Post-acute COVID-19 syndrome4 

nature電子版のLong-COVIDの記事を中心にお話してきましたが、
現在だんだんといろいろなことがわかりつつあります。

Long-COVIDという俗称も使ってきましたが、
一応正確には、Post-acute COVID-19 syndromeですね。

もう一度、最初に掲げたnature medicineの論文、
Post-acute COVID-19 syndrome
に戻ります。

論文には病態生理学についてまとめが書かれてあります。
1.肺後遺症
呼吸困難が主症状ですが、
ウイルスによる肺そのものの損傷に加え、
その後に生じるサイトカインストームによる炎症遷延と、
肺の線維化によるものでしょう。

2.血液学的後遺症
播種性血管内凝固症候群(DIC)に特徴的な
消耗性凝固障害とは異なり、
COVID-19関連凝固障害は
炎症性および凝固性亢進状態と一致しているのだそうです。

3.心血管後遺症
患者の62.5%の心臓組織でウイルスが検出されたとのことで、
ウイルスの直接的な侵襲もありそうですが、
ACE2のダウンレギュレーション(僕はよくわからないです)や、
IL-6、IL-1、腫瘍壊死因子-αなどのサイトカインによる
カテコラミン作動性状態の上昇による不整脈を永続させる可能性
などもある様です。

4.神経精神医学的後遺症
COVID-19生存者では、慢性倦怠感、びまん性筋肉痛、抑うつ症状、
および修復の難しい不眠といったウイルス感染後症候群が
報告されています。
頭痛は6週間後でも38%の人で認められるそうです。
また、嗅覚・味覚障害は6ヶ月経過して10人に一人に
症状の持続が認められるそうです。

他にも、
5.腎臓後遺症・・・糸球体濾過率の低下
6.内分泌後遺症・・・糖尿病や甲状腺の疾患
なども見られることがあるようです。

症状があまりにも多彩で、どう考えたらいいのかわかりませんが、
大きく次の様に分類することができるのかなと思います。

1.ウイルスの侵襲による直接的な臓器障害の後遺症
2.ウイルスが宿主のDNAに組み込まれて持続的な排出
↑これは最近報告がでてきました。
3.ウイルス侵襲に伴うサイトカインストームによる臓器破壊
4.↑これに続発する全身の微小血栓症
5.自己抗体が作成されてしまって自己免疫による障害
6.急性の強い感染症のあとのPTSD

こうなると確かに予防が大切となりますが、
ワクチンを受けたくても受けられない人もいますし、
ワクチンを打っても割合は少なくなるとはいえ、
感染・発症する人もいるわけで、
やはり治療薬の開発、他の薬からの転用や、
そうした薬剤を投与するタイミングなどの研究なども
もっと進んで欲しいなと思います。