2019.8.3 京都耳鼻咽喉科漢方懇話会1 総論

すでに2ヶ月が経過してしまい記憶があやふやなのですが、
講義メモを頼りに復習してみたいと思います。

いつものことですが、
これ
は僕のメモから起こした備忘録であり、

正確性の保証はありません。
あくまで参考としてください。

今回のテーマは、「しつこい咳や痰に処方する漢方薬」
講師は、ひろこ漢方内科クリニックの高橋浩子先生。
まずは総論。

咳の患者さんは、なかなか待ってくれない。
一発で治してくれと言う。

咳嗽の治療ガイドラインでは、
漢方薬は片隅においやられて、麦門冬湯と小青竜湯の2剤があるのみ。
それも方向性の違う2剤を一緒くたにされている状態。

去痰剤:ムコダイン、ムコソルバン、ビソルボンなど、
使い分けはあるというが、意識して使ってもあまり変わらない印象。
むしろ漢方薬の方が使い分けがはっきりしている。

咳にはこの漢方という使い方はダメ。
その漢方がどんな働きがあるのかを理解して使い分けることが大切。
のどを潤す漢方←→乾かす漢方
からだ(局部)を冷やす漢方←→暖める漢方
という見方が重要。

咳や痰の漢方のコツ
1)症状を寒熱燥湿で考える
2)代表的な方剤を狙って使う

寒:冷えがあるのか・寒さが悪さをしているのか
寒気、水様性鼻汁、くしゃみ、寒い時期にかかる
⇒暖めて水を飛ばす(小青竜湯、苓甘姜味辛夏仁湯(麻黄なし))

熱:熱があるのか・炎症を持っているのか
肺や気管支に炎症、膿性痰、黄色痰、のどが真っ赤、急性感染症、熱感
⇒制熱の作用のある麻杏甘石湯

乾:乾燥しているのか・dry coughなのか
乾いた咳、痰がきれにくく粘って張り付いている、秋、暖房
⇒潤わせる作用が強い麦門冬湯

湿:痰がからんだゼロゼロした状態なのか
ズルズル痰がでる、白色痰
⇒水をさばく半夏厚朴湯(二陳湯を含む)


それぞれにあったものを狙って使う
単なる症状投薬ではない(ex.咳=麦門冬湯ではない)
真逆の患者さんに出すとひどくなる
(後で、真逆にみえる処方をあえて併用する場合もあると)

cf.小青竜湯と麦門冬湯
小青竜湯=暖めて水をとばす働き
麦門冬湯=潤す働き
作用としては逆

暖める薬、潤おわせる薬・・・西洋薬にはない

漢方的診断:脈診・腹診・舌診:これらは咳・痰の治療では重要ではない