本:ソリューション・バンク

『ソリューション・バンク ブリーフセラピーの哲学と新展開』 長谷川啓三,金子書房

冬休みに娘が家に帰ってきた時にちょっと面白い話を聞きました。

電車で小さな子がワーワー泣き叫んでいたそうです。
お母さんは困った様に、
「まわりの人に迷惑になるから泣くのをやめなさい!」
と、何度も何度も注意していました。

娘の前にはおばあさんが、
孫らしき高校生くらいの男の子と一緒に座っていたそうです。
泣き叫ぶ子どもを見ながらおばあさんは孫に言います。
「あれはあかんなぁ、ちょっと、行って言うてきたろうか!」
孫は、「やめときーな」と言います。
「それでも、あんなに泣いてるんやし、ちょっと言うたったらええのや」
「やめとき~」
娘はてっきり、そのおばあさんは、泣いている子どものお母さんに、
文句を言おうとしているのだと思ったそうです。

ところが、おばあさんはいわく、
「子どもは、『泣くな』言うたら、もっと泣くんや。
こういう時は、『もっと泣き!もっと泣き!気の済むまで泣き!』
と言うたるんや。そしたら、ピタリと泣き止むもんや。
お母さんも、そんなに気にせんでええのになぁ。」
予想外の意見に娘はなるほどと感心したそうです。

これと同じ様な話が、この本の中に書いてあります。
>事例6 ことごとく反抗する少年
今ここに、大人に、たとえば親の言うことに、ことごとく反抗する少年がいるとする。親が言うことをきかせようと思って言えば言うほど、そのいちいちに反抗するのである。親の言いつけは、まるで反抗の材料を与えているようなものである。
さて、ここで両親をして「もっと反抗しろ!」というないような命令を出させるとする。言外の態度も一致させて、そう言うのである。年齢が低いほど、たいてい、反抗をやめることになる—(p.20)

なぜそうなるのか?
>先の命令が子どもの耳に届いた以上、この命令にも反抗すれば、反抗をやめることになるし、さらに反抗をつづける、もしくは強めるとしたら、命令に「従った」ことになる。どちらにしても親側の思うつぼである。

これは、ブリーフセラピーの中心的な技法のひとつで、ややセンセーショナルに、「パラドキシカル・アプローチ」と呼ばれている(以下略)(p.20)

面白いですね。
娘の前のおばあさんは、そんな「パラドキシカル・アプローチ」
なんて言葉は知らなかっただろうと思いますが、
経験的にどうすれば困った状況を収めることができるかを
知っていた訳です。

ちょっと長くなったので続きは明日。