『超と脳』第2部 直感と内臓感覚5 直感的な判断3 

私たちは脳内の膨大に蓄積された膨大な内臓感覚をもとに、
直感を働かして日々の生活を送っています。

では、内臓感覚に基づく判断は常に正しいのか?
その答えは「イエス」でもあり「ノー」でもある、
と筆者は言います。

内臓感覚は、私たちが考えている以上に、
自分自身の経験や学習で獲得した知識から情報を引き出しています。
しかしその反面、トラウマ経験、気分障害、宣伝広告などの、
外部からのさまざまな影響によって
いとも簡単に撹乱されてしまいます。
テレビの影響なんか最たるものですね。

内臓感覚に基づいて予測や判断を行う能力は進化の副産物であり、
脅威に満ちた危険な世界では、
悪いことが起こりそうだと考える傾向が強いほうが、
生存においては優位性が得られます。

しかし、生命を脅かす身体的な危険が、
日常生活における心理的ストレスで置き換えられた
今日の先進諸国では、
そのようなシステムは適応不全を引き起こしてしまいます。
その結果、今日では、
内臓感覚に基づくネガティブな判断のために、
不満や健康問題が引き起こされていると。

そこで問われるべきは、「内臓感覚は信頼に足るのか?」ではなく、
「どうすれば真の内臓感覚を正しく同定できるようになるのか?」。
何が自分にとってほんとうに有意義なのかを
内臓感覚を介して正しく理解することであるのだと、
筆者は言います。

どうすれば、心の中のライブラリーにアクセスできるのでしょうか?
その種の映像を見るのに適しているのは、
夜間、つまり夢を見ているときでなんだそうです。

睡眠中の被験者を対象に行われた脳画像研究では、
レム睡眠中に活性化する脳領域というのは、
島皮質や帯状皮質などのサリエンス・ネットワークを構成する領域、
ならびに扁桃体などの情動を生成する領域、
海馬や眼窩前頭前皮質などの記憶を司る領域、あるいは
イメージの形成に必須の視覚皮質も含まれているそうです。

それに対して、前頭前皮質や頭頂皮質などの、
認知や気づきに関与する領域や
随意運動をコントロールする領域は非活性化されているのだと。

注目すべきは、
夢を見ている最中に身体の機能がオフになっている間は、
それ以外のいかなる器官と比べても、
「脳ー腸ーマイクロバイオータ」相関の活性化の度合いが高く、
蠕動は睡眠中にフル稼働し、
腸内微生物をとりまく環境を劇的に変えているのだそうです。

レム睡眠中に見る夢は、
情動的な記憶の種々の側面を統合し強化するという説があり、
夢の分析は、内臓感覚に触れ、
内臓感覚に対する信頼を確立するための一つの方法なんだと。
夢の役割は、内臓感覚という形態で日中に蓄えた
情動的情報の強化であるのだと。

夢分析ををすれば、
ひょっとしたら自分の記憶のデータベースにアクセスできる
・・・これって、フロイト、ユング、あるいはフロムも
以前から言ってますね。結局そこか。

そういえば、最近全くやってませんが、
一時、夢日記をつけて遊んでいたことがあります。
そのあたりのことは、以前ブログで書きました。
夢日記のシリーズ

おのころ心平さんのセミナーにも行ったことがあって、
無意識とコミュニケーションができるらしい、
ということも学びました。
ただ、飽きっぽいもので、結局そのときだけで、
深層心理とも出会えず、今は何もしていません。

夢って、毎日ちょっとでも見たと思ったら書き留めていると、
だんだん毎日でも見ることができるようになります。
逆に、もういいやと思っていると全く覚えられなくなります。
また、夢日記つけてみようかな。

ところで、もう一つ脳のデータベースにアクセスする方法が
あるそうです。それは催眠。
催眠というと怪しげな催眠術を思い浮かべる人も多いでしょうが、
催眠療法というのはれっきとした精神療法の一つです。
昔、ミルトン・エリクソンという
ものすごく催眠療法の上手な先生がいて、
現代の精神療法に大きな影響を与えています。

彼は、催眠を引き起こすストーリーを、
意識的で合理的な脳の側(左)と無意識的で賢明な側(右)とに
交互に聞かせることによって
被験者をトランス状態に置くことに長けていたそうです。

被験者は催眠状態におかれているあいだ、
無意識的な脳の側を次第に信頼するようになり、
合理的で線形的な思考メカニズムによってものごとを
コントロールしようとする試みをやめるようになたのだそうです。

催眠は、外部に注意を向けるモードから、
内省モードへと脳をすばやく切り替え、
トランス状態を引き起こすにの非常に有効なばかりでなく、
エリクソン催眠のセッションを何度も受けると、
トランス状態に置かれていなくても、
重要な判断を下す際のあり方がそれまでとは変わるのだそうです。

何か話が脳と腸から大分ずれてしまいましたが、
腸内微生物の状態を整えておくことというのも、
気分や感情、さらには人格をも安定させるというのは、
経験的にも頷けることですし、
最近はいろんなところで話が聞かれます。
論文としても結構出てきています。
そのあたりも、いずれ話ができたらと思います。

ということで、『腸と脳』の第2部はこれで終わり。
そのうちに第3部についてお話したいと思います。