睡眠時間はどれくらいが適当か?

今日は睡眠のお話。

めまいや耳鳴りの患者さんの診療をしていますと、
睡眠に問題がある方がたくさんいらっしゃいます。

眠れないという不眠症の方も多いですが、
「寝る時間がない」人や、
そもそも、「睡眠が大切だと認識していない」人も
結構いらっしゃいます。

自分の自戒と復習も兼ねて、睡眠について書いてみたいと思います。

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<睡眠はどれくらいが適当か?>
人間の場合、睡眠時間は一般的に少ない人で5時間くらいから
多い人で9時間くらいが多いのではないかと思います。
日本人の睡眠時間
図は日本睡眠教育機構の睡眠学入門ハンドブックからの資料です。
1960年代には日本人の平均睡眠時間は8時間以上あったそうです。
それが年々減ってきて、2010年には7時間少々となっています。

睡眠時間の短縮は、就寝時間の遅延も原因の一つの様です。
昔は2/3の人が夜10時には床についていたらしいのですが、
今では1/4に減少しています。
対象がはっきりわからないので、何とも言えませんが、
確かに、僕の両親なども僕が子どもの頃には
10時とはいわないまでも
11時には寝ていた様な気がします。

僕は、子どもの頃は、
紅白歌合戦を最後まで見るんだ~!と言いながら、
いつも最後まで見ることができずに寝てしまい、
悔しい思いをした覚えがあります。
けれど、今の子どもは(少なくともうちの子どもは)、
結構小さい時から、紅白歌合戦も最後まで見て、
歳が変わる時にも起きていて、
「あけおめ!」なんて言ってました。
日頃から夜遅くまで起きているからへっちゃらなんですね。

話がそれました。
日本人の睡眠時間が年々短くなっていきています。
平均が7時間少々と図にはありますが、
感覚的にはもっと短い様な気がします。
そして、この睡眠時間の短さは、他の国と比べても、
かなり短い方だそうです。

実際の所、どれくらいの睡眠時間が理想的なのでしょうか?
下の図も日本睡眠教育機構から持ってきました。
睡眠時間と死亡率
巷には短時間睡眠を勧める本もありますが、
一般的には、睡眠時間と色々な病気の罹患率や、
死亡率などを調べた論文によりますと、
7時間睡眠あたりが最も病気になる率が少なく、
それよりも長すぎても短すぎても、
有病率、死亡率が多くなるとされます。

ですので、理想は7時間と思われます。

ただ、「睡眠障害対策の12ヶ条」というものがあって、
その第1条には、
「睡眠時間は人それぞれ、日中の眠気で困らなければ十分」
とあります。

実際、ナポレオンは3時間程度しか寝ていなかった
という話もあります。
逆にアインシュタインは10時間寝ていたという話もあります。
結局、自分にあった睡眠時間というのがあるようです。
だから、7時間は寝ないといけないというわけではありません。
日中の業務に差し支えがないようにということですね。

ただ、自分が寝たいように寝られないという,
その人それぞれの諸事情はあるかと思います。
しかし、寝付けない人はともなく、
寝る時間を惜しんで何かをするのではなく、
できるだけ、自分の身体の声を聞いて、
寝る時間を確保して眠るようにしましょう。
(これは実は、僕も自分にいい聞かせているわけですが)

次回は何故睡眠が必要かについてお話しましょう。