本:メンタルを強くする食習慣9 

『小さな町の精神科の名医が教える メンタルを強くする食習慣』
長々とこの本について書いてきました。
栄養学に関して全く知らなかった話もたくさんありました。

多少難しく感じる部分もあるかと思いますが、
基本的に一般向けに書かれた本ですので、
メンタルに悩みを抱えている方、
健康に不安のある方などは必読の本と言ってもいいかと思います。
さらには、僕の様な医療関係者でも
日常の診療に非常に参考になる本だと思いました。

さて、最終章にすすみます。
これがまた、僕にとって全く知らなかった話。
勉強になります。

第4章 魔法の次世代万能薬!? CBDオイル

<カンナビノイド医療について>p.350
カンナビノイドとは、医療用に用いられる大麻草の成分
次世代の万能薬とも評され、
実際、難治例に劇的な効果をもたらすこともあるのだとか。

大麻草の作用を説明することは、
単に一つの薬草の薬理作用を説明することにとどまらず
私たちの身体のホメオスタシス(生体恒常性)、
ひいては健康全般について語ることになるそうです。

<人体はシステムである>p.351
現代医学は、主要な身体システムが良好に働いている中で、
何らかの不具合が生じたケースなどではうまく発揮できる

しかし、主要なシステム自体に不具合が生じている現代病に対しては、
得意の局所治療や対症療法は、
効果が乏しいばかりか医原病すら引き起こしかねない

現代医療に対する限界を補うようにして発展してきたのが、
栄養療法、漢方、鍼灸など

現代生活において健康に対して
最大の影響を与えていると考えられるのがマインドセット

近年、恒常性維持機能を飛躍的に高めるメソッドとして、
大きな注目を浴びているのがカンナビノイド

大麻草は人類が数千年前から食料、繊維、燃料、
そして医薬品として利用してきた
大麻草の薬用成分の中心とされているのが、
カンナビノイドと呼ばれるポリフェノール
100種類以上あるカンナビノイドのうち、
中心となるのがテトラヒドロカンナビノール(THC)とカンナビジオール(CBD)

大麻草に含まれる植物性カンナビノイドが人間に効果がある
=カンナビノイドの受容体がある
=体内でつくる本物のカンナビノイド(内因性カンナビノイド)が存在する

<内因性カンビノイド>p.353
人間の受容体・・・1000種類ほどが知られており、
800種類以上がGタンパク質共役受容体(GPCR)

カンナビノイド受容体もGPCRの構造をもち、脳の中に多い
神経細胞に主に分布するCB1受容体
免疫細胞に多く分布するCB2受容体
脳、脾臓、腸管などに多く存在するGPR55など

これらの受容体は全身の組織にくまなく分布しており、
睡眠、食欲、性行動、運動機能、認知、記憶、免疫、感情、老化、発達、疼痛など
あらゆる生体の機能を制御している
その制御は、「過剰活動を抑える」という形で行われる
=逆行性シナプス伝達という制御法

カンナビノイド医療
内因性カンナビノイドが人体という大組織を制御している
エンドカンナビノイドシステム(ECS)
恒常性維持システムの根幹

<劇的に効果が出た!CBDオイル>p.358
カンナビノイド
100種類以上あるが、代表はTHCとCBD
THCは法的規制で日本では使うことができない

CBDはカンナビノイドの受容体に直接結合することはない
しかし、内因性カンナビノイドの輸送や代謝酵素などに作用することで
その働きを高めたり、一部抑制したりしてECSの機能を高める

CBD
セロトニン1A受容体に直接働いて抗不安作用をもたらす
TRPV1受容体と結合・・・疼痛知覚、炎症、体温調節⇒抗炎症効果
GPR55の阻害・・・がん、肥満、糖尿病、骨粗鬆症予防

ポイントは神経や免疫の過剰活動、炎症などへの対処

※なんかステロイドみたいなイメージを持ってしまいます。
また、大麻と聞くと、それだけで何となくやばい感じがしてしまいます。
だからこそ、正しい知識を持って、正しく使うことで、
まさに第4章の表題どおり、
”魔法の次世代万能薬”
としての可能性を秘めています。

我々医師も新しい医療について、
少なくともその知識を持っておく必要がありそうです。

そうした流れもあってか、
2015年日本臨床カンナビノイド学会が結成されたそうです。

<CBDオイル>p.373
フルスペクトラム
大麻草の成分すべてを抽出したもの
日本では法律上使用できない

使用できるもの
アイソレート・・・CBD飲み単体で取り出し、オリーブオイルなどに溶かしてあるもの
ブロードスペクトル・・・フルスペクトラムからTHCを除去したもの
テルペンや他のカンナビノイドも含まれる

<CBDオイルの選び方>p.380
(省略)

<CBDオイル使用における注意点>p.382
(省略)

<カンナビノイド欠乏症を防ぐのは生活習慣>p.386
内因性カンナビノイドを生成・分解する酵素は、
地球上最も初期の生物に起源をもつ
ストレス、栄養障害、老化、有害金属などで低下する

カンナビノイドを外から補うことでECSを強化し
コントロールを取り戻そうというのがカンナビノイド医療

運動、ヨガ、瞑想、栄養療法、断食などの健康メソッドは
ECSにとてもポジティブな影響を与える

CDBオイルはNMDA型受容体の活性化を抑える機能もある
高ぶった交感神経も落ち着いて睡眠の質もよくなる

ただし、カンナビノイド医療は
薬の代わりにCDBオイルを投与して終わりというような単純なものではない
よりよい生活習慣を形成していくことが大切

<おわりに>p.390
ここがこの本の、筆者の最も伝えたい部分だと思います。
ここはそのままアップしておきます。

”心の問題であろうが、からだの問題であろうが、解決を可能にする「上位視点」が必ずあります。今悩んでいる方は、すべて医者任せにせず、ご自身で納得いく「視点」をさがすために試行錯誤してもらいたいと思います。”p.393

”ジャンクフードを食べつづけていては健康にはなれません。1日5分でも運動している人の方が将来健康に近づけます。皆さんには、今日1日これを続ければよくなっていくとイメージできるようなものを続けていってもらいたいと思ういます。”p.394

”人生は1日の積み重ねです。理想の1日をイメージでき、そこに近づけていけるものが、ほんとうの知識です。自分の理想を磨くために、よきもの(真善美)に触れていく機会を増やしていきましょう。それは芸術だったり、音楽だったり、自然だったり、人であったりします。”p.396

”するべきことを「嫌だけどがんばる」より「いかに楽しくなるか」工夫することが大切です。”p.396