Long-COVIDに関する論文1

前回のブログ投稿からほとんど1ヶ月近く開いてしまいました。
とび太くんの話もまだまだ書けるのですが、
そればかりだと遊んでばかりいる様に思われそうで、
だからと言って、アカデミックな話も何となく書けなくて、
「あ~、書かなきゃ」と思うだけで、
パソコンの前に座ると、結局違うことばかりやって
時間ばかり過ぎてしまいました。

ま、そういうこともあるわいな。

とは言うものの、ここに来てLong-COIVDの論文が
いくつか眼に入ってきたので、一連として取り上げてみたいと思います。

まずは、10月24日配信のnature briefing:
Severe COVID linked to fungal microbiome
An imbalance of fungi in the gut could contribute to excessive inflammation in people with severe COVID-19 or long COVID. Individuals with severe disease had elevated levels of a fungus that can activate the immune system and induce long-lasting changes. This raises the possibility that antifungal treatment could be repurposed to help people who are critically ill. It’s still unclear whether this imbalance is a result of contracting COVID-19 or preceded it and made people more susceptible.”

DeepL簡易版で訳:
重症COVIDは真菌マイクロバイオームと関連している
重度のCOVID-19や長期にわたるCOVIDの患者では、腸内の真菌のバランスが崩れ、過剰な炎症を引き起こしている可能性がある。重症の患者では、免疫系を活性化し、長期にわたる変化を引き起こす可能性のある真菌のレベルが上昇していた。このことは、抗真菌治療が重症患者を助けるために再利用される可能性を提起している。このアンバランスがCOVID-19に罹患した結果なのか、それとも罹患前から罹患しやすくなっていたのかはまだ不明である。」

リンク先のnatureの本記事:
Inflammation in severe COVID linked to bad fungal microbiome
(重症COVIDにおける炎症は、悪玉真菌のマイクロバイオームと関連している)”

この記事を書くにあたってアクセスしてみたのですが、
有料記事になってますね。
お金払って読んだ覚えがないのですが・・・
時間がたったら有料になるのかな?
まあ、読める人は探してみてください。

また、関連文献として、
”Fungal microbiota sustains lasting immune activation of neutrophils and their progenitors in severe COVID-19
(真菌微生物叢は重症COVID-19における好中球とその前駆細胞の持続的な免疫活性化を維持する)”
Nature Immunologyvolume 24, pages1879?1889 (2023)
が上がっていましたが、こちらは無料で読むことができます。

要は、腸内の過剰な「真菌叢」が
有害な免疫反応の引き金に関与している可能性がある、ということ。

また、SARS-CoV-2陽性と判定されたことのない人と比較すると、
重症のCOVID-19患者は、
Candida albicans等の真菌の抗体が高かったという報告もあるとのこと。
そしてその変化はLong-COVIDに伴う炎症にも関与している可能性がある、
ということかと思います。

まあ、もともと腸内にC.albicansが多い人が、
重症COVID-19やLong-COIVDになりやすいのか、
COVID-19に感染した結果、C.albicansが増えた人が、Long-COIVDになるのか、
つまり原因なのか結果なのか、ということはありますが、
場合によっては抗真菌薬が
Long-COIVDに対する治療戦略になる可能性があるかもしれません。

風邪で抗生剤というのは、
本来風邪はウイルス感染症なので必要がないわけで、
耐性菌を作らないためにも使わない様にと言われていますが、
あとに急性副鼻腔炎になったり、
のどの痛みを鎮痛剤だけでしのでいた人が
扁桃周囲膿瘍になったりするのを見ると、
どうしても抗生剤を出したくなります。
しかし、腸内に真菌が増える可能性を考えると
それも考えものかもしれません。
悩ましい問題です。
結局一番大切なのは、
自然免疫をしっかりつけておくということかもしれません。

と、ここまで書いて思い出しました。
当院のブログで、SARS-Cov-2と腸内細菌について何度か取り上げました。

最初はプレボテラ菌が関係するのではとか
新型コロナ感染症とプレボテラ菌?1~4
新型コロナ感染症とマイクロバイオータ2
(これらはどちらかと言うと最終的に否定的でした)

また、コリンセラ菌というのが、逆に重症化を防いでくれるとか
>SARS-Cov-2と腸内細菌2


腸内の微生物叢と健康についてはまだまだいろいろと出てきそうです。