本:健やかに老いるための時間老年学4 

次は、生体リズムと病気の話。
病気にもリズムがあるのだと。たとえば、

朝に多い病気
6-10時:心臓病の発病
8-10時:脳血管の病気の増加
10-11時:不整脈の発現の増加

夜に多い病気
19時以降:腰痛、歯の痛みの悪化、自殺の頻度↑
22時以降:敏感肌や蕁麻疹などかゆみのピーク
23時以降:むずむず脚、喘息の発作開始、術後の死亡
24時以降:痛風や胆石、胃潰瘍や十二指腸潰瘍の痛み増強
3-4時:気管支喘息、偏頭痛、群発頭痛、心不全の増悪、新生児急死の増加

まあ、ここまではっきりしたものでなくても、
例えば一般的に「痛み」は夜の方が痛いような気がします。
また、咳も、夜布団に入ると咳がひどくなるという人がいます。
これは布団のダニアレルギーで咳がひどくなると言うばかりではなく、
やはり生体のリズムによるものかもしれません。

一方、生体のリズムは、
健康を維持するために利用することもできます。

たとえば、起床と朝食。
午前6~7時が最適と言われ、
起きてから1時間以内に朝食を摂ると生体時計がリセットされます。
この「リセット」が健康維持に大切。
朝食は十分な糖質とタンパク質を摂取。
食物酵素が豊富なフルーツや野菜ジュースが有効。
よく噛んでゆっくり食べると夜にメラトニンの分泌が増え、
深いよい睡眠が得られます。

昼食は12時前後に摂る食事は太りにくいそうです。
これは、内臓脂肪や皮下脂肪と関連の強い時計遺伝子ビーマルワンが
1日の中で最も低くなるから。

夕食は19時頃が最適。
味覚が最も敏感になるのもこれに近い18~19時の時間帯。
唾液や膵臓からの分泌が1日の中でこの頃に最も多く消化がよいから。

夕食に摂る塩分は尿から排出されやすく、
血圧上昇ホルモン(アルドステロン)が低いため、
塩分を多めに摂ってもさほど血圧は上がらないのだそうです。

とは言ってもほどほどに。
塩分の多い濃い食事を毎日摂っていると、
過剰な塩分が腎臓、肝臓の子時計に作用し、
時計遺伝子のリズムを3時間分も針を進めてしまうのだとか。

同様に、アルコールは、抵抗力が最も高くなるのは20~21時頃で、
飲むとしたらこの時間帯ですが、
過量になると翌朝の太陽光への感受性が落ちてしまい、
生体時計の針の調整ができなくなってしまいます。

このように、
食事というのはからだのリズム形成には重要な要素の一つです。
こうした、「何をいつ食べるのか」ということを研究する分野を
時間栄養学と呼ぶそうです。

この、食事(摂食)によるからだのリズム形成は、
生体時計だけでなく、もう一つ別の機序も関与しているらしい。
これを摂食時計と呼ぶそうですが、俗に言う「腹時計」のこと。
つまり、食事によって生体時計の誤差を調整しているわけです。

腹時計がどこにあるのか?
これはまだ完全にはわかっていないそうなんですが、
どうやら空腸あたりにあるらしいのです。