SARS-Cov-2と腸内細菌3 

前回、前々回からのつづき

腸内細菌としてコリンセラ属の細菌が多いとCOVID-19が重症化しにくい。
(正確には死亡率が低いと予想される)
なぜか?

コリンセラ属はウルソデオキシコール酸という物質を
腸内で産生していることが知られているそうなんです。
そしてこのウルソデオキシコール酸(UDCA)には、
SARS-CoV-2ウイルスが増殖するのを抑える作用がいくつもあるそうなのです。

1つは、ウイルスがスパイクで人体の細胞に感染する際に
足掛かりにしているアンギオテンシン変換酵素2(ACE2)と結合するのを
UDCAがブロックしてくれる作用があるそうです。

2つめに、UDCAはTNF-α、IL-1β、IL-2、IL-4、IL-6などの
炎症性サイトカインをmRNAおよびタンパク質レベルで抑制するそうです。

その他、細胞がウイルスと戦った際に出てきた活性酸素が
そのまま放置されていると正常組織までダメージを受けるので、
それを掃除してくれるスカベンジャー呼ばれる
抗酸化作用もUDCAにはあります。

また、COVID-19が肺で重症化したときに
急性呼吸症窮迫候群(ARDS)様になりますが、
UDCAにはそれをきれいにする作用もあるそうなのです。

こうした作用があるウルソデオキシコール酸(UDCA)ですが、
実は昔から肝臓疾患の治療薬として
すでに人工合成されていて認可されています。
僕は耳鼻咽喉科医なのでほとんど処方しませんが、
内科で処方されているのを普通によくみかけます。

このウルソデオキシコール酸(UDCA)ですが、
漢方薬とどこか絡んでいないかなと思って探してみたところ、
「熊胆(ゆうたん)(別名くまのい)」という生薬の主成分なんですね。

熊胆なら聞いたことがあります。苦いそうです。
その名の通り熊の胆のうですね。
もともと胆汁酸ですからそりゃそうですね。
乾燥させて濃縮したものです。

ただ、熊胆は健胃効果や利胆作用など消化器系の薬であって、
呼吸器系に効くという話は聞いたことがありません。
実際はどうなんでしょうね。

最近はワシントン条約や動物愛護の点からも
本物の熊胆を手に入れるのは難しくなってきていると思われます。
そんなら他の動物の胆のうでもいいのじゃないかと思いましたが、
動物によって胆のうで胆汁酸を濃縮できる種とできない種があったり、
少しずつ成分が違っていたりするみたいですね。
まあ、それならすでに人工的に合成できている
ウルソデオキシコール酸でもいいのかもしれません。
今後の研究に期待したいと思います。

話が腸内細菌からだいぶん逸れてしまいました。

腸内細菌コリンセラ属がたくさんいるかどうかで、
COVID-19に罹ったときの重症化がある程度予測できるのであれば、
自分の腸内細菌のエンテロタイプがわかれば、
ワクチンを打つべきか打たなくてもいいかといった
判断材料にもなるかもしれません。

ただ、コリンセラ属がいたとしても
食習慣によって減ってしまう可能性もあります。
コリンセラ属がちゃんとおなかに住みつ続けてくれるには、
どんな食事がいいのか、
そうしたことも今後わかってくるといいなと思います。
(もちろん「そればっかり食」もいけませんが)