんが、
その成果は非常に多くの人に役に立つ訳で、
とても良いことだと思います。

さて、僕の場合ですが、
元々は分子生物学や遺伝子工学などがしたいと医学部を受験し、
まあ、運が良いことに合格してしまったのですが、
それほど強い信念を持っていたわけでもなく、
何となく漠然と研究者がいいかな
くらいの感じだったのだなと思います。

結局、何かを突き詰めて新しい発見をしたいとか、
人類に大きな貢献をしたいとか、
そんな崇高な燃えるような魂を持っていなかったのでしょう。
(まあ、ちょっとくらいは持っていたつもりだったのですが)

研究者として自分がやっていけるのか
という自信がなかったのもあると思います。
それどころか、ちょっと初歩の医学を学んだだけで、
結構満足してしまっていたのですね。

もっと興味が強かったら、どこかの教室の門を叩いて、
何らかの実験のお手伝いを
させてもらったりしていただろうと思うのです。
新しいもの好きで、熱しやすく冷めやすいという僕の性格ゆえ、
大学生活は平々凡々な学生生活を送っていました。

ま、興味が少し移ってきていたことに加えて、
研究者を目指したとして果たして食っていけるか
というのも不安なところでした。

まあね、そんなことを考えていては
研究者にはなれないのかもしれません。

しかし、それを考えざるをおえない、
つまり経済的に心配しなくてよい人しか研究に没頭できない
というのはあまりいい社会だとは思えません。

まあ、そんなわけで、
「研究」というあこがれに未練はあるものの・・・

そう!
僕は真実を追究すること「研究」にあこがれていたのではなく、
そういう「研究者」にあこがれていたんだなぁと、
今、このブログを書きながら始めて気がつきました。

まあ、そんなわけで、
「研究」というあこがれに未練はあるものの、
とりあえず食っていける・・・というか、
世間一般からみれば経済的には恵まれているとされる
臨床医を選択することにしました。

臨床医になっても研究者になる道はある。
そういいながらも、きちんと退路を確保するという、
少々打算的な考え方でもありました。