小学生の頃の夏休み1

世の中の子どもたちは、もうすっかり夏休みですね。

社会人になって一番残念だったのは、
夏休みが短くなったこと。
子どもの頃は1ヶ月以上休みがあって
たっぷり時間がありました。

僕の小学生の頃の夏休みを振り返ってみます。

まず朝はラジオ体操から始まります。
これは今でもそいうところが多いでしょうね。

昔の夏って、
昼間の暑さはそれほど変わらない様な気がしますが、
それでも今の様に
35℃まで行くことはなかった様にも思います。
せいぜい31℃くらいだったような。
だから、朝はもう少し涼しかったように思います。

今は朝からモワッとした熱風がまとわりつく感じがしますが、
当時、ラジオ体操が行われていた、
近所のお宮さんの境内に朝早く行くと、
スカッとした張り詰めた感じがしたものでした。

神社には特有のカラッとした空気というか雰囲気があり、
今の年齢になるとあのスカッと感がとても心地よいのです。
ただ、当時はそんなことには無頓着でしたね。

朝の早起きというのは、ラジオ体操のためもありましたが、
もう一つ楽しみがありました。
昆虫採集です。

お宮さんの拝殿前には、
何故か板切れなどが置いてあって、
朝一番に来た者はこの板きれをめくってみるのです。
すると、
夜の間にやって来ていたカブトムシやクワガタなどが
そこに隠れているのです。

神社の拝殿には蛍光灯が付けられていて、
夜中にその光に誘われて虫たちが集り、
朝になって日が昇ってくると物陰に隠れるので、
これを裏返せば簡単に昆虫がゲットできたのでした。

さらに、僕の田舎のお宮さんには、
ヤニをよく分泌する椎の木が1本ありました。
その幹の下の方に小さな洞があり、
そこが昆虫の好きな場所で、そこをほじくり返すと、
結構な確率でクワガタなどが採れたものでした。

こんな風に書くと、
さぞや昆虫採集が得意な少年だったと思われそうですが、
実はあんまり得意な方ではありませんでした。

他の遊び仲間は、
オオクワガタとかミヤマクワガタなど採ってきては
獲物を見せてくれましたが、
僕にとってそれはとっても羨ましいものでした。

それでも、小学生の頃はよく昆虫採集をしました。
でも、中々とろい小学生に捕まる昆虫はそれほどいません。
アブラゼミ、ニイニイゼミ、カナブン、カミキリムシ
このあたりは、まあそれでも何とかゲットできます。
カブトムシとコクワガタは運動神経はあまり要らないので、
運がよければゲットできます。

難しかったのは、クマゼミ。
今住んでいる草津では、この時期になると朝から、
”シャーシャーシャーシャー”
と強い調子で鳴いていますが、
僕が子どもの頃の湖北地方は、この時期、
9割近くは
アブラゼミとニイニイゼミだったんじゃないかと思います。

小学校4年生くらいだったんじゃないかな。
網を持っていつもの神社の境内にやってきた僕は、
いつもと違った鳴き方をしているセミに気づきました。

「あっ!これはクマゼミだ!」
近くのケヤキの気をそっと下から眺めると・・・いました!
透き通った羽で黒い虫体。
まぎれもなくクマゼミです。

心臓は高鳴りました。
持っている網で手を伸ばせば
ギリギリ届くところで鳴いています。

そーっと網を後方から近づけます。
そーっと。そーっと。決して気づかれないように。
あと10cm!・・・今だ!
網を強く木にかぶせました。

よし!手応えあり!
そう思った瞬間、
網の隙間から無情にも飛んでいくクマゼミ。
僕はしばらく呆然としていました。
はー、あと少しで採れたのに!

この経験は今でも心に残っています。