その他の補中益気湯の効果に関する作用機序

補中益気湯の抗ウイルス作用については、
感染時のINF-αが誘導されると書きましたが、
それ以外にもたくさんの作用機序がある様です。

ゆっくり読んでいきたいところですが、
僕もよく分からないところもあるので、
ちょっと触れるだけにしておきます。
興味を持たれた方は読んでみてください。

”A Kampo (Traditional Japanese Herbal) Medicine, Hochuekkito, Pretreatment in Mice Prevented Influenza Virus Replication Accompanied with GM-CSF Expression and Increase in Several Defensin mRNA Levels”
(漢方(伝統的な日本の薬草)薬、補中益気湯、マウスでの前処理は、GM-CSFの発現といくつかのディフェンシンmRNAレベルの増加を伴うインフルエンザウイルスの複製を防止しました(Google翻訳))
Pharmacology 2013;91:314-321

動物実験ですが、補中益気湯を投与するとINF-αだけでなく、
顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)
と呼ばれるサイトカインも増加し、
ディフェンシンと呼ばれる
抗菌ペプチドの産生が増加するそうです。

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”Hochuekkito, a Kampo (traditional Japanese herbal) Medicine, Enhances Mucosal IgA Antibody Response in Mice Immunized with Antigen-entrapped Biodegradable Microparticles”
(漢方(日本の伝統的な薬草)薬である補中益気湯は、抗原に閉じ込められた生分解性微粒子で免疫されたマウスの粘膜IgA抗体反応を増強します)
Evidence-based Complementary and Alternative Medicine : Ecam, 29 Oct 2007, 7(1):69-77

卵アルブミンで抗原抗体反応を作り出したマウスに
補中益気湯を飲ませた場合に
腸管にどんな変化が生じるかを調べた研究。
リンパ球からINF-γ分泌が増加し、
抗原に対する特異的IgA抗体が増加した。
⇒粘膜の免疫が増強された。

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補中益気湯については、
他にもいろいろな科学的な研究がなされているようですが、
ちょうど昨年4月、COVID-19が流行してきたころ、
日本医事新報に、
『新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対する漢方の役割』
という緊急寄稿がありました。
【緊急寄稿】新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対する漢方の役割(渡辺賢治ほか)|Web医事新報|日本医事新報社 (jmedj.co.jp)

その寄稿文の「7.漢方医学にいける感染書の考え方」に
感染症における補中益気湯の作用機序が紹介されています。

”十全大補湯同様にインターフェロンα産生の準備状態をつくるほか10),ウイルス粒子に結合して複合体を形成し,細胞への侵入を抑制すること11),細胞内ストレス応答の役割を持つオートファジーの誘導を促進して,インフルエンザ感染によるオートファジー機能不全を軽減すること12),およびインフルエンザ感染により破綻した解糖系-ミトコンドリア間の細胞内エネルギー代謝の恒常性を改善する作用を有することなどを示してきた13)。感染前に投与することで,これらの機序により,感染の重症化を防いでいるのである。
これらはインフルエンザウイルスを使った研究であるが,他のウイルス感染でも漢方薬の補剤投与により,生体防御機能を上げておくことは重症化予防につながると推測できる。”

というわけで、
COVID-19に対しても予防的な働きとして、
補中益気湯は有効な可能性があると思われます。

なお、これは僕の個人的な意見ですが、
補中益気湯を予防的に飲む場合、1日の服用量は
それほど多くなくてもいいのではないかと思います。