しそ・シソ・紫蘇

今年はうちの畑は草ボウボウです。
(今年”も”という話もありますが)
その中で、一人というか一植物、気を吐いているのがシソ。

そんなにしっかり種を蒔いたりした覚えがないのですが、
結構たくさんそこら中に生えています。

今年は梅雨が長くて植え付けのタイミングが合わなくて、
夏に食べる野菜がちょっと少なめ。
そこでしこたま生えているシソも摘んで野菜として食べてます。
ありがたいことです。

今回はちょっとシソについて知識を深めていきましょう。
ネットでいろいろと調べてみました。

まずはいわき市のHPの中に、”昔野菜図譜”というものあって、
ここにシソについて解説がありました。

”昔、蟹を食べてひどい食中毒で死にかけた若者にシソの葉を煎じて飲ませたところ回復したことから、紫の蘇る草の意を表しているといわれます。”

確かに、「魚の毒を消す」みたいなことを
どこかで読んだ気がします。
このため、この文章を読んで以来僕は、
お刺身が出てきたら、シソ(この時は青じそですが)の葉も一緒に
食べるようにしています。

その他、栄養価についてはWikipediaから拝借
”β-カロテン、ビタミンB群、ビタミンC、食物繊維や、カルシウム、鉄、カリウムなどのミネラルを多く含む”

同様に、Wikipediaから防腐・殺菌効果について:
”シソの香り成分にもなっている精油は、ペリルアルデヒドを約55%含み、この成分が防腐作用と殺菌作用を持っている[22]”
と書いてますが、そのあとに面白いことが書いています。

”防腐効果は、5-10%の食塩との併用によって得られると報告されている[27]。この性質を利用して梅干しが作られる。そのまま使用した場合には、防腐効果や食中毒原因細菌の増殖抑制効果は無い[28]。”
[27]の論文がダウンロードできたので読んでみました。
>[27]紫蘇と食塩の食品防腐作用における相乗効果について

確かに、食塩だけ、紫蘇(青ジソ)の葉だけでは、
細菌や真菌の発育の抑制は大したことありませんが、
両方入るとかなりの効果が出てくる様です。

Wikipediaに戻りますと、
”刺身などの生もの料理にシソが添えられているのは、昔から続いている食べ合わせの経験の知恵に基づいたものである[6]。粕谷らによる1988年の報告によれば[29]、カツオやアジなどの青魚に寄生している線虫のアニサキスに対する殺虫作用があることが報告されており、昔から刺身を食べる際は青ジソの葉や穂ジソなどを薬味として用いているが、このときアニサキスが胃壁などに絡みつくために起こる胃痛を防ぐという効果もあったことを示している[22]。”
とあります。
やっぱりお刺身食べるときはシソの葉も食べとこうっと。

シソの香りの主成分はペリルアルデヒドという物質だそうです。
ラベンダーも同じシソ科なので、
こちらにもペリルアルデヒドが含まれているのかなと思いましたが、
ラベンダーの主成分には出てきません。
同じ科だからと言っても全然違うのですね。

さて、シソは漢方生薬としても用いられています。
「蘇葉」「紫蘇葉」と呼ばれ、
理気剤(塞いだ気の通りをよくする作用)に用いられます。

実際に蘇葉を含んだ処方としては、
香蘇散、半夏厚朴湯、参蘇飲、神秘湯などがあり、
半夏厚朴湯を含む方剤として、
柴朴湯や茯苓飲合半夏厚朴湯にも当然含まれています。

参蘇飲は軽いかぜに用います。
香蘇散も軽いかぜ気味や気分が塞がった時にも使いますし、
その他、小柴胡湯と併用すれば「柴蘇飲」という名前の処方になり、
耳管狭窄症や鼻涙管狭窄にもよいと言われています。
また、鼻づまりを強く訴える患者さんなのに、
鼻の粘膜を診てもほとんど腫れていない様な時にも
有効な場合があります。

半夏厚朴湯はのどの詰まる感じ、咽喉頭異常感症でよく使われます。
いずれにしても「つまった感じ」がキーワードの様です。
(もちろん腫瘍等ないことが前提になりますが)

神秘湯は半夏厚朴湯よりもう少し奥、気管支に働く処方です。
メインは麻黄・杏仁による気管支拡張作用だと思いますが、
胸のつまった感じに、陳皮・厚朴・蘇葉といった
気分を晴らす生薬が手助けをしています。
それにしても「神秘湯」とは、如何にも効きそうな名前ですね。
(麻黄含有なので虚血性心疾患等のある方は注意が必要です)