本:『心の社会』2

先日、「○曜日には、この話題について書こうと思う」と書きましたが、
話が途切れ途切れになってしまうな、ということがわかったので、
やっぱりその時に考えたことを続けようと思います。

ということで、
まずは先日ご紹介しました『心の社会』という本についてです。

——————————

生物をどんなに細かく刻んで調べてみても、
「生命」そのものは見つかりません。
生理学、分子生物学が生物の仕組みをどんどん解明してきましたが、
やっぱり「いのち」そのものの本質は見つかりません。

同様に、脳について解剖学的、生理学的に解明しようとして、
一定の成果はでてきていますが、
「こころ」がどこにあるのか、その本質は何なのか、
その答えは見つかっていません。

著者は、この本の冒頭(第1章)にその答えのヒントを書いています。

「この本では、心がどうはたらくかを説明しよう。知能は、知能でないものからどのようにして現れてくるのだろうか。この問いに答えるために、この本では、心がたくさんの小さな部分を組み合わせて作れることを示そうと思う。ただし、それぞれの部分には心がないものとしよう。
このような考え方、つまり、心がたくさんの小さなプロセスからできているという考え方を、<心の社会>と呼ぶことにする。(以下略)」

そして、
「部分の寄せ集め・組み合わせが、別の意味を生み出す」という概念を
「猫を閉じ込めておく木の箱」で説明しています。
つまり、
6枚の木の板はそれぞれ、それだけでは猫を閉じ込めることはできないが、
直方体の形に組み合わさったら、猫を閉じ込めておくことができる箱になると。

そう考えると、心にしても命にしても、
全ては個と全体の関係性で成り立っているということなのでしょうか。

本書の最初の方に、子どもの積み木遊びを例に解説しています。
積み木で「塔を作る」という作業は、
「始める」「加える」「終わる」という課程(エージェント)でできており、
さらに、その「加える」というエージェントは、
「みつける」「手に入れる」「置く」という
下位のエージェントからできている。
そして、それぞれのエージェントの下には
さらに別のエージェントがあり・・・
そうした一連をひっくるめて「エージェンシー」と書いてあります。

この課程は、プログラミングと似ていますね。
(といっても、大したプログラミングは何一つ作れませんが)
何かをやらせるプログラミングを作ろうとすれば、
モジュールとかプロシージャーとか言いましたっけ、
インプットのためのプログラムとか、計算のためのプログラム、
アウトプットのためのプログラム・・・などなど、
これをメインプログラムから呼び出せるようにする。

まさに人工知能事始めですな。

ただ、ここで問題が・・・
プログラムがたくさん集まれば、「こころ」が自然に生まれるのか?
以前より人工知能について考える時、
しばしばこの問題が出てきて議論されていると思います。

この問題を具体的に表現したのが、
映画『2001年宇宙の旅』ですね。
この映画にアドバーザーとして
ミンスキー氏が参加されているのはこういうことだったんですね。