第79回耳鼻咽喉科臨床学会総会・学術講演会@下関2

その他、ポスターで気になった演題について。
いつもの様に、自分の備忘録として、
自分のアンテナにひかかったことを記録しておきます。
あくまで僕がたまたま気になった演題です。
興味のない方は飛ばして下さい。
(括弧内は演者:敬称略)

P-053 繊維素性唾液管円を疑った3症例(高木)
耳下腺がたびたび腫れる患者さん確かにいます。
先日、症状が近い人がいらっしゃいました。

P-047 顎下部主張を契機に発見された全身性アミロイドーシスの1例(北嶋)
顎下部腫脹+舌の腫脹が見られたら要注意と。

P-192 結核性頸部リンパ節炎の1症例(田口)
結核は昔の病気と思っているとえらいことになります。
ただ、果たして日常診療で見抜けるかどうか。
昔僕も1度だけ出会ったことがあります。
その時は触診では境界が不明瞭でしたので、
普通のウイルスや細菌によるリンパ節炎とは違うなと思いました。
抗菌薬が効かないというのも大事な情報ですね。

P-199 MRI画像による嗅球体積測定は嗅覚機能の客観的指標になる(大江)
いつもお世話になっている滋賀医大の発表です。
だからというわけではなく、いい発表だと思います。

P-064 開口障害を主訴とした巨細胞性動脈炎の一例(林)
この症例ももともとは顎関節症を疑われた様ですね。
側頭動脈を触知できるかも確認しておいた方がよさそうです。

P-096 PM2.5がアレルギー性鼻炎患者の症状に与える影響についての検討(沖中)
直観的にはそうだろうなと思っても、
実際にデータとしてこうして示してもらえると、
患者さんにお話するときに自信を持って話せるのでありがたいです。

P-091 好酸球性多発性血管炎性肉芽腫症の経験(鈴木)
好酸球性多発性血管炎性肉芽腫症
(Eosinophilic Granulomatosis with Polyangitis:EPGA)
こういう全身性の血管炎による炎症って難しい。
EPGAしかり。ANCA-OMAAVしかり。

P-121 伝音性難聴を呈した高位頸静脈球の2例(土屋)
鼓膜切開をする時、ひっかけると大量出血をすると言われていますが、
切開前にちゃんと見破れるかどうか心配です。

P-117 難治性中耳炎から多発性脳膿瘍を来した1症例(井原)
これも一つ間違えばピットフォールに陥るもの。

P-113 顔面神経麻痺を呈した結核性中耳炎の一例(井澤)
これもまた診断に難渋しますね。
抗生剤抵抗性のものは要注意です。

P-265 ビスホスネート製剤に関連した外耳道骨壊死の一例(黒柳)
骨粗鬆症などからビスホスネート製剤はよく使われるように
なってきていることを考えると、今後注意がいりそうです。

P-258 カプサイシン外耳道刺激による高齢者の肺炎予防プロジェクト(陣内)
超高齢社会の到来に伴い、誤嚥性肺炎で亡くなる方が増えています。
耳を触ると咳が出るというのはArnold反射として知っていましたが、
この反射を利用して誤嚥性肺炎を予防するという発想はすごいです。

P-133 Hunt症候群の症状を呈した内耳梅毒の一例(安齋)
これもまた、ピットフォールになりやすい。

P-275 めまいと頭痛を主症状として初診時に診断が困難であった若年性延髄外側症候群例(鹿子島)
こういうのも怖いめまいですね。
頭痛、体幹失調、口角のしびれ、こうしたものは要注意ですね。

P-273 手持ち型電気マッサージ器を用いたクプラ結石症治療(篠原)
もともと、Eply法の原法はバイブレーターを使用することになっていたので、
治りにくいクプラ結石症の場合は試してみる価値はありますね。

P-269 内耳造影MRIの定性的2D検討による内リンパ水腫陽性率(北原)
今後、ハイレゾのMRIが普及してくると、
MRIによる診断が普及してくることになりますね。

P-177 海綿静脈洞血栓症を合併したLemierre症候群例(福島)
上気道炎や抜歯を契機に起こるということですが、
はたして外来で、気がつくことができるだろうか・・・

P-175 伝染背単核球症罹患後にEBウイルス関連NK/T細胞リンパ球増殖症を併発し不幸な転帰をとった1例(古瀬)
今回のポスター演題で僕にとって最もインパクトが強かった症例報告。
劇症型EBウイルス関連リンパ増殖症、
致死性EBウイルス関連血球貪食症候群などの呼び名があるらしい。
伝染性単核球症がよくなっても、
しばらくは気を許してはいけないということかな。
EBV-DNAコピーの測定が有用。