センチメンタル・ジャーニー3

丹後地方は、初めての赴任地でもあり、
ある種、郷愁に似た懐かしさを持っています。
さらに、実はこの地は僕たち夫婦にとってゆかりのある土地でした。

峰山町から車で30分程度東に行きますと天橋立があります。
この天橋立のすぐ近くに岩滝という場所があります。
ここは、僕の嫁さんの母親の実家のあった所でした。

ちょうど峰山に赴任していた頃は、
嫁さんの祖父母が当地で暮らしていたので時々遊びに行きました。

嫁さんの祖父は、1900年生まれで、100歳まで長生しました。
慶応大学の医学部を卒業したそうですが、
学生時代は東京で近代建築で有名なヴォーリズが建てた家に
下宿していたそうです。
大学卒業後、医者として石巻に赴任、
後年は地元に帰ってきて内科医院を開業していました。

結婚して初めてそのお祖父さんの家に行きました。
当時、すでに91歳のはずでしたが、
1日数人ではありましたが、近所の患者さんを診ていたそうです。

趣味は骨董品集めとプロレス鑑賞。
お祖父さんの家に行くと、
古い仏像や仏画などがいくつも飾ってありました。
嫁さんは小さい頃、それがとても怖かったと言います。

WS000020
これが当時撮らせてもらった仏像などです。
布袋さんのようなユーモラスなものもありますが、
基本的には子どもにには怖かったことでしょう。

お祖母さんは1907年生まれ。
女学校を卒業していて、僕が草津に住んでいたと話したら、
「私の女学校の時の友達のSさんが草津だが知ってるか?」
と尋ねられました。いや、さすがにそれはわかりません。

子どもが生まれてまだ赤ちゃんの時に、
一度岩滝を訪れたことがありました。
お祖母さんは赤ん坊に、”いないいないばあ”をしてくれるのですが、
老人慣れしていないうちの子どもにはちょっと怖かった様でした。

そんな祖父母もさすがに超高齢となり、
最後は叔父さんのところで生涯を終えました。

残された家は、後を継ぐ人がなかったため、
町に売却され、今は駐車場になっていると聞いていました。

WS000017
今回の旅行で、そのお祖父さんの家のあった跡を訪れてみました。
話には聞いていましたが、
駐車場になってしまった所に実際に立ってみると、
当時のことを思い出し、何となくちょっと感傷的になりました。

家の近くをぶらぶら歩いてみました。
昔は100mも行くと海辺だったのですが、
行ってみたら広い公園が出来ていました。
WS000018
これにはさすがに嫁さんもびっくり。
僕も何回か浜辺を歩いたことがありその変わり様にびっくり。
時の流れを改めて感じました。