本:健やかに老いるための時間老年学6

さて、老化と時間医学についての話を、
『健やかに老いるための時間老年学』 大塚邦明,ミシマ社
この本から勉強してきました。

ここで取り上げた話以外にも、
生体時計を中に医療に関する話や哲学的な話などが、
たくさん書かれています。
ご興味をもたれた方は是非お読み下さい。

さて、この本では最後に現代人に警鐘をならしています。

1970年代以降、社会のライフスタイルが大きく変わりました。
特に都会に暮らす人々の睡眠時間は、どんどん短くなっていいます。

1996年と2011年を比べると、
男性の睡眠時間は8時間12分⇒7時間32分(-40分)
女性の睡眠時間は7時間45分⇒7時間15分(-30分)
これは小さな子どもなども入れての平均ではないでしょうか。
患者さんにどれくらい眠っているかを時々お聞きしますが、
大人はもっと少ないような印象です。

夜10時に就寝する人は、
戦前(1941年)71%⇒1970年には44%↓⇒2005年には23%↓↓
今はもっと少なくなっていることでしょう。

仕事や生活のエレクトロニクス化による「眠らない社会」は、
地球上に生命が誕生して以来、
10億年以上の長い年月をかけて
生命の中に育んできた生体リズムを破壊しようとしています。

特に都会に住む現代人は、若くして病気になりやすいそうです。
交代勤務などをされている方の健康への影響についても、
多くのデータがでています。
そして病気が治りにくいのも現代人の特徴だと。

しかし,
大都会でも正しい生体リズムを回復することができると著者は言います。
規則正しく朝食を摂り、そして会話し、笑い、充実感をもって規則正しく働く。
そして健やかに眠ること。

著者の大塚先生は、
こうした時間医学の観点から、
健康セルフケアを中心とした町作りを目指して
今も頑張っていらっしゃいます。