後鼻漏8 仮性後鼻漏4 運動性後鼻漏感2・鼻咽腔逆流性・その他

今日もひきつづき後鼻漏の話。

参考図書は、
『知られざる後鼻漏-鼻から始まるその不快感の正体』 呉孟達, 幻冬舎
ですが、自分なりにアレンジしています。

運動性後鼻漏感に関する治療についての続き。
一応薬物についても書いておきます。
嚥下に関連する大脳基底核は、
ドーパミンとサブスタンスPという神経伝達物質が関連します。
そこでこうしたものを良くする薬を用います。
ここらあたりは脳神経内科の領域ですね。

<ドーパミン関連>
・シロルタゾール(プレタール)
抗血小板薬。大脳基底核でのドーパミン系を賦活。
脳梗塞と誤嚥性肺炎の再発を60%減少。
出血傾向に注意。
・アマンタジン(シンメトレル)
もともと抗インフルエンザ薬。治療の時は半量でOK
脳内ドーパミン合成・放湿を促進
誤嚥性肺炎を1/5に減少
・レボドパ合剤
脳内のドーパミン増量
多彩な副作用

<サブスタンスP関連>
ACE阻害剤(レニベース、カプトリル)
降圧剤+多面的な効果(抗動脈硬化、インスリン感受性改善)
誤嚥性肺炎が1/3に減少。
空咳、高カリウム血症、味覚異常、血管浮腫に注意。
・カプサイシン(唐辛子の辛み成分)
唐辛子を少量ずつ摂取するか、含有ガム製品(ガムやフィルム)
胃腸系・呼吸器系が弱い人は不可
副作用:胃炎、痔疾、気管支炎、口内炎など
・漢方薬
大建中湯や半夏厚朴湯はサブスタンスPが関係するそうです。

予防
非顕在性運動障害というのは結局脳梗塞の予防ということです。
・ラクナ梗塞を見逃さない。
・脳梗塞の危険因子の予防・・・脳卒中予防中10ヶ条
日本脳卒中協会HPもご覧下さい。

脳梗塞の予防については、、この本に詳しく書かれています。
これは、また後日、別に書きたいと思います。

・姿勢も予防の重要な一つ
高齢者の円背姿勢(亀背)⇒首は後屈するので嚥下に不利
猫背(IT猫背、スマホ猫背)=前屈みの不自然な体勢
⇒肩こり、首のこわばり⇒咽頭腔付近のむくみ

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というわけで、仮性後鼻漏について、
1)唾液性、2)運動性、と話を進めてきました。
次は、
3)鼻咽腔逆流性(唾液逆流性後鼻漏)について

これは運動性後鼻漏感の一つとしてもいいのですが、、
他の運動性の障害の多くは、
どちらかというと食道に近いあたりを問題にしてるのに対して、
鼻咽腔逆流性は、軟口蓋(のどちんこ付近)の問題です。
鼻咽腔閉鎖不全症によるものです。つまり、
軟口蓋のしまりが悪くて鼻の方に逆流してしまうタイプです。

これには次の様な原因があります。
①加齢・・・これは運動性(非顕在性運動障害)と同じです

②神経麻痺・・・ギランバレー症候群など

③口蓋垂・軟口蓋形成術後・・・睡眠時無呼吸症候群やイビキの手術

④ストレスや体調不良、心因性要素など
⇒これは次回の神経過敏性後鼻漏感と似ていますのでそちらで。

次いで、
4)その他(睡眠性、形態性など)
原因として下記のようなものがあります。

①睡眠性
睡眠時無呼吸症候群で引き起こしやすい
上気道保持筋群(?嚥下関連筋群)の緊張の著明低下
夜間に咳き込み、痰がらみ、吐き出しによる覚醒
朝起床時の後鼻漏感、咽頭異常感、口臭
睡眠性後鼻漏には睡眠時無呼吸症候群の検査を第一に
鼻呼吸の維持と肥満の克服

②頸椎性・・・Forestier病(前縦靱帯骨化症)
骨性膨隆、骨棘形成などがのどに突出してきて物理的に狭くなる
姿勢の不正、内分泌系ホルモンバランスの異常、体質、遺伝的素因
検査:X線画像、内視鏡

③扁桃性・・・舌根扁桃肥大(40~50歳代の女性に多い)
④外傷性
⑤腫瘍性
などだそうです。

次回からは神経過敏性疾患に伴う後鼻漏感について書きます。