ポリヴェーガル理論について簡単に復習

先日、今年前期に読んだ本の最後は次の本だと書きました。
『「安心のタネ」の育て方』 浅井咲子,大和出版
この本、いいです!

この本の著者、浅井咲子さんは、
公認心理士/神経セラピストで、
ポリヴェーガル理論の第一人者で、
ストレス&トラウマに対するケアの指導や、
全国各地で講演もされているそうです。

この本では、そのポリヴェーガル理論を基盤に、
不安やイライラを消去する具体的な方法が書かれています。
しかもその基盤となるポリヴェーガル理論をよく知らなくても
実践すればいい様に配慮されています。

とは言え、以前、
このブログでは『ポリヴェーガル理論入門』という本について、
詳しく取り上げたことがありますので、
この際ですから、まずは少しそのことに触れたいと思います。

一般的に「自律神経」と言った場合、大雑把に言うと、
交感神経と副交感神経の2つがあって、
交感神経が活性化されると活動的になり、
副交感神経が活性化されるとリラックスしやすくなる。
2つの自律神経はシーソーの様に働き身体を調節しているとされ、
現代人は交感神経優位なため、様々な不都合が生じる。
副交感神経を鍛えて、リラックスが得られれば身体は健康になる。

概ねこんな感じでしょうか。
もう少し詳しく書かれているものなら、
副交感神経が優位ばかりでは、身体が動かず倦怠感が強くなる、
最終的には交感神経と副交感神経のバランスが大切。
まあ、こんな感じだと思います。

ポリヴェーガル理論では副交感神経の中で最も重要な迷走神経を、
脳(延髄)にある神経細胞の基地(神経核)の位置関係から、
腹側迷走神経と背側迷走神経の2つに分け(※1)、
これに交感神経を加えた3つの神経の働きで
身体の調節を行うと捉えます。

交感神経は、敵と対面した時の様な「危険」を感じた時、
戦うか逃げるか(闘争/逃走,Fight and Flight)を
選択し行動できるように働きます。
腹側迷走神経は、「安心」「安全」を感じた時、
リラックスや休息、あるいは他者との交流が出来るように働きます。
背側迷走神経は、「生命の危機」を感じた時、
身を守るため、生き残りのために「凍りつき」として働きます。(※2)

さらにポリヴェーガル理論では、
迷走神経の自律神経でない部分にも注目します。
実は迷走神経の80%は感覚神経で、
内臓から脳に情報を上げています。

この脳に届けられた内臓からの情報は
普段あまり意識に登りませんが、
過去の情報と照らし合わせ、
現在の状況が「安心」「安全」かを逐一感じ取っています。

そして、目の前に現われた対象の状態によって、
身体はこの腹側迷走神経-交感神経-背側迷走神経の
3つの状態・・・すなわち「社会性」「闘争/逃走」「凍りつき」
の間を行ったり来たりしているとされています。

※1:実際には他の脳神経もまきこんだ複合体として活動します。

※2:以前このブログでは、僕もこのくらいで理解していたのですが、
実際には、腹側迷走神経と交感神経系のブレンドや、
背側迷走神経の社会化といった現象もあるようです。
前者は「あそび」であったり、リフレッシュするためのスポーツなどが
これに当てはまるのだそうです。
後者はパートナーとの愛を育む場合などで、
オキシトシンが重要な役割を果たす様です。
また、一人でリラックスする場合には、
背側迷走神経もほどよく活性化している必要がある様です。

もし,もう少し解説を読んでみようと思われる方がいらっしゃいましたら、
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