青くないのになぜ青洟(あおばな)というの?

確かに、青洟は決して「青色(Blue)」ではありません。
黄色に少し緑色が混ざった感じが多いと思います。
では、なぜ青洟というのでしょうか?

まぁ、信号も緑色しているのに青信号と言うのとも通じるものでしょうね。

いろいろな説があるのだと思いますが、
僕は、古代の人の色の認識が、
「赤」「白」「黒」とそれ以外はすべて言葉のおこり「青」だった
という説を支持しています。

ここで、色の語源を探ってみましょう。
参考にしたのは、
『言葉の起こり 飯野布志夫著作集1』 鳥影社
という本です。
「赤」
「ア」は古代においては、”あるものごとが出現すること(浮上出現)”を、
「カ」は”対外的に力を発動すこと”を意味するそうです。
そこで、太陽が東の空から上がってくる時に、
「あかるい空」「あかい空」となるわけです。

「黒」
「ク」は古代においては「食い込む」という意味があり、
「ラ」は「拡大・増大」を、「ロ」」は極大を意味するそうです。
すなわち、「くろい」と「くらい」は発祥は同じで、
おそらく昼から夜に暗闇が食い込んで極大にまで達したということを
意味したのでしょう。

「白」
「シ」は下に下がって支えるという意味があるそうです。
ひょっとすると「死」も死んで地に埋葬されることと関連があるのかも
しれません。
「ロ」は極大という意味だそうです。
しかし、この二つを組み合わせた「シロ」の意味するものは
このままだとちょっとわかりませんね。
ただ、「シロ」という言葉は古代語では、空虚、何もないことを言うそうです。
そう考えると、白々しい、しらける、素面(しらふ)なども、
ここから派生した言葉なんじゃないかと思われます。
ひょっとしたら、空(そら)とか、まっさらの「さら」なんかもそうかも。
今でも実際に、透明な鼻水のことを「白い鼻水」と表現する人もいますね。
ただ、「白」は神聖な意味合いもある様で、上記の意味だけではない様です。

「青」
さあ、ようやく「アオ」の番です・・・と言いたい所なんですが、
「アオ」に関しては、中々うまく説明できるものがありません。

「ア」は上記のように”浮上するもの”。
「オ」は”高いところ”という意味と、”合体する”という意味があるそうです。
でも、そこから「アオ」の意味を推測するのは中々難しいです。
ひょっとしたら、浮上して高い所と言えば空ですので、
青空のアオは青色そのものだったのかもしれません。

その他、「アオ」には若いという意味もありますね。
「青二才」と言った使い方です。
インターネットでさらに検索してみたところ、
「赤=熟した状態」に対する言葉で、「青=未熟」なと言うわけです。
柿が熟すと赤くなるけど、緑色した実は青い柿といいますものね。

まあ、語音から「青」を考えるのにはこれ以上は無理な様ですが、
どうも、昔から、「赤」「白」「黒」と、
それ以外は何でも「青」だったようです。
さらにインターネットを検索していると、
「アオ」=「アイ」=間という意味で、
赤・白・黒の間を意味するのだとも書いてありました。なるほど。

こうした考え方は、古代の日本だけではなかったようです。
古代中国では、四方位や四季と関連づけて、
東=春=青龍(青)
南=夏=朱雀(赤)
西=秋=白虎(白)
北=冬=玄武(黒)
と関連づけて考えていたようです。

そこから、漢方薬で、それぞれ「青龍湯」「朱雀湯」「玄武湯」「白虎湯」
というのが、考案されました。
青竜湯から派生した『小青龍湯』は、春の花粉症でよく用いられます。
朱雀湯は別名、『十棗湯』と呼ばれるものがあるそうですが、不明。
白虎湯は人参を追加した『白虎加人参湯』が有名ですが、
のどの乾燥などでも用いられるように、秋の乾燥した季節を連想します。
玄武湯は、本来『真武湯』と呼ばれるもので、
身体を温める作用をもつ附子という生薬が含まれており、
冬を連想させる処方です。

なんか話がどんどんそれてしまいました。
とにかく、
青洟の『青』は『白』でも『赤』でも『黒』でもないものを呼んだようです。

青洟は、風邪の治りかけに見られることもありますが、
逆にこじれてしまって急性の副鼻腔炎になっている場合に多く見られます。
これは白血球、中でも好中球と呼ばれるものが、細菌と戦った死骸ですので、
体力で治らない場合は、抗生剤の助けを借りるのも一つと思います。

青洟が長引くときは耳鼻咽喉科を受診しましょう!
・・・ということで、最後は宣伝でした(笑)。