本:めまいは寝転がり体操で治る1

『めまいは寝転がり体操で治る』 肥塚 泉, マキノ出版

著者の肥塚先生は、koiduka
現在の聖マリアンナ大学の耳鼻咽喉科の教授です。

僕がまだ開業する前ですから、かれこれ20年以上前、
学会でめまい関連の発表をするたびに、
色々と質問や助言をいただくことがありました。

その後先生は教授に就任され
お忙しい身でありながら、
学会でお会いする機会があれば、
声をかけて下さいます。

さて、この本についてですが、最近、
”めまいはリハビリで治す”
というのがトレンドになっています。
以前、当ブログでも2つの本を紹介しました。
本:めまいのリハビリテーションに関する2冊

『めまいは寝てては治らない』に代表される新井先生の本には、
実践的なめまいのリハビリが詳しく書かれています。

五島先生の『めまいリハビリ』では、
リハビリ方法に加えてストレスへの対処法が詳しく書かれています。

これら上記2つの本に加えて、
この肥塚先生の本もオススメしたいと思います。

肥塚先生のこの本の特徴的な所は以下の点:

1.リハビリの主軸を寝返り体操にしているところ
肩幅に開いた指先を交互に見るとか、
動く指先を追跡するというリハビリは、
新井先生、五島先生の本にも出てきます。

このリハビリは基本中の基本であって
確かに大切なのですが、どちらかというと、
強いめまいが収まった直後などに推奨されるやり方。
(本当は慢性期でも効果はあるのですが)

ある程度の時期になった人では、
なかなか真面目にやってもらえない様にも思います。

その点、この寝返り体操の方は
比較的「やった感」があるかもしれません。

新井先生の本などにも、よく読めば寝返り体操のことも
書いてあるのですが、肥塚先生のこの本では、
この寝返り体操を前面に出しています。

この寝返り体操、もともとはRollingover manueverと呼ばれ、
頭を揺すぶることで三半規管に紛れ込んだ耳石の塊を崩して
重力の影響をうけにくくするということで、
良性発作性頭位めまい症に特に有効とされてきました。
「ためしてガッテン!」でも紹介されました。

この体操、
責任となる三半規管が特定できなくてもできるのも利点で、
僕は今まで肥塚先生の教室から出された論文のイラストで
患者さんに説明してきました。

しかし、それに加えて、その他のめまいに対しても、
小脳や脳幹での前庭代償を促進させることから効果的
というのは気がつきませんでした。

これからは、他の慢性的なめまいの人にも
お勧めしようと思っています。

ちょっと長くなりそうなので続きは明日。