2018.7.7 京都漢方基礎講座2

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対薬理論から学ぶ加味逍遥散

対薬とは
臨床上、また包材構成上合理性をもつ二味の生薬の配合
対薬は生薬配合の最小単位
多くの方剤は対薬の組み合わせとして理解できる
作用を高めあったり補いあったりする

加味逍遥散
構成生薬:柴胡・薄荷・当帰・芍薬・白朮・茯苓・生姜・甘草・牡丹皮・山梔子

1.疏肝理気(肝気を流す)
肝気鬱結の治療原則1に基づく
柴胡と薄荷・・・ともに気を流す
肝は気の調節センター

2.補血活血(血を補い動かす)
肝気鬱結の治療原則1に基づく
当帰と芍薬・・・ともに血を補うが方向性は少し異なる
当帰:発散作用、血虚改善、温める方向
(血虚があると流れが悪くなり於血でもある)
芍薬(白芍):収斂作用、柔肝(肝の緊張をとる=けいれんを抑える)、
冷やす方向

3.健脾燥湿
肝気鬱結の治療原則2に基づく
木克土から肝の不調は脾胃にくる
脾=消化管⇒脾↓は水滞でもあるので燥湿も大切
白朮と猪苓・・・ともに健脾燥湿、一緒に用いるとよい、ただし、
白朮:健脾>燥湿
猪苓:健脾<燥湿

4.辛甘扶陽
肝気鬱結の治療原則2に基づく
胃に対しては、生姜と甘草が担当
両方とも食欲増進効果あるが、
生姜は辛み、甘草は甘み(食欲増進効果は軽度)

5.清熱
肝気鬱結の治療原則3に基づく
牡丹皮と山梔子が担当
化火への対処:肝陽上亢⇒虚熱を持つ⇒清熱除煩
肝は血を蔵する=全身の血液の貯蔵庫
⇒牡丹皮・・・肝の熱をとる
心も血と関係するが、自分では持っていない
肝からもってくる⇒肝に熱があると心も熱を持つ
⇒山梔子・・・心の熱をとる

加味逍遥散の目標:肝血虚、脾胃気虚を伴った肝気鬱結。
易怒、抑うつ感、嘆息、月経前脹痛、月経不順など