JINS MEME買いました!

歳をとってきて、少しは物欲が少なくなるかと思いましたが、
なんのなんの、日に日に大きくなるばかりです。

今回は、インターネットで見た途端、欲しくなって、
販売されるとほぼ同時に買ってしまいました。

今回買ったのは、
JINS MEME ウエリントンタイプ
https://jins-meme.com/ja/
JINS MEME
ま、ぶっちゃけ、眼鏡なんですけど、
そんじょそこらのメガネとは違います。

眼鏡に加速度センサーと
眼球の動きを感じるセンサーがついているのです。
このセンサーつきメガネ、実はすごいことなんです!

僕は高知医科大学を卒業した後、地元の滋賀県に戻ってきて、
滋賀医科大学耳鼻咽喉科学講座に入局させていただきました。
(現在でもそうですが、地方の国立大学の場合、
出身大学に残る卒業生が少なく、僕も帰ってしまった一人で、
母校には申し訳なかったと思っています。)

当時、滋賀医科大学耳鼻咽喉科学教室は、北原初代教授のもと、
めまいと耳鳴りを中心に研究が盛んでした。

昔は新人医師のことを、ドイツ語のなごりで、
ノイヘレンと呼ばれていました。
ノイヘレンの医局での仕事は、当時の医局事情から、
まずはめまいの検査でした。

午前中の診療時間には、
当番でめまいの検査(平衡機能検査)を行います。
午後は午後で、入院患者さんがめまいの人だったら、
やっぱりめまいの検査です。

めまいの検査で、最も重要なことは、
「眼球の動きを見る」ということです。

目の動きをみるだけでほぼ診断できてしまう病気もあります。
眼球の動き具合で、内耳由来のめまいなのか、
脳由来のめまいなのかを診断できてしまう場合もあります。
(もちろん、それを裏付けるためには、
詳しい問診や、時に画像診断も必要ですが)

僕が入局した頃は、眼球の観察は最も一般的なものは、
「フレンツェル眼鏡」という特殊な眼鏡を通して行うものでした。
これは、極端に度の強いレンズを入れた眼鏡で、
これを患者さんに装着すると、
患者さんはものを注視することができません。
この状態だと、めまいの時に生じてくる眼球の動き(眼振)が
出やすくなります。
また、検査をする側からみれば、凸レンズで眼球が大きく見られ、
観察しやすくなる利点がありました。

しかし、このフレンツェル眼鏡は定性的に
(つまり、検査する人の主観で)眼球の動きを観察することは
できますが、定量的に(どれくらいの強さかを数字的に示すこと)
にはあまり向いていませんでした。
まあ、せいぜい何回眼球がキョロキョロ動いたか
を数えることしかできませんでした。

それを改良した方法が、目の近くに電極を貼って、
眼球の動きを電気信号に変えて記録する方法で、
電気眼振計といいます。
この方法のいいところは、
客観的に目の動きを記録することができたことでしたが、
煩雑なのと、3次元的に目の動きを理解するには、
ある程度熟練がいりました。

その後、時代が進み、ビデオが発達してきて、眼球をビデオで録画し、
ソフトウエアで眼球の動きを解析する方法が開発されました。
ただ、この機械がべらぼうに高い!
1台、800万円です。
ま、言い値ではありましたが、それでも、多少安くしてもらっても、
高級車が1台買える値段でした。
そんな事情を知っていますので、
この目の動きを計れる眼鏡というのが、
4万円台で買えるというのは驚異的です。

まあ、その実力はどの程度かは、まだわかりませんが、
開発者へのソースの提供もされるようですので、
今後、この眼鏡を使って医学に応用できるアプリが
どんどんでてくることを望みます。

アカデミックパックがある様ですが、
教育機関でしか買えないみたいで残念です。
(といっても、自分でアプリを開発するほどの能力はないのですけど)

そのうち、大学病院などとタイアップして、
何らかのソフトが出てくるといいなと思っています。
その際には、できるだけ安く市場に開放して下さい。

現在、供給されているソフトは、目の動きやまばたきの回数などで、
覚醒状態などを把握したり、
運動している状態を把握することができるものの様です。
まだ、これから使ってみるところなので詳しいことはわかりませんが。

また、眼球の動きで眠気を知ることができるらしく、
運転中に眠気がでてきたら教えてくれるそうです。
これも、まだ試していないので、
どのくらい使えるものなのかわかりませんけど。

しばらくは、これで楽しめそうです。