ポリヴェーガル理論入門7 疑問点1

今回のポリヴェーガル理論でいくつか疑問がありました。

一つは、自閉症やPTSDなどで出現する聴覚過敏と、
耳鼻咽喉科を受診される聴覚過敏は同じものなのかということ。

もちろん精神科や心療内科等で診断されている患者さんが
受診される場合もありますが、そうでない患者さんの方が多い。
まあ、抑うつ傾向はありそうな方は多いですが、
聴覚過敏が原因で抑うつ傾向が出ている場合もあるでしょうし、
原因なのか結果なのか判断が難しいところです。

メニエール病や低音障害型急性感音難聴でも聴覚過敏を
言われる患者さんは時にありますが、これはどうでしょう?
一般に内耳障害に伴うものは、内耳の補充現象という、
別の病態だと考えられます。
ただ、聴力が正常化したにもかかわらず、
聴覚過敏だけが残る人も時々いらっしゃいます。
これは、検査にひかからない程度の内耳障害がまだ残っていると
考えているのですが、実際にはポリヴェーガル理論でいう
中耳機構の変調の可能性もあるのでしょうか?

2つ目の疑問は、
聴覚過敏が自閉症やPTSD等とは関連のないタイプだとして、
生じるメカニズムはこれも
無髄性迷走神経の活動による防衛反応なのでしょうか?

3つ目の疑問は、ポリヴェーガル理論では、
聴覚過敏を引き起こすのは、
中耳の音を伝える機構が変化したからだとのことですが、
中耳の伝音機構を変化させるには、
あぶみ骨筋反射と鼓膜張筋反射を用いると思うのですが、
前者は顔面神経由来、後者は三叉神経由来であり、迷走神経ではない。

また、聴覚過敏をもつ人は、
声の抑揚や顔の表情をつくるのが苦手とのことでしたが、
声を出すのに必要な喉頭を動かす神経は、
上喉頭神経、下喉頭神経と呼ばれる神経で、
確かにいずれも迷走神経由来ですが、
表情をつくる顔面の筋肉を動かす神経は顔面神経です。
これはどういうことでしょうか?

※この疑問点については、
その後↓この本を読むことでおおむね解決しました。
『「ポリヴェーガル理論」を読む -からだ・こころ・社会-』 津田真人, 清和書店
ポリヴェーガル理論を読む
(現在、まだ読んでいる途中なので、レヴューは後日しようと思います。)

迷走神経には2種類、有髄性と無髄性の迷走神経があると最初にお話しました。
これらは正確には、
前者が延髄の「疑核」と呼ばれる場所を起始とする
「腹側迷走神経複合体」を形成、
後者は延髄の「迷走神経背側運動核」と呼ばれる橋を起始とする
「背側迷走神経複合体」を形成しているものを呼ぶそうです。

この前者の「腹側迷走神経”複合体”」は単一の神経ではなく、
実は4種類の脳神経(三叉神経・顔面神経・舌咽神経・副神経)が
複合しているものなのだそうで、それぞれの働きを含むのだそうです。
そして、疑核内の配列模式図が書いてあり、
これを見ますと、関連する神経の核はほぼ隣合わせであり、
何らかの協調を運動をしてもおかしくないかなと思えます。