4/28こころの漢方セミナーin滋賀2 

特別講演は奈良でクリニックを開業されている、
岡 留美子先生
「こころに生かす漢方」

・近世以前:宗教医療が未分化:僧侶が祈祷・漢方・鍼灸など
・近世になり分化:漢方医、鍼灸師
・近代以降:医療の細分化
精神科領域⇒薬物療法と精神療法

江戸時代:
和田東郭・・・「移精変気」:石をなでるだけで病気が治る
今泉現玄祐・・・甘麦大棗湯

精神科と漢方
・漢方は心身一如、精神科治療も心身一如
・漢方は精神科著量を内包する

漢方自体の効果・有効性
・精神症状・身体症状療法に有効
⇒心身一如:抑うつ、不安、不眠、食慾不振など
・心身の不足を補う
⇒西洋医学的には「攻め」がメインだが、漢方は「補う」ことができる

服薬抵抗の軽減
・抗精神薬に対して抵抗のある人に「じゃあ、漢方にしてみましょうか」
・実際に服用して効果を実感する重要性
・身体症状を軽減することで薬物療法を導入する糸口にもなる

抗精神薬の減量
・常容量依存が問題⇒減量に苦労
・抗精神薬に対する異常な期待・乱用の抑制
・漢方薬への置換

向精神薬の副作用の軽減
SSRI、SNRIの消化器症状⇒半夏厚朴湯、六君子湯、五苓散など
向精神薬の口渇・便秘
口渇白虎加人参湯、半夏厚朴湯
便秘麻子仁丸、大黄甘草湯、大承気湯など
向精神薬の錐体外路症状
抑肝散、抑肝散加陳皮半夏、芍薬甘草湯

良好な治療関係を構築
・ラポール形成・・・薬の副作用のこともあらかじめ説明しておく
・漢方は飲み心地を重視⇒味、のど通り、症状以外の身体の変化

向精神薬も飲み心地が大切
熊木徹夫「精神科薬物の官能的評価」
>あいち熊木クリニックHP
http://www.dr-kumaki.net/about_kannoutekihyouka_kodawari.html
睡眠薬:入眠するときの感覚、睡眠の深さ、覚醒時のきれのよさ など

精神科薬物にも「証」がある
神田橋條治先生の教え
「統合失調症で、もう少し意欲的になりたいと思う人にはリスパダール」
しかし、これを医師が意欲をあげてやろうと思って使うと興奮してしまう

漢方を効かせるには
・漢方がどう効くかを知る
・患者のレジリエンス(治る力)を引き出すように処方