本:自然治癒力が上がる食事4

引き続き、
『自然治癒力が上がる食事~名医が明かす虫歯からがんまで消えていく仕組~』
という本について紹介しています。
興味を持たれた方は、実際に本をお読みください。

さて、後半では、
歯周病に対して食事療法を実践することで、
改善した生活習慣病について紹介されています。

①高血圧症(p.121)
歯周病治療に最も効果的なのはマグネシウムなんだそうですが、
マグネシウムは高血圧にも有効なんだそうです。
マグネシウムを含む食材で日本人が手軽に摂取できるものとしては、
ワカメやヒジキ、ノリなどの海藻類や、ナッツ類もよいとのこと。
さらに緑黄色野菜も重要。

著者の小峰先生のクリニックでは、
受診者の唾液のpHを測定されるのだそうです。
唾液のpHが酸性に傾くと自らの唾液で歯を溶かし、
虫歯ができやすくなる上に、
唾液が酸性ということは、身体自体も酸性に偏りがちで、
体内の活性酸素を打ち消す力が弱く、
病気に打ち勝つ自然治癒力が弱いのだそうです。

身体をアルカリ性に保つにはアルカリ性食品を多く食べ、
酸性食品を控えること。
アルカリ性食品としては、野菜や果物があり、
酸性食品としては、炭水化物や肉類、砂糖なんだそうです。

②糖尿病(p。123)
血糖値の急上昇が糖尿病の一番の原因なんだそうですが、
それは糖質の過剰摂取だけの問題ではなく、
肉や卵、乳製品などの動物性タンパク質に含まれる脂肪が
筋肉や肝臓細胞に蓄積し、その飽和脂肪酸が
インシュリンの働きを悪くしてしまうことも問題なのだそうです。
つまり、糖尿病予防には、動物性タンパク質の摂取を
控えたほうがいいのだそうです。

③がん(p.127)
歯周病の原因として、砂糖、ストレス、運動不足があるそうですが、
がん患者さんの生活習慣もよく似ているのだそうです。
ですから、歯周病のための食事療法は、
がん患者にも有効なんだそうです。

そして、胃がん、婦人科系がん、大腸がん、すい臓がん、
食道がん、血液のがん、肺がんなど臓器別に具体的に述べられています。

④結石症(p.136)
胆石や腎臓結石をはじめとする結石症は、カルシウムの異所性石灰化です。
アルツハイマーや白内障、顔のシワなどの老化現象なども、
実はこの異所性石灰化が引き押していると考えられるのだそうです。
食事療法としては、カルシウムを摂るのをやめ、
マグネシウムを積極的に摂るのだそうです。

⑤腎臓病(p.137)
腎不全に陥る大きな要因は、肉や魚などの動物性たんぱく質の摂りすぎ。
動物性タンパク質を食べると、腎臓はすぐに最大限の力を発揮し、
過剰のろ過モードになり、その結果、腎臓に負担がかかのだそうです。
さらに動物性タンパク質に多く含まれるメチオニンなどの含硫アミノ酸が
体内で代謝され、硫酸が発生、身体が酸性に傾きます。
唾液のpHの低い患者さんは腎機能障害を起こしている可能性があるため、
アルカリ性食品の摂取をすすめているとのこと。

第7章 合わない入れ歯が病気をつくる
第8章 予防が認められない日本の保険診療の問題

このあたりは概ね割愛しますが、一つだけ。

”実際入れ歯が合わないと訴えてくる人の口の中を調べてみると、
薬の副作用によって唾液がでにくくなているということは多くあります
そこで私は入れ歯の細かな調整を行うのではなく、
薬を飲む原因となった症状に注目し、
それを改善するための食事療法を行うなど、
唾液が多く分泌されるような指導を行っています。”(p.147)

当院は耳鼻咽喉科ですので、
「唾液が出にくい」という患者さんも結構いらっしゃいます。
その中には年齢的に唾液が出にくくなってきた方もいらっしゃいますが、
向精神薬剤などを飲まれている患者さんもいらっしゃいます。
薬剤性の口渇は、わかっていても、
中々それをやめてもらうのって難しいなと思ってしまいます。
ただ、その中には、
食事療法でいくらかでも改善する場合があるのかもしれません。
そのあたり、粘り強く指導していく必要があるのだなと思いました。