体位性頻脈症候群(POTS)について

今週は、大阪でめまいの学会(日本めまい平衡医学会)が開かれます。

春の日本耳鼻咽喉科学会に続いて、
何を血迷ったか、学会発表することにしました。

具体的な内容については、いずれお話するとして、
今回は、その発表に関連ある疾患として、
体位性頻脈症候群postural tachycardia syndrome,POTS
について、自分の頭の中をまとめるためもありまして、
ここに書いてみたいと思います。

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体位性頻脈症候群postural tachycardia syndrome,POTS

POTSは起立性調節障害(OD)のサブタイプの一つ

<起立性調節障害OD>
①起立直後性低血圧
②体位性頻脈症候群
③神経調節性失神
④遷延性起立性低血圧

の4つのサブタイプがある。

体位性頻脈症候群
<診断>
・起立性調節障害の一つではあるが、起立時の血圧低下はない

・起立時 心拍数115以上 または 起立時の平均心拍増加が35以上
(小児などで、重症例は心拍数125以上、平均心拍増加45以上)

<病態>
正常では、
起立時
⇒全血液量の25%が下方にシフト
⇒心臓への静脈灌流が急速に減少

⇒頸動脈洞に存在するbarorecetorと
心臓および肺に存在するreceptorの
反射を介して交感神経が賦活化

⇒末梢および臓器の血管収縮が惹起され臓器への血流が保たれる
⇒静脈灌流が回復し、心拍数や血圧が正常化

POTSではこの代償反応に異常がみられるという
起立時
⇒全血液量の25%が下方にシフト
⇒心臓への静脈灌流が急速に減少(ここまでは同じ)

⇒静脈灌流の減少の回復が十分でない
⇒心臓への静脈灌流の欠乏を代償するために心拍数の増加が持続
(血圧は低下しないが、脳血流は下がる)

明日に続く