Webinar:「粘膜バリア機能とマイクロバイオームから漢方薬を考える」2 

昨日からのつづき

SARS-Cov-2関連
天然物における結合阻害作用をもつ物質を探せ!
・・・膨大なスクリーニングの結果唯一があがった候補:
フラボノイド化合物(ヘスペリジンhesperidin)

我々の腸管は粘膜バリア機構で守られている。
そう簡単には感染症は成立しない。
しかし糖尿病の人は粘膜バリアが破綻してきている。
高脂肪食もバリア機能が弱まり菌が浸潤しやすくなる。

粘膜バリア
腸内微生物と宿主が互いに干渉せずにwin-winの関係を続けていくためには
両者を空間的に隔てるメカニズムが必要

それを可能にしているのが腸管上皮細胞
その主役は:
1.微生物叢
2.粘液
3.抗菌ペプチド
4.細胞間接着装置
5.上皮細胞
6.免疫細胞(TgA、Treg、ILCs)

腸管粘膜バリアと腸内細菌
・Feacalibacterium prausnitzi
⇒潰瘍性大腸炎やクローン病で低下

・Akkermancia muciniphila
⇒免疫に関与 免疫チック阻害剤のレスポンだーでは占有率が高い
⇒また、防風通聖散ではこの菌が増加するのでは?

漢方薬と腸内環境
・十全大補湯の腸管免疫応答が、
無菌マウスとSPF(特定された微生物等が存在しない)マウスで異なる

・茵陳蒿湯の肝保護作用が、抗生物質処理により消失する

こうしたことから、腸内細菌が漢方薬を変えているのではないか
漢方薬の成分が腸内細菌によって代謝され活性型に変化
逆に漢方薬の多くの配糖体がプレバイオテクス様作用で
菌叢を変化させる可能性も

大建中湯の消化管治癒促進作用
漢方薬が腸内細菌叢を変化させ、短鎖脂肪酸などの産生が増加
大腸内での腸内細菌による発酵が大切

最初の漢方薬に関するクエスチョン
・同じ漢方薬でも個々人で効果が異なる
⇒腸内フローラが異なれば、漢方薬の代謝も異なるから
・同じヒトでも効くときと、効かない時はある
⇒食が異なれば個人の腸内フローラは容易に変化するから
・長期に服用すると効きやすくなることがある
⇒漢方薬はその代謝に関わる腸内細菌を誘導するのはないか

すごく勉強になりました。