展覧会:メトロポリタン美術館展-西洋絵画の500年-3

前回、前々回からのつづき

次の部屋に行きましょう。次は、
II.絶対主義と啓蒙主義の時代:

”17世紀初頭、カトリック教会と専制君主の宮廷という
聖俗二つの権力の誇示のために美術は活用された”そうです。
まあそのおかげで徐々に絵画が扱う題材も
いろいろと変化に富むようになっていきました。

いくつか印象に残った絵をあげてみます。
まずは、ジョルジュ・ド・ラ・トゥールの『女占い師』:

(今回もメトロポリタン美術館展HPから拝借)
これが今回の目玉の一つなんでしょうか。
図録の表紙もこれでした。

みんな怪しげな、一癖も二癖もありそうな顔してますね(笑)。
似たような絵を以前観たことがあるなと思ってましたが、
今回ブログを書くにあたって
ジョルジュ・ド・ラ・トゥールを調べていたらすぐに見つかりました。
ルーブル美術館所蔵の『いかさま師Le Tricheur』ですね。
似たような絵と思ったらこの人の絵でした。

(こちらはルーブル美術館のHPから拝借しました)

********
そして、これも目玉の一つだと思っていたのですが、
ヨハネス・フェルメールの『信仰の寓意』。

もっと特別に展示されているのかと思ってましたが、
他の作品と同じ並びで展示されていました。

だからというわけではありませんが、
『牛乳を注ぐ女』や『真珠の首飾りの少女』、『地理学者』
などと比べると、何となく僕の好みではありませんでした。
おそらく宗教色が強くなっているからなんでしょう。
展覧会のHPの『信仰の寓意』についての作品詳細を読むと、
フェルメールがこの絵を描いた時代背景がよくわかります。

********
僕が今回の美術展で最も印象に残ったのが次の2つ。
ピーテル・クラース『髑髏と羽根ペンのある静物』

生命や現世の富・名声のはかなさの寓意を伝える
「ヴァニタス(虚栄)」の典型なんだそうです。

ホームページから引用しますと、
”髑髏は死を意味し、その下にある本は人間の努力と叡智の蓄積を象徴します。左背景では、オイルランプの燃え尽きた芯からうっすらと煙が立ち昇っています。これは、人間が現世でなしたことは、絶えず過ぎ行く時間のなかでは、重要ではないことを暗示しています。”
展覧会のHP:作品詳細をお読み下さい。)

解説を読んであらためて観ると味わいが出てきます。


********
もう一つ印象に残った作品は、
マリー・ドニーズ・ヴィレール『マリー・ジョゼフィーヌ・シャルロット・デュ・ヴァル・ドーニュ(1868年没)』

逆光の中で浮かび上がるように描かれた画風は
現代の作品かなと思うほど印象的です。
まだ当時珍しかった女性画家による作品。

この作品が女性画家によるものだと知って、
僕が好きな漫画の一つ、
大久保圭さんの『アルテ』という作品を思い出しました。

時代はルネサンス期という設定なので、
上の作品よりはもう少し古い時代ですが、
女性画家を主人公にした物語で、こちらもオススメです。