新春随想

昨年暮れに県の医師会から新春を迎えるにあたって、
今年は年男ということで、
新春随想として何か書いてください、とお鉢が回ってきました。

いくつか書いたうちの一つを医師会に送りましたが、
せっかくなのでボツにした方をちょっと手直しして
ここに載せておくことにしました。

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私は今年で還暦、つまり暦を一回りすることになります。

1年約365日は太陽の公転周期に関連したリズムです。
これを1周ごとに、
子・丑・寅・卯・辰・巳・午・未・申・酉・戌・亥と、
12年で一つのリズムを作っています。
この12年というのは、
一説には木星の公転周期を意識したものだとか。
そしてこの12年を5回繰り返すと、
1まわりしたとされ還暦と呼ばれ、お祝いごととされます。

ではなぜ5周(60年)で1まわりなのか?
陰陽五行説の影響をうけた十干(じっかん)と
干支(えと)の組み合わせが60年になるからではあるのですが、
実際には4周だと48年で、6周だと72年、
人生50年と考えられた昔なら、
60歳というのは一つの目標だったからかもしれません。

ところで、人間には他にもいろいろなリズムがあります。
東洋医学的には、「節目年齢」と言って、
”女性は7の倍数で、男性は8の倍数で身体が変化する”
と言う考え方があります。
『黄帝内経(こうていだいけい)』という古い書物に書かれています。

その他にも人間には数多くのリズムが内在しています。
1ヶ月というリズムはその中でも大きなリズムの一つです。
もともとは28日前後の月の満ち欠けのリズムで、
女性の身体もその影響を受けています。

そして、新月⇒上弦の月⇒満月⇒下弦の月⇒新月という
位相の変化が28日÷4=7日(1週間)で、
人の活動のリズムの基本となりました。

24時間というのは最も強い身体のリズムで
サーカディアンリズムと呼ばれています。
ただ、実際には24時間よりわずかに長いので、
朝の日の光で身体をリセットしながら生活しています。
ですから朝起きたらカーテンを開けて光を浴びるのが
身体にいい影響を与えます。

他にも12時間のリズムというのもあって午後の眠気を誘います。
3.5日のリズムというのもあるそうで、
人が三日坊主になるのはこのリズムのせいだとか。

また、90分のリズムというのもあり睡眠の1サイクルはこの90分です。
ですので、目覚ましをかけるときは、
90分の倍数で眼が覚めるようにするのが
心地よく起きるコツなんだそうです。
ま、中々そううまくは行きませんけど。

そして、もっと短いリズムに 心臓の拍動 があります。
ただ、このリズムは他のリズムとは少し異なっています。
心拍は規則正しく打っている様に見えますが、
実は安静時でも微妙に早くなったり遅くなったりしています。

普通に考えると規則正しい拍動の方が健康な感じがしますが、
実際には適度な揺らぎがある方が健康とされています。

このゆらぎは副交感神経がしっかり働いている時ほどみられます。
これはいわばハンドルの遊びのようなもので、
外部環境が変化しても対応できるためのゆとりの様なものです。

これは人間の活動でも同じですね。
波動にあわせて行動するのが
身体を疲れさせない秘訣だと思いますが、
昨年のような大きな外部環境の変化に適応できるようにするには
一定の遊びが必要です。

今年も仕事と遊び、両方を楽しみながら頑張りたいと思います。