怒りに4種類あるって知ってました?

先日、クラシエさんが持ってくる情報誌「phil漢方」(No.78)を、
なんとくざーっと流し読みをしていました。

そこで、1つのレポートに目がとまりました。(p.28)
「認知症の介護抵抗への漢方薬の使い分け
~赤い怒り(憤)・青い怒り(怒)・白い怒り(忿)・玄い怒り(怨)~」
著者は島原こころのクリニック 川口 哲先生

認知症患者が高齢社会の進行に伴い増加しています。
その症状としては、
中核症状(認知機能障害)とBPSD(心理行動障害)があり、
BPSDには抑肝散や抑肝散加陳皮半夏がよく用いられ、
一定の効果は期待できるとされていますが、
中々一筋縄ではいかない場合もあり、
介護現場としては、介護抵抗に対しての改善薬を望まれます。

筆者は、「介護抵抗・BPSDには『情の歪み』がある」という
松田実先生の言葉から、
情の歪みのうち「憤・怒・忿・怨」の4種類を
発見したとレポートされています。
そして、それぞれに応じた漢方薬の使い分けを
症例とともに提示されました。

この「憤・怒・忿・怨」という情の歪み(広い意味での怒り)を、
古典的な四色(赤・青(蒼)・白・黒(玄))に
なぞらえて分類されています。

☆赤い怒り(憤)
怒りの理由は正当であり、「憤慨している」。
患者さんの容認閾値の低下で起きる。
なんでこんなことで起こるの!
介護者の些細なミスを容認できずに介護抵抗をきたすタイプ。
「憤」の理由は理解できるので、
時には、介護側等が謝らなければいけないことも。

☆蒼い怒り(怒)
怒りの理由が誤解であり「怯えの裏返し」
患者さんの認知機能の低下による混乱と不安で起こる。
なぜ起こるの?
介護を受けていても何をされているかわからなくなり、
不安・焦燥感から介護抵抗を惹起する。
「怒」の理由が他者には理解しにくいが、何となく共感はできる。
誤解を解くことが必要。

☆白い怒り(忿)
怒りの理由が妄想であるので訂正不能。
患者さんの神経機能の衰えによる妄想的異常。
理解できない!
「忿」の理由が妄想のため介護者は全く理解できず当惑する。
状態がいい時もあるため、
介護者が「わざとしているんじゃないか」と曲解もある

☆玄い怒り(怨)
怒りの理由が封印されていた過去の嫌悪体験「いま・ここへの甦り」
患者さんの記憶整理能力の障害(過去と現在の混同)
過去の怨恨のため介護者に思い当たることはあるが、
「何をいまさら!」と当惑する。

そして、それぞれの症例提示を行い、
それぞれにあった漢方薬を処方されています。
・憤(赤い怒り)⇒黄連解毒湯
・怒(蒼い怒り)⇒抑肝散加陳皮半夏
・忿(白い怒り)⇒人参養栄湯
・怨(玄い怒り)⇒桂枝加芍薬湯合四物湯

今まで何となく、
「怒り=抑肝散」くらいにしか考えたことがありませんでした。

赤・青・白・黒は、これに黄を加えて五色とし、
古代の基本的な色です。

黄連解毒湯というのは確かに赤ら顔の人に処方することの薬剤ですし、
抑肝散が必要な人というのは
青筋たてて起こる人というイメージはあります。
人参養栄湯と白の関係はよくわかりませんが、
桂枝加芍薬湯合四物湯の四物湯は、
もともと皮膚が枯燥した感じの人に使うとよいとされ、
黒をイメージさせます。

なお、(最近知ったのですが)
桂枝加芍薬湯合四物湯は神田橋処方と呼ばれ、
フラッシュバックによいそうで、
まさに怨の薬剤かもしれません。

面白い考え方だなと思います。