本:風邪の効用

月曜日、ちょっと鼻の奥からのどがイガイガして、
これは危ないなと思っていたところ、
火曜日、少し声が低くなって来ました。

「こんばんは、田村正和です」

なんて、最初は低くて渋い声がでるもんですから遊んでいましたが、
やがて声が擦れてきて、
水曜日には絞るようにしか声が出なくなりました。

本当は、
この声を編集してYouTubeに上げようかとは思ったのですが、
さすがにばからしいのでやめました。

数年に1回くらいはこういうことがあります。
前回は昨年の11月、今回はちょっと間隔が短かった様です。

ちょっとおとなしくしている方がよさそうだったので、
ちょっと前に買っていた本が今の僕にぴったりだと思って、
この本を読んでみることにしました。

『風邪の効用』 野口春哉、筑摩書房

著者の野口春哉氏は、『野口整体』の創始者で、Kaze
1976年に既になくなられていますが、
この本は、1962年に発刊されたものを再構築し、
2003年にでています。
僕が買ったこの本で第21刷と、息の長い本で,
雑誌などで読書に関する特集があると、
時々でてくる知る人ぞ知る本です。

本の裏表紙より、解説伊藤桂一氏の言葉:
”風邪は自然の健康法である。風邪は治すべきモノではない、
経過するものであると主張する著者は、自然な経過を乱しさえしなければ、
風邪はひいた後は、あたかもヘビが脱皮するように新鮮な体になると説く。
本書は、「闘病」という言葉に象徴される現代の病気に対する考え方を一変させる。・・・”

確かに、始め読み出した時は、
ぶっ飛んだ内容にびっくりしました。

”頭を使いすぎて頭が疲れても風邪を引く。
消化器に余分な負担をかけた後でも風邪を引く。
腎臓の働きを余分にした後でも風邪を引く。
とにかく体のどこかに偏り運動が行われ、
働かせ過ぎた処ができると風邪を引く。・・・”(p.26-7)

僕の今回の場合、どうなんでしょ?
アキレス腱切って、杖をつく状態で、
確かに体に歪みはでています。腰は痛いしね。
そのことでしょうか?

それとも、運動不足にさらに磨きがかかってますので、
それが原因でしょうか?
あるいは、お酒の飲み過ぎが原因でしょうか?

ま、どれも可能性ありますね。
そうしたことを考えさせることも、
結局「風邪の効用」なのかもしれません。

それにしても、
この著者は、「野口整体」という、
一つの治療法を創立した人でもあり、
本の中でも、随所にその治療法についての話も出てきます。

ところが、これが、今まで知っている西洋医学とは全くちがうし、
一般的な東洋医学ともまた異なるように思います。
この治療法を理解するのは中々難しいです。

そんな中、少しなるほど!と思った箇所があります。
風邪は心理現象ととらえられる一面を持っている場合があると。

たとえば、風邪の治療をして、もう少しで治るよと言うと、
意外にも、いつまでも治らないようなことをやってみたり、
治ってもそれを認めようとしない人がいるらしい。
どうやら、その人の深層心理の動きというか、
私の病気を安く見積もっては失礼しちゃうなどという、
奥の心も見なければならないような事があるのだそうです。
そして、そういう心が起こると、それが抵抗になり、
風邪がなかなか治らないと(p.47-48)。

この、深層心理というか、
潜在意識の反抗というのはやっかいだと言う。
「こうやれば治るよ」などと言って、治療をすると、
治りたくない欲求というか、
心がそういう言葉に反抗して、
逆に風邪を作っていくということがあると。

だから、特に親が強引に、
「これをやれば必ず治るのだからやりなさい」
などと言うと、急に風邪が悪くなる。
深層心理が反抗するのだそうだ。

まあ、確かに、
これなら良くなるはずだと思える患者さんが、
(まあ、そう考えることは、本当はおこがましいことなんですが)
いろいろ処方を変えてもどうしてもよくならない場合があります。
そういう時には、深層心理の中に、
治りたくないと本当は感じている何かがあるのかもしれません。

ちょっと長くなりそうなので、続きは明日。