京都耳鼻咽喉科漢方研究会2

今中先生の処方では2剤併用が多い。
主に主訴に対する処方と、患者さんの体質等を考慮した処方を、
うまく併用することで、より効果をあげていらっしゃるそうです。

2剤併用の基本:昭和漢方の先駆者、湯本求真氏の教えより、

<柴胡剤+駆於血剤>
例:
・大柴胡湯+大黄牡丹皮湯・桃核承気湯
・柴胡加竜骨牡蛎湯+大黄牡丹皮湯・桃核承気湯

・四逆散+桂枝茯苓丸
・小柴胡湯+桂枝茯苓丸
・柴胡桂枝湯+桂枝茯苓丸

・柴胡桂枝湯+当帰芍薬散(貧血の傾向あれば)
・柴胡桂枝乾姜湯+当帰芍薬散(貧血の傾向あれば)

<柴胡剤+気剤(半夏厚朴湯等)や利水剤(五苓散等)もしばしば併用>
・大柴胡湯・四逆散・小柴胡湯・柴胡桂枝湯・柴胡桂枝乾姜湯
+半夏厚朴湯(心気症の傾向あれば)
※柴朴湯=小柴胡湯+半夏厚朴湯

・柴胡加竜骨牡蛎湯・小柴胡湯・柴胡桂枝乾姜湯
+五苓散(浮腫や水毒傾向あれば)
※柴苓湯=小柴胡湯+五苓散

漢方エキス剤処方の秘訣
主症状から一剤を選択
⇒さらに腹証などの漢方敵診察(四診)合診して(主症状に目をつぶって)一剤を選択

例:咽頭異常感症
主症状:のどのつまりに対して半夏厚朴湯
+四診合診は加味逍遥散
⇒処方例:半夏厚朴湯 食前・分3+加味逍遥散 食後・分2

例:めまい
主症状:回転性めまいに対して苓桂朮甘湯
四診合診は当帰芍薬散
⇒処方例:苓桂朮甘湯 食前・分3+当帰芍薬散 食後・分2
(※≓連珠飲(苓桂朮甘湯+四物湯))

一般的に併用すべきでない併用
1)重複処方
柴苓湯と小柴胡湯
温清飲と黄連解毒湯 など

2)類似処方
大柴胡湯と小柴胡湯
麻黄湯と葛根湯
柴胡桂枝湯と補中益気湯
五苓散と猪苓湯 など

3)反対処方
黄連解毒湯(熱をとる)と真武湯(寒をとる)

4)生薬重複
神秘湯と越婢加朮湯(麻黄)
甘麦大棗湯と人参湯(甘草) など