僕が医師になるまで36

前回は僕が耳鼻咽喉科を目指すことになったところまでお話ししました。

その時、高知医大の当時の耳鼻咽喉科の教授、
斎藤先生の講義が面白かったのが
大きな理由の一つであることは以前にも書きました。

ただ、それだけが理由でもありません。
耳鼻咽喉科という領域は、
赤ちゃんから老人まで、男性も女性も対象とする分野です。
幅広い対象であることは魅力の一つでした。

まあ、実際に医師になってみると、
自分の専門分野以外のことは、
的確に診ることはとてもできないなとわかるのですが、
当時は、最初から全く診られないのもなぁ~、
という思いが僕にはありました。

それと、耳鼻咽喉科は、
診断から治療まで一貫して行うことができるというのがいいな
と、当時の僕は考えていました。つまり、
内科で診断しても、外科的治療が必要なら外科に送るしかない、
みたいなのが、なんか不本意な感じがしていたのでした。

実際には、耳鼻咽喉科であっても、
全身的な病気なら内科にお願いしなければいけませんし、
頭頸部の手術でも、下咽頭がんの手術などの時などは、
腹部外科の手助けが必要です。

さらには、開業した今となっては、
がんの患者さんや、手術の必要な患者さんは
大きな病院にお願いすることになり、
最後まで自分が引き受けるとことはできません。

ましてや、産婦人科などは今の僕は全く何もできません。
(今の医師は研修医の時にもう少し一通り学ばれるのでしょうが)

要するに、まだ医者にもなっていない医学生で、
多少の医学的知識を得たレベルでの判断であり、
今思えば狭い視野での見解だったなぁとも思います。

ま、そんな判断力ではありましたが、当時の僕は、
教授の講義が面白かったこと、
地元の滋賀につながりがあったこと
(そして、滋賀医大の教授からも来ていいと言ってもらえたこと)、
老若男女を診断から治療までできること、
そうしたことが重なって
耳鼻咽喉科医を目指すことになったのでした。
(実際には色々な人の協力が必要なのですが)