AIによるSARS-CoV-2感染後遺症(PASC)のパターン化2

前回はAIが新型コロナ感染症の後遺症を分析したら
4つのパターン(サブフェノタイプ)があったという話を書きました。

ただ、このサブフェノタイプを眺めていて
ちょっと面白いなと思うことがありました。
この病態のファイリングって、
漢方における患者さんの見方(弁証)に似ている様な気がしました。

と、一応それらしく書きましたが、
実は僕はこの「弁証」というのが苦手で、
あまり正しくはないかもしれません。
間違っていたらこっそり教えてください。

今回の分類を見てまず思いついたのがサブフェノタイプ3。
五行説で言う「肝系」(大雑把に言うと筋骨格系+自律神経系)が弱い人が
COVID-19に罹患した場合で、その異常は、
肝陰虚/肝血虚や肝気鬱結として症状が現れたと考えられるかもしれません。

そういう見方からサブフェノタイプ1を眺めてみると、
もともと瘀血(血液の流れが悪い状態)や
生命力が弱っている状態(陰虚)の人がCOVID-19に罹患した場合にあたり、
免疫力や修復力が弱くて重症化しやすい傾向があるのかもしれません。

サブフェノタイプ4は、
もともと脾虚(おもに消化機能の低下)があるところに
COVID-19に罹患した場合にあたるのかと思います。
五行説では脾と肺は親子関係(相生)であり、
親(脾)が弱いと子(肺)の症状が長引きやすいのかもしれません。

サブフェノタイプ2は、(実はこれをどう考えるか一番悩んだのですが)
いわゆる「感染後咳嗽」と呼ばれる状態と、不眠や不安の合併なのですが、
咳嗽は中医学では肺陰虚とか風熱犯肺と呼ばれる状態で、
不眠・不安は心血虚と呼ばれる状態ではないかと思うのですが、
この2つをどう結びつけるのかがちょっとわかりません。

詳しい方は一度ご検討ください。

それにしても、将来漢方の弁証論治も
AIが行ってくれる時代がくるのかもしれません。
患者さんが症状を入力し、
顔や舌をカメラに向かって見せたりすることで
どの処方がいいかを見つけてくれる・・・

まあ、とはいえ、
脈診や腹診などで微妙な所見をとったりするのは
まだまだ人間の感覚の方が優位だろうと思いますし、
(まあ、それもいずれ機械に取って代わられるかもしれませんが)
「人の身体に触れる」「患者さんの話を聞く」
といった行為そのものが治療に影響を与えるものだとも思います。
(それだけに、そこを我々医療人は大切にしなければいけません)
また、時には患者さん自身が気がついていないものを感じ取り、
治療に生かす、そんな能力が今後必要になってくるかもしれません。

AIに取って代わられないように医師も精進していく必要がありますね。