僕が医師になるまで9

さすがに父の死を受け入れるには、まだまだ若くつらいものでした。

そんなに父が早く亡くなるとは思っていなかったので、
その年の夏休みには、
金沢の同級生を高知に呼んで、
観光案内をしようとさえ計画していました。

そんな中、父が危篤になり、亡くなり、お葬式、法事と
環境がめまぐるしく変わっていきました。

今でも、申し訳なかったなと思うのが、
動転していたのでしょうね、
金沢の同級生にそのことを知らせずにいたため、
彼らが高知に行ったのに僕は現れず、
結果的に約束をすっぽかしてしまったことでした。
当時まだ学生だったとはいえ、
約束をすっぽかすというのはダメですね。
U君、S君、あの時は本当に申し訳ないことをしました!

そんな衝撃的なできごとでしたが、
僕にとって運がよかったのは、
それが夏休みの出来事だったことでした。
なんとか自分を立て直し、2学期を迎えることができました。
父はそれも見越して亡くなったのかもしれません。

もともと研究がしたいと思って医学部に入学したのですが、
今思えば、最終的に臨床に進んだのは、
父の死も影響していたのかなとも思います。

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さて、2学期が始まり、学校の授業は相変わらず教養課程でしたが、
生物学、医化学等興味深い授業もあり、
授業に集中することができました。
また、この頃から生活の中でクラブに重点を置くようになりました。

そういえば大学でのクラブ活動については話してきませんでしたね。
大学に入学し、やはりクラブには入ろうと思っていました。
部活のメリットの一つは縦のつながりです。
縦のつながりがあると、
試験の時などに傾向と対策を教えてもらいやすいとか、
過去の問題が手に入りやすいだろうとか、
まあ、そんな姑息なメリットも念頭に置いての入部でした。

あとから考えれば、
過去問なんかは横のつながりからでも手に入りましたので、
それほど大きなメリットではありませんでした。
むしろ、部活を通して、
本当の意味での縦のつながりの楽しさを感じることになるのですが、
それはもう少し先になってわかったことでした。

大学に入学して、さて、どのクラブに入ろうか?
いろいろ考えましたが、
結局中学・高校時代からやっていた卓球部にしました。
全く別のクラブにしてみるのもよかったのですが、
改めてユニホームや道具など、
色々そろえるとなるとお金もかかるだろな、
卓球なら今までからラケットなどは持ってるから安くてすむかな。
最終的な選択理由はそんなところでした。