『超と脳』第2部 直感と内臓感覚4 直感的な判断2

「次回に続く」と書きながら中々書けませんでした。

内臓感覚は生まれた時から感受され、蓄積され、
情動の原資となります。

空腹を表現し、食物への抑えきれない欲求を引き起こす内臓感覚は、
新生児が持つ最初のネガティブな原情動かもしれないし、
同様に、プレバイオティクスとプロバイオティクスが多量に含まれた
母乳を飲んだ後で覚える満腹感は、
最も早い時期に経験する心地よさの感覚だとのこと。
その他のポジティブな内臓感覚には、
母親のやさしい愛撫、暖かさ、心地良い音などがあります。

幼少期における満腹や空腹、あるいは快や不快の周期的な経験は、
のちに内臓感覚に現われる、よいこと、悪いことに関する
倫理的判断の基礎を築くのかもしれないと。

言い換えると、自分の欲求がどの程度満たされたか、
あるいは満たされなかったかが、
幼少期に内臓に登記されるのだそうです。

では、幼少期における「良いこと」「悪いこと」の感覚の形成に、
腸内微生物の巨大な集合がいかに寄与しているのか?

その一つの例として、
抗不安薬に似た成分GABAの代謝産物を生成する微生物の一つ、
乳酸菌の特定の株があげられるそうです。
微生物は内因性の抗不安薬を生成することによって
乳児の脳内の情動生成システムを沈静化し、
激しい空腹感を和らげるための支援ができるのだそうです。

まあ、小難しいことを言わなくても、
人間お腹が満ちているときには幸福感を感じます。
それをより手助けしているのが腸内細菌らしいということですね。

ところで、人間が他の動物と区別され、
人間たらしめている要因は?と言われると、
「直立歩行」「他の指と対置可能な親指」「脳が巨大」
「言語を操る」「頂点捕食者」などが挙げられるそうですが、
内臓感覚や直感的な判断に関する議論に的を絞ると、
私たちの脳には2つの注目すべき特徴があるそうです。

一つは、前部島皮質とそれに密接する前頭前皮質。
前頭前皮質の想定的な大きさという点で人間に最も近い動物は、
ゴリラの特定の種をはじめとする類人猿、クジラ、イルカ、ゾウ。
いずれの動物の脳にも、情動、社会、認知に関する機能が
あるそうです。

そして、もう一つ、あまり知られていない特徴があるのだと。
それは、島皮質の右前部とその関連構造にくるまれた、
特殊な細胞の存在:フォン・エコノモ・ニューロン(VENs)
と呼ばれるもので、筆者は「直感細胞」と呼びます。
この細胞は、大型類人猿、クジラ、イルカ、ゾウ以外の動物には
見つかっていないらしい。

直感細胞は、誕生の数週間前に脳内に出現、
人間では誕生時28,000⇒4歳頃184,000⇒成人後193,000個ほどに
なるそうです。直感細胞は右脳に多く分布し、
右前部の島皮質には、左島皮質に比べて30%ほど多く存在する。
直感細胞は、サリエンス・ネットワークから
他の脳領域へと迅速に情報を伝えるべく設計されているのだそうです。

ジョン・オーマンというVENsの第一人者の説:
人は誰かに会うとき、その人物が何を考え、
感じているのかを対象に心的モデルを構築するのだそうです。
初対面の人に出会った際には、内臓感覚、ステレオタイプ、
閾値下の知覚などで構成されるデータベースを参照しつつ、
その人物に対する直感的イメージを即坐に形成し、
それから数秒、数時間、数年をかけて、
徐々に合理的判断を築いていくのだそうです。

何かがおかしいと思ったときにも直感細胞は発火し、
変化した状況に応じて直感的な判断を再調整するよう導く。
ユーモアは不確実な状況を解消し、緊張をほぐし、信頼を生み、
社会的な絆の形成を促進するのだと。

直感細胞を動員する高速コミュニケーションシステムは、
複雑な社会組織のもとで暮らすようになった哺乳類に、
内臓感覚に基づく判断を行う能力を付与しました。
これは急速に変化する社会的状況に即座に反応し、
適応できるようになる進化だと考えられているそうです。

そろそろ僕も頭の中が飽和状態になってきたのですが、
我々は、生まれた時から(あるいは生まれるちょっと前から)、
内臓の感覚をずーっと蓄え続けている様です。
ここでの内臓感覚は腸だけでなく、全身の感覚だと思います。
ただ、その中でも腸内細菌の出すシグナルが、
大きな影響を与えているのだろうと思われます。

内臓感覚は脳幹等からサリエンス・システムに伝えられ、
その時起こっていることへの集中と分析を行い、
海馬等の情報をもとに、過去の経験と照合し、
扁桃体の情報をもとに、分析結果を色づけし、
データとして保存しているということかなと思います。
そして、必要な時に、直感細胞(VENs)が活性化され、
今の状況が、過去に起こった状況と似ているかを照合し、
どう反応すればよいかを私たちに教えてくれるのだと。
(詳しい方、間違っていたら教えて下さい)

私たちが内臓感覚に基づいて判断する時には、
脳はグーグル検索のごとく、
情動的なできごとを記録した無数の動画が保管されている
ライブラリーにアクセスするのだそうです。

どんな判断を下す場合でも、
起こりうるすべての良い結果と悪い結果を意識的に評価する
などという、時間のかかるプロセスは必要とせず、
何らかの行動が求められる場合、
脳は、過去に類似の状況が起こった際に形成された
情動的な記憶に依拠しながら
その反応がいかなる間隔を生むのかを予測するのだそうです。

長くなったのでさらにもう1回続きます。