後鼻漏3 真性後鼻漏2 慢性後鼻漏

今日もひきつづき後鼻漏の話。

参考図書は、
『知られざる後鼻漏-鼻から始まるその不快感の正体』 呉孟達, 幻冬舎
ですが、自分なりにアレンジしています。
(↑と、書きましたが、今回はほとんど丸写しですね)

真性後鼻漏をきたす慢性疾患としては、
最も重要なのが慢性副鼻腔炎です。
慢性副鼻腔炎には、感染性の副鼻腔炎から移行したものと、
アレルギー関与と言われている好酸球性副鼻腔炎があります。

感染性の慢性副鼻腔炎は
細菌感染によるものと真菌によるものがあります。
細菌感染が持続すると、細菌は自分たちの集落に防御柵をつくります。
これをバイオフィルムと呼び、薬が効きにくくなります。

こうした状態に対抗する治療として、
マクロライド系抗菌薬の少量長期療法があります。
通常量の半分の量で3ヶ月から半年続ける場合があります。

この時期になると後鼻漏は粘性になります。
この粘性の主成分は「ムチン」と呼ばれるもので、
去痰剤が有効です。去痰剤には4種類あります。

①気道粘液溶解薬(システイン系製剤)
ムコフィリン・ペクタイド・チスタニン
水様性後鼻漏には逆効果になることも

②消炎酵素製剤(ブロムヘキシン)
ビソルボン
水様性のもの対しては基本的にタブー
保険適応は下気道疾患のみ

③気道粘液修復剤(カルボシステイン)
ムコダイン
硬い痰からやわらかい痰までどちらにも適応
気道粘膜における粘液産生抑制もあり
量が少なく、非常に粘稠度の高い”乾き痰”には逆効果

④気道粘液潤滑薬
ムコソルバン、ムコサール
界面活性剤のような物質の分泌を促進
硬くてしつこい痰
エヘン虫がいるような痰がらみ、咳払いに有効

こうした治療で改善しない場合は、
外科的手術(ESS)を行います。

なお、真菌性副鼻腔炎が疑われる場合は、
一般的には手術が行われます。