本:センス・オブ・ワンダー(The Sense of Wonder)

先日、朗読の話を書きました。

朗読のすすめ
http://www.itaya.or.jp/?p=3498

朗読に適する本を探してみた
http://www.itaya.or.jp/?p=3501

で、その結果、とりあえず朗読してみたのが、
童謡でもなく、小説でもなく、詩でもない、この本。

『センス・オブ・ワンダー(The Sense of Wonder)』 レイチェル・カーソン 著,上遠恵子 訳,新潮出版

レイチェル・カーソンについては、sense of wonder
『沈黙の春』という自然保護や公害防止の運動の
さきがけとなった、
バイブルの様な本が有名です。
昔僕も読もうと思って買ってきましたが、
結局僕は最初の数ページを読んだだけ。
そのまま今も本棚の片隅にひっそりと並んでいます。
いつかは読もうと思いながら、
もう20年以上たってしまいました。

そんなわけで『沈黙の春』については知っていたのですが、
『センス・オブ・ワンダー(The Sense of Wonder)』については、
全く知りませんでした。

レイチェル・カーソンは、この『センス・オブ・ワンダー』をもとに、
さらにふくらませたいと考えていましたが、
それはかなわず、この本が最後のメッセージとなりました。

この本を知ったのは、ちょっと記憶があやふやなんですが、
福岡伸一先生の『動的平衡2』に出てきて、
それを読んだ直後、今度は阿川佐和子さんの本にも、
出てきたのがきっかけだった様に思います。

実際、このお二人の対談集に
『生命のささやきに耳を澄ます センス・オブ・ワンダーを探して』
というのがあります。

この『センス・オブ・ワンダー』は、あとがきも入れても60頁で、
しかも左半分には綺麗な写真が挿入されています。
たぶん30分くらいで読めるのではないかと思います。

センス・オブ・ワンダーがどういうものかも含め、
一部抜粋したいと思います。

(p.23)
子どもたちの世界は、いつも生き生きとした新鮮で楽しく、驚きと感激に満ちあふれています。残念なことに、わたしたちの多くは大人になるまえに、澄みきった洞察力や美しいもの、畏敬すべきものへの直感力をにぶらせ、あるときはまったく失ってしまいます。

もしもわたしが、すべての子どもの成長を見守る善良な妖精に話しかける力をもっているとしたら、世界中の子どもに、生涯消えることのない「センス・オブ・ワンダー=神秘さや不思議さに目を見はる感性」を授けてほしいとたのむでしょう。

この感性は、やがて大人になるとやってくる倦怠と幻滅、わたしたちが自然という力の源泉から遠ざかること、つまらない人工的なものに夢中になることなどに対する、かわらぬ解毒剤になるのです。(以下略)

ここまで、僕が最も気に入った部分を抜粋したのですが、
あとをどう続けようか考えながら、
先ほど福岡先生の『動的平衡2』を読み返してみたら、
ちょうど同じ部分が『動的平衡2』に引用されていました。
無意識のうちに影響をうけていたのでしょうかね。

小さい頃昆虫学者になりたかった福岡先生にとって、
ルリボシカミキリという小さな虫の青さが、
先生にとってのセンス・オブ・ワンダーだったのだそうです。
そして、先生はそのまま生命科学の世界に進んでいかれました。

翻って、自分のセンス・オブ・ワンダーはなんだったんだろうと考えてみました。

僕だって、小さい頃は田んぼや堤防を走り回る普通の子どもでした。
普通に昆虫や魚などにも興味を持っていました。

タマムシのあの綺麗な羽の色には感動しましたが、
残念ながら、特別昆虫採集が上手なわけでもなく、
というよりむしろ下手くその部類っだったかもしれませんね。
そこにのめり込むことはありませんでした。

ちょっと長くなってきたので続きは明日。