小太郎Web講演会

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行で、
学会に行く機会は減ったのですが、
かわりにWebでの講演会が盛んに開かれる様になって、
家にいながらに参加できる手軽さもあって、
最近しょっちゅうWebセミナーを見ています。

いろいろ勉強になるセミナーも多いのですが、
そんな中、今回は1月31日に小太郎漢方製薬さんが主催された、
第1回小太郎漢方東京WEB講演会の視聴について
お話をしたいと思います。

講師は「つちうら東口クリニック」川嶋浩一郎先生。
Live配信を見ながらメモをとったので、
正確性に欠けますがご容赦ください。
(あくまで備忘録です)
なお⇒がついた段落は僕が勝手につけた注釈です。

今回のテーマは、
『瘀血と痰飲(慢性炎症)の漢方治療と食養生』
これを現在のCOVID-19の話を絡めながらお話して下さいました。

現在流行中のCOVID-19の重症化の要因として、
加齢(老化)、動脈硬化症、肥満、循環器系疾患などがありますが、
これらは漢方ではみな『瘀血(おけつ)』だと。

⇒たしかにそうですね。言われるまで気がつきませんでした。
東洋医学で言う瘀血とは、血流の悪い状態をさしますが、
「血液がドロドロ」の状態みたいな表現で言われる場合もありますが、
血液の流れが滞っている場合や、
炎症を起こしている状態も含まれます。

⇒動脈硬化症や高血圧あるいは肥満も、
最近は低悪性度の慢性炎症だと言われています。
ですからこうしたものはすべて瘀血の範疇に入ります。
(加齢というのはそうした瘀血の結果なんだと思います)

これは僕の単なる思いつきですが・・・

⇒先日、COVID-19に対する理想的な防御は、
ウイルス暴露時にインターフェロンが早期に誘導されて、
ウイルスが増殖する前に排除してしまうことだとお話しました。
それに対して、重症化する場合は、
インターフェロンによる初期消火ができないために、
様々なサイトカインが誘導されるために、
サイトカインストームが起こるのだろうと思われました。

⇒ひょっとしたら低悪性度の慢性炎症が生じている場合、
初期消火に必要なインターフェロンが枯渇していて、
それで間に合わずに次のステップに進行してしまう
のではないかなと思うのです。

まあ、それはともかく、講師の先生は、
COVID-19で重症化したくなかったら、
普段から節制等行って極力瘀血状態を
軽減しておきましょうと言われました。

瘀血の予防としては、ベストは魚中心の和食、次が地中海食。
お肉は週に数回、それも鳥中心。四つ足は月に数回まで。
発酵食品(納豆、味噌汁など)をしっかりとりましょう。

長期摂取で瘀血必発のタンパク質は獣肉。
NeuGC(という酵素?)を太古に人は失ったため、
取り過ぎると蓄積するのだと。 (ここはちょっと聞き逃しました)
獣肉過多による炎症促進は癌も増やす。
大腸癌は日本人の死因の第2位。

焦げた物(AGEs)を避けること。
AGEsは強い酸化ストレス。
慢性炎症、瘀血、癌の発生・促進、老化を促す。
抑制できるものには緑茶と漢方(黄耆)がある。
日本で最も女性の死亡率が低いのは静岡県。
黄耆は時にひどいアレルギーを起こすので注意。
メラトニンもAGEsを分解する。(睡眠大切)
リノール酸を少なくしαリノレン酸を摂ること。
海藻にはαリノレン酸が多い。
動物性脂肪は血管がゴースト化しやすい。

そしてもう一つ普段の生活で気をつけておくべきことは、
「痰飲」を改善しておくこと。

⇒痰飲とは、痰湿とも言われ、ますが、
血液以外の身体の水分が停滞・凝縮したもの、
つまりはドロドロしたものというイメージでしょうか。

痰飲の予防は、水毒から痰飲へ。
寒さと湿気。
冷たい水分の飲み過ぎと高脂肪食:外感と内傷。

⇒冷えと湿気、水分特に冷たい物の取り過ぎに注意。
これらと高脂肪食が合わさると痰飲になりやすい。
外感は外因(気候の変化など)による病気で、
内傷は飲食の不摂生や精神の過労などで
身体が痛めつけられた状態ですね。
こうしたものを避ける様にしましょうということだと思います。

⇒水分については、メニエール病や低音障害型感音難聴で
内耳がむくみやすい人の場合は、
こまめに水分摂りましょうと言っているのですが、
取り過ぎもよくないのかもしれません。
あくまで「こまめに」の方が主体。あと冷たいのはNG。

そして、最後にCOVID-19の治療のお話。
感冒症状が出たらできるだけ早く麻黄剤を。
麻黄剤の抗ウイルス作用はDose-dependent。
中国でCOVID-19に有効と言われている、
清肺排毒湯は麻黄9g/日!

⇒日本ではこんな量使えませんね。
また、麻黄は虚血性心疾患や不眠、尿閉などに注意です。
でも、「できるだけ早く」というのは、
本当は一番大切なんじゃないかと思います。

そして最後に、講師の川嶋先生は
とんでもない恐ろしいことをお話されました。

我々は、2009年に新型インフルエンザ(A/H1N1)という、
新興感染症を経験しました。
そして今回はCOVID-19です。
COVID-19は高齢者や基礎疾患を持つ人にとっては、
死亡率は多少高いですが、全体としてはそれほど高くはありません。
しかし、今後、鳥インフルエンザの変異株が
人間に感染するようになった場合、
致死率50%と言う様な激しいパンデミックが起こってくる可能性まで
考えておく必要があるとのことです。

新型インフルエンザがホップ、
新型コロナがステップで、
次なる高毒性の感染症がジャンプで出現するかもしれないのだと。
我々は今回のこのパンデミックから、
しっかりと学ぶべきではないかとお話されました。

配信を見終わってから、講師の先生のHPを拝見しました。
すごく勉強になるページだと思ったので、
勝手ながらリンクを貼っておきます。
新型コロナウイルス感染症のパンデミックに思うこと