自律神経失調症

本日、5月19日(木)は、
名古屋で行われる、日本耳鼻咽喉科学会総会に出席するため、
1日医院は休診となります。

さて、今回の学会では、久しぶりに発表することにしました。
といっても、ポスター演題での発表ですが。

目新しい画期的な報告というわけでは全くないのですが、
最近、自律神経機能を簡易に測定できる器械を導入したので、
それを発表することにしました。

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よく、体調が悪いと、「それ、自律神経失調症じゃない?」
なんて話をすることはありませんか?

病院などでも、風邪とか怪我だとわかりやすいですが、
慢性的な疲れ、めまい、ふらつき、耳鳴り、頭痛、倦怠感・・・などなど、
診てもらったりしても、何となくよくならない。
そういう時に、医師の中にも結構安易に
「自律神経失調症ですね」なんて言う人がいます。
また、患者さんの方も案外それでなんとなく納得しちゃったりします。

自律神経には交感神経と副交感神経の2つがあって、
大雑把にいえば、アクセルとブレーキで、
その2つのバランスで、
人間の身体は恒常性(ホメオスタシス)を維持しています。
そして、そのバランスが崩れたのが、”自律神経失調症”。

でも、「自律神経失調症」って、
この2つの自律神経のどちらの神経が、
どの程度「失調」しているのか、
そうしたことを問題にしたりすることはほとんどありません。

「ほとんど」と書いたのは、
純粋に自律神経の病気、
たとえば、シャイ・ドレーガー症候群といった病気や、
糖尿病が進んんだ状態などでは自律神経が障害されてきますので、
こうした疾患では、
色々な検査にて自律神経の状態を測定する場合があります。

それに対して一般的によく使う「自律神経失調症」は、
色々な困った症状が、原因を調べても中々よくわからない時や、
原因は分かっていても、治療をしてもなんとなく良くならない場合などに、
便宜上用いられがちな言葉をさすことが多い様に思います。

そして、自律神経失調症だとなれば、
ストレスが原因だろうから、
ストレスを避けて、リラックスをしましょう!
規則正しい生活をしましょう!
という、お決まりの言葉となります。

その結果、巷では、
リラックスのためのグッズから、
音楽CD、本、体操、ヨガ、呼吸法などなど・・・
ざまざまな商品がお客様をお待ちしています。

ちょっと揶揄的に書きましたが、
これらの商品を全面的に否定しているわけではありません。
実際に僕もいくつか買ってみたりもしています。
音楽CDも持ってます・・・というか、結構好きなんです、こういうの。

そして、あとでお話しますが、
結果的には、交感神経がカッカしてるか、
副交感神経がうまく働いていないか、
これらのことが圧倒的に多いので、
結局は有効なんだろうと思います。

でも、あまりにも短絡的でもあります。
「自律神経失調症」という病名をつけてもらえたら、
あるいは、医師側も、病名をつけたら、
あとは思考停止です。
なんとなく納得して、
(なんとなく納得してもらって)
「それでは、安定剤だしときますね」
なんてことも結構あるのではないかと思います。

と、長くなったので続きは明日。